restarrt! 異変後
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勇者の奇跡――みなさんはよくその言葉を口にする。
オレ達が今知らない屋敷にいるのも、そこにいた同じ顔のおじさん達が急に老若男女に変わった(戻った?)のも、簡単にいうと勇者であるイレブンさんの力らしい。
「今回は呪いの根源の魔物を倒しただけだよ」
イレブンさんは慣れている感じでそう言った。
呪い……。なにかが引っかかり、頭痛がした。
この勇者御一行は、旅の途中に進んで人助けをする。そんな彼らは、船に忍び込み食料を貪っていたオレのこともこうして歓迎してくれた。どうやら自分では思い出せない、過去のオレを知っているらしい。イレブンさんといれば自分が何者なのかわかる。そう直感が教えてくれた。
そして、よく気にかけ傍にきてくれる彼女。出会った時、一瞬泣きそうな顔をしたものの、安心させるように声をかけてくれた。
…その顔をみた瞬間、オレはこの人に会いたかったんだな、なんて思ってしまった。
考えごとをしている間に何かがあったらしい。なぜか満足気なイレブンさんが彼女に言った。
「次はアカリの番だね」
…ん?
「いやいや私はそういうの向いてないから」
「あら。私やセーニャにはよく好きだと言ってくれるじゃない」
なっなにが…!?
マルティナさんが放った耳を疑う言葉に、当の本人をみてしまう。しかし、そもそも話が読めない。
「あの、シルビアさん、一体何が…」
「カミュちゃんボーッとしてたものね。これは結婚式のリハーサルよん」
親切に教えてくれたものの、まったく理解ができなかった。詳しくきいたところ、先程助けたおじさんのもう一つの頼みらしい。あくまで神父役の練習なのにプロポーズからやるなんて…。イレブンさんはこういうことまで引き受ける人なのか。お人好しで少し心配になってしまう。
本題を思い出し指名されていた彼女の様子を伺うと、百面相をしては諦めたように俯いた。
…プロポーズの相手を考えているのだろうか。まだ会って数日だけど、彼女はいろんな人と仲良くみえる。
なんだか胃が潰れそうな気持ちが芽生えた。
「カミュ」
オレは彼女とっては仲間の一人で、
「カミュ?」
「わっ…どうしたんですか?」
「――結婚しよう」
「…え?」
なぜか若干低い声でこちらをみつめる彼女。
緊張しながら伸ばされた手を重ねて、それからなんて返事をしたかは覚えていない。
無事にお屋敷をあとにして、船に乗った。未だすすり泣くオレをみんなが気遣ってか、彼女と二人きりだ。人前で鼻水なんか出しちゃって、かっこ悪い。
…記憶も思い出もないのにと、思わず弱音を吐いてしまったが、
「だってカミュはカミュだから。大切な存在なのは変わらないよ」
彼女はなんてことないように、こんなもったいないことを言ってくれた。
オレが、一番ほしかった言葉。
みんなの話をきいていると、過去のオレは随分と雰囲気が違うようなのに。更に視界がにじむ。
「それにさ、思い出はまたつくれるよ」
『…きて…いれば……は……れる!』
――今、なにか蘇ったような。
「勇者の奇跡だってあるし」
彼女は絶対大丈夫だというように笑った。…さっきのはなんだったんだろう。
でも、彼女の言う通りだ。
「ありがとうございます。…オレ、あなたに会えてよかったです」
心からアカリさんに向き直る。
「記憶が戻っても、きっと、今日のこと忘れません。これからもよろしくおねがいします」
温かい気持ちにさせてくれる、慈愛に満ちた眼差しを向けてくれる彼女。戦闘慣れしてないオレを護ってくれる、頼もしい彼女。
「ふふ、もちろんだよ。いやがっても返品できないから」
茶化すように言われてこちらも笑う。そっか、オレも笑えるんだ。
「いやがりませんよ。…オレもがんばります」
あなたのことを護れるように。
そして、自信を持って、あなたの隣に並べるように。
オレ達が今知らない屋敷にいるのも、そこにいた同じ顔のおじさん達が急に老若男女に変わった(戻った?)のも、簡単にいうと勇者であるイレブンさんの力らしい。
「今回は呪いの根源の魔物を倒しただけだよ」
イレブンさんは慣れている感じでそう言った。
呪い……。なにかが引っかかり、頭痛がした。
この勇者御一行は、旅の途中に進んで人助けをする。そんな彼らは、船に忍び込み食料を貪っていたオレのこともこうして歓迎してくれた。どうやら自分では思い出せない、過去のオレを知っているらしい。イレブンさんといれば自分が何者なのかわかる。そう直感が教えてくれた。
そして、よく気にかけ傍にきてくれる彼女。出会った時、一瞬泣きそうな顔をしたものの、安心させるように声をかけてくれた。
…その顔をみた瞬間、オレはこの人に会いたかったんだな、なんて思ってしまった。
考えごとをしている間に何かがあったらしい。なぜか満足気なイレブンさんが彼女に言った。
「次はアカリの番だね」
…ん?
