鉄面の向こう
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旧サイト一万打企画リクエスト「普段大人しい女の子がお酒を飲むと甘えん坊になって、メンバーを驚かせる」
ちょえっす、レオっす。今日は僕が訳あって所属してる組織の同僚の子の話をしたいと思います。
……あ、同僚っていってもいつも暴れ回ってるあの子じゃなくて、別の子ね。
その子の名前はリサさん。年は僕より一つ下で、ライブラに入ったのはザップさんより先らしい。事務と経理の補佐を兼任してて大抵は事務所にいるけど、防御に特化した能力者で僕も時々お世話になってます。
リサさんは一言で言うと大人しい人。無愛想って訳じゃないけどほとんど喋らないし、喋っても言葉は少ない。初めて会った時は喋れないんじゃないかって思ったぐらい、彼女の声を聞ける回数は本当に少ない。ザップさんがギャースカ騒いでても全く動じないというかほぼ無反応を貫いてて、1言われたら10も30も返すチェインさんとは別の意味ですげえなあと思う。
スティーブンさんに言わせるとあれでも内心はおろおろしてるらしいけど、全然そんな風には見えない。何と言うか……流れる水みたいな人だ。
……で、何でその子の話をしようと思ったかって言うと、そんなリサさんのイメージを180度変えるような、とある出来事があったからで………
その日はライブラの事務所で飲み会が開かれてた。まあ飲み会っつーか、ちょっと大きな騒動が片付いたからそれの打ち上げ的なやつで、普段あんまりこの手のに顔を出さないリサさんも珍しく参加していた。いつも通り大人しくて最初いたのに気付かなかったけど、皆が談笑してるのを見ながら一人で飲んでいたのを見つけて、僕は何となく彼女の所に行った。
「リサさん、隣いいっすか?」
「……うん」
声をかけるとリサさんはちょっと驚いたみたいだったけど、頷いてくれた。隣に座って彼女が見てた景色を見ると、今日の飲み会に参加してるライブラの皆が見渡せた。
そういえば……執務室で事務仕事する時もリサさんは皆が見渡せる場所にいる気がする。
「特等席っすねここ。みんながよく見えるや」
「……うん」
「リサさんがこの手の参加するって珍しいっすね」
「……スティーブンが、たまにはって、言うから……今回の件は、私も……結構関わったし」
「……こういう場所苦手ですか?」
「……少しだけ。でも、身内しかいないし……嫌じゃない」
いつもよりちょっとだけ多く喋るリサさんが、表情はいつもとそんなに変わらないけどどこか楽しそうにしてるのが見えて、僕も何となく嬉しくなった。こうやって喋る機会も顔を合わせる機会も他の人達と比べると少ないけど、やっぱり同じライブラの仲間だし年も近いから、もう少し気楽に話せたらいいなとは前から思ってた。それが今、実現してる。
そんな感じでリサさんと話してた飲み会は途中から、とあるシルバーシットな度し難いクズ代表の銀猿な先輩のお陰でちょっとした馬鹿騒ぎになってた。
「スティーブンさ~~ん!のんでますか~?」
「!?誰だ結理に酒を飲ませたのは!!?」
「やーっぱそっち行くんすねー」
「またお前かザップ!!」
「いや聞いてくださいよスターフェイズさん!今回はそいつが勝手に間違えて飲んだんすよ!俺止めようとしたんですよ!?」
「いいえ、今回も元凶はこの人です」
「オイコラ魚類!!嘘八百並べんじゃねえよ!!」
「ほぼ事実じゃないですか。ジュースですか?って質問にジュースだって答えたのは貴方でしょう?」
「その後で止めたじゃねえかよ!それをこのつるぺたが聞かねえで飲むから」
「ザップ…!!」
「……酔っ払い首からぶら下げてたら迫力ねえっすよ」
「く…!後で覚えておけよ…!ほらお嬢さん、K.Kが君のこと待ってるぞ?」
「え~…?ほんとですか~?」
あーあ……ザップさんまた凍らされんのか……どうしてあの人いちいちトラブル持ち込まないといらんないかなあ…?
「あー……またやらかしちゃいましたねーザップさん……」
「…………いいな」
「え?」
「うらやましい」
「リサさん?」
「私もああいう風にしたい」
「ちょ……ちょちょちょちょリサさん!!?」
ザップさん主催の騒ぎを一緒に見てたリサさんが、いきなりそう言って抱きついてきた。普段こんなこと絶対しないどころか、自分から誰かに触れるようなことも滅多にしないリサさんにいきなり抱きつかれてすぐに対応が出来なかった。
今気付いたけど、テーブルの上には空の酒瓶がめちゃくちゃ並んでる。あれ?リサさんいつの間にこんなに飲んでた?つか水みたいに飲んでたからジュースかと思ってたら今まで飲んでたの全部酒だった!!?
