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「さて、やっとアンタのことを聞けるわね」
この世界初の宿屋でぐったりとしていると、ベロニカが声をあげた。
「話すと長くなるって言っていたじゃない。今なら平気よね」
「うん」
「アカリさまってなんだか不思議な空気をまとっていますよね。そのことと関係あるのでしょうか」
セーニャが私を見つめる。かわいらしいお顔にじっと見られ照れてしまう。
旅の途中で出会った、双子の姉妹。なんと勇者を守る宿命をもって生まれてきたらしい。そのためこれから先、一緒に旅をすることになる。
ベロニカには最初のほうから「アンタって何者?」と聞かれていた。そのときは話してる場合じゃなかったから濁していたけれど、仲間になるのなら事情は共有したほうが何かとスムーズだろう。
私は自分がこの世界の住人ではないこと、なぜイレブンとカミュと一緒にいるのかを話すことにした。
話の最中、2人は「そんなことあるの!?」とか「すごいですわ…」とか、年齢差はあるがそっくりな表情で食いついてきた。ひとこと驚きをもらしては真剣に耳を傾けてくれた。
「――なるほどね。通りで呪文の使い方も知らないわけだわ」
「おとぎ話のようですけど、私はアカリさまを信じますわ」
「セーニャ…、ありがとう」
話し終わると少しの沈黙ののち、反応が返ってきた。
男子2人もそうだったけど、意外にも「何言ってるんだこいつ」みたいな反応はされていない。初日・勇者の痣で全身発光現象…に感謝である。
「あたしも信じるわ。初めて会ったときから只者じゃないとは思ったけど、嫌な感じじゃなくてイレブンと似た空気を感じたもの」
「ベロニカもありがとう。そういえば私に対して、こんなに魔力あるのにって言ってたよね。わかるものなの?」
セーニャを助けに行くとき、何度も魔物との戦闘が発生した。私が武器でしか攻撃しないのをみてか「アンタなんで呪文使わないの?」ときいてきたのだ。使えないからと答えると、こんなに魔力あるじゃない!と信じられない様子だった。
同時に、「お前も最強魔法使いとか言ってたくせに呪文使ってねえだろ」とカミュが口出しして怒られていたことまで思い出す。魔力を失った状態だから私たちを頼ってくれてたんだな、と温かいものが広がる。
「普段はそんなにわからないからアカリが特別ね。特におでこの辺りから強く魔力を感じるのは珍しいわ。ね、セーニャ」
「はい。ほとんどの方が身体の中央…、心臓の辺りから魔力が巡っていますので」
「そうなんだ」
おでこか…。なんとなく額に触れてみる。キュートなヒロインが変身するときしか気にしたことないかもしれない。
私にも素質があるのなら、頑張れば呪文を使えるようになるってこと…?
「明日になったら額に集中するイメージでやってみましょ。さすがに室内で攻撃呪文放つわけにはいかないし、回復の特訓をするにもケガしてないし」
「特訓、付き合ってくれるの?」
「もちろんよ。アカリも戦力にならないと困るし。それに気になるわ。魔法に縁がなかったらしいアンタがどこまで成長するのか」
ベロニカは不敵な笑みを浮かべている。
人生2周目のような女の子――数時間前にそう感じた。
事情を知った今は納得がいったけれど、それでもセーニャと同い年。私より年下だろうに頼りがいのある子だ。
「それは…期待に応えられるように頑張らなきゃね」
「きっと大丈夫ですわ。私は時間がかかりましたが、アカリさまもきっかけを掴めばとすぐに使えるようになりますわ」
「セーニャも10才までは魔法が使えなかったけど、今は安定して使えているものね」
2人は頷きあう。どうやら聖地出身だからといえ、最初から優れているわけではないらしい。
聖母のような笑みを向けるセーニャにも背中を押され、新たな希望がみえた気がした。
「2人ともありがとう。これからお世話になります!」
女の子が増えた。勇者のことを信じてくれる人がいた。
そして私も一皮むけられる予感。
こうして物語はまた一歩進んでいく。
「ところでアカリ、あの男2人はどっちが好みなわけ?」
「ぜひききたいですわ…!」
