白干し梅(長編)
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その後、本当に放って置かれたためやる事もなく布団を敷いてゴロゴロしていたら眠ってしまったらしい。自分の神経が結構図太いと知れた。
ふと目を覚ますと頭の上を3人の女の子が囲んでいる。
「あ!起きました!」
「ご飯の時間です!」
「一緒に来てください!」
キャッキャと言う3人にも見覚えがある。
と、いうか警戒心を持たれていない様子にお姉さんは不安になってしまうぞ。と、いうか、こういうのって寝て起きたら夢でしたー!とかそういう事になってるはずなんだけど、やっぱり現実なのかな?
ボーッと眠たい頭でそんな事を考えていると、ムッとした声で早くしてくださいと急かされてしまった。
「ごめんね!すぐ起きるから!」
パッと起き上がり3人に連れられる。3人は満足そうな顔を浮かべると、道すがら自己紹介をしてくれた。
2つ結びしているのが、すみちゃん。
下ろしているのが、きよちゃん。
三つ編みが、なほちゃん。
こちらも自己紹介をすると屈託のない笑顔でななしさんですね!と言ってくれる。とっても可愛らしい。
少し広めの部屋に通されると、3人はキャッキャとお喋りしながら席に着いた。部屋の中には先ほど会ったアオイちゃんと、しのぶさんがいた。その近くにはサイドの高い位置に髪を括った少女がいる。目が覚めるほどの美少女に釘付けになっていると、それに気がついたのかしのぶさんが紹介してくれる。
「ななしさん、この子はカナヲと言います。私の継子です。ななしさんの事情は私から蝶屋敷の皆に伝えておきました。さあカナヲ、ご挨拶を」
どうやら私が惰眠を貪っている間に、しのぶさんは蝶屋敷の面々に私の説明をしてくれていたらしい。それならば先ほどのすみ、きよ、なほの警戒心の無さが頷けた。流石、出来る子しのぶさん。
薄く笑みを浮かべるカナヲは何を話すわけでもなく、頭を少しだけ下に傾けた。
「初めまして。ななしです。カナヲちゃんでいいかな?」
釣られてペコッと頭を下げると、ニコニコしたまま何も話さない。もう、本当にずっとニコニコしているので、焦ってしまいどうしたものかと考えた。
「…好きに呼んで構いませんよ。冷める前にいただきましょう。」
このやり取りにしのぶさんが終止符を打ってくれた。そして、こちらに来てから初めて食事を口にした。
知っての通り、アオイちゃんはとても料理上手だった。
食事の後、お風呂の場所が分からないのですみちゃん、きよちゃん、なほちゃんに聞くと自分たちもこれから入る所だから一緒に入ろうと言われ、3人娘と一緒にお風呂に入ることにした。お風呂でも3人は仲良しで見ているだけでほっこりした。
手早く済ませて、これまた前田に用意してもらった浴衣に着替え、しのぶさんの元へと向かう。
「…し、胡蝶さん!お聞きしたいことがあります!」
「あら、どうしました?」
「昼間に掛けてもらった羽織をお返ししたいのですが、どうしたらいいですか?」
手に持った悲鳴嶼さんの羽織を見せると、あぁ、としのぶさんが頷く。
「今日はもう夜遅いですし、明日お昼頃に返しに行きましょうか。案内しますね。」
「お願いします!あ、でもお洗濯しなくて大丈夫でしょうか…」
「では鴉に伝えておきますから、乾いたら行きましょうか。」
「ありがとう!お願いします!」
お礼を伝えて来た廊下を戻る。
ふと、昼間騒がしかった病室が気になってしまい、そちらに足を運んでみることにした。
病室はうろ覚えでも、近づく毎に聞こえる善逸の声を頼りに進めば案外何とか辿り着けるものだ。
というか、日が暮れても同じテンションで騒げるなんて、怪我をしているのに元気だな。
「炭治郎ぉぉ!俺さっき薬飲んだよねぇえ!?飲み忘れてないよねぇぇ!!」
