コロイカ夢
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【アーミーくんと】
「いいか、水分摂取を心がけろ! 体調を崩しては元も子もないからな!」
よく通る声に、遠目に見えるオレンジ色。
ミリタリーな雰囲気を漂わせている彼。話したことはないけれど、名前は知っている。有名なチームで、確かアーミーと呼ばれていた。
彼の声かけはチームのメンバーだけに留まらず、近隣で練習しているチームにまで及ぶ。バトルに関わる子のことを注視して声をかける。
たしか、彼のチームはバトルのマニュアルを作っているらしい。そのための情報集めに過ぎない。そう、きっと誰にでもこうなのだ。
「今日は日差しが強いぞ! 喉が渇く前に水分を摂取するように!」
私のチームメイトたちにも声を掛けながら、紙コップに入った飲み物を渡している。
きっとブキやギア構成を見ているに違いない。
そんな風に思っていると、夕日のように明々とした瞳が私を捉えた。
何を言われるのだろう、と身構える。
「ああ、……うむ、ええと……」
いつも溌溂とした彼が口ごもり、目線を泳がせた。
「これはスポーツドリンクだ……その、水分をちゃんと摂るといい」
開かれた口から出てきたのは、いつもの彼からは想像できない物柔らかな言葉だった。
「ありがとう。暑いもんね。アーミーくんも気を付けてね」
「あ、ああ! キミも、どうか気を付けて」
【アロハくんと】
マヒマヒリゾート。ここは一層日差しが強い気がする。水面は陽光の照り返しでキラキラと輝き、プールサイドではクラゲたちが見ている。
見られていると思うと、練習試合であっても余計に気合が入る。
今日のブキはどうしよう。アタマギアは日差しを避ける意味でもキャップがいいかな。
「ねえねえ!」
アロハくんの声で思考が途切れる。
「日焼け止め塗った?」
「これからだけど」
「じゃああげる」
ぺとり。
「ひゃ」
「あはは、変な声」
あげるって、何を? と口にするより先に、彼のてのひらが腕に触れてた。自分と違う温度なうえに、日焼け止めクリームを纏っているせいかぬるぬるとして、違和感がある。
「日焼け止め出しすぎちゃったんだよね~~」
「普通に手のひらにくれればいいのに」
「どうせ腕も塗るじゃん」
「そうだけど」
自分の温度と合わさって、日焼け止めの香りが立ち上り鼻をくすぐる。
なんだか覚えのある、甘い香りがする。
「いいでしょ? お揃いだよ」
いつも明るく、冗談めいた事を言う彼からこぼれた、祈るようなつぶやきが胸にすとんとおちる。
日焼け止め塗ってる時のスキンシップって、ベタベタするから好きじゃないのに。
絡められた指を解くことはできなかった。
【マスクくんと】
今日も日差しが強い。外で試合をしているイカたちは干からびてしまうんじゃないかと心配になるほどだ。
室内練習場には彼がいた。こちらに気が付くと、カーボンローラーを片手にとことこと歩いてくる。
「うん、マスクくんも練習?」
「……試合控えてるから」
いつもどおりの長袖で。
そもそもあのガスマスクつけてるのも、熱がこもらないのか心配になってくる。
「長袖、暑くないの?」
「別に~~……いや、距離近くない?」
隣に座るマスクくんに近寄り、袖に触れるとピクリと肩を震わせた。特に抵抗はしてこないのを良いことに袖をまくり上げると、腕が露わになる。
彼の趣味からすれば、インドアで日に当たらない生活をしていることは想像できる。肌色は白いけれど、決して華奢ではない。しなやかな筋肉が付いた腕に、静かに息を飲む。
「ちょっ、勝手に何してるの!?」
振り払われた。マスクくんは焦りながら袖を直している。
「マスクも外していい?」
「はあ? ダメに決まってるでしょ。ていうかオレの素顔なんてさらして誰得?」
