わんこのいる風景
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迎撃、防御、回避
全てが間に合わないと判断した時、少女が咄嗟に取った行動は側にいた相手を範囲外へ突き飛ばすだった。
「ユーリ!!」
悲鳴のような声が響く中、その場に残された結理は降ってきた液体を頭からかぶる。少女を飲み込んだ液体が地面を濡らした時には、小柄な体は服を残して文字通りに消えていた。
そして……
「……『それ』が結理?」
「はい……」
レオが抱えている『それ』が何なのかを尋ねたスティーブンは、返答を聞いて目を丸くした。同じように話を聞いていたクラウスも、呆然とした様子で『それ』を凝視している。
もこもことした黒い毛並み、ぴんと立つ三角の耳、つぶらな瞳と愛嬌のある顔立ち。
そんな特徴を持つ子犬……になってしまったらしい結理は、今は大人しくレオに抱きあげられていた。
少女をそんな姿にした存在は既に処理済みで、時間を置けば元に戻るらしいのだが、正確にどれだけかかるかは分からないそうだ。最長で三年かかったと得意げに言い切った犯人は、ザップとツェッドに制裁を加えられた後に引き渡されたらしい。
大まかに状況を聞き終えたスティーブンは、うな垂れながら大きなため息をついた。
「……どうしてこうも次から次へと……」
「先週は花吐く病気感染されて死にかけてましたよね」
「その前は鰓呼吸になる呪いをかけられてしばらく僕の水槽に避難していましたね」
「こいつのトラブル引き寄せ体質ほんと何なんすかねー」
「いや今回の原因思い切りザップさんですからね!!」
「貴方が美人局のような詐欺に引っ掛かりかけたから、いらんとばっちりを受けたんじゃないですか。本当なら貴方がこうなって然るべきだったのに…!」
思い切り他人事のように息をつくザップにレオとツェッドが即座に言い返すと、レオの腕の中にいた結理(犬)も同意するように吠えた。それを見たザップは不機嫌そうに顔をしかめて、少女改め子犬の鼻先に指を突き付ける。
「ああ?犬っころの分際でいっちょ前にニンゲン様に抗議か?文句あんならまず言葉覚える所から始めろやケダモノ!」
「……」
そんなザップの指に、結理は遠慮なく噛みついた。
「っ!!?」
「あ、コラユーリ!ばっちいから止めなさい!」
「そんな汚いもの口に入れたらお腹壊しますよ!」
「いでででででで!馬鹿お前食い千切る気か離せ馬鹿!!」
涙目で抗議するザップの指を解放してやってから、子犬はざまあみろと言わんばかりの得意げな様子で鼻を鳴らした。
その表情はやはりと言うべきか、元の結理を彷彿とさせた。