幕間:秘密の任務とお茶会の後で
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「アタシはユーリのこと愛してるよ~」
「っ!!?」
偏執王アリギュラにそう言われた時、結理は何と返していいか分からなかった。彼女の『宝物』の次にと付け加えられたものの、その言葉にからかいや口先だけの表情は無く、本心から放られた言葉であったことが余計に戸惑いを生んだ。
結局返せたのは、何故かお礼という自分でも間抜けだと思う言葉だけだった。
「またね~ユーリ~!」
「……はあ……」
いつものようににこにこ笑いながら手を振って去っていく偏執王を見送ってから、結理は疲れ切ったため息をついた。実の所不定期に唐突に現れて始まる『茶会』やそれを始める本人には慣れてきているし、ただ会話をしているだけならば大抵の場合は無害なので結理自身少し楽しんでいる節もあるが、戸惑いが無くなった訳ではない。
最大の疑問は、人智を超えた能力を持ち、血界の眷属に匹敵するあるいはそのものなのではと囁かれている怪人達、ヘルサレムズ・ロットを代表する厄介者の『13王』が、何故こうも自分にちょっかいをかけにくるのかということだった。
流石に自分が平平凡凡な人間だとは結理も思っていない。出自から何から色々特殊で、到底普通でない自覚はある。だがそれを差し引いても、稀代の怪人達が気にかける程の存在ではないはずだ。少なくとも、この異界都市が存在する世界の基準で見ればの話だが。
(何なんだろう……たまに訳分かんないのに目ぇつけられたりもするし、何かそういうオーラとか出てんのかな…?)
今度レオに『視て』もらおうかと思った所で、横に車が停まって軽くクラクションを鳴らされた。見るとそこには見知った顔があった。
「あ、スティーブンさん!お疲れ様です」
「お疲れお嬢さん。事務所まで行くんだが乗っていくかい?」
「やったー乗ってきます!ありがとうございますスティーブンさん!」
丁度結理も事務所に顔を出そうと思っていたので、即答しながらうきうきと助手席に乗り込んだ。