尸魂界篇
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懐かしい記憶だ。
きっと夢を見ているのだろう…
とても懐かしくて…優しくて…残酷な夢だ。
「あなたが朽木ルキアさんね!
はじめまして、十三番隊の副隊長補佐をしてる志波天寧よ!よろしくね!それでこっちが、副隊長の…」
「副隊長の志波海燕だ!よろしくな!」
朽木家の養子が十三番隊に入る事になった。
突然決まった入隊に驚きはしたが、
あの口下手な白哉の事だ、きっと何かある…と察した天寧と海燕はルキアへの偏見や悪口を言う平隊士を払い除け、彼女と対面した。
「……………………はあ……どうも」
「…はあ、どうも?
何ンだその挨拶は!?」
「ひ…!?」
海燕は垂れた目をつり上げ、ルキアの頭を鷲掴みにすると青筋を立て詰め寄った。
その姿はあまりにも恐ろしく、ルキアは小さく悲鳴をあげた。
「副隊長とその補佐が名乗ってんだぞ!
オメーも名乗って“よろしくお願いします!”だろうが!
名は何だ…ぶへぇ!?」
「……………」
途端海燕が殴り飛ばされ、襖が壊れた。
何が起こったのかとルキアが確認する前に
柔らかな温もりに包まれた。
「んもう!兄さんってば意地悪しないの!
女の子には優しくって言ってるじゃない!
髪もボサボサになっちゃって…大丈夫?」
とても小さな女の子だった。
憂いを帯びた、小さな小さな女の子だった。
紫がかった黒い瞳を覗き込んで微笑むと
彼女は少し頬を赤らめ、“大丈夫、です…”と小さな声で呟いた。
「いっつつ…おいコラぁ!!何すんだ天寧!!」
「Non mi rompere !
新人を怖がらせるなんて兄さんってば悪い人!」
「天寧〜!そんな事言うなよぉ!」
「知らない!
…えーっと、朽木ルキアさん…で合ってるわよね?
兄さんの事は放っておいていいから、まずは元気な挨拶からやろう!
朽木ルキアです、よろしくお願いします!ってね!」
ほら!と促せば、おずおずと“朽木ルキア…です…”と返ってくる。
「よ…よろしくお願いします…」
「元気がないわよ!
よろしくお願いします!!はい!」
「よ…よろしくお願いします!!」
「Bravo!よくできました!
ほら、兄さん!ちゃんと挨拶できてるわよ!」
「よッし!オッケーだ、ルキア!
オメーを十三番隊に歓迎する!
十三番隊 は隊長が体弱くてな!
殆ど俺と天寧が仕切ってんだ!
だから俺のこと、時々間違えて“海燕隊長”って呼んでいいぜ!」
そう言って海燕は朗らかに笑う。
天寧も柔らかな笑みを浮かべルキアの手を握った。
凡庸な出会い、凡庸な挨拶、凡庸な怒声
凡庸な部下と上司の関係。
けれど握られた手の温もりは…
今まで感じた事のない安心感をくれたのだと、
後にルキアは語ってくれた。
ーーーーーーーーーーー
「はい、ちゃんと水分摂るのよ」
ルキアが十三番隊に入隊して数日…
思いに耽る事が多いルキアを天寧と海燕は気にかけていた。
あの朽木家の…しかもあの白哉の義妹として
流魂街から引き取られたのだ。
ルキアにも思う所はあるのだろう。
「白哉とは上手くやれてる?」
「…わかりません…兄様の思考など…私にはとても…」
「…あの頑固者でわからず屋なびゃっくんと付き合うのは大変よね」
「天寧殿は…
兄様と幼馴染なんですよね…?海燕殿からお聞きしました…」
「親同士が仲良かっただけ…って言いたいけど…
私も昔は、白哉のお祖父様に可愛がってもらったし
白哉ともたくさん手合わせとかしてたからさ
それなりに仲良いと思ってるわよ。
でも…もう仲良くなんてないんだわ」
「え?」
「白哉の父親が亡くなってから…
ううん、白哉の両親が亡くなって、白哉が朽木家の当主になってから変わってね…あれだけ私に勝負を吹っかけてきた白哉が急に私を避け始めたの」
「兄様が…勝負を?」
「えぇ、それが私と白哉の手合わせをする合図だった。でもある日からそれがパタリと無くなってしまって…私は白哉に問いかけたの。
なんで避けるの、何かあったの、何かしたのって
でも返ってきたのは“もう兄に構う事はない”…だったわ」
“だから私と白哉はもう…友達でもないのよ”と言う天寧の横顔は今にも消えそうな炎のようだった。
「だからね、私も白哉の考えてる事が何なのか
わからなくなっちゃって…
何で急にルキアを養子にしたのかーとか
何でルキアへの対応が冷たいのかーとか
もうわからないのよ。情けない事にね」
「そ、そんな事は…!」
「Grazie.ありがとう、ルキア。
でも私ね、ルキアが来てくれた時から少し希望を持ち始めたの」
「希望…ですか…?」
「えぇ、そうよ。
これからルキアともっと仲良くなったら
白哉が嫉妬して私に勝負を吹っかけに来るかもーって!」
「………えぇ…」
憂いを帯びた表情から一変、いたずらっ子のように笑う天寧にルキアは拍子抜けした。
「そうだわ!ルキア!私の事“お姉ちゃん”って呼んでみて!」
「えぇ!?」
「私達が擬似姉妹になればあの鉄仮面も少しは歪む筈よ!!うん!いい作戦!!」
「わ、私のような者が天寧殿を姉だなんて…!」
「これは上官命令よルキア!
