人間は決して消えたりなどしない
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決意を新たに、私は帰路に着く。
こうして帰り道を1人で歩くのにも慣れた。
部内で誰からも好かれていない、いや、それを通り越して嫌われている私には当然のことである。
足が重かった。
荷物を持つのでやっとなくらい、足が重くて動けなくなりそうだ。
嫌われている私には当然の処遇だ、毎日蹴られ、殴られる身体はなかなか力が入らない。
思わず視線を下げてしまう。鮮やかな芥子色の長ズボンが目に入った。
後ちょっとで横断歩道だ。赤になるからその間は休める。
視線は下げたまま、重い足をなんとか動かして、地面をしっかりと確かめるように歩いていく。
まだ大丈夫、と自己暗示をかけて、もう限界だと訴える身体に鞭を打ってその身を動かす。
幸村くんがテニス部に帰ってくるまではどんなに辛くても辞めたくない。幸村くんは今、もう一度テニスをするために必死に足掻いているのだ、私もこんなことで辞めたりはしたくなかった。それは私の意地であり、エゴであった。
きっと彼の病気は治る。彼はテニスを諦めたりなんてしないから。
……ここで私の記憶は途絶え、目を覚ますと鬱蒼と生える木々に囲まれており、湿り気のある土の上に倒れていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全身を打撲したような痛みが襲いかかり、思わず顔を顰めてしまう。
また殴られたのか、それとも蹴られたのか。
いつもならバレないようにと最低限顔は狙わないことが多いのに、今日はやられてしまった。そのせいかあまり頭も回らない。
それよりここはどこだ?
全く見慣れない景色が私の視界に広がっていた。
私の地元はどちらかというと海のほうが近いはずだ。しかしここはどう見ても山だ、近くに山なんてなかったはず。攫われたとしても拘束されていないのはおかしい。
私の中で最悪な答えがよぎった。
もし、私が全国3連覇への障害になるとみなされていたら?
もし、テニス部全員が私を不要とみなし、存在を消したがっていたら?
(――山の中に放置する理由としてはどちらもおかしいということに、メンタルが崩壊しかけている琴弾には気づけなかった。)
……テニス部に迷惑をかけるつもりはなかった。
このまま、全国大会前に辞めるべきだと切に思っていた。
ずっと心の中では辞めたい、辞めるべきだと思ってきたし、何度も辞めろと周囲に言われ続けてきた。
それでも辞められなかったのは、幸村くんが私に期待してくれて、テニス部を支えてくれ、と頼まれたからだった。
それが呪いとなって、私を動かしていた。
きっと、レギュラー陣たちが幸村くんと決めたことだ、顔も見せずに山に放り出してさようなら、なんて拾ってきた野良犬が飼えなかったときの扱いよりも下じゃないか。
野良犬以下で、部活に何も貢献できなかった木偶の坊。
ただ何も言わずに突き放されるのが一番こたえることを、今日私は初めて知り、起き上がることも出来ずにただただ涙を流した。
このまま死ねたらいいと思った。誰にも気付かれないで存在すら無かったことにならないかと、本気で考えた。
涙で視界がぼやけて場景を見ることすら億劫で、目を瞑った。濡れた部分に傷があったのか、頬がピリピリと傷んで、また泣いた。
こんなにも嫌われているという証拠があったのに、私はそれに気づかないふりをして今まで過ごしてきてしまった。
自分の愚かさをスルーして今更後悔したって遅いけれど。死ぬ前にもう一度だけ、幸村くんに会って謝りたい。
私はこんなことを言える義理じゃないけれど、マネージャーとして全てを懸けてきたのだ。テニス部を、勉強より友人より私生活より何よりも大事にしてきた。
だから、最後に夢を叶えてくれたっていいじゃないか。
なんとも短い人生だった。享年15歳、仲間に嫌われ山中に置き去りにされ、餓死して鳥の餌にされる。そんな人生。