俺が思い切り騒いじゃったもんだから、近くにいた人達の視線がこっちに向いた。ユーリだけは相変わらずスティーブンさんにくっついてるけど、そのまんまこっちを見て何か見つけたみたいに楽しそうにへらへらしてる。
「レオ君とリサちゃんおにあい~?」
「いやちげえし!」
「まさか……リサまで酔ってるのか?」
「そうみたいっす……」
「今ね?結理ちゃんみたくみんなのこと好きーって素直に言えたらいいなあって、話してたの」
……そんな話をしてた覚えないんですけど!?
って思ったけど口を挟める状況じゃない。他の人達もリサさんを見て驚いた顔をしてて、この手のに真っ先にくいついてからかうザップさんや酔っ払ってるユーリですら大人しくリサさんが喋ってるのを見てる。
「私もね、みんなのこと大好きなの」
俺の腕にしがみついたまま、リサさんは満面の笑顔で語り始めた。
「みんなが私のこと必要としてくれるのも嬉しいし、そうでなくてもみんなのこと好き。クラウスはすっごい強くて優しくてかっこいいでしょ?スティーブンは頭良くてハンサムで戦い方も技もすごい綺麗で、K.Kはママみたいに優しいし話してて楽しいし、ザップはチェインと喧嘩ばっかりしてるのはちょっと嫌だけど、本当は結構優しいの。チェインは美人さんでクールって感じなのに可愛いし、レオ君は優しくてすごい根性あるしツェッド君は真面目で可愛くてでもかっこよくて……ギルベルトさんはいつもさりげなく気を使ってくれてすごいなあって思うし……」
大事な宝物でも見せるみたいにちょっと照れくさそうに、リサさんが一人一人の名前を上げて言うから、聞いてた人達は照れたり複雑そうな顔したり無言で顔真っ赤にしたりと、色んな形で撃ち抜かれてる。
で、当の本人はそんなのお構いなしにみんなを見回してから、何でか(多分一番近くにいたからだと思うけど)俺に懐いたまんまにっこにっこ笑った。
「私、そんなみんながだーい好き!」
多分、この先絶対見らんないんじゃないかってぐらいの、ありきたりな表現だけど太陽みたいな笑顔でそう言い切ってから、リサさんは寝転んだ。
「レオ君ちょっと膝かしてねー?」
「え?ええ!?リサさん!!?」
「うふふ……こうゆうの一回やってみたかったんだー…………ぐう……」
「……おやすみ三秒!!?何それ実在すんの!!?」
当たり前みたいに俺の膝の上で寝始めたリサさんに思わず突っ込みを入れるけど、当然っちゃ当然で答えなんて返ってこなかった。満足そうな顔で寝てるリサさんは当分起きそうにない。
「ちょっと……どうしよう…!!今の録音しとけばよかった…!!リサっちからあんな言葉が聞けるなんて…っ!!!」
「こんな形で彼女の本音が聞けるとは思わなかった……」
リサさんの告白が悪い意味じゃなくて結構な衝撃だったみたいで、K.Kさんとクラウスさんが感動しだした。しかもK.Kさんはチェインさんと一緒になって寝てるリサさんを撮り始める。
「あのー……」
「ああレオっち動いちゃダメよ!リサっちが起きたらどうすんの!」
「ええ……」
どうしようと思ってとりあえず一番この手のをどうにかできそうなスティーブンさんを見たら、幽霊でも見たみたいな顔でリサさんを見てた。ちなみにさっきまでスティーブンさんにひっついてたユーリはいつの間にか床で寝てて、ザップさんが回収していってた。ザップさんが普段しないことしてるのは多分、リサさんに真っ当に褒められたのが恥ずかしくなって、この空間から逃げ出したいからだろう。酒癖が最悪に悪い子をうっかり介抱してやろうって考えたくらいには。
「……こういうリサさんって珍しいんですか?」
「珍しいを通り越して初めてだよ。僕らの前ですらこんなに表情を変えるどころか、長文で喋ることすらほぼないぞ」
「マジですか」
「けどまあ……」
リサさんの寝顔を眺めてたスティーブンさんが、堪え切れなくなったみたいに噴き出した。何考えてるのかよく分かんない時がある人だけど、今日は普通に分かる。
「明日が楽しみだなこりゃ」
ああ、やっぱり……
ちょえっす、レオっす。今日は僕が訳あって所属してる組織の同僚の子の話をしたいと思います。
……あ、同僚っていってもいつも暴れ回ってるあの子じゃなくて、別の子ね。
