DQはカタカナの名前変換のみで楽しめます
restarrt! 異変後
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ぱちり。
丁度宿屋に入ってきたイレブンと目が合った。後ろからカミュがみえる。
「話しはもう大丈夫なの?」
「うん。じゃあ僕は仮眠をとるから。みんな6時間後に出発ね」
おやすみ、と先ほどまで着ていたであろう分厚い上着を私に預けて去るイレブン。有無を言わさずそれはもうにこやかに。
「わしもそろそろ寝なきゃのう」
「そうねロウちゃん!アタシたちも寝るわよグレイグ!」
「ほら行くわよグレイグ」
「あ、ああ…」
わざとらしく伸びをするロウさんに続きシルビアさんとマルティナ、そして急かされるグレイグさんがそそくさと2階へ行く。
たしかに黄金病の騒動があってから日付が回っているけど。
「…気を遣われちゃったね」
「あいつらああいうとこあるよな」
お互いに苦笑した。でも私はみんなの計らいに感謝している。
――カミュの記憶が戻ってからきちんと話してないでしょ?
イレブンはそういう笑みをみせた。他の仲間もそうだけど、何かと2人にさせようとしてくるからもうわかる。なんだかんだで付き合いが長いのだと感じさせられて感慨深い。
「外で話さないか」と珍しく上着を着たカミュが言った。
彼の座ったベンチに私も腰をかける。拳一つ分の距離はいつものキャンプを連想させた。
「こういうのも、なんだか久しぶりだな」
「そうだね。はやくマヤちゃん探さなきゃって必死だったもん」
深呼吸して、平和になったクレイモランの景色を眺める。
この町にきてからいろんなことがあった。解決したことも、消化しきれていないことも。
「アカリ、ありがとな」
明け方のしんとした雪国で、カミュの声はいつもより響いた。
「――最低な兄貴だっただろ?幻滅されることにビビって、ずっと言えなかった」
自嘲的に笑い、目線は下に落ちる。ぽつぽつと話す声色は明るく繕っているものの、私がみてきた彼とは違った。ここまで不安気な"カミュ"は初めてみたかもしれない。
「幻滅とかするわけないよ。私、カミュがたまに何か思い詰めたような顔してたの、知ってたよ。マヤちゃんのこと、一人でずっと抱えてきたんだね」
「…よくみてんな」
「お互いにね。カミュは見られたくなかったかもしれないけど、私はカミュのこと、やっとわかって嬉しかったよ?昔も今も、妹思いのかっこいいお兄ちゃんだよ」
だから怖がらなくていいよと、祈りをこめて見つめる。彼の瞳の揺れは少し収まったようにみえた。
大樹が兄妹の記憶をみせてくれたとき、カミュと出会った当初にきいたことを思い出した。デルカダールの国宝、レッドオーブを盗んだから地下牢に捕まっていたんだと。だからイレブンに出会えたとも。
――「オーブを集めて地の底で会う勇者に力を貸せ。さすれば贖罪は果たされる」
預言の通りだけど、なんて皮肉。もしマヤちゃんがレッドオーブをほしいと言わなかったら、もしカミュが呪いのペンダントを渡さなかったら。
……カミュは今、隣にはいないのだ。
「2人をみてて、想いは奇跡を起こせるんだって勇気をもらった。助けることができてよかったよね。マヤちゃんが元気になったら、後悔した分たくさん支えてあげればいいと思うな」
口を開かないカミュに向けて、ゆっくりと思っていたことを伝える。本当によかった。私たちと旅していた中でも、ずっと自分を責めていたのだろう。今までの、何かと自己犠牲を匂わせる行動にも納得がいく。
贖罪は果たされた。これでカミュは未来に向かえる。
このような悲劇、絶対になかったほうがいいけれど、あなたと出会えたことに感謝はさせてほしい。と心の中で思う。
さすがに素直に伝えすぎたか、はたまたクサい台詞だったのか、カミュは下を向いてため息をついた。
「…まったく。どんだけ肯定してくれんだよ。……ありがとな。本当に。お前たちには感謝してもしきれねえよ」
不安は一瞬で吹き飛んだ。久しぶりのこの顔。芯の強さとまろやかな笑みを共存させた表情。
嬉しい気持ちの裏に自分勝手な気持ちを隠していることも知らず、片手を重ねられる。かすかに感じるグローブの感触に胸が高鳴る。
「私もだよ」
親指で、彼の指を撫でる。すると重ねた手に少し力が入り、壊れ物を扱うかのように包まれる。
驚いて顔を上げると、カミュの髪に柔らかい雪がのった。今この空間は、私たちの音でできている。
感謝してもしきれない…か。別に当たり前のことをしただけで、なんなら常にこちらの台詞なのに。時折こちらをみては優しげに目を細めるカミュに苦しくなる。
このままでは良くない気がして、声のトーンをあげては立ち上がった。
「特に私はカミュにお世話になりっぱなしだったね!まだまだ返しきれてないけどさ」
「いや、オレはたくさんもらってるけどな」
「本当に?でも私、カミュに心配かけないくらい、もっと強くなるよ」
「……アカリ?」
私に合わせてか立ち上がったカミュに、真正面から向き合う。
「だから、また、会いに来てもいいかな」
「……ん?」
「え?」
いつも通りを装い伝えた言葉は、意外な空気で返された。
「アカリ、どっか行くのかよ」
「え、そりゃ魔王討伐に…」
「だよな」
は?
