君に祝福を
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旧サイト一万打企画リクエスト「誕生日の夢主へのプレゼントにライブラメンバー全員が夢主にキスを贈る」
※B5発売前=ライブラメンバーのプロフィールが公開される前に書いたものになります。あれ?と思ってもスルーしていただけると幸いです
「……あ……そっか、今日……」
昼下がりのライブラ執務室で、書類仕事をしていた結理は何気なくカレンダーを見てふと、今日の日付に気付いた。ここ数日の激務が一区切りついてソファで休憩していたレオは、少女が声を漏らしたのに気付いて顔を上げる。
「どうしたのユーリ?」
「!あ、いや……今日誕生日だったなあって思って……つか、この一週間ぐらいドッタバタしてたけど、もう年末なんだね……」
「誕生日って……誰の?」
「わたしの」
「………………」
何でもないように放られた言葉に、執務室にいた他の面々も一斉に顔を上げ、
「「「「えええええええええええっ!!?」」」」
同時に驚愕の悲鳴を上げていた。ある意味その元凶である結理は、レオ達が大声を上げた理由が分からないらしく驚いたように目を瞬かせている。
「え、え?何?」
「何で早く言わないんだよ!!?」
「だって自分でも忘れてたし。だいたい誕生日なんてわたしからするとあってないようなもんだし」
「こいつ時たまとんでもなくドライだよな……」
「……結理、」
やはり何でもないように言ってのける結理にザップが呆れたように息をつき、クラウスは真剣な表情で言葉をかける。
「その考え方は許容することはできない。自身の誕生日を蔑にするという行為は、君の誕生を誰よりも祝ってくれたであろう御両親の想いを否定することに繋がってしまう」
「ぅ……は、はい……すいませんでした……」
迫力に押された結理が思わず下がりながらも謝罪の言葉を口にしている間に、執務室内はいそいそとした空気が流れ始めていた。
「……あ、K.K?君結理の誕生日が今日だって知って…っ!?あ、いや、僕等もたった今知ったんだ……この後時間あるかい?ああ、うん、君ならそう言うと思ったよ……」
「ギルベルト」
「心得ております」
「あ!僕等も何か手伝いますよ!ね?ザップさんツェッドさん!」
「勿論です」
「……しゃあねえな!」
(な、何か……すごい大事になりそうな予感が……)
バタバタと騒がしくなっていく様子を見て、予感は確信になるだろうと思った結理だったが、それを止める方法は思いつかなかった。
そこからは、結理が口を挟む隙もなくあれよあれよという間に準備が進んでいった。正確に言うと準備が始まり切る前に辞退を申し出ようとしたが、クラウスの有無を言わさぬ説得と、とんでもない速さで事務所にやって来たK.Kのハグという拘束によってそれは叶わなかった。
「あああもーーっ!知ってたらプレゼント用意したのにー!!」
「いやその……そうゆうの全然大丈夫なんで……あの、やっぱり……」
「ユーリ、」
「……何でしょう?」
「素直に祝われなさい」
後ろから捕まえるように少女を抱きしめたまま、K.Kは言い聞かせるように優しく告げた。どうにかこの事態を鎮静化させたかった結理は、その声音に出そうとした言葉の続きを思わず飲み込んだ。
「誕生日を祝うって、生まれてきてくれてありがとう、出会ってくれてありがとうって伝えることなのよ」
「……っ……」
「ユーリの家族も、そうやって祝ってくれたでしょ?」
「……」
「アタシ達もそうしたいの。同じようにって訳にはいかないけど、それに近い形で」
「……はい……」
K.Kの言葉を聞いた結理は、うつむくように頷いた。
誕生日を祝われるのはいつぶりだろうと、少しだけ思い返す。次元を渡るようになってからは、そんな余裕がなかったこととそれ以外の理由もあり、誰かに誕生日を伝えたことは全くと言っていい程なかった。今回もうっかりこぼさなければ誰にも知られずに、下手をすれば自分でも思い出すことなく今日を終えていただろう。