そしてひと段落ついたところで質問責めにあうのだった。
ガールズトークというものは世界共通らしい。
この世界初の宿屋でぐったりとしていると、ベロニカが声をあげた。
「話すと長くなるって言っていたじゃない。今なら平気よね」
「うん」
「アカリさまってなんだか不思議な空気をまとっていますよね。そのことと関係あるのでしょうか」
セーニャが私を見つめる。かわいらしいお顔にじっと見られ照れてしまう。
旅の途中で出会った、双子の姉妹。なんと勇者を守る宿命をもって生まれてきたらしい。そのためこれから先、一緒に旅をすることになる。
ベロニカには最初のほうから「アンタって何者?」と聞かれていた。そのときは話してる場合じゃなかったから濁していたけれど、仲間になるのなら事情は共有したほうが何かとスムーズだろう。
私は自分がこの世界の住人ではないこと、なぜイレブンとカミュと一緒にいるのかを話すことにした。
話の最中、2人は「そんなことあるの!?」とか「すごいですわ…」とか、年齢差はあるがそっくりな表情で食いついてきた。ひとこと驚きをもらしては真剣に耳を傾けてくれた。
「――なるほどね。通りで呪文の使い方も知らないわけだわ」
「おとぎ話のようですけど、私はアカリさまを信じますわ」
「セーニャ…、ありがとう」
話し終わると少しの沈黙ののち、反応が返ってきた。
男子2人もそうだったけど、意外にも「何言ってるんだこいつ」みたいな反応はされていない。初日・勇者の痣で全身発光現象…に感謝である。
「あたしも信じるわ。初めて会ったときから只者じゃないとは思ったけど、嫌な感じじゃなくてイレブンと似た空気を感じたもの」
「ベロニカもありがとう。そういえば私に対して、こんなに魔力あるのにって言ってたよね。わかるものなの?」
セーニャを助けに行くとき、何度も魔物との戦闘が発生した。私が武器でしか攻撃しないのをみてか「アンタなんで呪文使わないの?」ときいてきたのだ。使えないからと答えると、こんなに魔力あるじゃない!と信じられない様子だった。
同時に、「お前も最強魔法使いとか言ってたくせに呪文使ってねえだろ」とカミュが口出しして怒られていたことまで思い出す。魔力を失った状態だから私たちを頼ってくれてたんだな、と温かいものが広がる。
「普段はそんなにわからないからアカリが特別ね。特におでこの辺りから強く魔力を感じるのは珍しいわ。ね、セーニャ」
「はい。ほとんどの方が身体の中央…、心臓の辺りから魔力が巡っていますので」
「そうなんだ」
おでこか…。なんとなく額に触れてみる。キュートなヒロインが変身するときしか気にしたことないかもしれない。
私にも素質があるのなら、頑張れば呪文を使えるようになるってこと…?
「明日になったら額に集中するイメージでやってみましょ。さすがに室内で攻撃呪文放つわけにはいかないし、回復の特訓をするにもケガしてないし」
「特訓、付き合ってくれるの?」
「もちろんよ。アカリも戦力にならないと困るし。それに気になるわ。魔法に縁がなかったらしいアンタがどこまで成長するのか」
ベロニカは不敵な笑みを浮かべている。
人生2周目のような女の子――数時間前にそう感じた。
事情を知った今は納得がいったけれど、それでもセーニャと同い年。私より年下だろうに頼りがいのある子だ。
「それは…期待に応えられるように頑張らなきゃね」
「きっと大丈夫ですわ。私は時間がかかりましたが、アカリさまもきっかけを掴めばとすぐに使えるようになりますわ」
「セーニャも10才までは魔法が使えなかったけど、今は安定して使えているものね」
2人は頷きあう。どうやら聖地出身だからといえ、最初から優れているわけではないらしい。
聖母のような笑みを向けるセーニャにも背中を押され、新たな希望がみえた気がした。
「2人ともありがとう。これからお世話になります!」
女の子が増えた。勇者のことを信じてくれる人がいた。
そして私も一皮むけられる予感。
こうして物語はまた一歩進んでいく。
「ところでアカリ、あの男2人はどっちが好みなわけ?」
「ぜひききたいですわ…!」
そしてひと段落ついたところで質問責めにあうのだった。
ガールズトークというものは世界共通らしい。