尸魂界篇
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隊首室の整理をしていた時、
不意に日番谷がある物を見つけ松本に声をかけた。
「松本」
「何ですかー…って隊長…それ…」
日番谷が見つけたのは一通の手紙で、
宛名は雛森となっていた。温厚で部下思いな藍染の事だ、きっと何かあった時の為に書いておいたのだろう。
『天寧へ』
「………」
嫌な事を思い出した…と天寧は頭 を振り、整理する手を進める。するといつの間に横にいたのか日番谷に顔を覗き込まれた。
「天寧、大丈夫か」
「…大丈夫よ…ってあれ?乱菊は?」
「雛森にあの手紙を渡すように言いつけた。
処分される前に渡しとくべきだろ」
“そうね”と言いたかったのに言えなかった。
胸に渦巻く違和感…その正体が解らず天寧は息を詰まらせる事しかできなかった。
「天寧?」
「…何があった、天寧」
明らかに様子がおかしい。
海燕は天寧を抱き寄せると安心させるように背中を擦った…が、天寧はその手を振り払い踵を返した。
「私、桃の所に行ってくる」
“嫌な予感がする”と言い残し、
松本と入れ違いながら部屋を出ていった。
「天寧、どうしたんです?」
「…嫌な予感がするんだと」
「え?」
海燕は険しい顔をしたまま藍染の死体が発見される前と後の事を話した。天寧の直感力は尸魂界一…故に無視はできないと判断した。
「天寧自身、まだ解らない事だらけだからって詳しくは教えてくれなかったが…警戒はしておけよ」
ーーーーーーーーーー
五番隊 第一特別拘禁牢
雛森は見るからに窶れ、小さくなり、震えていた。
手には一通の手紙。
天寧は直感した。あれは駄目だと。
歯を食いしばり、雛森に声をかけた。
「桃」
「っ!!天寧…さ…っ!!」
雛森は目に涙を溜め、顔を青褪めながら牢屋越しに手を伸ばす。その手を取り、優しく握り返すも雛森は嗚咽を漏らし涙を流し続ける。
「落ち着いて…落ち着くのよ…桃」
落ち着いて…と優しい声が木霊する。
そうだ、いつだって…
『あなたが雛森桃さんね、はじめまして。
十三番隊副隊長補佐をしている志波天寧よ』
初めて会った日から
この人はずっと、私を見てくれた。
憧れの藍染隊長の役に立ちたくて…力をつけたかったあたしに天寧さんは寄り添ってくれた。
憧れの人が増えた。
綺麗で、凛々しくて、でも朗らかで、優しくて、
ちょっぴり面倒臭がり屋だけど、それでも…
「桃」
「天寧さんっ…」
藍染の手紙に書かれていた“真実”は雛森を動揺させた。その動揺は天寧にも伝わっており、炎のような橙が手紙へと向けられる。
「桃、私は冬獅郎を信じてるわ」
「っ!!」
俯いていた顔が勢いよく上がって、涙が弾ける。
“なんで…”と言いたげな顔をしている雛森の頬を撫で、天寧は真剣な面持ちで雛森を見つめた。
「冬獅郎は私の愛する人だから」
愛する人を疑うなんてこと、私にはできないわ。
そう伝えると雛森はまた顔を歪め、持っていた手紙を握り締めた。
『雛森くん、きみがこの手紙を読んでいるのなら
僕はきっと帰ることができなかったのだろうね。
きみには色々と心配をかけたね。
そのことはどんなに労いの言葉を重ねても
足りることはないと思っているよ。
今まで、僕はきみに僕の感じる不安について語ったことはなかった。だけどそれはきみを巻き込みたくなかったからだということを、わかってほしい。
そしてどうか許してほしい。
ここまできて、きみを巻き込んでしまう僕のことを。
僕は恐らく、すでに生きてはいないだろう。
だから僕の最も信頼するきみのために、
僕の暴いた真実のすべてをここに記す』
雛森は迷った。
この手紙の事を、天寧に話す事を。
この手紙に記された真実は天寧を傷つけてしまう。
「(だって…だって…
藍染隊長を殺したその人は…天寧さんを…!!)」
ギュッと力強く握り締める手と、強く瞑られた目。
それだけでどれだけ彼女が苦しんでいるのかがよくわかる。だからこそ、天寧は…
「桃」
「っ…」
優しく声をかけた。
壊さぬように、包み込むように、
優しく…思わず泣いてしまいそうになるほど…
「桃が何を見て、何を思うのか…私にはわからない。
でもね、私は私を愛してくれる人を信じるわ」
「天寧さ…」
天寧は立ち上がり、優しい笑みを浮かべる。
