restarrt!
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熱烈な視線を感じたまま後ずさり、さようならと慌てて言い残した。
……僕は今、非常に後悔している。
部屋から出ると、気配を消していたカミュとアカリがこちらを伺った。僕は頷き早歩きで撤退する。なんとしても早く、ここから立ち去りたかった。
「わたくしはあなたのトリコ、かぁ…」
「イレブン、本当にあいつに微笑んだのか…?とにかくお前が襲われなくてよかったぜ」
「はは…」
メダル女学園の中庭、その端で僕は項垂れた。二人にはきちんと話していないから、状況がわかっていないのだろう。でもそれはこちらだって同じだ。
僕はただ、おつかいを頼まれただけなのに。
「話してるの聞いてたんだけど、新聞の相談ってなに?」
「……恋愛の相談記事」
自分で言うのもむず痒いけど、簡単に二人に説明をする。彼女に出会ったのは、学園を散策していた時だった。
「送った相談の解答が載っているから、自分の代わりに記事を確認してほしい」――これが今回のクエストだった。
そのときは各自好きなように見学していたので僕以外はこの件について知らなかったし、新聞の記事も「これのことか」と一人で納得してしまった。読んでからまさかとは思ったんだけど。
「それで危なくなったら助けてってことなの」
「うん。万が一のためにね」
「でもよく自分のことだってわかったな」
カミュの問いに深く息を吸い音を吐く。
「……違う種族のサラサラストレートヘア」
きっと盗み聞きしてた会話が繋がったんだろう。二人は顔を見合わせた。
そう。相談に対して送られたアドバイスは、"誰にも言えないヒミツを共有すること"。
それを読んだときに、彼女は友達にも話せない悩みだと言っていたことが、脳内ではじき出された。
クエストを受けたときは、僕のことは知らない人だから気が楽なんだなと思い込んでたけど、これまた次々とピースがはまってしまったわけで。
「それで確信しちまったわけか…」
「本人に恋愛相談って人間と変わらないんだね」
若干哀れみを向けるカミュの隣で、反対にアカリが興味をそそられたように言う。
人間みたい、か。たしかにこの学園は人間と魔物が共存している。同じように勉強して、同じように寮で過ごしているいい人たちだとわかってる。うん、わかってはいるんだけど。
「あー。さすがに突っ走りすぎだけどな」
「そうなんだよ…!僕は愛を深めるつもりないのに」
思わず、駄々っ子みたいに握り拳を膝に何度もあててしまう。だって急に「ヨメに行く準備はできてる」なんて知らない子に話を進められたことあるかい?あるわけがない。
そんな中ふと他の仲間や幼なじみのことが頭に浮かんだ。急に悪寒が走る。
……もしかしたらこっそりカミュとアカリに頼んだのは正解だったのかもしれない。
片手で顔を覆う僕を心配してか、アカリが覗き込む。
「イレブン大丈夫?ちょっと刺激が強かったかな」
「あぁ、大丈夫。ただ初めてで圧倒されただけ」
「まあな。さすがにあの唇に詰め寄られたらオレも負けそうだな」
共感したようなカミュの言葉に、僕とアカリはピシリと石化した。
この日以降、僕とカミュはメダ女での単独行動が禁止になった。
そして悪いけど旅の道中、彼女の種族――リップス系とのエンカウントも本能が避けている。
けれど、マルティナが別生徒から手紙を受け取ってたのをみて思った。
性別なんて関係ないんだ。もちろん種族も、年齢も。
「そうだ。クエストのお礼に制服をもらったんだ」
「えっ、それイレブンに着てほしいってこと…?」
「僕が入るサイズじゃないよ。戦闘用に調整するから誰か着てね!」
「ブレねえなマジで」
……僕は今、非常に後悔している。
部屋から出ると、気配を消していたカミュとアカリがこちらを伺った。僕は頷き早歩きで撤退する。なんとしても早く、ここから立ち去りたかった。
「わたくしはあなたのトリコ、かぁ…」
「イレブン、本当にあいつに微笑んだのか…?とにかくお前が襲われなくてよかったぜ」
「はは…」
メダル女学園の中庭、その端で僕は項垂れた。二人にはきちんと話していないから、状況がわかっていないのだろう。でもそれはこちらだって同じだ。
僕はただ、おつかいを頼まれただけなのに。
「話してるの聞いてたんだけど、新聞の相談ってなに?」
「……恋愛の相談記事」
自分で言うのもむず痒いけど、簡単に二人に説明をする。彼女に出会ったのは、学園を散策していた時だった。
「送った相談の解答が載っているから、自分の代わりに記事を確認してほしい」――これが今回のクエストだった。
そのときは各自好きなように見学していたので僕以外はこの件について知らなかったし、新聞の記事も「これのことか」と一人で納得してしまった。読んでからまさかとは思ったんだけど。
「それで危なくなったら助けてってことなの」
「うん。万が一のためにね」
「でもよく自分のことだってわかったな」
カミュの問いに深く息を吸い音を吐く。
「……違う種族のサラサラストレートヘア」
きっと盗み聞きしてた会話が繋がったんだろう。二人は顔を見合わせた。
そう。相談に対して送られたアドバイスは、"誰にも言えないヒミツを共有すること"。
それを読んだときに、彼女は友達にも話せない悩みだと言っていたことが、脳内ではじき出された。
クエストを受けたときは、僕のことは知らない人だから気が楽なんだなと思い込んでたけど、これまた次々とピースがはまってしまったわけで。
「それで確信しちまったわけか…」
「本人に恋愛相談って人間と変わらないんだね」
若干哀れみを向けるカミュの隣で、反対にアカリが興味をそそられたように言う。
人間みたい、か。たしかにこの学園は人間と魔物が共存している。同じように勉強して、同じように寮で過ごしているいい人たちだとわかってる。うん、わかってはいるんだけど。
「あー。さすがに突っ走りすぎだけどな」
「そうなんだよ…!僕は愛を深めるつもりないのに」
思わず、駄々っ子みたいに握り拳を膝に何度もあててしまう。だって急に「ヨメに行く準備はできてる」なんて知らない子に話を進められたことあるかい?あるわけがない。
そんな中ふと他の仲間や幼なじみのことが頭に浮かんだ。急に悪寒が走る。
……もしかしたらこっそりカミュとアカリに頼んだのは正解だったのかもしれない。
片手で顔を覆う僕を心配してか、アカリが覗き込む。
「イレブン大丈夫?ちょっと刺激が強かったかな」
「あぁ、大丈夫。ただ初めてで圧倒されただけ」
「まあな。さすがにあの唇に詰め寄られたらオレも負けそうだな」
共感したようなカミュの言葉に、僕とアカリはピシリと石化した。
この日以降、僕とカミュはメダ女での単独行動が禁止になった。
そして悪いけど旅の道中、彼女の種族――リップス系とのエンカウントも本能が避けている。
けれど、マルティナが別生徒から手紙を受け取ってたのをみて思った。
性別なんて関係ないんだ。もちろん種族も、年齢も。
「そうだ。クエストのお礼に制服をもらったんだ」
「えっ、それイレブンに着てほしいってこと…?」
「僕が入るサイズじゃないよ。戦闘用に調整するから誰か着てね!」
「ブレねえなマジで」
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