コロイカ夢
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昼休み。スカルくんのクラスにお邪魔して一緒にお昼ご飯を食べている。
「そういえば文化祭、スカルくんのクラスは何するんだっけ? たしか舞台だったよね?」
「白雪姫」
「へえ! スカルくんは何するの?」
「白雪姫」
「へえ!? スカルくんが!? スカルくん、ステージ出るの!?」
「ああ」
白雪姫? スカルくんが、白雪姫?
威圧感のあるパープルのインクは白い雪とは程遠い。
スカルくんは言葉が足りないことがある。今回もそのパターンかと思いタレサンくんの方を確認する。言葉が足りないときはタレサンくんが少し申し訳なさそうな顔をしてから補足してくれる。しかし、今日に限っては穏やかな笑みを浮かべたまま、おにぎりを食べながら頷いた。
「スカルが白雪姫の役をやるのは本当だよ」
タレサンくんからまさかと思っていたことを言語化され、頭の中が余計に混乱する。自分の中にある白雪姫のイメージと、目の前でバケツくらい大きいお弁当を食べているスカルくんが合致しない。
「なんでスカルくんが白雪姫に……?」
「林檎を食べて寝ているだけでいいと言われた」
「そんな理由で良いんだ!?」
ステージに上がれる人数には限りがある。そのため、一つの役に対し場面ごとに配役を付けるパターンもある。スカルくんは魔女の毒林檎を食べて、眠りについてしまう場面の白雪姫と言う事だろうか。
「まあ、気になるなら見に来てよ。オレも同じ場面で、魔女の役やるから」
「え! タレサンくんは魔女なの?」
「そうだよ。スカルの白雪姫に毒林檎を渡すシーンだけね」
「王子様とかじゃないんだ……ちょっと意外かも」
物腰柔らかくて面倒見がよくって少し大人っぽくて、タレサンくんが王子様にぴったりな気がする。
「王子って……役をやる人は大道具準備とか免除されるし、いい席のチケット貰えるからそれ目当てだよ」
「席とかあるの?」
「うん。基本入場自由だけど、家族とか来客用に前寄りの席が確保されてて、役を演じる人はそのチケットが貰えるんだ。スカルの昔の友達がチケット欲しがってて……」
文化祭のステージをあんまり見ないから知らなかった。家族席とか来客ゾーンがあるのは知ってたけど、そういう仕組みだったんだ。確かに、人気な子が出るステージだと、前側が埋まっちゃっててよく見えないことがあるから、前方で、しかも座って見れたら嬉しいもんね。
「そうなんだ。ふたりとも出るなら見に行くね」
「うん、ぜひ来てよ」
タレサンくんは誘ってくれたものの、スカルくんは無言のまま。もしかして、やっぱり見られるの嫌だったかな?
「コレを」
スカルくんの手に握られていたのは、白雪姫のチケット。
「「え!」」
タレサンくんと声が重なる。
さっき話題に上がった、前寄り席のチケットが1枚。これは、『さっきの話に上がったチケットはこれだ』って見せてくれてるだけ?
「オマエに見に来てほしい」
あ、私にくれるの!?
「待ってスカル。それは家族用じゃ」
「家族は来ない」
「そうじゃなくて、それはヴィ」
「タレサンから渡せばいい」
「スカル、そうだとしても……」
「オレはあいつからチケットをくれと言われていない」
やっぱりこれって、さっきタレサンくんが言ってた“昔の友達”にあげるチケットだよね? しかも、ちょっとタレサンくんとスカルくんがもめてるっぽい。
「私、クラスの子と一緒に見に行くからチケットは大丈夫だよ。友達置いて前列座れないし」
スカルくんと、タレサンくんが顔を見合わせる。
「……気を使わせちゃったね、ゴメン」
「……」
「オレもスカルも、インクリングちゃんに見に来てほしいと思っているから」
「うん、絶対見に行くね」
当日。
見慣れたはずの体育館は照明が落とされ、いつもとは全く違う雰囲気に変わっていた。今の時間は、演劇部が劇をやっているらしい。クラスの友達何人かと立ち見席から舞台を眺める。
たしか、次の枠からスカルくんのクラスの白雪姫が始まるはず。
舞台袖からスタスタと現れたのは紫のゲソが反り立った男子。スカルくんの体格をカバーする要素が一切なく、むしろ際立たせるような密着感のあるドレス。白雪姫なのにドクロのマスク付けてるんだ? 良いんだ? ミスマッチさに少し笑いそうになってしまう。
舞台上をお姫様の歩幅とは思えない勢いでズンズンと歩いてきて停止。スカルくんがいつものスカルくん過ぎて心配になってくる。
「“こんにちは、白雪姫”」
「ム」
ムって言った?
