尸魂界篇
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朽木ルキアの処刑まであと__
海燕は瀞霊廷内を走り続けた。
連絡も無く、帰ってこない従妹を探して…
何時間も走り続けていたからか心臓が痛い。
足も痛い。息も上がって、身体中汗だくだ。
「(天寧…!天寧…!どこにいる!?)」
それでも止まらないのは嫌な予感がするからだ。
天寧のように他を超越した直感力を持っているわけではない…が、それでも…
「はぁ…はぁっ…クソッ!!」
頭がガンガンと痛む。
天寧もきっとこんな痛みを感じていたのだろうか…そう思うだけで悔しさがこみ上げてくる。
都が死んだ時や、自分が仇を討とうと飛び出した時も…天寧は苦しい思いをしていたんだ。
『もう…あんな思いはしたくない…』
天寧はずっと泣いている。
泣かせないと誓ったのに…自分もその要因になってしまったんだ。
「これ、じゃあ…っ…
姉 さんにっ…顔向け、できねぇな…!」
約100年前に失踪した叔母の顔が脳裏を過ぎる。
険しい顔ばかりしていた叔母が娘にだけ見せていた優しい顔を海燕は一生忘れる事はないだろう。
「天寧…!!」
天寧が傷付いたと知ればあの恐ろしい叔母から何を言われるか…いや最悪殺されるかもしれない。それだけは勘弁だ。
「天寧!どこにいるんだ!天寧!!」
だが、いくら瀞霊廷内を走り回っても天寧どころか手掛かりすら掴めない。どういう事だ…天寧はどこにいるのだと辺りを見渡していると見覚えのある炎が視界に入ってきた。
「!!(あの炎は!)」
人魂のようにふよふよと浮いているそれは
温かなオレンジ色の炎であり、海燕を見つけると近寄ってきた。
「やっぱり、天寧の炎か!?」
触れても熱くはない。
むしろ安心さえ覚えるその炎は天寧の斬魄刀の能力だ。
その炎は海燕の周りをぐるぐると回り、
やがて“こっちだよ”と言うように跳ねて海燕を誘導し始めた。
「この先に天寧はいるんだな!?案内してくれ!」
海燕はそれを一切疑う事無く、ついていく。
一縷の望みをかけて…
ーーーーーーーーーーー
「きょうだい…きょうだい…」
柔らかな…優しい男の声がする。
重い瞼を持ち上げると、水晶のような透き通る瞳と日の光のような眩い金が見えた。
「………空ちゃん…」
「良かった、起きたね、きょうだい」
その男は安心したように笑った。
優しそうな垂れた目に高く筋の通った鼻、
癖のある長い金髪を持つ好青年は天寧の頬を優しく撫でた。
「私…生きてる…?」
「うん、生きてるよ」
どうやら男に膝枕をされているらしい。
ハッキリしてきた視界に清々しいほど晴れ渡った青空が見える。
「でも、あまりにも傷が深すぎた。
だからこうして精神世界に引きずり込んで回復を試みているところだよ」
「藍染と市丸は…」
「逃げたよ。
霊圧を追っても特に動きを見せてないから…
今の所大丈夫そうだ」
“だからゆっくり休んで”と優しく微笑むその男は
天寧の斬魄刀…空調が具象化した姿であり、
黒いマントと不思議なグローブをしている事以外は…どこにでもいそうな好青年だ。
「空ちゃん…ルキアの処刑まであとどれくらい?」
「約18時間って所かな…
きょうだいが藍染達にやれてから6時間経ったよ」
「傷…治せる…?」
「完全には無理だ。
動けるまでにしても…それなりに時間がかかってしまう…」
天寧の体はもう満身創痍で、霊圧も消えかけている。救援も望めない今、自分にできるのは天寧を精神世界に引き止め、少しずつ回復させる事だけだ。
「…きょうだい…きょうだいはもう十分に頑張ったよ…だから今はゆっくり休んで回復に専念してくれ」
「でも…行かないと…ルキアが…」
「彼女の事は一護君に任せよう。
きょうだいも解ってるんだろう?彼ならやれるって」
「そうだけど…私だけ倒れたままなんて」
「きょうだい…
オレはきょうだいに死んでほしくないよ。
こんな処で…独り寂しく死ぬなんて…オレは嫌だ」
「私は死なないわ」
「今にも、死にそうなのに…?」
藍染や市丸に負わされた傷は浅くはない。
血も本来なら死んでもおかしくない程出ているのだ、これ以上無理はしないでくれ…と天寧の手を握る。
「それでもよ…
お願い空ちゃん、行かせて」
「…Assolutezza ?」
「Si. 」
この強情さは誰に似たのやら…
空調は呆れたように溜息を吐き、困ったように笑った。
「…助けはオレが呼ぶからそれまで安静にしてね」
「Grazie…」
安心したように目を瞑った天寧を横目に
