夢を見た。ロトゼタシアの大地が崩壊し、私が魔王ウルノーガの司令として、魔物たちを束ね、指揮を執っていた。それを、グレイグや勇者たちに阻止される夢。
そして、魔物化した私をグレイグが討った時に目が覚めた。
『・・・ここ・・は？』
金髪の男は意識が朦朧とし、重い体を腕で支えながら辺りを見回していた。暗い牢獄の中に置かれていた古いベットに寝かされていた。
(・・・ここは、デルカダール城の地下牢か。・・・なぜ私はこんな所に？)
自分は、命の大樹で勇者から剣を奪おうとした。だが、勇者の持っていた不気味な大剣の力で敗れた。そして、助けを求めたデルカダール王・・・いいや、魔王ウルノーガ様に用済みにされ、命を落としたはず・・・。
ホメロスが思い悩んでいると、薄紫色の髪の大柄な男が、牢屋の中に入ってきた。
『目を覚ましたか・・・ホメロス。』
グレイグは冷たい眼差しをホメロスに向けた。
「・・・グレイグか。俺を笑いに来たのか？それとも・・・俺を殺しに来たのか？」
ホメロスの気迫を感じさせない言葉にグレイグは冷静に語りかけた。
「・・・俺はお前と正面から話がしたかった。それは、勇者の子、レブンも望んでいたようだ。」