騒ぐ善逸に夜なんだから静かにしろと炭治郎が嗜めるが騒がしさは止まない。込み上げる笑いをかみ殺しながら、昼間と同じように顔を覗かせた。
「こんばんはななしさん!どうかしましたか?」
「わあ!びっくりした!よくわかったね」
「匂いがしたので!」
得意そうに笑う炭治郎に匂いがしたと言われ、少し恥ずかしくなる。そう言うものだと落ち着かせ、話しかけてみる。
「お昼のあんな一瞬だったのに名前を覚えててくれたんだね!みんな怪我してるみたいだけど、具合はどう??」
「ななしさぁん!俺頑張ってすんごく苦い薬飲んだよ!!もうほんっとに苦いやつ!1日5回も飲むんだよぉ!!」
褒めてくれと言わんばかりに善逸が短くなった腕を広げる。クスリと笑いながらその黄色い頭に軽く手を乗せる。
「善逸くんは偉いねー!いい子いい子」
そのまま数回柔らかい髪を撫でると、善逸の顔は徐々に赤くなりダラダラと汗をかき始めた。
意外にも、自分から褒めろと求めたのに本当に褒められるとは思ってなかったようだ。反応がウブで可愛いなー、とそのまま撫で続けるがもう大丈夫です。と小さい声で言われる。
「あはっ!しばらくここでお世話になる事になったから、顔を合わせる機会が多くなると思うので…よろしくね。」
満面の笑みでそう告げると炭治郎と善逸は元気よく返事を返してくれる。
大人しすぎる伊之助にもよろしくと声を掛けるが、反応がない。
確かこの時は喉を潰され、心も折れていたはず…
うーん、と考えながら布団の上に置かれた手を握ってみた。
「伊之助くんよろしくね!」
ギュッギュッと握ってみると言葉こそ返って来ないが、ギュッと握り返された。これは返事と取っていいだろう。なにより振り払われなくてよかった。猪の頭を被っているので表情こそ見えないが、嫌がれた訳じゃなさそうなので安心した。
「それじゃ、おやすみなさい。」
そう言い残して病室を出ると3人は手を振って見送ってくれた。
ふと外を見ると、満月ではないが月明かりが綺麗だった。
「…この先、私はどうなるんだろう」
誰も居ない廊下に呟くが、当然声はそのまま暗闇に消える。どうしようもない不安と、妙な高揚感が心を占めていた。
ふと目を覚ますと頭の上を3人の女の子が囲んでいる。
「あ!起きました!」
「ご飯の時間です!」
「一緒に来てください!」
キャッキャと言う3人にも見覚えがある。
と、いうか警戒心を持たれていない様子にお姉さんは不安になってしまうぞ。と、いうか、こういうのって寝て起きたら夢でしたー!とかそういう事になってるはずなんだけど、やっぱり現実なのかな?
ボーッと眠たい頭でそんな事を考えていると、ムッとした声で早くしてくださいと急かされてしまった。
「ごめんね!すぐ起きるから!」
パッと起き上がり3人に連れられる。3人は満足そうな顔を浮かべると、道すがら自己紹介をしてくれた。
2つ結びしているのが、すみちゃん。
下ろしているのが、きよちゃん。
三つ編みが、なほちゃん。
こちらも自己紹介をすると屈託のない笑顔でななしさんですね!と言ってくれる。とっても可愛らしい。
少し広めの部屋に通されると、3人はキャッキャとお喋りしながら席に着いた。部屋の中には先ほど会ったアオイちゃんと、しのぶさんがいた。その近くにはサイドの高い位置に髪を括った少女がいる。目が覚めるほどの美少女に釘付けになっていると、それに気がついたのかしのぶさんが紹介してくれる。
「ななしさん、この子はカナヲと言います。私の継子です。ななしさんの事情は私から蝶屋敷の皆に伝えておきました。さあカナヲ、ご挨拶を」
どうやら私が惰眠を貪っている間に、しのぶさんは蝶屋敷の面々に私の説明をしてくれていたらしい。それならば先ほどのすみ、きよ、なほの警戒心の無さが頷けた。流石、出来る子しのぶさん。
薄く笑みを浮かべるカナヲは何を話すわけでもなく、頭を少しだけ下に傾けた。
「初めまして。ななしです。カナヲちゃんでいいかな?」
