Imprisoned of 『M』
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こうして事件は解決した。
集団は元々、対象を異空間に閉じ込めて術者の元に転送させることのできる能力を駆使して異界人界問わず誘拐して人身売買を行っていた組織で、その日の内に残らず殲滅されるという末路を迎えた。
普段なら捕縛に止めておくような案件だったのだが、殲滅という結果に終わったのは彼等がライブラの情報を得ようとし、既に情報の一端を掴んでいたことともう一つ……
「だから問答無用で片付けちゃえばよかったのよ!!うちの可愛い可愛いユーリがキズモノにされちゃったじゃない!!!」
「まあまあK.Kさん。あの状況じゃみんな動きづらかっただろうし、怪我も見た目の割に大したことなかったから大丈夫ですよ」
「そーゆー問題じゃないでしょ!!」
「うわわわいだだだだだ!」
憤慨するK.Kを苦笑交じりに宥めた結理だったが、その何でもなさそうな発言が呼び水になってしまった。思い切り抱きつかれた衝撃が傷に響いて悲鳴を上げるが、K.Kは気付いていない。
「誘拐されたってだけでも心配だったのに怪我までしちゃってどうしようと思ったんだからね!」
「痛い痛い痛いK.Kさん痛い!傷!傷触ってます!!」
「おいおいK.K……大したことないって言っても重傷には変わりないんだから」
「なーにスカした顔してんのよスカーフェイス!!アンタとクラっちが一番ブチ切れてたじゃないの!」
「しかし……奴らは結理を攫い怪我まで負わせたのだ」
「ああクラっちはいいのよ!そりゃそうよ。あんなゴミクズ共がユーリに手ぇ出して黙ってていい訳ないわ!アタシが言ってんのは腸煮えくり返ってたくせに気取ったツラしてる腹黒のこと!」
「ええ…?相当顔に出てたつもりだったんだけどなあ……」
「うっわムッカつく…!!」
「……そんなにすごかったんですか?」
「僕達の出番がほぼ無かった程度には」
「旦那はいつも通りとして、番頭のキレ方は半端なかったな……」
「あー……」
やり取りを眺めながらこっそり尋ねたレオは、斗流兄弟弟子の回答を聞いて苦笑を浮かべながら息をついた。
「でも、あんな怪我させられたの見たら、そりゃあ怒りますよね……」
「そおかあ?あんなん日常茶飯事だろ。キレる程のモンかねえ……」
「貴方も中々でしたよ」
「はあ?」
やや呆れたように息をつくザップに、ツェッドがぼそりと返した。聞き咎めたザップは即座に顔をしかめて、不機嫌を隠さずにツェッドを睨みやる。
「おいおいおい近眼進んでんじゃねえのかサカナちゃんよお…!何で俺があのチビッ子バーサーカーの為にキレなきゃなんねえんだ?連中がライブラに喧嘩売るなんつークソ舐めたクソ連中だったからぶちのめしただけであのちんちくりんの為じゃねえよ!」
「誰も結理さんの為に怒っていたなんて言ってませんけど」
「!!?だ……いたいてめえの方こそキレてたんじゃねえのかよ!」
「当たり前じゃないですか。目の前で結理さんが誘拐された上に怪我まで負わされたんですよ?あれで何とも思わない訳ないでしょう」
「…………」
「……ぷっ」
さらりと言い放たれたザップは返そうとしていた言葉を返せなかったようで、複雑そうに顔をしかめて黙ってしまった。それを見ていたレオが噴き出すと、脳天に思い切り拳骨を落とされた。響いた鈍い音でレオがザップにはたかれたことに気付いた結理が、驚きと怪訝に目を丸くする。
「って……ザップさん何してんですか!」
「うるっせえよつるぺた!あんなクソ連中にあっさり捕まりやがってご自慢の自意識過剰センサー壊れてんじゃねえの?」
「はあ!?」
「あー気にしなくていいよユーリ。ザップさんもユーリが誘拐されて心配してたんだってさ」
「え……」
「!」
いきなり悪態をつかれて盛大に顔をしかめた結理に楽しげに笑いながらそう言ったレオの頭に、二発目の拳骨が落ちた。
end.
2024年8月31日 再掲