のまれてしまえ
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旧サイト一万打企画リクエスト「ザップさんに無理矢理お酒を飲まされて酔った主人公がみんなに絡んで甘えていくお話。オチはレオ」
「大人になる薬ぃ?」
そう言って見せられた瓶を、結理は遠慮なく疑わしげに見てから、それを持ってきたザップに視線を移した。疑惑100%の視線も気にせず、ザップは楽しげに濃いオリーブ色の瓶を軽く振ってみせて、少女が書類仕事をしていたテーブルの上に置く。
「キャリーが結理に飲ませたら絶対面白いことになるって言っててよー。なら試してみっかってなるだろ?」
「いやいや怪しすぎますよ。まあ……キャリーさんからってのなら、ヤバい系ではなさそうだけど……」
ザップ関連で顔見知りになり、それなり以上に交流のある女性の顔を思い出しながらも、結理の顔から疑惑の色は取れない。基本的に大元が誰であろうと、ザップを経由してる時点で警戒するのに十分以上の理由になる。それ自体に問題がなくても、途中でいらん手を加えられている可能性が高いからだ。
「……やっぱ嫌です。いらないです」
「んだよノリ悪いな大福!そのつるぺたちんちくりんから晴れて卒業できるチャンスをくれてやるって言ってんだからありがたーく受け取れよ!」
「それは……魅力的ですけど……リスクが高すぎます。あとこれ書き直しです。せめて自分の名前ぐらいまともに書いてください」
拗ねたように顔をしかめるザップにそう返しながら彼の前に書類を置いて、結理は書き上がった書類を持ってデスクに向かった。
背後で打撃音がしたのは結理がスティーブンに書類を提出した直後だった。振り返るまでもない。チェインがやってきて、いつものようにザップを踏みつけた音だ。
「とりあえず一昨日の分までの報告書と始末書です。リゼルストリートの件のは今ザップさんが書き直してる最中です」
「ん、ご苦労さん」
「てんめーー犬女あああああっ!!」
「……っ?何ですか?」
ザップの罵声をBGMに、ふと思い立った様子のスティーブンにじっと見られた結理は怪訝そうに尋ねる。
「いや……大人のお嬢さんは、どんな風になるのかと思ってね」
「えー?嫌ですよあんな怪しいの飲むの……」
「流石に実践して欲しいとは言わないよ。奴が持ち込んだものがまともな訳ないからな」
「まあ……わたし自身、興味がないって言ったら嘘になりますけどね」
苦笑を漏らしながら書類仕事をしていたテーブルに戻り、結理は置いてあった飲み物に手をつけた。いつもの牛乳ではなく、今日はグラスに入ったジュースだ。一気に呷りながら残りの書類を手に取りかけ、
「っ!?げほっ!!?」
予想外のことが起こった結理は盛大にむせた。睨み合っていたザップとチェインと、書類処理に戻ろうとしていたスティーブンが一斉に少女を見る。
「げほっ!ごふっ!げふっ!!え…?え…!?げふっ……」
「……大丈夫か?」
「な、何これ…?」
驚いた様子で問うスティーブンに答えず、結理はたった今自分が飲み干した液体が入ったグラスを凝視していた。勢いで飲んでしまったが、さっきまで飲んでいたジュースとは全く違う味と胃にしみるような違和感に驚きと戸惑いしかない。
「……飲んだな?」
「は?」
その驚きに答えるように、ザップがにやりと笑いながら結理に言い放った。訳が分からず顔をしかめた結理だったが、すぐに察した。テーブルに置いたままになっている瓶の中身が明らかに減っている。
「……まさか……っ……」
少し目を離した隙に中身を入れ替えられるとは思わず、完全に油断していた。ザップ曰く大人になる薬を思い切り飲んでしまい、表情を引きつらせた結理は急なめまいを感じてふらりとその場に座り込んでしまった。
「!?ちょっと馬鹿猿!あんた結理に何飲ませたのよ!?」
「んな危ねえもんじゃねえって!死にやしねえよ」
「そういう問題じゃないでしょクソモンキー一回死んどけ!結理!大丈……ぶ……」
少女の異変に顔色を変えたチェインは、ザップを遠慮なく罵倒しながら慌てて駆け寄った。目線に合わせるように膝をついた所で、先に動いたのは結理の方だった。寄りかかるようにチェインにもたれかかると、そのままぎゅっと背中に腕を回す。
「……結理?」
「……うへへ…」
予想外の行動に硬直したチェインに構わず、頬を真っ赤に染めた結理は緩んだ笑みを漏らしながらしがみついて、猫のように擦り寄った。
「チェインさんだ~……」
「あの、えっと……結理…?」
「えへへ~」
突然少女に懐かれて目を白黒させていたチェインだったが、テーブルの上に乗っている瓶に気付いてそれを手に取った。張られているラベルに軽く目を通し、急いで栓を空けて匂いを嗅いでから、強張った表情でザップを睨む。