結構低めの声と打って変わって、白雪姫をかどわかす優しい声色と共に、白雪姫の当たっていたスポットライトが、反対の舞台袖を照らす。
黒い頭巾とケープで身を包んだ魔女……タレサンくんが現れた。
スカルくん(白雪姫)にいろんな意味で目を奪われていたけれど、タレサンくんも魔女の役で出るんだった。片手には林檎が入ったカゴをもっている。どこからどう見ても白雪姫の毒林檎を渡しに来た魔女だ。安心感がある。
「“この林檎でアップルパイを焼いたら小人さんたちが喜ぶよ”」
「アップルパイ」
「“さあ、林檎をどうぞ”」
「もらう」
タレサンくん(魔女)が差し出したカゴから、林檎を一つ掴んだかと思うと即座に食べ始め、シャリシャリと林檎を咀嚼する音が聞こえてくる。スカルくんの食べるスピードは舞台上でも変わらず。1個、2個と芯だけにして、3個目の林檎に手を付ける。アップルパイ作る分無くならない?
「……スカル、食べたら倒れないと」
「ム」
バタン!
今、タレサンくん(魔女)がタイミングを教えてくれていた気がする。
糸が切れた操り人形のようにバタンと倒れた。それからワンテンポ遅れ、舞台の照明が禍々しい赤色に変わった。
スカルくんの倒れ方が、照明が着いていけないくらいの心配になる勢いだ。頭とか打ってないだろうか。
「スカルーーーーッ!!」
前方の席に座っていた人が立ち上がって叫んだ。他校の制服を着た、マッシュヘアの男子。スカルくんの名前を呼んでいたということは、もしかしてスカルくんの昔の友達?
ここに居るということは、無事にチケットが友達の手に渡っていたようで安心した。
「……あれは演技」
「わかっている。オレはXだ」
「じゃあ静かにして」
付き添いの女子にたしなめられ、マッシュの男子が静かに座った。
魔女が怪しい笑みを浮かべ立ち去るとともに、舞台の幕が降りてくる。
『上演中の騒音はお控え頂くようにお願いします』
幕間にアナウンスが一度だけ流れ、再び幕が上がった。
スカルくんたちの出番はさっきのシーンまでだったはず。
今は小人の男子女子がワラワラと現れて、白雪姫を囲み嘆いている。小人が抱き起した白雪姫は、既に別の女子生徒に変わって演じていた。
劇は最後まで見届けよう。
「インクリング」
自分の名前を呼ぶ声、友達とは違う、低くよく通る声。
「……スカルくん?」
振りかえれば、いつもの見慣れた制服姿のスカルくんがいた。
「あれ? もう良いの? カーテンコールとか……」
「出番は終わった」
「いいの?」
「ああ」
友達の方をちらっと見ると、にまにまと笑いながら小さく手を振ってくれた。友達に送り出され、薄暗い体育館を後にする。
「……さっきの劇、面白かったよ!」
「そうか」
「白雪姫、林檎すごい食べてたね」
「ああ」
「……あの、よかったら、」
「一緒にまわらないか」
かぶせられた声に、自然と頬が綻ぶ。
「私もそう言おうと思ってたの」
「そうか」
「私、りんご飴食べたくなっちゃった」
「オレもだ」
あれだけ林檎食べてたのに。
でもスカルくんの底無しの食欲の事はもう知ってるから。
「そういえば文化祭、スカルくんのクラスは何するんだっけ? たしか舞台だったよね?」
「白雪姫」
「へえ! スカルくんは何するの?」
「白雪姫」
「へえ!? スカルくんが!? スカルくん、ステージ出るの!?」
「ああ」
白雪姫? スカルくんが、白雪姫?