「いやいや私はそういうの向いてないから」
「あら。私やセーニャにはよく好きだと言ってくれるじゃない」
なっなにが…!?
マルティナさんが放った耳を疑う言葉に、当の本人をみてしまう。しかし、そもそも話が読めない。
「あの、シルビアさん、一体何が…」
「カミュちゃんボーッとしてたものね。これは結婚式のリハーサルよん」
親切に教えてくれたものの、まったく理解ができなかった。詳しくきいたところ、先程助けたおじさんのもう一つの頼みらしい。あくまで神父役の練習なのにプロポーズからやるなんて…。イレブンさんはこういうことまで引き受ける人なのか。お人好しで少し心配になってしまう。
本題を思い出し指名されていた彼女の様子を伺うと、百面相をしては諦めたように俯いた。
…プロポーズの相手を考えているのだろうか。まだ会って数日だけど、彼女はいろんな人と仲良くみえる。
なんだか胃が潰れそうな気持ちが芽生えた。
「カミュ」
オレは彼女とっては仲間の一人で、
「カミュ?」
「わっ…どうしたんですか?」
「――結婚しよう」
「…え?」
なぜか若干低い声でこちらをみつめる彼女。
緊張しながら伸ばされた手を重ねて、それからなんて返事をしたかは覚えていない。
無事にお屋敷をあとにして、船に乗った。未だすすり泣くオレをみんなが気遣ってか、彼女と二人きりだ。人前で鼻水なんか出しちゃって、かっこ悪い。
…記憶も思い出もないのにと、思わず弱音を吐いてしまったが、
「だってカミュはカミュだから。大切な存在なのは変わらないよ」
彼女はなんてことないように、こんなもったいないことを言ってくれた。
オレが、一番ほしかった言葉。
みんなの話をきいていると、過去のオレは随分と雰囲気が違うようなのに。更に視界がにじむ。
「それにさ、思い出はまたつくれるよ」
『…きて…いれば……は……れる!』
――今、なにか蘇ったような。
「勇者の奇跡だってあるし」
彼女は絶対大丈夫だというように笑った。…さっきのはなんだったんだろう。
でも、彼女の言う通りだ。
「ありがとうございます。…オレ、あなたに会えてよかったです」
心からアカリさんに向き直る。
「記憶が戻っても、きっと、今日のこと忘れません。これからもよろしくおねがいします」
温かい気持ちにさせてくれる、慈愛に満ちた眼差しを向けてくれる彼女。戦闘慣れしてないオレを護ってくれる、頼もしい彼女。
「ふふ、もちろんだよ。いやがっても返品できないから」
茶化すように言われてこちらも笑う。そっか、オレも笑えるんだ。
「いやがりませんよ。…オレもがんばります」
あなたのことを護れるように。
そして、自信を持って、あなたの隣に並べるように。