日常に至る経緯1
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「……とまあそんな感じで、わたしはライブラの一員になったの」
「はあ……」
話し終わって少し喉が渇いたから、わたしは牛乳の入ったグラスに手を伸ばした。半分ぐらい飲んでから向かいに座ってるレオ君を見ると、レオ君は何とも言えない顔でカップをいじってる。
「でもその後が大変でねえ……実は拒否権なかったって話だったし、何だかんだ言ってもしばらくはがっつり監視されてたし、スティーブンさんには氷漬けにされかけたしエイブラムスさんには血ぃ全部抜かれて標本にされそうになったしザップさんは初対面からSSだし……」
まあ拒否権云々に関しては、ライブラの話を始めた時点で何となく察してたけど。
本当に、この世界に来て一カ月ぐらいは怒涛だった。けど、そのおかげで得られたものもあるし、過ぎちゃえば楽しい思い出だ。何回かぶっ倒れたけど。
「……信じらんない?」
「え?いや、そんなことはないけど、何か思ってたのと違う意味ですごい話だったなあって思って……」
「まあ、血界の眷属と同じオーラを持ってるわたしは何者なのか?っていうのが最初の話だったしねえ……」
それを話すにはここに来た経緯も話そうって思って、芋づる式にすっかり長い昔話になっちゃった。
「ユーリはいつかこの世界から出て行くの?」
「考えてないよ。クラウスさんに拾ってもらった恩もあるけど、そうでなくてもこの街は好きだし、色々あるけどわたしみたいなのには住みやすいから」
実は時々別の世界に行ってるんだけど、それは黙っておこう。どんな経由で誰に知られるか分かったもんじゃないし。魔法で指定すれば出てから五分後ぐらいで戻ってこられるし。
それにレオ君に言ったことも嘘じゃない。少なくともライブラが存続してる限り……って言うよりクラウスさん達がいる限りは、わたしはこの世界に見切りをつけることはない。
このヘルサレムズ・ロットが、ライブラが、今のわたしの居場所で帰る場所だ。
「……さて、長々話しちゃったけどそろそろ戻ろうか……っと、」
牛乳を飲みほして立ち上がったら、同じタイミングでレオ君とわたしの電話が鳴った。待ち受けを見るとスティーブンさんからだ。直接電話ってことは、事件かな?
「結理です。はい。は…?分かりました、すぐ向かいます」
「すぐ行きます」
電話を切るとレオ君も電話が終わったみたいでわたしを見た。かかってきた人は違うけど、内容は多分一緒だ。
「正体不明の異界存在が出たり消えたりしながら暴れてるって」
「うん、俺も同じ連絡が来た」
「じゃ、行こっか。ビビアンごちそうさまー!」
「あいよー」
さて、今日も世界の均衡の為に頑張りますか。
日常に至る経緯1 了
2024年8月18日 再掲