ファイル島編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれから…あの浜辺から移動したみんなは
目の前に広がる海を見つめていた。
「ねