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イレブン とカミュ、彼らがイレブンの故郷であるイシの村に向かう途中で私は出会った。
そして仲間に入れてもらい、ようやく到着する。イレブンが気掛かりだと言っていたイシの村は、信じられないほどに残酷な姿で私たちを迎えた。
視界に広がる崩壊された建物に、呼吸が止まる。イレブンは微動だにせず、ボーっと一点を見つめていた。
「たぶん、勇者の力で何かみえてるんじゃねえか」
私が心配そうに覗き込むと、カミュから声がかかる。イレブンの左手の勇者の痣と、大きな木の根っこが光っていると教えてくれた。最初に出会った時も似たようなことはあった。
「酷いね」とポツリと零す。すると「デルカダールの兵士が焼き払ったんだろう」と思わぬ言葉が返ってくる。意味を理解した途端、内臓から何か迫り上がってくる気配がした。
魔物ではなく、同じ人間が行ったことなんだ。
しばらくするとイレブンが戻ってきて、「昔のイシの村にいた」「育ててくれたおじいちゃんに会った」と口にした。カミュの言っていた通り、勇者の力で過去の幻をみていたらしい。
「アカリ、連れてきてごめんね」
本人のほうが辛いはずなのに、私の顔色に気づいたのかイレブンはそんな言葉をかけてくれた。
「大丈夫だから。傍にいるから」――これしか言えなかった。隣のカミュも私の言葉に続いて頷く。イレブンは「ありがとう」と儚げに微笑んだ。
他人を思いやれる優しい少年が希望を失いそうになっている。この世に憤りを感じた。同時に、私の今までの人生は平和だったんだと、改めて実感した。この世界にきてまだ2日ほど。なのに、既に何回も思っている。
おじいさんに言われたという場所に向かうため、カミュと私は足を動かした。イレブンはその場で村を見つめる。様々な思いを押し込めているであろう横顔をみて、私が慣れない土地で不安がっている場合じゃないと気を引き締めた。
イシの大滝の近くにある三角岩。おじいさんの言葉を頼りに3人で岩の傍を掘る。すると中から木箱が出てきた。緊張したようにゆっくりと開けると、入っていたのは2通の手紙。内容をみていいのかわからなかったので傍で立つ。イレブンの後頭部は、普段見上げている時より小さくみえた。
2通目の便箋を下げた時、カミュがイレブンの肩に手を置く。無言の励ましに涙が出そうになって、私もイレブンの隣にしゃがんだ。
「手紙…、本当のお母さんと、さっき会ったおじいちゃんからだった」
要約してぽつぽつと話してくれる。イレブンは勇者であり、ユグノアという滅んだ国の王子様だったこと。母親はイレブンを連れて逃げる途中で殺されてしまったこと。どうして祖国が滅ぼされたのか、どうして勇者が"悪魔の子"と呼ばれているのか真実は自分で確かめるしかないということ。
知らなかった。……"悪魔の子"なんて呼ばれているの。
そんな疑問を今聞くのは野暮だと思い、堪えて続きをきく。
おじいさんは、手紙の下に入ってたまほうの石で旅立ちのほこらを開けられる。そこから世界を巡って真実を探してとイレブンに残したそうだ。
「まあこれも乗りかかった船だ。オレもお前の旅に付き合ってやるぜ」
私とは違い全てを理解したらしいカミュが宣言したが、その発言にもハテナが浮かぶ。
「2人は別れる感じだったの…?」
「ああ。元々成り行きで協力してた関係だったんだけどな」
「…僕はカミュの目的を達成しても一緒に来てって言うつもりだった」
「マジか。…まあ2人とも、簡単に置いてくのもどうかとは思ってたんだ。特にアカリはな」
一瞬ひやりとしたが、私を保護した責任は持っているらしい。私なんかに責任とか申し訳ないけど、カミュが抜けたらイレブンの負担が倍増する。自立するまでは責任とってほしいな……。口が裂けても言えないけど。
手紙を大切そうにしまい、2人が今後の話しをする。手紙にあった旅立ちのほこらに向かう前に、カミュの目的を果たすようだ。これから向かうはその目的があるデルカダール神殿。何をしに行くのかわからないけど、観光スポットなんだろうか。
そんなお気楽なもんじゃない!と未来の私が叫んでいるが、今は知らない。
そして仲間に入れてもらい、ようやく到着する。イレブンが気掛かりだと言っていたイシの村は、信じられないほどに残酷な姿で私たちを迎えた。
視界に広がる崩壊された建物に、呼吸が止まる。イレブンは微動だにせず、ボーっと一点を見つめていた。
「たぶん、勇者の力で何かみえてるんじゃねえか」
私が心配そうに覗き込むと、カミュから声がかかる。イレブンの左手の勇者の痣と、大きな木の根っこが光っていると教えてくれた。最初に出会った時も似たようなことはあった。
「酷いね」とポツリと零す。すると「デルカダールの兵士が焼き払ったんだろう」と思わぬ言葉が返ってくる。意味を理解した途端、内臓から何か迫り上がってくる気配がした。
魔物ではなく、同じ人間が行ったことなんだ。
しばらくするとイレブンが戻ってきて、「昔のイシの村にいた」「育ててくれたおじいちゃんに会った」と口にした。カミュの言っていた通り、勇者の力で過去の幻をみていたらしい。
「アカリ、連れてきてごめんね」
本人のほうが辛いはずなのに、私の顔色に気づいたのかイレブンはそんな言葉をかけてくれた。
「大丈夫だから。傍にいるから」――これしか言えなかった。隣のカミュも私の言葉に続いて頷く。イレブンは「ありがとう」と儚げに微笑んだ。
他人を思いやれる優しい少年が希望を失いそうになっている。この世に憤りを感じた。同時に、私の今までの人生は平和だったんだと、改めて実感した。この世界にきてまだ2日ほど。なのに、既に何回も思っている。
おじいさんに言われたという場所に向かうため、カミュと私は足を動かした。イレブンはその場で村を見つめる。様々な思いを押し込めているであろう横顔をみて、私が慣れない土地で不安がっている場合じゃないと気を引き締めた。
イシの大滝の近くにある三角岩。おじいさんの言葉を頼りに3人で岩の傍を掘る。すると中から木箱が出てきた。緊張したようにゆっくりと開けると、入っていたのは2通の手紙。内容をみていいのかわからなかったので傍で立つ。イレブンの後頭部は、普段見上げている時より小さくみえた。
2通目の便箋を下げた時、カミュがイレブンの肩に手を置く。無言の励ましに涙が出そうになって、私もイレブンの隣にしゃがんだ。
「手紙…、本当のお母さんと、さっき会ったおじいちゃんからだった」
要約してぽつぽつと話してくれる。イレブンは勇者であり、ユグノアという滅んだ国の王子様だったこと。母親はイレブンを連れて逃げる途中で殺されてしまったこと。どうして祖国が滅ぼされたのか、どうして勇者が"悪魔の子"と呼ばれているのか真実は自分で確かめるしかないということ。
知らなかった。……"悪魔の子"なんて呼ばれているの。
そんな疑問を今聞くのは野暮だと思い、堪えて続きをきく。
おじいさんは、手紙の下に入ってたまほうの石で旅立ちのほこらを開けられる。そこから世界を巡って真実を探してとイレブンに残したそうだ。
「まあこれも乗りかかった船だ。オレもお前の旅に付き合ってやるぜ」
私とは違い全てを理解したらしいカミュが宣言したが、その発言にもハテナが浮かぶ。
「2人は別れる感じだったの…?」
「ああ。元々成り行きで協力してた関係だったんだけどな」
「…僕はカミュの目的を達成しても一緒に来てって言うつもりだった」
「マジか。…まあ2人とも、簡単に置いてくのもどうかとは思ってたんだ。特にアカリはな」
一瞬ひやりとしたが、私を保護した責任は持っているらしい。私なんかに責任とか申し訳ないけど、カミュが抜けたらイレブンの負担が倍増する。自立するまでは責任とってほしいな……。口が裂けても言えないけど。
手紙を大切そうにしまい、2人が今後の話しをする。手紙にあった旅立ちのほこらに向かう前に、カミュの目的を果たすようだ。これから向かうはその目的があるデルカダール神殿。何をしに行くのかわからないけど、観光スポットなんだろうか。
そんなお気楽なもんじゃない!と未来の私が叫んでいるが、今は知らない。