自分の悩みがどうでもよくなりそうな…晴れ渡る青空を彷彿とさせる、優しく朗らかな笑みだった。
「それに、私ね。
冬獅郎になら、殺されたって構わないわ」
不意に日番谷がある物を見つけ松本に声をかけた。
「松本」
「何ですかー…って隊長…それ…」
日番谷が見つけたのは一通の手紙で、
宛名は雛森となっていた。温厚で部下思いな藍染の事だ、きっと何かあった時の為に書いておいたのだろう。
『天寧へ』
「………」
嫌な事を思い出した…と天寧は
「天寧、大丈夫か」
「…大丈夫よ…ってあれ?乱菊は?」
「雛森にあの手紙を渡すように言いつけた。
処分される前に渡しとくべきだろ」
“そうね”と言いたかったのに言えなかった。
胸に渦巻く違和感…その正体が解らず天寧は息を詰まらせる事しかできなかった。
「天寧?」
「…何があった、天寧」
明らかに様子がおかしい。
海燕は天寧を抱き寄せると安心させるように背中を擦った…が、天寧はその手を振り払い踵を返した。
「私、桃の所に行ってくる」
“嫌な予感がする”と言い残し、
松本と入れ違いながら部屋を出ていった。
「天寧、どうしたんです?」
「…嫌な予感がするんだと」
「え?」
海燕は険しい顔をしたまま藍染の死体が発見される前と後の事を話した。天寧の直感力は尸魂界一…故に無視はできないと判断した。
「天寧自身、まだ解らない事だらけだからって詳しくは教えてくれなかったが…警戒はしておけよ」
ーーーーーーーーーー
五番隊 第一特別拘禁牢
雛森は見るからに窶れ、小さくなり、震えていた。
手には一通の手紙。
天寧は直感した。あれは駄目だと。
歯を食いしばり、雛森に声をかけた。
「桃」
「っ!!天寧…さ…っ!!」
雛森は目に涙を溜め、顔を青褪めながら牢屋越しに手を伸ばす。その手を取り、優しく握り返すも雛森は嗚咽を漏らし涙を流し続ける。
「落ち着いて…落ち着くのよ…桃」
落ち着いて…と優しい声が木霊する。
そうだ、いつだって…
『あなたが雛森桃さんね、はじめまして。
十三番隊副隊長補佐をしている志波天寧よ』
初めて会った日から
この人はずっと、私を見てくれた。
憧れの藍染隊長の役に立ちたくて…力をつけたかったあたしに天寧さんは寄り添ってくれた。
憧れの人が増えた。
綺麗で、凛々しくて、でも朗らかで、優しくて、
ちょっぴり面倒臭がり屋だけど、それでも…
「桃」
「天寧さんっ…」
藍染の手紙に書かれていた“真実”は雛森を動揺させた。その動揺は天寧にも伝わっており、炎のような橙が手紙へと向けられる。
「桃、私は冬獅郎を信じてるわ」
「っ!!」
俯いていた顔が勢いよく上がって、涙が弾ける。
“なんで…”と言いたげな顔をしている雛森の頬を撫で、天寧は真剣な面持ちで雛森を見つめた。
「冬獅郎は私の愛する人だから」
愛する人を疑うなんてこと、私にはできないわ。
そう伝えると雛森はまた顔を歪め、持っていた手紙を握り締めた。
『雛森くん、きみがこの手紙を読んでいるのなら
僕はきっと帰ることができなかったのだろうね。
きみには色々と心配をかけたね。
そのことはどんなに労いの言葉を重ねても
足りることはないと思っているよ。
今まで、僕はきみに僕の感じる不安について語ったことはなかった。だけどそれはきみを巻き込みたくなかったからだということを、わかってほしい。
そしてどうか許してほしい。
ここまできて、きみを巻き込んでしまう僕のことを。
僕は恐らく、すでに生きてはいないだろう。
だから僕の最も信頼するきみのために、
僕の暴いた真実のすべてをここに記す』
雛森は迷った。
この手紙の事を、天寧に話す事を。
この手紙に記された真実は天寧を傷つけてしまう。
「(だって…だって…
藍染隊長を殺したその人は…天寧さんを…!!)」
ギュッと力強く握り締める手と、強く瞑られた目。
それだけでどれだけ彼女が苦しんでいるのかがよくわかる。だからこそ、天寧は…
「桃」
「っ…」
優しく声をかけた。
壊さぬように、包み込むように、
優しく…思わず泣いてしまいそうになるほど…
「桃が何を見て、何を思うのか…私にはわからない。
でもね、私は私を愛してくれる人を信じるわ」
「天寧さ…」
天寧は立ち上がり、優しい笑みを浮かべる。
自分の悩みがどうでもよくなりそうな…晴れ渡る青空を彷彿とさせる、優しく朗らかな笑みだった。
「それに、私ね。
冬獅郎になら、殺されたって構わないわ」