さぁ!Ripeti dopo di me !」
「えええええええ」
きっと夢を見ているのだろう…
とても懐かしくて…優しくて…残酷な夢だ。
「あなたが朽木ルキアさんね!
はじめまして、十三番隊の副隊長補佐をしてる志波天寧よ!よろしくね!それでこっちが、副隊長の…」
「副隊長の志波海燕だ!よろしくな!」
朽木家の養子が十三番隊に入る事になった。
突然決まった入隊に驚きはしたが、
あの口下手な白哉の事だ、きっと何かある…と察した天寧と海燕はルキアへの偏見や悪口を言う平隊士を払い除け、彼女と対面した。
「……………………はあ……どうも」
「…はあ、どうも?
何ンだその挨拶は!?」
「ひ…!?」
海燕は垂れた目をつり上げ、ルキアの頭を鷲掴みにすると青筋を立て詰め寄った。
その姿はあまりにも恐ろしく、ルキアは小さく悲鳴をあげた。
「副隊長とその補佐が名乗ってんだぞ!
オメーも名乗って“よろしくお願いします!”だろうが!
名は何だ…ぶへぇ!?」
「……………」
途端海燕が殴り飛ばされ、襖が壊れた。
何が起こったのかとルキアが確認する前に
柔らかな温もりに包まれた。
「んもう!兄さんってば意地悪しないの!
女の子には優しくって言ってるじゃない!
髪もボサボサになっちゃって…大丈夫?」
とても小さな女の子だった。
憂いを帯びた、小さな小さな女の子だった。
紫がかった黒い瞳を覗き込んで微笑むと
彼女は少し頬を赤らめ、“大丈夫、です…”と小さな声で呟いた。
「いっつつ…おいコラぁ!!何すんだ天寧!!」
「
新人を怖がらせるなんて兄さんってば悪い人!」
「天寧〜!そんな事言うなよぉ!」
「知らない!
…えーっと、朽木ルキアさん…で合ってるわよね?
兄さんの事は放っておいていいから、まずは元気な挨拶からやろう!
朽木ルキアです、よろしくお願いします!ってね!」
ほら!と促せば、おずおずと“朽木ルキア…です…”と返ってくる。
「よ…よろしくお願いします…」
「元気がないわよ!
よろしくお願いします!!はい!」
「よ…よろしくお願いします!!」
「Bravo!よくできました!
ほら、兄さん!ちゃんと挨拶できてるわよ!」
「よッし!オッケーだ、ルキア!
オメーを十三番隊に歓迎する!
殆ど俺と天寧が仕切ってんだ!
だから俺のこと、時々間違えて“海燕隊長”って呼んでいいぜ!」
そう言って海燕は朗らかに笑う。
天寧も柔らかな笑みを浮かべルキアの手を握った。
凡庸な出会い、凡庸な挨拶、凡庸な怒声
凡庸な部下と上司の関係。
けれど握られた手の温もりは…
今まで感じた事のない安心感をくれたのだと、
後にルキアは語ってくれた。
ーーーーーーーーーーー
「はい、ちゃんと水分摂るのよ」
ルキアが十三番隊に入隊して数日…
思いに耽る事が多いルキアを天寧と海燕は気にかけていた。
あの朽木家の…しかもあの白哉の義妹として
流魂街から引き取られたのだ。
ルキアにも思う所はあるのだろう。
「白哉とは上手くやれてる?」
「…わかりません…兄様の思考など…私にはとても…」
「…あの頑固者でわからず屋なびゃっくんと付き合うのは大変よね」
「天寧殿は…
兄様と幼馴染なんですよね…?海燕殿からお聞きしました…」
「親同士が仲良かっただけ…って言いたいけど…
私も昔は、白哉のお祖父様に可愛がってもらったし
白哉ともたくさん手合わせとかしてたからさ
それなりに仲良いと思ってるわよ。
でも…もう仲良くなんてないんだわ」
「え?」
「白哉の父親が亡くなってから…
ううん、白哉の両親が亡くなって、白哉が朽木家の当主になってから変わってね…あれだけ私に勝負を吹っかけてきた白哉が急に私を避け始めたの」
「兄様が…勝負を?」
「えぇ、それが私と白哉の手合わせをする合図だった。でもある日からそれがパタリと無くなってしまって…私は白哉に問いかけたの。
なんで避けるの、何かあったの、何かしたのって
でも返ってきたのは“もう兄に構う事はない”…だったわ」
“だから私と白哉はもう…友達でもないのよ”と言う天寧の横顔は今にも消えそうな炎のようだった。
「だからね、私も白哉の考えてる事が何なのか
わからなくなっちゃって…
何で急にルキアを養子にしたのかーとか
何でルキアへの対応が冷たいのかーとか
もうわからないのよ。情けない事にね」
「そ、そんな事は…!」
「Grazie.ありがとう、ルキア。
でも私ね、ルキアが来てくれた時から少し希望を持ち始めたの」
「希望…ですか…?」
「えぇ、そうよ。
これからルキアともっと仲良くなったら
白哉が嫉妬して私に勝負を吹っかけに来るかもーって!」
「………えぇ…」
憂いを帯びた表情から一変、いたずらっ子のように笑う天寧にルキアは拍子抜けした。
「そうだわ!ルキア!私の事“お姉ちゃん”って呼んでみて!」
「えぇ!?」
「私達が擬似姉妹になればあの鉄仮面も少しは歪む筈よ!!うん!いい作戦!!」
「わ、私のような者が天寧殿を姉だなんて…!」
「これは上官命令よルキア!
さぁ!
「えええええええ」
