尸魂界篇
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空調の炎に導かれて辿り着いたのは四十六室の管轄だった。立ち入りを固く禁じられているそこには結界が張ってあり、海燕は立ち止まってその結界に手を添えた。
「この結界って…確か霊圧を外に感知させねえやつじゃ…………まさか…!!」
天寧はこの中に…!?
海燕の頬にヒヤリとした汗が流れる。
そんな海燕を他所にふよふよ浮いていた炎が結界に穴を空けて、中へと誘導する。
「天寧…!!」
結界の中は強烈な血の匂いが充満していた。
刺激的なそれに顔を顰めると身に覚えのある霊圧を微かに感じ…海燕はハッと辺りを見渡した。
真っ暗な…大掛かりな鬼道の痕跡が残っているその部屋の中心にそれは灯っていた。
ゆらゆらと燃ゆるそれは今にも消えそうだが
確かに辺りを照らそうと…持ち主を助けようと燃えていた。
「天寧…?」
炎によって見えたのは、床一面に広がる赤黒い液体と………見覚えのある…黒髪。
「っ!!天寧っ!!!」
なんだ、何なんだこれは。
何があったんだ、何で倒れているんだ、
何でこんな血塗れなんだ、この傷はなんだ、
ぐるぐると疑問だけが脳内を支配する。
だが、空調の炎が灯っているということは…と
天寧の傍でゆらゆらと揺れている炎を見て、ハッと我に返った。
「天寧!天寧!しっかりしろ!!
(この状態で四番隊に運んでも、
この傷じゃ持つかどうか……クソッ!!)
待ってろ!今兄ちゃんが助けてやっからな!!」
幸い、ルキアの処刑までまだ時間はある。
それまでに天寧を回復させればいいだけだと己を鼓舞し、回道をかける。
「(肩から脇腹の深い裂傷…腹に深い刺し傷…
っ誰だ、一体誰にやられたんだ…!!)」
従妹の強さは自分がよく知ってる。
母のような強い死神になるのだと努力を重ね、
磨いてきたその実力は計り知れないというのに…
天寧をここまで追い詰める事ができるとすれば____
『藍染さんの遺体…少し違和感を感じているの』
「………(いや、考えるのは後でいい。
今は天寧を治す、それだけを考えろ)」
血は止まってる。
呼吸は浅いがそれでも息はしている。
後は傷を塞いで、目を覚ますのを待つだけ。
「俺に置いて行くなって言っときながら、
お前が俺を置いて行こうとしてんじゃねえか…
ふざけんなよ…!!」
置いて行かれたのは天寧だけじゃない。
自分だって置いて行かれた側だ。
叔母から始まり、恋人、妻、叔父…色んな人が目の前から消えていった。そこに従妹まで加わるのは…もう耐えられない。
「お前までいなくなったら…立ち直れねえよ…!」
ーーーーーーーーーーー
優しいぬくもりを感じて天寧は目を開けた。
目の前で微笑む空調に手を伸ばすと、優しく握ってくれた。
「お兄さんが来てくれたよ」
「兄さんが…?」
「うん、ほら、聞こえるだろう?」
空調に促されるがまま耳を澄ますと
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
兄が呼んでいる…祈るように…引き止めるように…
強く、縋るように呼んでいた。
「まずは、お兄さんを安心させないとね」
うん…と頷いて目を閉じる。
ゆっくりと目を開くと、そこには空調ではなく今にも泣きそうな顔の従兄がいた。
「!天寧っ!気付いたか!?」
「………にぃ…さん…」
「まだ起き上がるなよ!!
肩も腹も、まだ治ってねえんだからっ」
肩も腹も肺も、海燕が治してくれているのか
痛みはまだあるものの大分楽になってきた。
「………あり、がとう…」
「喋んなっ、まだ終わってねえぞ」
「だい、じょうぶだよ…
私の身体はじょーぶだから…ね…」
「その状態で言われても説得力ねーよ!!
いいから黙って治療されてろ!」
“回道なんて久々に使うんだからな!”と必死な顔で叫ぶ従兄に微笑んで天寧は目を瞑る。
「…ルキアの処刑までに、治せる…?」
「朽木の処刑は隊長達に任せる。
お前は安静にしてろ!いいな!!」
「でも…」
「でももクソもねえよ!!
おら!さっさと寝ろ!!兄ちゃん命令な!!」
“なにそれ”と笑いながら寝る体勢に入る。
ルキアの処刑まであと半日はあるはずだ…
回復しつつある霊圧と海燕による治療で完全までとは行かなくとも処刑までには動けるようになるだろう。
そう、思っていたのに___
「………兄さん」
「あ?」
「今、何時…?」
ざわざわ…と血が騒ぎ始める。
藍染と市丸にやられてから何時間経った…?
空調はあと18時間と言っていたけれど、海燕がここに来るまで、どれくらいの時間が経った?
「今ぁ?今は21時くらいじゃねえのか?」
「………」
「天寧…?」
21時…21時ならルキアの処刑まで15時間もあるじゃないか。…そう言い聞かせても胸騒ぎは止まらない。
『僕の斬魄刀の名は“鏡花水月”、
有する能力は…“完全催眠”だ』
「…………兄さん……どうしよう…」
声が震える。
同じように震えている手をあげて海燕の死覇装を握る。
「ルキアの処刑…始まっちゃう…!!」
「この結界って…確か霊圧を外に感知させねえやつじゃ…………まさか…!!」
天寧はこの中に…!?