釣られてペコッと頭を下げると、ニコニコしたまま何も話さない。もう、本当にずっとニコニコしているので、焦ってしまいどうしたものかと考えた。
「…好きに呼んで構いませんよ。冷める前にいただきましょう。」
このやり取りにしのぶさんが終止符を打ってくれた。そして、こちらに来てから初めて食事を口にした。
知っての通り、アオイちゃんはとても料理上手だった。
食事の後、お風呂の場所が分からないのですみちゃん、きよちゃん、なほちゃんに聞くと自分たちもこれから入る所だから一緒に入ろうと言われ、3人娘と一緒にお風呂に入ることにした。お風呂でも3人は仲良しで見ているだけでほっこりした。
手早く済ませて、これまた前田に用意してもらった浴衣に着替え、しのぶさんの元へと向かう。
「…し、胡蝶さん!お聞きしたいことがあります!」
「あら、どうしました?」
「昼間に掛けてもらった羽織をお返ししたいのですが、どうしたらいいですか?」
手に持った悲鳴嶼さんの羽織を見せると、あぁ、としのぶさんが頷く。
「今日はもう夜遅いですし、明日お昼頃に返しに行きましょうか。案内しますね。」
「お願いします!あ、でもお洗濯しなくて大丈夫でしょうか…」
「では鴉に伝えておきますから、乾いたら行きましょうか。」
「ありがとう!お願いします!」
お礼を伝えて来た廊下を戻る。
ふと、昼間騒がしかった病室が気になってしまい、そちらに足を運んでみることにした。
病室はうろ覚えでも、近づく毎に聞こえる善逸の声を頼りに進めば案外何とか辿り着けるものだ。
というか、日が暮れても同じテンションで騒げるなんて、怪我をしているのに元気だな。
「炭治郎ぉぉ!俺さっき薬飲んだよねぇえ!?飲み忘れてないよねぇぇ!!」
騒ぐ善逸に夜なんだから静かにしろと炭治郎が嗜めるが騒がしさは止まない。込み上げる笑いをかみ殺しながら、昼間と同じように顔を覗かせた。
「こんばんはななしさん!どうかしましたか?」
「わあ!びっくりした!よくわかったね」
「匂いがしたので!」
得意そうに笑う炭治郎に匂いがしたと言われ、少し恥ずかしくなる。そう言うものだと落ち着かせ、話しかけてみる。
「お昼のあんな一瞬だったのに名前を覚えててくれたんだね!みんな怪我してるみたいだけど、具合はどう??」
「ななしさぁん!俺頑張ってすんごく苦い薬飲んだよ!!もうほんっとに苦いやつ!1日5回も飲むんだよぉ!!」
褒めてくれと言わんばかりに善逸が短くなった腕を広げる。クスリと笑いながらその黄色い頭に軽く手を乗せる。
「善逸くんは偉いねー!いい子いい子」
そのまま数回柔らかい髪を撫でると、善逸の顔は徐々に赤くなりダラダラと汗をかき始めた。
意外にも、自分から褒めろと求めたのに本当に褒められるとは思ってなかったようだ。反応がウブで可愛いなー、とそのまま撫で続けるがもう大丈夫です。と小さい声で言われる。
「あはっ!しばらくここでお世話になる事になったから、顔を合わせる機会が多くなると思うので…よろしくね。」
満面の笑みでそう告げると炭治郎と善逸は元気よく返事を返してくれる。
大人しすぎる伊之助にもよろしくと声を掛けるが、反応がない。
確かこの時は喉を潰され、心も折れていたはず…
うーん、と考えながら布団の上に置かれた手を握ってみた。
「伊之助くんよろしくね!」
ギュッギュッと握ってみると言葉こそ返って来ないが、ギュッと握り返された。これは返事と取っていいだろう。なにより振り払われなくてよかった。猪の頭を被っているので表情こそ見えないが、嫌がれた訳じゃなさそうなので安心した。
「それじゃ、おやすみなさい。」
そう言い残して病室を出ると3人は手を振って見送ってくれた。
ふと外を見ると、満月ではないが月明かりが綺麗だった。
「…この先、私はどうなるんだろう」
誰も居ない廊下に呟くが、当然声はそのまま暗闇に消える。どうしようもない不安と、妙な高揚感が心を占めていた。