「もしかして、ここでお別れだと思ったのか?オレも一緒に行くからな」
「え…!?で、でもマヤちゃんは」
「マヤはこのまま神父に預ける。…しばらくは眠っている可能性が高いんだと。マヤのためにも、世界を平和にするのが先だからな。イレブンとも話してある」
さっきシオンと真剣な顔をしていたのは、「任せたぜ相棒」という意味ではなく、「一緒にやってやろうぜ相棒」ってこと…!
そのとき以上に強く輝く瞳は、私の視線を釘付けにする。
「アカリはオレがいたら嫌か?」
返答が、さもわかってるような挑戦的な笑み。胸元がじわりと熱くなり、同時に彼の姿が揺れてみえる。
ああ、カミュだ。ずっと会いたかった彼が目の前にいる。そんなの――
「そんなの、嬉しいに決まってるよ…!」
マヤちゃんの傍にいたほうがいいから、ここに残ると思っていた。もう少し、同じ時間を過ごせるんだ。
ごめんね。あとちょっとだけ、お兄さんを借りるね。
多幸感と罪悪感が混ざる。はやく仇を討たないと。
「冷えただろ。そろそろ寝るか」
「そうだね」
先ほどうつった温かな片手を、もう片方にうつす。行き場のない手を包み込むように。
宿屋に入り、最後に声をかける。
「私さ、記憶のないカミュもかわいかったけど、やっぱりいつものカミュが良いって改めて思った!」
「…!」
「おやすみなさい!」
起きたらまた少し、みんなとの日々が戻る。そう思うとよく眠れそうだった。
丁度宿屋に入ってきたイレブンと目が合った。後ろからカミュがみえる。
「話しはもう大丈夫なの?」
「うん。じゃあ僕は仮眠をとるから。みんな6時間後に出発ね」
おやすみ、と先ほどまで着ていたであろう分厚い上着を私に預けて去るイレブン。有無を言わさずそれはもうにこやかに。
「わしもそろそろ寝なきゃのう」
「そうねロウちゃん!アタシたちも寝るわよグレイグ!」
「ほら行くわよグレイグ」
「あ、ああ…」
わざとらしく伸びをするロウさんに続きシルビアさんとマルティナ、そして急かされるグレイグさんがそそくさと2階へ行く。
たしかに黄金病の騒動があってから日付が回っているけど。
「…気を遣われちゃったね」
「あいつらああいうとこあるよな」
お互いに苦笑した。でも私はみんなの計らいに感謝している。
――カミュの記憶が戻ってからきちんと話してないでしょ?