つまらなくて、お笑い種にもならないな。
こうして帰り道を1人で歩くのにも慣れた。
部内で誰からも好かれていない、いや、それを通り越して嫌われている私には当然のことである。
足が重かった。
荷物を持つのでやっとなくらい、足が重くて動けなくなりそうだ。
嫌われている私には当然の処遇だ、毎日蹴られ、殴られる身体はなかなか力が入らない。
思わず視線を下げてしまう。鮮やかな芥子色の長ズボンが目に入った。
後ちょっとで横断歩道だ。赤になるからその間は休める。
視線は下げたまま、重い足をなんとか動かして、地面をしっかりと確かめるように歩いていく。
まだ大丈夫、と自己暗示をかけて、もう限界だと訴える身体に鞭を打ってその身を動かす。
幸村くんがテニス部に帰ってくるまではどんなに辛くても辞めたくない。幸村くんは今、もう一度テニスをするために必死に足掻いているのだ、私もこんなことで辞めたりはしたくなかった。それは私の意地であり、エゴであった。
きっと彼の病気は治る。彼はテニスを諦めたりなんてしないから。
……ここで私の記憶は途絶え、目を覚ますと鬱蒼と生える木々に囲まれており、湿り気のある土の上に倒れていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全身を打撲したような痛みが襲いかかり、思わず顔を顰めてしまう。
また殴られたのか、それとも蹴られたのか。
いつもならバレないようにと最低限顔は狙わないことが多いのに、今日はやられてしまった。そのせいかあまり頭も回らない。
それよりここはどこだ?
全く見慣れない景色が私の視界に広がっていた。
私の地元はどちらかというと海のほうが近いはずだ。しかしここはどう見ても山だ、近くに山なんてなかったはず。攫われたとしても拘束されていないのはおかしい。
私の中で最悪な答えがよぎった。
もし、私が全国3連覇への障害になるとみなされていたら?
もし、テニス部全員が私を不要とみなし、存在を消したがっていたら?
(――山の中に放置する理由としてはどちらもおかしいということに、メンタルが崩壊しかけている琴弾には気づけなかった。)
……テニス部に迷惑をかけるつもりはなかった。
このまま、全国大会前に辞めるべきだと切に思っていた。
ずっと心の中では辞めたい、辞めるべきだと思ってきたし、何度も辞めろと周囲に言われ続けてきた。
それでも辞められなかったのは、幸村くんが私に期待してくれて、テニス部を支えてくれ、と頼まれたからだった。
それが呪いとなって、私を動かしていた。
きっと、レギュラー陣たちが幸村くんと決めたことだ、顔も見せずに山に放り出してさようなら、なんて拾ってきた野良犬が飼えなかったときの扱いよりも下じゃないか。
野良犬以下で、部活に何も貢献できなかった木偶の坊。
ただ何も言わずに突き放されるのが一番こたえることを、今日私は初めて知り、起き上がることも出来ずにただただ涙を流した。
このまま死ねたらいいと思った。誰にも気付かれないで存在すら無かったことにならないかと、本気で考えた。
涙で視界がぼやけて場景を見ることすら億劫で、目を瞑った。濡れた部分に傷があったのか、頬がピリピリと傷んで、また泣いた。
こんなにも嫌われているという証拠があったのに、私はそれに気づかないふりをして今まで過ごしてきてしまった。
自分の愚かさをスルーして今更後悔したって遅いけれど。死ぬ前にもう一度だけ、幸村くんに会って謝りたい。
私はこんなことを言える義理じゃないけれど、マネージャーとして全てを懸けてきたのだ。テニス部を、勉強より友人より私生活より何よりも大事にしてきた。
だから、最後に夢を叶えてくれたっていいじゃないか。
なんとも短い人生だった。享年15歳、仲間に嫌われ山中に置き去りにされ、餓死して鳥の餌にされる。そんな人生。
つまらなくて、お笑い種にもならないな。