その子の名前はリサさん。年は僕より一つ下で、ライブラに入ったのはザップさんより先らしい。事務と経理の補佐を兼任してて大抵は事務所にいるけど、防御に特化した能力者で僕も時々お世話になってます。
リサさんは一言で言うと大人しい人。無愛想って訳じゃないけどほとんど喋らないし、喋っても言葉は少ない。初めて会った時は喋れないんじゃないかって思ったぐらい、彼女の声を聞ける回数は本当に少ない。ザップさんがギャースカ騒いでても全く動じないというかほぼ無反応を貫いてて、1言われたら10も30も返すチェインさんとは別の意味ですげえなあと思う。
スティーブンさんに言わせるとあれでも内心はおろおろしてるらしいけど、全然そんな風には見えない。何と言うか……流れる水みたいな人だ。
……で、何でその子の話をしようと思ったかって言うと、そんなリサさんのイメージを180度変えるような、とある出来事があったからで………
その日はライブラの事務所で飲み会が開かれてた。まあ飲み会っつーか、ちょっと大きな騒動が片付いたからそれの打ち上げ的なやつで、普段あんまりこの手のに顔を出さないリサさんも珍しく参加していた。いつも通り大人しくて最初いたのに気付かなかったけど、皆が談笑してるのを見ながら一人で飲んでいたのを見つけて、僕は何となく彼女の所に行った。
「リサさん、隣いいっすか?」
「……うん」
声をかけるとリサさんはちょっと驚いたみたいだったけど、頷いてくれた。隣に座って彼女が見てた景色を見ると、今日の飲み会に参加してるライブラの皆が見渡せた。
そういえば……執務室で事務仕事する時もリサさんは皆が見渡せる場所にいる気がする。
「特等席っすねここ。みんながよく見えるや」
「……うん」
「リサさんがこの手の参加するって珍しいっすね」
「……スティーブンが、たまにはって、言うから……今回の件は、私も……結構関わったし」
「……こういう場所苦手ですか?」
「……少しだけ。でも、身内しかいないし……嫌じゃない」
いつもよりちょっとだけ多く喋るリサさんが、表情はいつもとそんなに変わらないけどどこか楽しそうにしてるのが見えて、僕も何となく嬉しくなった。こうやって喋る機会も顔を合わせる機会も他の人達と比べると少ないけど、やっぱり同じライブラの仲間だし年も近いから、もう少し気楽に話せたらいいなとは前から思ってた。それが今、実現してる。
そんな感じでリサさんと話してた飲み会は途中から、とあるシルバーシットな度し難いクズ代表の銀猿な先輩のお陰でちょっとした馬鹿騒ぎになってた。
「スティーブンさ~~ん!のんでますか~?」
「!?誰だ結理に酒を飲ませたのは!!?」
「やーっぱそっち行くんすねー」
「またお前かザップ!!」
「いや聞いてくださいよスターフェイズさん!今回はそいつが勝手に間違えて飲んだんすよ!俺止めようとしたんですよ!?」
「いいえ、今回も元凶はこの人です」
「オイコラ魚類!!嘘八百並べんじゃねえよ!!」
「ほぼ事実じゃないですか。ジュースですか?って質問にジュースだって答えたのは貴方でしょう?」
「その後で止めたじゃねえかよ!それをこのつるぺたが聞かねえで飲むから」
「ザップ…!!」
「……酔っ払い首からぶら下げてたら迫力ねえっすよ」
「く…!後で覚えておけよ…!ほらお嬢さん、K.Kが君のこと待ってるぞ?」
「え~…?ほんとですか~?」
あーあ……ザップさんまた凍らされんのか……どうしてあの人いちいちトラブル持ち込まないといらんないかなあ…?
「あー……またやらかしちゃいましたねーザップさん……」
「…………いいな」
「え?」
「うらやましい」
「リサさん?」
「私もああいう風にしたい」
「ちょ……ちょちょちょちょリサさん!!?」
ザップさん主催の騒ぎを一緒に見てたリサさんが、いきなりそう言って抱きついてきた。普段こんなこと絶対しないどころか、自分から誰かに触れるようなことも滅多にしないリサさんにいきなり抱きつかれてすぐに対応が出来なかった。
今気付いたけど、テーブルの上には空の酒瓶がめちゃくちゃ並んでる。あれ?リサさんいつの間にこんなに飲んでた?つか水みたいに飲んでたからジュースかと思ってたら今まで飲んでたの全部酒だった!!?
