日常に至る経緯3
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「斗流血法」
ジッポを握った手から血があふれだして、形を作っていく。その間に海苔もどきは、うぞうぞ動きながら四足の動物みたいな姿になった。
「刃身の壱――焔丸」
そうしてできあがったのは、赤い刀身の刀だった。おお、かっこいい…!!これがザップさんの技か…!
明らかな武器が出てきたことで、海苔もどきは狙いをザップさん中心に向けた。背中辺りからさっきわたしを捕まえた触手みたいなのを出して、鞭みたいに振る。
「大蛇薙!」
「『血術―ブラッド・クラフト―』……『爪―クロウ―』!!」
飛んできた触手をザップさんとわたしで切り刻むけど、切り離された海苔もどきは地面に落ちてうぞうぞ動くと、本体に戻っていく。再生力が強いって言うより、スライムみたいに全部が本体でいくらでも切り離せるって感じなんだろう。これはキリがない…!
「ちぃ…!新入り!とりあえず飼い主捕まえとけ!!」
「了解です!」
ザップさんの指示でわたしはローブの奴の方に向き直る。
「とゆうわけで大人しくしてください」
「簡単に言うねえ!」
何でか楽しそうに言うと、ローブの奴のローブ(って何かややこしい)がばさりと広がって、中から骨の鞭みたいなのが勢い良く伸びてきた。わたしはそれを避けて接近しながら術を紡ぐ。
「『血術』……『鞭―バインド―』!」
赤い鞭で縛り上げようとしたけど、ローブの奴はそれを避けてわたしの頭上を飛び越えた。どこに行くのか体ごと向き直りながら目で追うと、ローブを脱ぎ棄てて骨の塊みたいな姿を見せたそいつはザップさんと格闘してた海苔もどきの上に着地して、ずぶずぶと中に入っていった。
「君達ちょっと手強いみたいだからね。思い切りやらせてもらうよ?」
そうして出来あがったのは、ぶっちゃけ海苔の塊に骨格がついただけの見た目なんだけど、元ローブの奴の言葉を信じるならさっきより手強いんだろう。
……って、思ったんだけど、さっきからもしかしてって思ってたことがあるので、わたしはそれを実行することにした。
「『炎術』!」
「うぎゃああああああっ!!?」
骨付き海苔に向かって炎を放ったら、案の定ギリギリで火を避けて目茶目茶ビビった。もう海苔もどきが飛んでいきそうなぐらいの勢いでビビった。ザップさんもびっくりしてるけどまあほっとこう。
「い、い、いきなり何すんだよ!?」
「うわ、まさかと思ったら本当に火に弱いんだ」
部屋がやけに暗いしもう見た目からして光とか熱に弱そうな雰囲気があったから試してみたけど、ここまでビビられるとは思わなかった。
「ぐうぅぅ……!でも!見破った所で君等が食材であることに変わりはない!その程度の火で僕に……いや僕達に届くかな!?」
「アホかてめえ」
結構焦った感じになってきた骨付き海苔に、ザップさんがもんのすごい凶悪な笑顔を見せた。いつの間にか赤い刀身は糸に変わっていて、骨付き海苔を囲んでいる。
「要はまとめて燃やしゃいいんだろ?」
そう言ってザップさんはジッポを開けて、火をつける。それを火種に、導火線みたく赤い糸が一気に燃え上がった。
「――七獄」
いつもだったら鮮やかな炎とそれを発動する手腕というか手際というかが、綺麗だなあとかかっこいい!とか思ってただろうけど、残念ながらそんなのんきな状況じゃなかった。
ここでちょっとおさらいしておきたいんだけど、わたし達が今いるのは地下室と思われる部屋で、天窓の位置が部屋の端っこだとすると、天井は地下にしては高くて広さは多分、二十畳ぐらい……かな?もうちょっと狭いかもしれない。
骨異人はローブを着た状態で身長だけならわたしの二倍ぐらいあって、海苔もどきがついた状態だとわたしとザップさんの二人をすっぽり覆ってもまだ余裕があるぐらいの大きさになる。
さて、そんな大きさの奴をほぼ密閉空間の室内で遠慮なく燃やしたら、同じ室内にいるわたしとザップさんはどうなるでしょうか?
「『血術』…!」
その結論が出る前にわたしは動いていた。
「『壁―ウォール―』!!と、『氷術』!!」