restarrt! 番外編
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少し冷えを感じて目が覚めた。見慣れない景色に徐々に意識が冴えていく。
「どこ…ここ…」
視線を左右にやる。真っ白で無機質な部屋だ。その中で同じく床に倒れた水色のツンツンヘアーが映えて目を見張る。
「カミュ!!ねえ起きて…!」
「ん……アカリ…?」
「よかった、気がついて」
寝起き特有の低い声に、普段なら心臓が鳴っただろう。しかしそんな余裕はなかった。カミュはぼーっとしたのも束の間、事態を把握したのか見回しながら言葉を交わす。
「なんだここは?」
「わからない。起きたらここにいたの」
「イレブンたちもいねぇな…。なぁ、オレたちがここにくる前って何してたか覚えてるか?」
「たしか……、あれ…?なんだっけ」
ここに至るまでの記憶がない。自分だけでなくカミュもだということが不安を加速させた。
考えても仕方がないと思ったのか、カミュは部屋の中を歩き始める。私も続けて見渡すと、視界に違和感をみつけた。部屋の隅に床と同じ白い紙が落ちていたので手を伸ばす。折りたたまれていることから、何かヒントが書いてあるかもしれない。希望を持って開いた、しかし。
「な…っ!」
思わず勢いよく閉じた。
――なんて趣味の悪いイタズラなの…!?
なにかの間違いだと信じてまた開こうとした途端、ガチャガチャと音がして肩が跳ねた。音のほうをみると殺風景な部屋の中に、白色のドアがある。カミュがドアノブを押し引きしているが鍵がかかっているようで開かない。
私が駆け寄ると「ちょっと離れてろ」と言い、ドアに蹴りを放った。
「チッ、ビクともしねえ」
「…やっぱり閉じ込められたんだ」
「みたいだな。ピッキングできそうなものもねえしどうするかな」
「ね、私も持ち物全部没収されたみたい」
カミュは手をぶらぶらさせて言った。いつも腰に差している愛用の短剣も、魔物から盗んだ道具も何一つないようだ。私も短剣や弓、薬草すらどこにもない。信じられずにポケットを漁り続けた。すると期待に答えるようにひらりと物が落ちる。慌ててすかさずにそれを拾うが時は既に遅し。
「なんだ、それ?」
「え?――買い物メモ?」
「おい、目が泳いでるぞ。もしかしてさっき拾ったやつか?」
「あ〜…、はは。でも意味ないものだったよ」
「みせてくれ」
「いやだ」
「はあ?」
誤魔化しきれない自分を呪いたい。咄嗟にポケットに戻そうとするもカミュに腕を掴まれる。
「まって!いいこと書いてないから!」
「そんなに言われたら気になるだろ」
「でもおすすめしない…!痛っ」
「っわりい…!………あっイレブン!」
「え!…あぁ!!」
一旦離してくれたのに嵌められてまんまと盗られてしまった。彼はにやりと笑い、必死に取り返そうとする私を簡単にあしらう。こちらの気も知らず、器用に片手で紙を開いた。
「えー、なになに…。……は?」
――キスをかわせば鍵が開く――
脳内で終了のお知らせが鳴った。とうとう読まれてしまい、気まずい空気が流れる。
しばらくしてからカミュはすました顔で私のほうをみた。
「恥ずかしいから、みせたくなかったのか?」
「そりゃあ、そうでしょう…。嘘かもしれないし。カミュは慣れてるんですかね」
「別に慣れてるわけじゃねえけど」
「そう」
「……でも他に手がかりもなさそうじゃねえか?このままずっと閉じ込められてるのもどうかと思うぜ」
カミュはばつが悪そうに頭をかく。その発言に心臓が脈をうった。
まさかそんな。いくら気になる人とはいえ、こんな形でするとかラッキーだけどアンラッキーというか。カミュは嫌かな。割り切れるタイプなのかな。なんて乙女みたいな思考に塗りつぶされる。
「カミュは私としていいの?」
「…お前以外にいないだろ?」
「そうだけど…!」
「もしかして初めてか?」
「いやしたことはあるよ。あるけど、そういう問題じゃ、」
続けようとした言葉は飲み込まれた。
視界を奪う端正な顔に、一瞬理解が遅れてしまう。
唇に感じるたしかな熱。半分みえ始めるきれいな宝石に、反射的に目を閉じた。
緊張で息を止めていると、少し離れたらしい彼は笑う。
「ハハ、ガチガチじゃねえか」
「きっ急にするから…!心の準備が!」
「あー、なんかムカついたから」
「なんで!?」
「さあな」
石化してた私によくわからない発言をするカミュ。よかった、熱はひかないけど普通に会話ができている。話しているとガチャリといい音が響いた。
「これで開いたんじゃないか?」
「ありがとう」
「顔真っ赤だな」
「言わないでよ…。そういうカミュは余裕だね」
「そうみえるか?」
出口に向かう途中で振り返った。よくみると、耳が赤いような。
「…もし他のヤツと入ってたら、手とか髪でテキトーにすませてる」
「え」
「はい開いた。はやくみんなを探そうぜ」
今度は優しく手を引かれる。手元をみて、さっき頬に触れたグローブだと認識してしまい更に火照ってしまう。
――そういえば、口にしろとかは書いてなかった。
今日もカミュに振り回されている。
けど、これはこれで嬉しいのは惚れた弱みなんだろうな、きっと。
「どこ…ここ…」
視線を左右にやる。真っ白で無機質な部屋だ。その中で同じく床に倒れた水色のツンツンヘアーが映えて目を見張る。
「カミュ!!ねえ起きて…!」
「ん……アカリ…?」
「よかった、気がついて」
寝起き特有の低い声に、普段なら心臓が鳴っただろう。しかしそんな余裕はなかった。カミュはぼーっとしたのも束の間、事態を把握したのか見回しながら言葉を交わす。
「なんだここは?」
「わからない。起きたらここにいたの」
「イレブンたちもいねぇな…。なぁ、オレたちがここにくる前って何してたか覚えてるか?」
「たしか……、あれ…?なんだっけ」
ここに至るまでの記憶がない。自分だけでなくカミュもだということが不安を加速させた。
考えても仕方がないと思ったのか、カミュは部屋の中を歩き始める。私も続けて見渡すと、視界に違和感をみつけた。部屋の隅に床と同じ白い紙が落ちていたので手を伸ばす。折りたたまれていることから、何かヒントが書いてあるかもしれない。希望を持って開いた、しかし。
「な…っ!」
思わず勢いよく閉じた。
――なんて趣味の悪いイタズラなの…!?