イレブンはそういう笑みをみせた。他の仲間もそうだけど、何かと2人にさせようとしてくるからもうわかる。なんだかんだで付き合いが長いのだと感じさせられて感慨深い。
「外で話さないか」と珍しく上着を着たカミュが言った。
彼の座ったベンチに私も腰をかける。拳一つ分の距離はいつものキャンプを連想させた。
「こういうのも、なんだか久しぶりだな」
「そうだね。はやくマヤちゃん探さなきゃって必死だったもん」
深呼吸して、平和になったクレイモランの景色を眺める。
この町にきてからいろんなことがあった。解決したことも、消化しきれていないことも。
「アカリ、ありがとな」
明け方のしんとした雪国で、カミュの声はいつもより響いた。
「――最低な兄貴だっただろ?幻滅されることにビビって、ずっと言えなかった」
自嘲的に笑い、目線は下に落ちる。ぽつぽつと話す声色は明るく繕っているものの、私がみてきた彼とは違った。ここまで不安気な"カミュ"は初めてみたかもしれない。
「幻滅とかするわけないよ。私、カミュがたまに何か思い詰めたような顔してたの、知ってたよ。マヤちゃんのこと、一人でずっと抱えてきたんだね」
「…よくみてんな」
「お互いにね。カミュは見られたくなかったかもしれないけど、私はカミュのこと、やっとわかって嬉しかったよ?昔も今も、妹思いのかっこいいお兄ちゃんだよ」
だから怖がらなくていいよと、祈りをこめて見つめる。彼の瞳の揺れは少し収まったようにみえた。
大樹が兄妹の記憶をみせてくれたとき、カミュと出会った当初にきいたことを思い出した。デルカダールの国宝、レッドオーブを盗んだから地下牢に捕まっていたんだと。だからイレブンに出会えたとも。
――「オーブを集めて地の底で会う勇者に力を貸せ。さすれば贖罪は果たされる」
預言の通りだけど、なんて皮肉。もしマヤちゃんがレッドオーブをほしいと言わなかったら、もしカミュが呪いのペンダントを渡さなかったら。
……カミュは今、隣にはいないのだ。
「2人をみてて、想いは奇跡を起こせるんだって勇気をもらった。助けることができてよかったよね。マヤちゃんが元気になったら、後悔した分たくさん支えてあげればいいと思うな」
口を開かないカミュに向けて、ゆっくりと思っていたことを伝える。本当によかった。私たちと旅していた中でも、ずっと自分を責めていたのだろう。今までの、何かと自己犠牲を匂わせる行動にも納得がいく。
贖罪は果たされた。これでカミュは未来に向かえる。
このような悲劇、絶対になかったほうがいいけれど、あなたと出会えたことに感謝はさせてほしい。と心の中で思う。
さすがに素直に伝えすぎたか、はたまたクサい台詞だったのか、カミュは下を向いてため息をついた。
「…まったく。どんだけ肯定してくれんだよ。……ありがとな。本当に。お前たちには感謝してもしきれねえよ」
不安は一瞬で吹き飛んだ。久しぶりのこの顔。芯の強さとまろやかな笑みを共存させた表情。
嬉しい気持ちの裏に自分勝手な気持ちを隠していることも知らず、片手を重ねられる。かすかに感じるグローブの感触に胸が高鳴る。
「私もだよ」
親指で、彼の指を撫でる。すると重ねた手に少し力が入り、壊れ物を扱うかのように包まれる。
驚いて顔を上げると、カミュの髪に柔らかい雪がのった。今この空間は、私たちの音でできている。
感謝してもしきれない…か。別に当たり前のことをしただけで、なんなら常にこちらの台詞なのに。時折こちらをみては優しげに目を細めるカミュに苦しくなる。
このままでは良くない気がして、声のトーンをあげては立ち上がった。
「特に私はカミュにお世話になりっぱなしだったね!まだまだ返しきれてないけどさ」
「いや、オレはたくさんもらってるけどな」
「本当に?でも私、カミュに心配かけないくらい、もっと強くなるよ」
「……アカリ?」
私に合わせてか立ち上がったカミュに、真正面から向き合う。
「だから、また、会いに来てもいいかな」
「……ん?」
「え?」
いつも通りを装い伝えた言葉は、意外な空気で返された。
「アカリ、どっか行くのかよ」
「え、そりゃ魔王討伐に…」
「だよな」
は?
「もしかして、ここでお別れだと思ったのか?オレも一緒に行くからな」
「え…!?で、でもマヤちゃんは」
「マヤはこのまま神父に預ける。…しばらくは眠っている可能性が高いんだと。マヤのためにも、世界を平和にするのが先だからな。イレブンとも話してある」
さっきシオンと真剣な顔をしていたのは、「任せたぜ相棒」という意味ではなく、「一緒にやってやろうぜ相棒」ってこと…!
そのとき以上に強く輝く瞳は、私の視線を釘付けにする。
「アカリはオレがいたら嫌か?」
返答が、さもわかってるような挑戦的な笑み。胸元がじわりと熱くなり、同時に彼の姿が揺れてみえる。
ああ、カミュだ。ずっと会いたかった彼が目の前にいる。そんなの――
「そんなの、嬉しいに決まってるよ…!」
マヤちゃんの傍にいたほうがいいから、ここに残ると思っていた。もう少し、同じ時間を過ごせるんだ。
ごめんね。あとちょっとだけ、お兄さんを借りるね。
多幸感と罪悪感が混ざる。はやく仇を討たないと。
「冷えただろ。そろそろ寝るか」
「そうだね」
先ほどうつった温かな片手を、もう片方にうつす。行き場のない手を包み込むように。
宿屋に入り、最後に声をかける。
「私さ、記憶のないカミュもかわいかったけど、やっぱりいつものカミュが良いって改めて思った!」
「…!」
「おやすみなさい!」
起きたらまた少し、みんなとの日々が戻る。そう思うとよく眠れそうだった。
