のんでのまれて
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翌日、目を覚ました結理はひどい頭痛に襲われていた。
「……ぅ……何、これ……」
起きるのも億劫でもうしばらく寝ていたかったが、既に昼近くなっていることと、寝ていた場所が自宅のアパートでなくライブラの仮眠室だった為、仕方なしに盛大に顔をしかめて起き上った。
とりあえず水か何かをと思って部屋を出て、執務室の方へ向かう。
「おはよ~ございま~す……」
扉の向こうはいつもの風景とメンバーがあったが、その内の何人かがびくりと肩を震わせた。だが頭痛と戦っている結理は、人数の把握までしかできず彼等の動揺には気付いていない。
「おはようお嬢さん。酷い顔だな」
「あー……はい、すっごい頭痛いんです……何かふらふらするし……すいませんギルベルトさん、お水もらえますか?」
「今お持ちいたします」
「二日酔いだね」
「二日酔い……ですか?」
「覚えてないのかい?」
「……何がですか?」
驚いた様子のスティーブンに問い返してから、結理は昨日の記憶を辿る。昼間に異界生物を違法に使役している組織を壊滅させて、後処理とその他事務処理を終わらせた後、少し遅れて飲み会に参加した。途中までは普段顔を合わせることの少ない構成員と雑談をかわしたり、馴染みのメンバーと騒いでいたが、それから少し後の記憶がぷっつりと途絶えている。
「昨日……あー、ダメです。途中から全然覚えてないです」
「はあ!?てめえあんだけぐはっ!!!」
「ジュースと酒を取り違えて飲んで倒れたんだ。もっとも、その酒を君に渡したのはこの度し難いクズだけれどね」
「いでででで!骨!骨当たってます!うおつめてっ!ちょ、スカーフェイスさん!!凍る!凍るって!!昨夜十分ああああああ!!!」
結理に詰め寄りかけたザップを、チェインが蹴り倒し更にスティーブンが容赦なく踏みつけて遮り、ぐりぐりと踏みにじりながら昨晩起こったことを簡単に説明した。原因を知ったものの、騒ぐザップに文句を言う元気もない結理は納得気に頷いてソファに座った。
「あー成程……何か……お酒半端なく弱いらしくて、知り合いに絶対飲むなって言われてたんですけど、こうゆうことですか……」
「ぜってー違だああああ!何も言ってねえっす!!」
「結理さん、こちらも飲むといいですよ。二日酔いに効きます」
「ありがとうございます…」
「本当に覚えてないのかい?」
「……はい、全く。ジュース飲んで……って、それがお酒だったんですね。とにかくそれ飲んで、頭ふわふわするなあってなってからは何にも」
手渡された水と錠剤を一緒に飲んでから、結理は恐る恐る顔を上げた。
「……もしかしてわたし……何かしました?」
「いいや何も?」
「ああ。何もしていない」
「何もありませんでした」
「何にもなかったよ」
「………」
「ザァーップ、」
「何モナカッタッス」
「酔い潰れてしまっただけですよ」
「……そうですか……」
問いかけに一斉に答えられた結理は、襲いかかる頭痛に耐え切れず頷くようにがっくりとうな垂れた。
end.
2024年8月28日 再掲