異界都市日記8
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「よおし、撤収だ」
タコ足に握り潰された航空機がビルに突っ込み、更にそのビルが倒壊寸前まで破壊されるという事態を受けて、数種類のサイレンが響き渡っていた。血界の眷属を密封したライブラの面々は、警察が到着する前に撤収作業を急ぐ。
「各自散開しポリスを撹乱した後「執務室」に集合。ザップ、お前はお師さん達をお連れしてくれ」
「ええっ!?」
「……あ、だったらわたしが」
「良い。儂はもう去る」
「――みたいすよ?」
「そうですか?十分なおもてなしも出来ず申し訳ありません」
「気にするな。端から期待はしておらん。だが貴様らは対“血界の眷属”戦において塵芥程度の見所がある。合格じゃ」
「…は」
「こいつを任せたぞ」
「え?」
「ではな」
「へ!?」
一方的に言い切って、汁外衛は最初から居なかったかのようにその場から消えた。残されたシナトベの使い手は、師が消えた場所を凝視して数秒固まってから、メンバーの方を見て更に数秒固まった。
「……えーっと……ここに残るって話は、前々から?」
「…聞いて、ないです」
沈黙に耐え切れずに結理が尋ねると、彼は愕然とした表情でどうにか答えた直後、元々青い顔を更に青くしてばったりとその場に引っ繰り返った。
「わあああ!?し、しっかり!!」
「マジかコイツ!」
「…過労とショックのダブルパンチだな。お気の毒に…」
こうして、ライブラに新たな仲間が加わった。
「ツェッド……ツェッド・オブライエン」
「何て言うか……昨日はお疲れ様」
「はあ…ありがとうございます。えっと……」
「結理。一之瀬結理。よろしくね?ツェッド君」
「……はい」
異界都市日記8 了
2024年8月11日 再掲