異界都市日記13
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「所で~ユーリってさ~ライブラじゃ~ん?」
その言葉は、いつものように唐突に現れて連行された喫茶店で、延々と続いていた恋の話が一段落した所で投げられた。拒否権もなく死んだ魚のような目で適当に相槌を打っていた結理は、自分に向けられた問いに怪訝そうな様子で顔を上げる。
「……今更何ですか?」
「ライブラってことは~アタシよりブローディ&ハマーに会うチャンスありありじゃ~ん?」
「まあ、そうですね……って……ちょ、ちょっと待ってください!」
続きそうな言葉に嫌な予感を感じた結理は即座に相手の、いつの間にか茶飲み友達になりつつある偏執王アリギュラの言葉を遮って立ち上がった。声の大きさと音を立てて立ち上がったことで周囲の視線が集まってしまったことに気付き、慌てて静かに座り直してから声を潜めて続けた。
「脱獄の手引きなんてしませんよ!?絶対!何があっても!」
「そんなの頼む訳ないじゃ~ん!アタシの大事なもんは~アタシ自身の力だけで~取り戻さなきゃ意味ないでしょ~!?違うお願い~!」
「お願い……ですか?」
恐る恐る尋ねてみると、アリギュラはにんまりと笑う。その笑顔に嫌な予感しかしないのだが、彼女が言葉にした通り少なくとも『宝物』の奪還の手伝いをさせられるということではなさそうなので、ひとまず話を聞いてみることにした。
「ブローディ&ハマーは取り戻したいんだけど~それでもたま~に~たま~~にだよ~?ちょこ~~っとだけモチベーションが下がっちゃう時があるんだ~そんな時に~好きな人の生写真とかあったら~元気になると思わない~?」
「……いや、写真ならいっぱい持ってるじゃないですか」
「最新のがほし~の~~!!」
「つまりわたしにブローディ&ハマーの写真を撮って来いと」
「そ~ゆ~こと~」
「……自分で撮ればいいじゃないですか。アリギュラさんならできるでしょう?」
「ユーリじゃなきゃ撮れないアングルあるでしょ~?」
「…………」
お願いの内容を聞いた結理は、渋い顔で数秒黙った。そんな少女を、アリギュラはいつもと変わらない楽しげな笑顔で眺めている。
「……正直、難しいです。わたし達でも面会は制限されてますし、ましてや写真撮るなんて監視がキツくて無理ですよ」
「ユーリならって思ったんだけどな~」
「まあ……写真ぐらいならわたしも聞いてあげたいですけど、これはどうにも……」
「じゃあ~ちょ~っとめんどくさいけど~フェムトに「全力で努力させてもらいますんで時間を下さい」よろしく~」