「あんたこれ………ワインじゃない!!」
「はあ?ワインなんてどこに書いてあんだよ?」
「あああああそうだった!こんな脳みそスカスカにイタリア語が読める訳がない…!!」
「……ちょっと待て!!ワインだあ!?」
「だからそうだって言ってんでしょこのSSウジモンキー!」
理解の遅いザップに焦れたように、チェインは持っていた瓶を突き付けて状況を改めて言い放った。
「あんたが結理に飲ませたのはワイン!お酒!絶対飲ましちゃいけないやつ!!」
「てえことはこいつ……酔っ払ってんのか!!」
「それは……非常事態だな」
簡単に言うと、結理は酷く酒に弱い上に酒癖が非常に悪く、更に酔っている間の記憶を全て無くす。その被害は色々な意味で甚大で、ライブラのメンバー全員に少女に絶対酒を飲ませてはいけないと、最重要項目の一つとして通達している程だ。
『被害』に遭った経験者の一人であるスティーブンは、結理に起こった状況を把握して盛大に顔をしかめると、その表情のまま元凶を睨みやった。
「何て事をしてくれたんだザップ…!」
「え?俺のせいですか!?」
「お前が持ち込んだものだろうが!責任を持ってお前が処理しろ!!」
「いやー、今んとこ犬女に懐いてますし、このままほっといても問題ないんじゃないすか?」
「元凶持ち込んだどクズが何逃げようとしてんのよ馬鹿じゃないのとりあえず死ねば?」
「普段可愛がってるちんちくりんに懐かれて役得じゃねえか。丁度いいからそのままお持ち帰りしちまえ」
さっさと丸投げしようとしているザップにチェインが一息で罵倒を投げつけ、それに対してザップが笑いながら返している間に、結理は何故かチェインから離れた。そのままふらふらとした足取りでザップに近寄ると、体重を預けるように寄りかかって抱きつく。
「!?」
「……ザップさん煙草と香水くさいしあつい~……」
「自分から近寄っといて文句かよ!!」
「えへへ~……でもザップさんぽくて好き~……」
「………………」
「ふへへ~……」
突然のことに思わず固まっている間に投げられた抗議には即座に返せたザップだったが、無防備に緩み切った笑顔で続けられた言葉には何も返せなかった。チェインに次いで日常茶飯事に言い争っている少女に、こうも真っ直ぐで裏表のない感情を向けられるとどうしていいか分からなくなる。
何の行動も起こせずにおろおろしているザップに、立場が逆転したチェインが嘲笑を投げつけた。
「大人になる薬ぃ?」
そう言って見せられた瓶を、結理は遠慮なく疑わしげに見てから、それを持ってきたザップに視線を移した。疑惑100%の視線も気にせず、ザップは楽しげに濃いオリーブ色の瓶を軽く振ってみせて、少女が書類仕事をしていたテーブルの上に置く。
「キャリーが結理に飲ませたら絶対面白いことになるって言っててよー。なら試してみっかってなるだろ?」
「いやいや怪しすぎますよ。まあ……キャリーさんからってのなら、ヤバい系ではなさそうだけど……」
ザップ関連で顔見知りになり、それなり以上に交流のある女性の顔を思い出しながらも、結理の顔から疑惑の色は取れない。基本的に大元が誰であろうと、ザップを経由してる時点で警戒するのに十分以上の理由になる。それ自体に問題がなくても、途中でいらん手を加えられている可能性が高いからだ。
「……やっぱ嫌です。いらないです」
「んだよノリ悪いな大福!そのつるぺたちんちくりんから晴れて卒業できるチャンスをくれてやるって言ってんだからありがたーく受け取れよ!」
「それは……魅力的ですけど……リスクが高すぎます。あとこれ書き直しです。せめて自分の名前ぐらいまともに書いてください」
拗ねたように顔をしかめるザップにそう返しながら彼の前に書類を置いて、結理は書き上がった書類を持ってデスクに向かった。
背後で打撃音がしたのは結理がスティーブンに書類を提出した直後だった。振り返るまでもない。チェインがやってきて、いつものようにザップを踏みつけた音だ。
「とりあえず一昨日の分までの報告書と始末書です。リゼルストリートの件のは今ザップさんが書き直してる最中です」
「ん、ご苦労さん」
「てんめーー犬女あああああっ!!」
「……っ?何ですか?」
ザップの罵声をBGMに、ふと思い立った様子のスティーブンにじっと見られた結理は怪訝そうに尋ねる。
「いや……大人のお嬢さんは、どんな風になるのかと思ってね」
「えー?嫌ですよあんな怪しいの飲むの……」
「流石に実践して欲しいとは言わないよ。奴が持ち込んだものがまともな訳ないからな」
「まあ……わたし自身、興味がないって言ったら嘘になりますけどね」