「暑いんだしちょっとはずしてみたら? それにわたしは得だけどな。マスクくんの素顔見たい」
「デュッ……」
沈黙。
マスクくんは黙ったまま、タコマスクのベルトを緩める。
やっぱり羨ましいくらいに肌が白い。薄い唇に、つんとした鼻が露わになる。
いつもはマスク越しに覗くことしかできない、鮮やかなシアンの瞳。
「はいおしまい」
慣れた手つきでベルトを締め、そそくさとマスクをつけてしまう。
こっちは胸を打たれて、言葉もないというのに。
「なに、ガッカリ? マスクキャラが顔出すとイケメンしか許されないみたいな? そういうのだったら勘弁してほしいんですけど」
「そういうひねくれたこと言うなら次はキスするから」
「デュッ……えっ……」
【スカルくんと】
同じアイスを買って、同じタイミングで食べ始めたはずなのに。
シュッと音がしたかと思えば、隣にいる彼のアイスは、口元のイカスカルマスクをはずすよりも早く消えていた。
「やっぱり早いね!?」
「そうか」
「そうだよ」
どうやっているのか気になる。聞いた話では他のコもできるらしいが自分では無理だ。
「おまえも頑張ればできる」
「ええ……普通に食べたいからいいよ」
「そうか」
ぽたりと手に冷たいものが伝う。
スカルくんの食べっぷりを見ている間に、アイスが溶け始めていた。
「あ、溶けてきちゃった」
「任せろ」
任せろ、とは?
確か、ハンカチかタオルがあったはず。それでなんとか拭いてくれないかな。そんなありきたりな言葉に発して投げかけたところで、彼は言葉よりも行動で示していただろう。
マスクをするりと解き、口元を露わにする。
「わ」
思わず少し腰が引けそうになると、すこし冷たい手で手首を掴まれ口元に寄せられる。
何をするのかと問うよりも先に、紫色の舌がぬるりと手首に這い、垂れたアイスを拭った。
「……ふ、普通に拭いてくれない!?」
顔に熱が集まる。声を上げた私を見て、マスクの下で彼が笑っていることだけは解った。
「いいか、水分摂取を心がけろ! 体調を崩しては元も子もないからな!」
よく通る声に、遠目に見えるオレンジ色。
ミリタリーな雰囲気を漂わせている彼。話したことはないけれど、名前は知っている。有名なチームで、確かアーミーと呼ばれていた。
彼の声かけはチームのメンバーだけに留まらず、近隣で練習しているチームにまで及ぶ。バトルに関わる子のことを注視して声をかける。
たしか、彼のチームはバトルのマニュアルを作っているらしい。そのための情報集めに過ぎない。そう、きっと誰にでもこうなのだ。
「今日は日差しが強いぞ! 喉が渇く前に水分を摂取するように!」
私のチームメイトたちにも声を掛けながら、紙コップに入った飲み物を渡している。
きっとブキやギア構成を見ているに違いない。
そんな風に思っていると、夕日のように明々とした瞳が私を捉えた。
何を言われるのだろう、と身構える。
「ああ、……うむ、ええと……」
いつも溌溂とした彼が口ごもり、目線を泳がせた。
「これはスポーツドリンクだ……その、水分をちゃんと摂るといい」
開かれた口から出てきたのは、いつもの彼からは想像できない物柔らかな言葉だった。
「ありがとう。暑いもんね。アーミーくんも気を付けてね」
「あ、ああ! キミも、どうか気を付けて」
【アロハくんと】
マヒマヒリゾート。ここは一層日差しが強い気がする。水面は陽光の照り返しでキラキラと輝き、プールサイドではクラゲたちが見ている。
見られていると思うと、練習試合であっても余計に気合が入る。
今日のブキはどうしよう。アタマギアは日差しを避ける意味でもキャップがいいかな。
「ねえねえ!」
アロハくんの声で思考が途切れる。
「日焼け止め塗った?」
「これからだけど」
「じゃああげる」
ぺとり。
「ひゃ」
「あはは、変な声」
