屋上には、ひとり
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目立つ赤髪に目を奪われていると、養護教諭の声でやっと現実に帰ってこれた。
と、思ったがやはり赤髪はフェンスに寄りかかって立っている。
目を擦って、もう一度見ても。
目をぎゅっと瞑ってからゆっくりと開いてみても。
やはりそこには飛び降りたはずの少年が立っている。
とうとう彼と目が合ってしまった気さえしてきた。
お化けなんてないさ、お化けなんてうそさ、なんてよく言えたものだ。
いるじゃないか、幽霊。
合ってしまった気がする目を逸らして教科担任と養護教諭の方を交互に見てみても、あんなに目立つ赤髪に気が付いていない。
ああ、小川さくらは壊れてしまったのかもしれない。
ここ数週間、感じる必要のない罪に囚われ続け、一年前の鮮明とはとても言い難い記憶を反芻し続けた結果がこれなんだ、きっと。
もう一度彼の方に目を向けると、また目が合う。
今日初めて真っ直ぐに見た彼の瞳は、10メートルは離れているであろう場所からでもはっきりと分かるほど、暗く生気がなかった。
真っ直ぐ前をみて固まっている私に再び声をかけた養護教諭が心配そうにこちらを見ていた。
彼とはそんなに長い間見つめあってはいられない。
屋上庭園を片付ける。私はそのためにここを訪れたんだから。
私は屋上に入るのがこれが初めてだったので、屋上庭園がどこにあるのかも、どんな場所なのかも知らない。
強制的に持たされたスコップとゴミ袋を両手に、教科担任の後ろを数歩さがってついていった。
意外にも屋上庭園は大きく、枯れた花の量をみると数週間前はたいそう素晴らしい庭園だったんだろうなと感じた。
中にはまだかろうじて咲いている花もあって、死んだ色の中に咲く鮮やかなピンクや白が、いっそう綺麗だった。
私の仕事は、枯れた花をゴミ袋にひたすら詰めていくこと。余裕があったら枯れていない花を新しく持ってきたプランターに移すことだった。
大きな屋上庭園に三人が散らばって作業を始める。
少し経ったころ、二人が私の方を見ていないことを確認して、彼がいた場所に行ってみることにした。
さっきと同じ場所に彼は立っていた。
多分最初に見たときと同じ向き。
近づいてみると、彼は記憶よりもずっと鮮明な線で描かれている。
私の記憶力は悪い方で、こんなにも丸井ブン太のことをはっきりと覚えていたのかと自分で驚いた。
……本当に、彼がそこにいるみたいだった。
透けていない。だけど顔色も悪そうだし、瞳に光がない。
1年前とは人が変わったような暗い表情で、ああこの顔なら飛び降りても不思議じゃないな、と不謹慎なことを思った。
「さすがにそれは失礼だろぃ」
聞こえた気がした。
驚いて彼の顔を見てみると、今まで違う方向を向いていた顔が、こちらを向いていた。
と、思ったがやはり赤髪はフェンスに寄りかかって立っている。
目を擦って、もう一度見ても。
目をぎゅっと瞑ってからゆっくりと開いてみても。
やはりそこには飛び降りたはずの少年が立っている。
とうとう彼と目が合ってしまった気さえしてきた。
お化けなんてないさ、お化けなんてうそさ、なんてよく言えたものだ。
いるじゃないか、幽霊。
合ってしまった気がする目を逸らして教科担任と養護教諭の方を交互に見てみても、あんなに目立つ赤髪に気が付いていない。
ああ、小川さくらは壊れてしまったのかもしれない。
ここ数週間、感じる必要のない罪に囚われ続け、一年前の鮮明とはとても言い難い記憶を反芻し続けた結果がこれなんだ、きっと。
もう一度彼の方に目を向けると、また目が合う。
今日初めて真っ直ぐに見た彼の瞳は、10メートルは離れているであろう場所からでもはっきりと分かるほど、暗く生気がなかった。
真っ直ぐ前をみて固まっている私に再び声をかけた養護教諭が心配そうにこちらを見ていた。
彼とはそんなに長い間見つめあってはいられない。
屋上庭園を片付ける。私はそのためにここを訪れたんだから。
私は屋上に入るのがこれが初めてだったので、屋上庭園がどこにあるのかも、どんな場所なのかも知らない。
強制的に持たされたスコップとゴミ袋を両手に、教科担任の後ろを数歩さがってついていった。
意外にも屋上庭園は大きく、枯れた花の量をみると数週間前はたいそう素晴らしい庭園だったんだろうなと感じた。
中にはまだかろうじて咲いている花もあって、死んだ色の中に咲く鮮やかなピンクや白が、いっそう綺麗だった。
私の仕事は、枯れた花をゴミ袋にひたすら詰めていくこと。余裕があったら枯れていない花を新しく持ってきたプランターに移すことだった。
大きな屋上庭園に三人が散らばって作業を始める。
少し経ったころ、二人が私の方を見ていないことを確認して、彼がいた場所に行ってみることにした。
さっきと同じ場所に彼は立っていた。
多分最初に見たときと同じ向き。
近づいてみると、彼は記憶よりもずっと鮮明な線で描かれている。
私の記憶力は悪い方で、こんなにも丸井ブン太のことをはっきりと覚えていたのかと自分で驚いた。
……本当に、彼がそこにいるみたいだった。
透けていない。だけど顔色も悪そうだし、瞳に光がない。
1年前とは人が変わったような暗い表情で、ああこの顔なら飛び降りても不思議じゃないな、と不謹慎なことを思った。
「さすがにそれは失礼だろぃ」
聞こえた気がした。
驚いて彼の顔を見てみると、今まで違う方向を向いていた顔が、こちらを向いていた。
