日常に至る経緯11
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今日のヘルサレムズ・ロットは箱が空を飛んでいた。
うん。箱。箱っていうかコンテナ?みたいなサイコロ型の黒い箱が空を飛んでて、いきなり急降下して大きくなったかと思ったら、人やら異界人やら走ってる車やらを飲み込んでる。襲いかかる姿は形こそ違うけどパッ●ンみたいだ。
そんな箱を作ったのはそっちの界隈じゃそれなりに有名な魔術師らしくて、簡単に言うと魔術と工学を組み合わせた術を開発したから、某ゲームに出てくるモンスターを捕まえるボール的な、大きなものもしまえて手軽に持ち運びができる箱を作ってみようとか思ったらしい。
その結果、何故か手当たり次第に人を始めとした動くものを捕まえて閉じ込めるモンスターボックスが完成して、術者の手から離れて暴走しだして現在に至っている。正直、モンスターボ●ルなのかパ●クンなのかはっきりして欲しい。
箱はどこか一面に強い衝撃を与えれば機能を停止するらしいけど、生半可な攻撃じゃ衝撃判定してくれないのと単純に箱の数が結構多くて起動装甲警察隊だけじゃ対処しきれないみたいで、箱の撤去作業というか破壊作業の手伝いに、ライブラは出動した。
というかロクにテストもしないで量産すんなよ…!!今日は霧はいつも通りにあるけどいい天気で絶好の大道芸日和だったのに…!!
まあでも、箱ぶん殴るだけの作業ならいつもの爆弾の雨が降ってくるだの空飛ぶ異界生物が文字通り槍みたいに降ってくるだのに比べたら断然楽だ。箱だって閉じ込める以外にどうこうされる訳じゃないし、気をつけてればただのちょっと硬いサンドバックだ。HL中に箱が飛んで行ってるから行動範囲こそ広いけど、そんなに大変じゃない。
けど、そんな任務中に事件は起きた。
箱と格闘中に、わたしは偶然近くで同じように箱と格闘していたクラウスさんと合流した。どっちかって言えば打撃系の技も多いクラウスさんとわたしとで連携を取りながら順調に箱をぶっ壊してたんだけど、何回目かのインパクトの時に技と箱がぶっ壊れた余波で、わたし達がいた橋が崩れた。
そして、その崩壊の中心にいたクラウスさんが思い切りバランスを崩して下に落ちそうになった。
「!クラウスさん!」
それを見たわたしは咄嗟に血の縄を伸ばしてクラウスさんの腕に絡ませたんだけど、それが大きな間違いだった。
人外と吸血鬼要素のおかげで見た目よりは腕力があるとはいえ小柄で体重の軽いわたしが、身長2メートルオーバーでそれに見合ったというか鍛えてる分それ以上の体重があるクラウスさんを引っ張り上げようとしたらどうなるかなんて、誰が考えたって分かる。
「っうわっ!!」
体重差+重力のおかげもあって、わたしは一瞬のこう着もなく思い切り逆一本釣りにされて、クラウスさんと一緒に落ちた。
そしてそういう時に限って運命のいたずら的なのが発動するのがこのヘルサレムズ・ロットで……
「っ!!?」
落下した先で待ち構えていたモンスターボックスに、わたし達は仲良く閉じ込められた。