あげるって、何を? と口にするより先に、彼のてのひらが腕に触れてた。自分と違う温度なうえに、日焼け止めクリームを纏っているせいかぬるぬるとして、違和感がある。
「日焼け止め出しすぎちゃったんだよね~~」
「普通に手のひらにくれればいいのに」
「どうせ腕も塗るじゃん」
「そうだけど」
自分の温度と合わさって、日焼け止めの香りが立ち上り鼻をくすぐる。
なんだか覚えのある、甘い香りがする。
「いいでしょ? お揃いだよ」
いつも明るく、冗談めいた事を言う彼からこぼれた、祈るようなつぶやきが胸にすとんとおちる。
日焼け止め塗ってる時のスキンシップって、ベタベタするから好きじゃないのに。
絡められた指を解くことはできなかった。
【マスクくんと】
今日も日差しが強い。外で試合をしているイカたちは干からびてしまうんじゃないかと心配になるほどだ。
室内練習場には彼がいた。こちらに気が付くと、カーボンローラーを片手にとことこと歩いてくる。
「うん、マスクくんも練習?」
「……試合控えてるから」
いつもどおりの長袖で。
そもそもあのガスマスクつけてるのも、熱がこもらないのか心配になってくる。
「長袖、暑くないの?」
「別に~~……いや、距離近くない?」
隣に座るマスクくんに近寄り、袖に触れるとピクリと肩を震わせた。特に抵抗はしてこないのを良いことに袖をまくり上げると、腕が露わになる。
彼の趣味からすれば、インドアで日に当たらない生活をしていることは想像できる。肌色は白いけれど、決して華奢ではない。しなやかな筋肉が付いた腕に、静かに息を飲む。
「ちょっ、勝手に何してるの!?」
振り払われた。マスクくんは焦りながら袖を直している。
「マスクも外していい?」
「はあ? ダメに決まってるでしょ。ていうかオレの素顔なんてさらして誰得?」
「暑いんだしちょっとはずしてみたら? それにわたしは得だけどな。マスクくんの素顔見たい」
「デュッ……」
沈黙。
マスクくんは黙ったまま、タコマスクのベルトを緩める。
やっぱり羨ましいくらいに肌が白い。薄い唇に、つんとした鼻が露わになる。
いつもはマスク越しに覗くことしかできない、鮮やかなシアンの瞳。
「はいおしまい」
慣れた手つきでベルトを締め、そそくさとマスクをつけてしまう。
こっちは胸を打たれて、言葉もないというのに。
「なに、ガッカリ? マスクキャラが顔出すとイケメンしか許されないみたいな? そういうのだったら勘弁してほしいんですけど」
「そういうひねくれたこと言うなら次はキスするから」
「デュッ……えっ……」
【スカルくんと】
同じアイスを買って、同じタイミングで食べ始めたはずなのに。
シュッと音がしたかと思えば、隣にいる彼のアイスは、口元のイカスカルマスクをはずすよりも早く消えていた。
「やっぱり早いね!?」
「そうか」
「そうだよ」
どうやっているのか気になる。聞いた話では他のコもできるらしいが自分では無理だ。
「おまえも頑張ればできる」
「ええ……普通に食べたいからいいよ」
「そうか」
ぽたりと手に冷たいものが伝う。
スカルくんの食べっぷりを見ている間に、アイスが溶け始めていた。
「あ、溶けてきちゃった」
「任せろ」
任せろ、とは?
確か、ハンカチかタオルがあったはず。それでなんとか拭いてくれないかな。そんなありきたりな言葉に発して投げかけたところで、彼は言葉よりも行動で示していただろう。
マスクをするりと解き、口元を露わにする。
「わ」
思わず少し腰が引けそうになると、すこし冷たい手で手首を掴まれ口元に寄せられる。
何をするのかと問うよりも先に、紫色の舌がぬるりと手首に這い、垂れたアイスを拭った。
「……ふ、普通に拭いてくれない!?」
顔に熱が集まる。声を上げた私を見て、マスクの下で彼が笑っていることだけは解った。