こんなにも手放しに祝われるのは、それこそ遠い昔の記憶しかない。そんな懐かしさのような感覚に、胸の奥がじわりと温まった気がした。
「……ありがとうございます……」
「まだ泣くには早いわよー!」
「泣いてないです」
楽しげにのしかかってくるK.Kに、結理は少しだけぐすっと鼻を鳴らしながらも笑って即答した。
少女が主賓の小さなパーティーの準備は、数時間も経たない内に完了した。足されたテーブルの上には簡単な料理と飲み物が並び、各々もグラスを手に持つ。
その中心にいる結理は恥ずかしげにしているが、先程までのように戸惑ったり逃げようとしたりはもうしていない。
「それじゃ始めるか。クラウス、頼むよ」
「手短に頼むぜ旦那ー!」
「うむ、ならば挨拶は省こう。ではささやかではあるが、一之瀬結理君の誕生日を祝して」
その先の言葉は緊急通報のアラームによって遮られ、掲げようとしていたグラスも止められた。降りてきたテレビがつくと同時に画面に映し出されたのは、巨大なゴーレムを引きつれて自分達も武装している異界存在達だった。
『この街は今日終焉を迎え!明日生まれ変わる!!』
何やら熱狂的な演説を繰り返している異界存在の言うことを簡単にまとめると、異界のものである自分達を閉じ込めるこの街から人類及びそれに賛同する異界側を駆逐して、更地にしたいということらしい。そう吼える輩は大量にいるが、武装している人数や引きつれているゴーレムの数を見る限りある程度は実行には移せそうだ。
そして、どう見ても確実にポリスーツの手に余る。というより既にポリスーツの何体かがゴーレムに薙ぎ払われている。
「……最悪」
「空気読めよ」
「コロス」
そんな、映像にも負けない程物騒で剣呑な気配を持った呟きを誰かがぽそりとこぼしつつも、秘密結社ライブラは今しがた始めようとしていたパーティーをキャンセルし、世界の均衡を守る為に出動した。
「……何であいつらあんな殺気立ってんだ…?誰か死んだか?」
現場で指揮を執っている最中にたまたま彼等を見かけた某警部補の呟きは、破壊音に紛れて誰にも聞かれることはなかった。
※B5発売前=ライブラメンバーのプロフィールが公開される前に書いたものになります。あれ?と思ってもスルーしていただけると幸いです
「……あ……そっか、今日……」
昼下がりのライブラ執務室で、書類仕事をしていた結理は何気なくカレンダーを見てふと、今日の日付に気付いた。ここ数日の激務が一区切りついてソファで休憩していたレオは、少女が声を漏らしたのに気付いて顔を上げる。
「どうしたのユーリ?」
「!あ、いや……今日誕生日だったなあって思って……つか、この一週間ぐらいドッタバタしてたけど、もう年末なんだね……」
「誕生日って……誰の?」
「わたしの」
「………………」
何でもないように放られた言葉に、執務室にいた他の面々も一斉に顔を上げ、
「「「「えええええええええええっ!!?」」」」
同時に驚愕の悲鳴を上げていた。ある意味その元凶である結理は、レオ達が大声を上げた理由が分からないらしく驚いたように目を瞬かせている。
「え、え?何?」
「何で早く言わないんだよ!!?」
「だって自分でも忘れてたし。だいたい誕生日なんてわたしからするとあってないようなもんだし」
「こいつ時たまとんでもなくドライだよな……」
「……結理、」
やはり何でもないように言ってのける結理にザップが呆れたように息をつき、クラウスは真剣な表情で言葉をかける。
「その考え方は許容することはできない。自身の誕生日を蔑にするという行為は、君の誕生を誰よりも祝ってくれたであろう御両親の想いを否定することに繋がってしまう」
「ぅ……は、はい……すいませんでした……」
迫力に押された結理が思わず下がりながらも謝罪の言葉を口にしている間に、執務室内はいそいそとした空気が流れ始めていた。
「……あ、K.K?君結理の誕生日が今日だって知って…っ!?あ、いや、僕等もたった今知ったんだ……この後時間あるかい?ああ、うん、君ならそう言うと思ったよ……」