なにかの間違いだと信じてまた開こうとした途端、ガチャガチャと音がして肩が跳ねた。音のほうをみると殺風景な部屋の中に、白色のドアがある。カミュがドアノブを押し引きしているが鍵がかかっているようで開かない。
私が駆け寄ると「ちょっと離れてろ」と言い、ドアに蹴りを放った。
「チッ、ビクともしねえ」
「…やっぱり閉じ込められたんだ」
「みたいだな。ピッキングできそうなものもねえしどうするかな」
「ね、私も持ち物全部没収されたみたい」
カミュは手をぶらぶらさせて言った。いつも腰に差している愛用の短剣も、魔物から盗んだ道具も何一つないようだ。私も短剣や弓、薬草すらどこにもない。信じられずにポケットを漁り続けた。すると期待に答えるようにひらりと物が落ちる。慌ててすかさずにそれを拾うが時は既に遅し。
「なんだ、それ?」
「え?――買い物メモ?」
「おい、目が泳いでるぞ。もしかしてさっき拾ったやつか?」
「あ〜…、はは。でも意味ないものだったよ」
「みせてくれ」
「いやだ」
「はあ?」
誤魔化しきれない自分を呪いたい。咄嗟にポケットに戻そうとするもカミュに腕を掴まれる。
「まって!いいこと書いてないから!」
「そんなに言われたら気になるだろ」
「でもおすすめしない…!痛っ」
「っわりい…!………あっイレブン!」
「え!…あぁ!!」
一旦離してくれたのに嵌められてまんまと盗られてしまった。彼はにやりと笑い、必死に取り返そうとする私を簡単にあしらう。こちらの気も知らず、器用に片手で紙を開いた。
「えー、なになに…。……は?」
――キスをかわせば鍵が開く――
脳内で終了のお知らせが鳴った。とうとう読まれてしまい、気まずい空気が流れる。
しばらくしてからカミュはすました顔で私のほうをみた。
「恥ずかしいから、みせたくなかったのか?」
「そりゃあ、そうでしょう…。嘘かもしれないし。カミュは慣れてるんですかね」
「別に慣れてるわけじゃねえけど」
「そう」
「……でも他に手がかりもなさそうじゃねえか?このままずっと閉じ込められてるのもどうかと思うぜ」
カミュはばつが悪そうに頭をかく。その発言に心臓が脈をうった。
まさかそんな。いくら気になる人とはいえ、こんな形でするとかラッキーだけどアンラッキーというか。カミュは嫌かな。割り切れるタイプなのかな。なんて乙女みたいな思考に塗りつぶされる。
「カミュは私としていいの?」
「…お前以外にいないだろ?」
「そうだけど…!」
「もしかして初めてか?」
「いやしたことはあるよ。あるけど、そういう問題じゃ、」
続けようとした言葉は飲み込まれた。
視界を奪う端正な顔に、一瞬理解が遅れてしまう。
唇に感じるたしかな熱。半分みえ始めるきれいな宝石に、反射的に目を閉じた。
緊張で息を止めていると、少し離れたらしい彼は笑う。
「ハハ、ガチガチじゃねえか」
「きっ急にするから…!心の準備が!」
「あー、なんかムカついたから」
「なんで!?」
「さあな」
石化してた私によくわからない発言をするカミュ。よかった、熱はひかないけど普通に会話ができている。話しているとガチャリといい音が響いた。
「これで開いたんじゃないか?」
「ありがとう」
「顔真っ赤だな」
「言わないでよ…。そういうカミュは余裕だね」
「そうみえるか?」
出口に向かう途中で振り返った。よくみると、耳が赤いような。
「…もし他のヤツと入ってたら、手とか髪でテキトーにすませてる」
「え」
「はい開いた。はやくみんなを探そうぜ」
今度は優しく手を引かれる。手元をみて、さっき頬に触れたグローブだと認識してしまい更に火照ってしまう。
――そういえば、口にしろとかは書いてなかった。
今日もカミュに振り回されている。
けど、これはこれで嬉しいのは惚れた弱みなんだろうな、きっと。
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