ロンリー*アルカディア
「アニマさんアニマさん!今日は何日っすか!」
「7月7日…星祭りの日ですね。」
「そうっす!俺の住んでたとこだと七夕って言うんすけどね!んで、んで、実は七夕をこの異空間でもやりたいんすけど!」
目をキラキラと輝かせながら話すレツを見ながら、アニマは少し顔を曇らせた。
星祭り……年に一度7月7日に行われる彼の地元のまつり。願いを書いた紙が結ばれた鮮やかなカンテラを、村一の巨木に飾り付ける。そして皆でその木の下で歌ったり踊ったりして一夜を明かす。
20何年前、幼き日のアニマもその祭りに参加し願い事を書いた。が、その願いは最悪の形で叶えられた。だからその時から彼はこの日をあまり好いていなかった。
「……?どうしたんすか?アニマさん。」
呼びかける声でふと意識を戻すと、そこには顔を曇らせたアニマを心配そうに見つめるレツがいた。彼に心配をかけてしまったなと少し申し訳なく思いつつ、アニマは「大丈夫ですよ。すいません。」とレツに微笑みかけた。
「そっすかぁ……?」
「えぇ。……では、レツが要望するのですから、やってみましょうかね。」
納得のいかない顔で首を傾げるレツに頷いたあと、最初の話に戻る。にっこり笑って指でOKマークを作ると、レツは嬉しそうに顔を綻ばせて「ありがとうございます!」と大きくお辞儀をし、実はもう準備してきちゃってたんすよ〜!なんて言いながら奥から大きな笹の枝と短冊状の色紙を持ってきた。
「色紙……?」
「そっすよ!俺のところ…というか俺のいた世界では、短冊に願い事を書いて笹の葉に結びつけるんす!」
ほらほら、とレツはアニマに短冊とペンを渡し、他の人にも配ってくるっす〜!と扉の向こうへと消えてしまった。
そんな様子を見てアニマは眉を八の字にして微笑んだ後、さて…と手に持っている短冊を見て困ったように頬をかいた。
その笹は入口前の広間に設置された。洋風な造りのこの屋敷に笹は少し場違いな気もするが、レツが嬉しそうなのでアニマはなにも言わないことにした。
ほかのメンバー…むに、くろめ、ピーター、ライサー、そしてコアはもう既に書き終えたらしく笹の枝に短冊が結びつけてあった。
「願い事を少しだけ覗いてしまいましょう……なになに…
『世界中の人を助けたい。』
心優しいむにくんらしいですね…。
『むにが…ハルが幸せでいられますように。』
やっぱり、くろめくんはむにくんの事が本当に大切なんですね。
『バカライサーがまともになりますように『ちょっと、僕は充分まともだよ?!』うるさいライサー。』
ふふふ…2人は短冊の中でも仲良しですね。
『ボクにも恋人が出来ますように。』
…また屋敷に人を呼ぶことになりそうですね。」
それぞれの個性が際立つ願いにアニマは読みながらクスリと小さく笑うと同時に、レツの願いはどんなものだろうなと気になった。
「彼ならなんて書くでしょうね…」
「俺はこう書きましたよ!」
独り言を呟きながら考えていると、いつの間にか近づいていたレツが覗き込んできた。アニマは少し驚いたように目を開いてから、「どんなものを書いたのですか?」と尋ねた。
「えっと…!俺はですね。『アニマさんとずっと一緒に居られますよーに!』って書きました!」
ニシシ。
面食らったよう固まるアニマを見て、レツは恥ずかしそうに頬を薄く染めながら歯を見せて笑った。
「私と……残りの人生を共にしてくれるのですか?」
「今世だけじゃないっすよ!来世もその先もずーっと一緒です!生まれ変わってもアニマさんと一緒にいたいです!だって……大好きだから!」
レツは照れ隠しのようにその場から離れ、くるくると飛び跳ねた。アニマは愛おしさからクスクスと小さく笑い、その様子を見ていた。
そして恥ずかしそうに笑っているレツを抱きしめた。
「うっえぇ?!?アッアニマさん?!?」
レツはわかりやすいくらいに動揺した顔でアニマを見つめた。
「ありがとうございます。レツ。私も、貴方と今世だけでなく、来世も…その先も…2人で生きていきたいです。」
-それに、あなたのおかげで今日という日が塗り替えられました。
レツを見て微笑む。レツは一瞬キョトンとしていたが、直ぐに満面の笑みになってコクコクと大きく頷いた。
「アニマさん、大好きっすよ!」
「私も、貴方を愛しています。」
そうして2人は互いの唇を優しく重ねた。
-7月7日。この日は私にとって願うことの無意味さを理解させられた日だった。だけどレツ、あなたのおかげでこの日は素敵な思い出の日に変わりました。ありがとう。そしてこれからも、よろしくお願いします。
『レツと2人でこの先もずっと生きていけますように。』
「7月7日…星祭りの日ですね。」
