異界都市日記4
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本日はライブラ事務所にて飲み会が行われていた。普段は人が少なく静かなことの多い事務所内も賑わい、顔を合わせることの少ない構成員達は近況話に花を咲かせている。
開始からやや遅れて事務所に到着した結理は、軽い足取りで駆けて会場の扉を開いた。中を軽く見回して、知った顔を見つけると表情をぱっと輝かせる。
「K.Kさん!」
「ん?あらユーリっちじゃなーい久しぶりー!」
「うわわ……お久しぶりですー!」
自分を呼んだ相手に気付くと、K.Kも結理に負けない程表情を輝かせ、駆け寄ってきた少女を遠慮なく抱きしめた。結理は勢いに驚きながらもすぐに破顔する。
顔を合わせる頻度に波があるものの、K.Kは結理を娘のようによく気にかけ、可愛がっていた。結理もそんなK.Kによく懐いていて、姉のように母のように慕っているので、少し過剰なスキンシップも何でもなく受け入れる。
「元気にしてた?貧血で倒れたりしてない?」
「……はい」
「間があったわね…?ちょっとスカーフェイス!ユーリっちのこと働かせすぎじゃないの!?」
「そ、そんなことないですよ!わたしが勝手にドジってるだけで!」
「もー……相変わらず無鉄砲治ってないのね…!」
「……ぅ……気をつけてはいるんですけど……」
「ユーリはデキる子なんだから、そんな思いっ切り突っ走んなくても大丈夫よ」
「……はい、ありがとうございますK.Kさん」
「うわあ!姐さん!!」
K.Kの言葉にはにかみながら結理が頷いていると、出入り口のドアが開いた。
見るとザップが入ってきた所で、K.Kの姿を見つけるなり盛大に肩を跳ねさせる。
「…珍しいすね!!」
「ヒドイ!!ザップっち!!アタシが飲み会に来るのがそんなに邪魔なの!?差別よ!!」
腰が引けている状態のザップの言葉に反応したK.Kは、抱きしめたままだった結理から離れると今度はターゲットをザップに変更する。
「クラッちにやってる挨拶がわりのぶっ殺し合いも無いし!!」
「いや、それすっと姐さん手加減ゼロのマジ殺しじゃないすか…」
(……あれ?K.Kさんもしかして酔ってる?)
やり取りを眺めながら結理が内心で首を傾げている間にも、K.Kはザップに絡み続ける。ちなみに、絡まれてたじたじになるザップという珍しい光景は見ていて面白いので、止める気は全くない。
「あ、出た慣れ合い。男同士の慣れ合いって超やだ。アタシ蚊帳の外だから」
「ちょっとー…カンベンしてくださいよ~…」
むっと顔をしかめながらも離してくれないK.Kに困りながら、ザップは何とか逃げようと試みる。横暴な振る舞いが多いザップだが上下関係は案外きちんとしていて、相手がK.Kであることも相まってこういった時は強い態度には出られない。
そんな様子を眺めているクラウスとスティーブンが和やかに笑っていると、目ざとく見つけたK.Kがスティーブンに強い視線を飛ばす。
「あっはっはじゃないっつの。アンタが笑うのは許可してないわよスカーフェイス」
「ええ~…」
次の矛先を向けられたスティーブンは困ったように苦笑を漏らすが、K.Kは構わず詰め寄る。
「腹黒いわー腹黒いわー、あんたホント信用できない」
「おいおいK.K、今日は絡み酒かい?」
苦笑しながらも返すスティーブンにもう一言二言言ってやろうと口を開きかけたK.Kだったが、こちらに向けられた視線に気付いた。ソファにちょこんと腰かけたチェインが少しだけ困ったように、何か言いたげにこちらを見ている。視線の意味に気付いたK.Kは、仕方なしにそれ以上言うのを止めた。
「やーめた。何か私悪者みたい。ユーリっちー!飲んでるー?」
「お酒飲めないんでジュースだけでーす!」
「こうゆう時は雰囲気が重要よ!水でもお茶でも飲んでればオッケー!」
「はーい!」
再び戻ってきたK.Kに、結理は元気に返して持っていたグラスを掲げた。