苦笑を漏らしながら書類仕事をしていたテーブルに戻り、結理は置いてあった飲み物に手をつけた。いつもの牛乳ではなく、今日はグラスに入ったジュースだ。一気に呷りながら残りの書類を手に取りかけ、
「っ!?げほっ!!?」
予想外のことが起こった結理は盛大にむせた。睨み合っていたザップとチェインと、書類処理に戻ろうとしていたスティーブンが一斉に少女を見る。
「げほっ!ごふっ!げふっ!!え…?え…!?げふっ……」
「……大丈夫か?」
「な、何これ…?」
驚いた様子で問うスティーブンに答えず、結理はたった今自分が飲み干した液体が入ったグラスを凝視していた。勢いで飲んでしまったが、さっきまで飲んでいたジュースとは全く違う味と胃にしみるような違和感に驚きと戸惑いしかない。
「……飲んだな?」
「は?」
その驚きに答えるように、ザップがにやりと笑いながら結理に言い放った。訳が分からず顔をしかめた結理だったが、すぐに察した。テーブルに置いたままになっている瓶の中身が明らかに減っている。
「……まさか……っ……」
少し目を離した隙に中身を入れ替えられるとは思わず、完全に油断していた。ザップ曰く大人になる薬を思い切り飲んでしまい、表情を引きつらせた結理は急なめまいを感じてふらりとその場に座り込んでしまった。
「!?ちょっと馬鹿猿!あんた結理に何飲ませたのよ!?」
「んな危ねえもんじゃねえって!死にやしねえよ」
「そういう問題じゃないでしょクソモンキー一回死んどけ!結理!大丈……ぶ……」
少女の異変に顔色を変えたチェインは、ザップを遠慮なく罵倒しながら慌てて駆け寄った。目線に合わせるように膝をついた所で、先に動いたのは結理の方だった。寄りかかるようにチェインにもたれかかると、そのままぎゅっと背中に腕を回す。
「……結理?」
「……うへへ…」
予想外の行動に硬直したチェインに構わず、頬を真っ赤に染めた結理は緩んだ笑みを漏らしながらしがみついて、猫のように擦り寄った。
「チェインさんだ~……」
「あの、えっと……結理…?」
「えへへ~」
突然少女に懐かれて目を白黒させていたチェインだったが、テーブルの上に乗っている瓶に気付いてそれを手に取った。張られているラベルに軽く目を通し、急いで栓を空けて匂いを嗅いでから、強張った表情でザップを睨む。
「あんたこれ………ワインじゃない!!」
「はあ?ワインなんてどこに書いてあんだよ?」
「あああああそうだった!こんな脳みそスカスカにイタリア語が読める訳がない…!!」
「……ちょっと待て!!ワインだあ!?」
「だからそうだって言ってんでしょこのSSウジモンキー!」
理解の遅いザップに焦れたように、チェインは持っていた瓶を突き付けて状況を改めて言い放った。
「あんたが結理に飲ませたのはワイン!お酒!絶対飲ましちゃいけないやつ!!」
「てえことはこいつ……酔っ払ってんのか!!」
「それは……非常事態だな」
簡単に言うと、結理は酷く酒に弱い上に酒癖が非常に悪く、更に酔っている間の記憶を全て無くす。その被害は色々な意味で甚大で、ライブラのメンバー全員に少女に絶対酒を飲ませてはいけないと、最重要項目の一つとして通達している程だ。
『被害』に遭った経験者の一人であるスティーブンは、結理に起こった状況を把握して盛大に顔をしかめると、その表情のまま元凶を睨みやった。
「何て事をしてくれたんだザップ…!」
「え?俺のせいですか!?」
「お前が持ち込んだものだろうが!責任を持ってお前が処理しろ!!」
「いやー、今んとこ犬女に懐いてますし、このままほっといても問題ないんじゃないすか?」
「元凶持ち込んだどクズが何逃げようとしてんのよ馬鹿じゃないのとりあえず死ねば?」
「普段可愛がってるちんちくりんに懐かれて役得じゃねえか。丁度いいからそのままお持ち帰りしちまえ」
さっさと丸投げしようとしているザップにチェインが一息で罵倒を投げつけ、それに対してザップが笑いながら返している間に、結理は何故かチェインから離れた。そのままふらふらとした足取りでザップに近寄ると、体重を預けるように寄りかかって抱きつく。
「!?」
「……ザップさん煙草と香水くさいしあつい~……」
「自分から近寄っといて文句かよ!!」
「えへへ~……でもザップさんぽくて好き~……」
「………………」
「ふへへ~……」
突然のことに思わず固まっている間に投げられた抗議には即座に返せたザップだったが、無防備に緩み切った笑顔で続けられた言葉には何も返せなかった。チェインに次いで日常茶飯事に言い争っている少女に、こうも真っ直ぐで裏表のない感情を向けられるとどうしていいか分からなくなる。
何の行動も起こせずにおろおろしているザップに、立場が逆転したチェインが嘲笑を投げつけた。