「そうっす!俺の住んでたとこだと七夕って言うんすけどね!んで、んで、実は七夕をこの異空間でもやりたいんすけど!」
目をキラキラと輝かせながら話すレツを見ながら、アニマは少し顔を曇らせた。
星祭り……年に一度7月7日に行われる彼の地元のまつり。願いを書いた紙が結ばれた鮮やかなカンテラを、村一の巨木に飾り付ける。そして皆でその木の下で歌ったり踊ったりして一夜を明かす。
20何年前、幼き日のアニマもその祭りに参加し願い事を書いた。が、その願いは最悪の形で叶えられた。だからその時から彼はこの日をあまり好いていなかった。
「……?どうしたんすか?アニマさん。」
呼びかける声でふと意識を戻すと、そこには顔を曇らせたアニマを心配そうに見つめるレツがいた。彼に心配をかけてしまったなと少し申し訳なく思いつつ、アニマは「大丈夫ですよ。すいません。」とレツに微笑みかけた。
「そっすかぁ……?」
「えぇ。……では、レツが要望するのですから、やってみましょうかね。」
納得のいかない顔で首を傾げるレツに頷いたあと、最初の話に戻る。にっこり笑って指でOKマークを作ると、レツは嬉しそうに顔を綻ばせて「ありがとうございます!」と大きくお辞儀をし、実はもう準備してきちゃってたんすよ〜!なんて言いながら奥から大きな笹の枝と短冊状の色紙を持ってきた。
「色紙……?」
「そっすよ!俺のところ…というか俺のいた世界では、短冊に願い事を書いて笹の葉に結びつけるんす!」
ほらほら、とレツはアニマに短冊とペンを渡し、他の人にも配ってくるっす〜!と扉の向こうへと消えてしまった。
そんな様子を見てアニマは眉を八の字にして微笑んだ後、さて…と手に持っている短冊を見て困ったように頬をかいた。
その笹は入口前の広間に設置された。洋風な造りのこの屋敷に笹は少し場違いな気もするが、レツが嬉しそうなのでアニマはなにも言わないことにした。
ほかのメンバー…むに、くろめ、ピーター、ライサー、そしてコアはもう既に書き終えたらしく笹の枝に短冊が結びつけてあった。
「願い事を少しだけ覗いてしまいましょう……なになに…
『世界中の人を助けたい。』
心優しいむにくんらしいですね…。
『むにが…ハルが幸せでいられますように。』
やっぱり、くろめくんはむにくんの事が本当に大切なんですね。
『バカライサーがまともになりますように『ちょっと、僕は充分まともだよ?!』うるさいライサー。』
ふふふ…2人は短冊の中でも仲良しですね。
『ボクにも恋人が出来ますように。』
…また屋敷に人を呼ぶことになりそうですね。」
それぞれの個性が際立つ願いにアニマは読みながらクスリと小さく笑うと同時に、レツの願いはどんなものだろうなと気になった。
「彼ならなんて書くでしょうね…」
「俺はこう書きましたよ!」
独り言を呟きながら考えていると、いつの間にか近づいていたレツが覗き込んできた。アニマは少し驚いたように目を開いてから、「どんなものを書いたのですか?」と尋ねた。
「えっと…!俺はですね。『アニマさんとずっと一緒に居られますよーに!』って書きました!」
ニシシ。
面食らったよう固まるアニマを見て、レツは恥ずかしそうに頬を薄く染めながら歯を見せて笑った。
「私と……残りの人生を共にしてくれるのですか?」
「今世だけじゃないっすよ!来世もその先もずーっと一緒です!生まれ変わってもアニマさんと一緒にいたいです!だって……大好きだから!」
レツは照れ隠しのようにその場から離れ、くるくると飛び跳ねた。アニマは愛おしさからクスクスと小さく笑い、その様子を見ていた。
そして恥ずかしそうに笑っているレツを抱きしめた。
「うっえぇ?!?アッアニマさん?!?」
レツはわかりやすいくらいに動揺した顔でアニマを見つめた。
「ありがとうございます。レツ。私も、貴方と今世だけでなく、来世も…その先も…2人で生きていきたいです。」
-それに、あなたのおかげで今日という日が塗り替えられました。
レツを見て微笑む。レツは一瞬キョトンとしていたが、直ぐに満面の笑みになってコクコクと大きく頷いた。
「アニマさん、大好きっすよ!」
「私も、貴方を愛しています。」
そうして2人は互いの唇を優しく重ねた。
-7月7日。この日は私にとって願うことの無意味さを理解させられた日だった。だけどレツ、あなたのおかげでこの日は素敵な思い出の日に変わりました。ありがとう。そしてこれからも、よろしくお願いします。
『レツと2人でこの先もずっと生きていけますように。』
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