威圧感のあるパープルのインクは白い雪とは程遠い。
スカルくんは言葉が足りないことがある。今回もそのパターンかと思いタレサンくんの方を確認する。言葉が足りないときはタレサンくんが少し申し訳なさそうな顔をしてから補足してくれる。しかし、今日に限っては穏やかな笑みを浮かべたまま、おにぎりを食べながら頷いた。
「スカルが白雪姫の役をやるのは本当だよ」
タレサンくんからまさかと思っていたことを言語化され、頭の中が余計に混乱する。自分の中にある白雪姫のイメージと、目の前でバケツくらい大きいお弁当を食べているスカルくんが合致しない。
「なんでスカルくんが白雪姫に……?」
「林檎を食べて寝ているだけでいいと言われた」
「そんな理由で良いんだ!?」
ステージに上がれる人数には限りがある。そのため、一つの役に対し場面ごとに配役を付けるパターンもある。スカルくんは魔女の毒林檎を食べて、眠りについてしまう場面の白雪姫と言う事だろうか。
「まあ、気になるなら見に来てよ。オレも同じ場面で、魔女の役やるから」
「え! タレサンくんは魔女なの?」
「そうだよ。スカルの白雪姫に毒林檎を渡すシーンだけね」
「王子様とかじゃないんだ……ちょっと意外かも」
物腰柔らかくて面倒見がよくって少し大人っぽくて、タレサンくんが王子様にぴったりな気がする。
「王子って……役をやる人は大道具準備とか免除されるし、いい席のチケット貰えるからそれ目当てだよ」
「席とかあるの?」
「うん。基本入場自由だけど、家族とか来客用に前寄りの席が確保されてて、役を演じる人はそのチケットが貰えるんだ。スカルの昔の友達がチケット欲しがってて……」
文化祭のステージをあんまり見ないから知らなかった。家族席とか来客ゾーンがあるのは知ってたけど、そういう仕組みだったんだ。確かに、人気な子が出るステージだと、前側が埋まっちゃっててよく見えないことがあるから、前方で、しかも座って見れたら嬉しいもんね。
「そうなんだ。ふたりとも出るなら見に行くね」
「うん、ぜひ来てよ」
タレサンくんは誘ってくれたものの、スカルくんは無言のまま。もしかして、やっぱり見られるの嫌だったかな?
「コレを」
スカルくんの手に握られていたのは、白雪姫のチケット。
「「え!」」
タレサンくんと声が重なる。
さっき話題に上がった、前寄り席のチケットが1枚。これは、『さっきの話に上がったチケットはこれだ』って見せてくれてるだけ?
「オマエに見に来てほしい」
あ、私にくれるの!?
「待ってスカル。それは家族用じゃ」
「家族は来ない」
「そうじゃなくて、それはヴィ」
「タレサンから渡せばいい」
「スカル、そうだとしても……」
「オレはあいつからチケットをくれと言われていない」
やっぱりこれって、さっきタレサンくんが言ってた“昔の友達”にあげるチケットだよね? しかも、ちょっとタレサンくんとスカルくんがもめてるっぽい。
「私、クラスの子と一緒に見に行くからチケットは大丈夫だよ。友達置いて前列座れないし」
スカルくんと、タレサンくんが顔を見合わせる。
「……気を使わせちゃったね、ゴメン」
「……」
「オレもスカルも、インクリングちゃんに見に来てほしいと思っているから」
「うん、絶対見に行くね」
当日。
見慣れたはずの体育館は照明が落とされ、いつもとは全く違う雰囲気に変わっていた。今の時間は、演劇部が劇をやっているらしい。クラスの友達何人かと立ち見席から舞台を眺める。
たしか、次の枠からスカルくんのクラスの白雪姫が始まるはず。
舞台袖からスタスタと現れたのは紫のゲソが反り立った男子。スカルくんの体格をカバーする要素が一切なく、むしろ際立たせるような密着感のあるドレス。白雪姫なのにドクロのマスク付けてるんだ? 良いんだ? ミスマッチさに少し笑いそうになってしまう。
舞台上をお姫様の歩幅とは思えない勢いでズンズンと歩いてきて停止。スカルくんがいつものスカルくん過ぎて心配になってくる。
「“こんにちは、白雪姫”」
「ム」
ムって言った?