俺が思い切り騒いじゃったもんだから、近くにいた人達の視線がこっちに向いた。ユーリだけは相変わらずスティーブンさんにくっついてるけど、そのまんまこっちを見て何か見つけたみたいに楽しそうにへらへらしてる。
「レオ君とリサちゃんおにあい~?」
「いやちげえし!」
「まさか……リサまで酔ってるのか?」
「そうみたいっす……」
「今ね?結理ちゃんみたくみんなのこと好きーって素直に言えたらいいなあって、話してたの」
……そんな話をしてた覚えないんですけど!?
って思ったけど口を挟める状況じゃない。他の人達もリサさんを見て驚いた顔をしてて、この手のに真っ先にくいついてからかうザップさんや酔っ払ってるユーリですら大人しくリサさんが喋ってるのを見てる。
「私もね、みんなのこと大好きなの」
俺の腕にしがみついたまま、リサさんは満面の笑顔で語り始めた。
「みんなが私のこと必要としてくれるのも嬉しいし、そうでなくてもみんなのこと好き。クラウスはすっごい強くて優しくてかっこいいでしょ?スティーブンは頭良くてハンサムで戦い方も技もすごい綺麗で、K.Kはママみたいに優しいし話してて楽しいし、ザップはチェインと喧嘩ばっかりしてるのはちょっと嫌だけど、本当は結構優しいの。チェインは美人さんでクールって感じなのに可愛いし、レオ君は優しくてすごい根性あるしツェッド君は真面目で可愛くてでもかっこよくて……ギルベルトさんはいつもさりげなく気を使ってくれてすごいなあって思うし……」
大事な宝物でも見せるみたいにちょっと照れくさそうに、リサさんが一人一人の名前を上げて言うから、聞いてた人達は照れたり複雑そうな顔したり無言で顔真っ赤にしたりと、色んな形で撃ち抜かれてる。
で、当の本人はそんなのお構いなしにみんなを見回してから、何でか(多分一番近くにいたからだと思うけど)俺に懐いたまんまにっこにっこ笑った。
「私、そんなみんながだーい好き!」
多分、この先絶対見らんないんじゃないかってぐらいの、ありきたりな表現だけど太陽みたいな笑顔でそう言い切ってから、リサさんは寝転んだ。
「レオ君ちょっと膝かしてねー?」
「え?ええ!?リサさん!!?」
「うふふ……こうゆうの一回やってみたかったんだー…………ぐう……」
「……おやすみ三秒!!?何それ実在すんの!!?」
当たり前みたいに俺の膝の上で寝始めたリサさんに思わず突っ込みを入れるけど、当然っちゃ当然で答えなんて返ってこなかった。満足そうな顔で寝てるリサさんは当分起きそうにない。
「ちょっと……どうしよう…!!今の録音しとけばよかった…!!リサっちからあんな言葉が聞けるなんて…っ!!!」
「こんな形で彼女の本音が聞けるとは思わなかった……」
リサさんの告白が悪い意味じゃなくて結構な衝撃だったみたいで、K.Kさんとクラウスさんが感動しだした。しかもK.Kさんはチェインさんと一緒になって寝てるリサさんを撮り始める。
「あのー……」
「ああレオっち動いちゃダメよ!リサっちが起きたらどうすんの!」
「ええ……」
どうしようと思ってとりあえず一番この手のをどうにかできそうなスティーブンさんを見たら、幽霊でも見たみたいな顔でリサさんを見てた。ちなみにさっきまでスティーブンさんにひっついてたユーリはいつの間にか床で寝てて、ザップさんが回収していってた。ザップさんが普段しないことしてるのは多分、リサさんに真っ当に褒められたのが恥ずかしくなって、この空間から逃げ出したいからだろう。酒癖が最悪に悪い子をうっかり介抱してやろうって考えたくらいには。
「……こういうリサさんって珍しいんですか?」
「珍しいを通り越して初めてだよ。僕らの前ですらこんなに表情を変えるどころか、長文で喋ることすらほぼないぞ」
「マジですか」
「けどまあ……」
リサさんの寝顔を眺めてたスティーブンさんが、堪え切れなくなったみたいに噴き出した。何考えてるのかよく分かんない時がある人だけど、今日は普通に分かる。
「明日が楽しみだなこりゃ」
ああ、やっぱり……