空調は天寧の傍に転がっている自身を手に取った。
「___包み相容れ光輪せよ…」
朽木ルキアの処刑まで__あと15時間
海燕は瀞霊廷内を走り続けた。
連絡も無く、帰ってこない従妹を探して…
何時間も走り続けていたからか心臓が痛い。
足も痛い。息も上がって、身体中汗だくだ。
「(天寧…!天寧…!どこにいる!?)」
それでも止まらないのは嫌な予感がするからだ。
天寧のように他を超越した直感力を持っているわけではない…が、それでも…
「はぁ…はぁっ…クソッ!!」
頭がガンガンと痛む。
天寧もきっとこんな痛みを感じていたのだろうか…そう思うだけで悔しさがこみ上げてくる。
都が死んだ時や、自分が仇を討とうと飛び出した時も…天寧は苦しい思いをしていたんだ。
『もう…あんな思いはしたくない…』
天寧はずっと泣いている。
泣かせないと誓ったのに…自分もその要因になってしまったんだ。
「これ、じゃあ…っ…
約100年前に失踪した叔母の顔が脳裏を過ぎる。
険しい顔ばかりしていた叔母が娘にだけ見せていた優しい顔を海燕は一生忘れる事はないだろう。
「天寧…!!」
天寧が傷付いたと知ればあの恐ろしい叔母から何を言われるか…いや最悪殺されるかもしれない。それだけは勘弁だ。
「天寧!どこにいるんだ!天寧!!」
だが、いくら瀞霊廷内を走り回っても天寧どころか手掛かりすら掴めない。どういう事だ…天寧はどこにいるのだと辺りを見渡していると見覚えのある炎が視界に入ってきた。
「!!(あの炎は!)」
人魂のようにふよふよと浮いているそれは
温かなオレンジ色の炎であり、海燕を見つけると近寄ってきた。
「やっぱり、天寧の炎か!?」
触れても熱くはない。
むしろ安心さえ覚えるその炎は天寧の斬魄刀の能力だ。
その炎は海燕の周りをぐるぐると回り、
やがて“こっちだよ”と言うように跳ねて海燕を誘導し始めた。
「この先に天寧はいるんだな!?案内してくれ!」
海燕はそれを一切疑う事無く、ついていく。
一縷の望みをかけて…
ーーーーーーーーーーー
「きょうだい…きょうだい…」
柔らかな…優しい男の声がする。
重い瞼を持ち上げると、水晶のような透き通る瞳と日の光のような眩い金が見えた。
「………空ちゃん…」
「良かった、起きたね、きょうだい」
その男は安心したように笑った。
優しそうな垂れた目に高く筋の通った鼻、
癖のある長い金髪を持つ好青年は天寧の頬を優しく撫でた。
「私…生きてる…?」
「うん、生きてるよ」
どうやら男に膝枕をされているらしい。
ハッキリしてきた視界に清々しいほど晴れ渡った青空が見える。
「でも、あまりにも傷が深すぎた。
だからこうして精神世界に引きずり込んで回復を試みているところだよ」
「藍染と市丸は…」
「逃げたよ。
霊圧を追っても特に動きを見せてないから…
今の所大丈夫そうだ」
“だからゆっくり休んで”と優しく微笑むその男は
天寧の斬魄刀…空調が具象化した姿であり、
黒いマントと不思議なグローブをしている事以外は…どこにでもいそうな好青年だ。
「空ちゃん…ルキアの処刑まであとどれくらい?」
「約18時間って所かな…
きょうだいが藍染達にやれてから6時間経ったよ」
「傷…治せる…?」
「完全には無理だ。
動けるまでにしても…それなりに時間がかかってしまう…」
天寧の体はもう満身創痍で、霊圧も消えかけている。救援も望めない今、自分にできるのは天寧を精神世界に引き止め、少しずつ回復させる事だけだ。
「…きょうだい…きょうだいはもう十分に頑張ったよ…だから今はゆっくり休んで回復に専念してくれ」
「でも…行かないと…ルキアが…」
「彼女の事は一護君に任せよう。
きょうだいも解ってるんだろう?彼ならやれるって」
「そうだけど…私だけ倒れたままなんて」
「きょうだい…
オレはきょうだいに死んでほしくないよ。
こんな処で…独り寂しく死ぬなんて…オレは嫌だ」
「私は死なないわ」
「今にも、死にそうなのに…?」
藍染や市丸に負わされた傷は浅くはない。
血も本来なら死んでもおかしくない程出ているのだ、これ以上無理はしないでくれ…と天寧の手を握る。
「それでもよ…
お願い空ちゃん、行かせて」
「…
「
この強情さは誰に似たのやら…
空調は呆れたように溜息を吐き、困ったように笑った。
「…助けはオレが呼ぶからそれまで安静にしてね」
「Grazie…」
安心したように目を瞑った天寧を横目に
空調は天寧の傍に転がっている自身を手に取った。
「___包み相容れ光輪せよ…」
朽木ルキアの処刑まで__あと15時間