海燕の頬にヒヤリとした汗が流れる。
そんな海燕を他所にふよふよ浮いていた炎が結界に穴を空けて、中へと誘導する。
「天寧…!!」
結界の中は強烈な血の匂いが充満していた。
刺激的なそれに顔を顰めると身に覚えのある霊圧を微かに感じ…海燕はハッと辺りを見渡した。
真っ暗な…大掛かりな鬼道の痕跡が残っているその部屋の中心にそれは灯っていた。
ゆらゆらと燃ゆるそれは今にも消えそうだが
確かに辺りを照らそうと…持ち主を助けようと燃えていた。
「天寧…?」
炎によって見えたのは、床一面に広がる赤黒い液体と………見覚えのある…黒髪。
「っ!!天寧っ!!!」
なんだ、何なんだこれは。
何があったんだ、何で倒れているんだ、
何でこんな血塗れなんだ、この傷はなんだ、
ぐるぐると疑問だけが脳内を支配する。
だが、空調の炎が灯っているということは…と
天寧の傍でゆらゆらと揺れている炎を見て、ハッと我に返った。
「天寧!天寧!しっかりしろ!!
(この状態で四番隊に運んでも、
この傷じゃ持つかどうか……クソッ!!)
待ってろ!今兄ちゃんが助けてやっからな!!」
幸い、ルキアの処刑までまだ時間はある。
それまでに天寧を回復させればいいだけだと己を鼓舞し、回道をかける。
「(肩から脇腹の深い裂傷…腹に深い刺し傷…
っ誰だ、一体誰にやられたんだ…!!)」
従妹の強さは自分がよく知ってる。
母のような強い死神になるのだと努力を重ね、
磨いてきたその実力は計り知れないというのに…
天寧をここまで追い詰める事ができるとすれば____
『藍染さんの遺体…少し違和感を感じているの』
「………(いや、考えるのは後でいい。
今は天寧を治す、それだけを考えろ)」
血は止まってる。
呼吸は浅いがそれでも息はしている。
後は傷を塞いで、目を覚ますのを待つだけ。
「俺に置いて行くなって言っときながら、
お前が俺を置いて行こうとしてんじゃねえか…
ふざけんなよ…!!」
置いて行かれたのは天寧だけじゃない。
自分だって置いて行かれた側だ。
叔母から始まり、恋人、妻、叔父…色んな人が目の前から消えていった。そこに従妹まで加わるのは…もう耐えられない。
「お前までいなくなったら…立ち直れねえよ…!」
ーーーーーーーーーーー
優しいぬくもりを感じて天寧は目を開けた。
目の前で微笑む空調に手を伸ばすと、優しく握ってくれた。
「お兄さんが来てくれたよ」
「兄さんが…?」
「うん、ほら、聞こえるだろう?」
空調に促されるがまま耳を澄ますと
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
兄が呼んでいる…祈るように…引き止めるように…
強く、縋るように呼んでいた。
「まずは、お兄さんを安心させないとね」
うん…と頷いて目を閉じる。
ゆっくりと目を開くと、そこには空調ではなく今にも泣きそうな顔の従兄がいた。
「!天寧っ!気付いたか!?」
「………にぃ…さん…」
「まだ起き上がるなよ!!
肩も腹も、まだ治ってねえんだからっ」
肩も腹も肺も、海燕が治してくれているのか
痛みはまだあるものの大分楽になってきた。
「………あり、がとう…」
「喋んなっ、まだ終わってねえぞ」
「だい、じょうぶだよ…
私の身体はじょーぶだから…ね…」
「その状態で言われても説得力ねーよ!!
いいから黙って治療されてろ!」
“回道なんて久々に使うんだからな!”と必死な顔で叫ぶ従兄に微笑んで天寧は目を瞑る。
「…ルキアの処刑までに、治せる…?」
「朽木の処刑は隊長達に任せる。
お前は安静にしてろ!いいな!!」
「でも…」
「でももクソもねえよ!!
おら!さっさと寝ろ!!兄ちゃん命令な!!」
“なにそれ”と笑いながら寝る体勢に入る。
ルキアの処刑まであと半日はあるはずだ…
回復しつつある霊圧と海燕による治療で完全までとは行かなくとも処刑までには動けるようになるだろう。
そう、思っていたのに___
「………兄さん」
「あ?」
「今、何時…?」
ざわざわ…と血が騒ぎ始める。
藍染と市丸にやられてから何時間経った…?
空調はあと18時間と言っていたけれど、海燕がここに来るまで、どれくらいの時間が経った?
「今ぁ?今は21時くらいじゃねえのか?」
「………」
「天寧…?」
21時…21時ならルキアの処刑まで15時間もあるじゃないか。…そう言い聞かせても胸騒ぎは止まらない。
『僕の斬魄刀の名は“鏡花水月”、
有する能力は…“完全催眠”だ』
「…………兄さん……どうしよう…」
声が震える。
同じように震えている手をあげて海燕の死覇装を握る。
「ルキアの処刑…始まっちゃう…!!」