「ギルベルト」
「心得ております」
「あ!僕等も何か手伝いますよ!ね?ザップさんツェッドさん!」
「勿論です」
「……しゃあねえな!」
(な、何か……すごい大事になりそうな予感が……)
バタバタと騒がしくなっていく様子を見て、予感は確信になるだろうと思った結理だったが、それを止める方法は思いつかなかった。
そこからは、結理が口を挟む隙もなくあれよあれよという間に準備が進んでいった。正確に言うと準備が始まり切る前に辞退を申し出ようとしたが、クラウスの有無を言わさぬ説得と、とんでもない速さで事務所にやって来たK.Kのハグという拘束によってそれは叶わなかった。
「あああもーーっ!知ってたらプレゼント用意したのにー!!」
「いやその……そうゆうの全然大丈夫なんで……あの、やっぱり……」
「ユーリ、」
「……何でしょう?」
「素直に祝われなさい」
後ろから捕まえるように少女を抱きしめたまま、K.Kは言い聞かせるように優しく告げた。どうにかこの事態を鎮静化させたかった結理は、その声音に出そうとした言葉の続きを思わず飲み込んだ。
「誕生日を祝うって、生まれてきてくれてありがとう、出会ってくれてありがとうって伝えることなのよ」
「……っ……」
「ユーリの家族も、そうやって祝ってくれたでしょ?」
「……」
「アタシ達もそうしたいの。同じようにって訳にはいかないけど、それに近い形で」
「……はい……」
K.Kの言葉を聞いた結理は、うつむくように頷いた。
誕生日を祝われるのはいつぶりだろうと、少しだけ思い返す。次元を渡るようになってからは、そんな余裕がなかったこととそれ以外の理由もあり、誰かに誕生日を伝えたことは全くと言っていい程なかった。今回もうっかりこぼさなければ誰にも知られずに、下手をすれば自分でも思い出すことなく今日を終えていただろう。
こんなにも手放しに祝われるのは、それこそ遠い昔の記憶しかない。そんな懐かしさのような感覚に、胸の奥がじわりと温まった気がした。
「……ありがとうございます……」
「まだ泣くには早いわよー!」
「泣いてないです」
楽しげにのしかかってくるK.Kに、結理は少しだけぐすっと鼻を鳴らしながらも笑って即答した。
少女が主賓の小さなパーティーの準備は、数時間も経たない内に完了した。足されたテーブルの上には簡単な料理と飲み物が並び、各々もグラスを手に持つ。
その中心にいる結理は恥ずかしげにしているが、先程までのように戸惑ったり逃げようとしたりはもうしていない。
「それじゃ始めるか。クラウス、頼むよ」
「手短に頼むぜ旦那ー!」
「うむ、ならば挨拶は省こう。ではささやかではあるが、一之瀬結理君の誕生日を祝して」
その先の言葉は緊急通報のアラームによって遮られ、掲げようとしていたグラスも止められた。降りてきたテレビがつくと同時に画面に映し出されたのは、巨大なゴーレムを引きつれて自分達も武装している異界存在達だった。
『この街は今日終焉を迎え!明日生まれ変わる!!』
何やら熱狂的な演説を繰り返している異界存在の言うことを簡単にまとめると、異界のものである自分達を閉じ込めるこの街から人類及びそれに賛同する異界側を駆逐して、更地にしたいということらしい。そう吼える輩は大量にいるが、武装している人数や引きつれているゴーレムの数を見る限りある程度は実行には移せそうだ。
そして、どう見ても確実にポリスーツの手に余る。というより既にポリスーツの何体かがゴーレムに薙ぎ払われている。
「……最悪」
「空気読めよ」
「コロス」
そんな、映像にも負けない程物騒で剣呑な気配を持った呟きを誰かがぽそりとこぼしつつも、秘密結社ライブラは今しがた始めようとしていたパーティーをキャンセルし、世界の均衡を守る為に出動した。
「……何であいつらあんな殺気立ってんだ…?誰か死んだか?」
現場で指揮を執っている最中にたまたま彼等を見かけた某警部補の呟きは、破壊音に紛れて誰にも聞かれることはなかった。