結構低めの声と打って変わって、白雪姫をかどわかす優しい声色と共に、白雪姫の当たっていたスポットライトが、反対の舞台袖を照らす。
黒い頭巾とケープで身を包んだ魔女……タレサンくんが現れた。
スカルくん(白雪姫)にいろんな意味で目を奪われていたけれど、タレサンくんも魔女の役で出るんだった。片手には林檎が入ったカゴをもっている。どこからどう見ても白雪姫の毒林檎を渡しに来た魔女だ。安心感がある。
「“この林檎でアップルパイを焼いたら小人さんたちが喜ぶよ”」
「アップルパイ」
「“さあ、林檎をどうぞ”」
「もらう」
タレサンくん(魔女)が差し出したカゴから、林檎を一つ掴んだかと思うと即座に食べ始め、シャリシャリと林檎を咀嚼する音が聞こえてくる。スカルくんの食べるスピードは舞台上でも変わらず。1個、2個と芯だけにして、3個目の林檎に手を付ける。アップルパイ作る分無くならない?
「……スカル、食べたら倒れないと」
「ム」
バタン!
今、タレサンくん(魔女)がタイミングを教えてくれていた気がする。
糸が切れた操り人形のようにバタンと倒れた。それからワンテンポ遅れ、舞台の照明が禍々しい赤色に変わった。
スカルくんの倒れ方が、照明が着いていけないくらいの心配になる勢いだ。頭とか打ってないだろうか。
「スカルーーーーッ!!」
前方の席に座っていた人が立ち上がって叫んだ。他校の制服を着た、マッシュヘアの男子。スカルくんの名前を呼んでいたということは、もしかしてスカルくんの昔の友達?
ここに居るということは、無事にチケットが友達の手に渡っていたようで安心した。
「……あれは演技」
「わかっている。オレはXだ」
「じゃあ静かにして」
付き添いの女子にたしなめられ、マッシュの男子が静かに座った。
魔女が怪しい笑みを浮かべ立ち去るとともに、舞台の幕が降りてくる。
『上演中の騒音はお控え頂くようにお願いします』
幕間にアナウンスが一度だけ流れ、再び幕が上がった。
スカルくんたちの出番はさっきのシーンまでだったはず。
今は小人の男子女子がワラワラと現れて、白雪姫を囲み嘆いている。小人が抱き起した白雪姫は、既に別の女子生徒に変わって演じていた。
劇は最後まで見届けよう。
「インクリング」
自分の名前を呼ぶ声、友達とは違う、低くよく通る声。
「……スカルくん?」
振りかえれば、いつもの見慣れた制服姿のスカルくんがいた。
「あれ? もう良いの? カーテンコールとか……」
「出番は終わった」
「いいの?」
「ああ」
友達の方をちらっと見ると、にまにまと笑いながら小さく手を振ってくれた。友達に送り出され、薄暗い体育館を後にする。
「……さっきの劇、面白かったよ!」
「そうか」
「白雪姫、林檎すごい食べてたね」
「ああ」
「……あの、よかったら、」
「一緒にまわらないか」
かぶせられた声に、自然と頬が綻ぶ。
「私もそう言おうと思ってたの」
「そうか」
「私、りんご飴食べたくなっちゃった」
「オレもだ」
あれだけ林檎食べてたのに。
でもスカルくんの底無しの食欲の事はもう知ってるから。
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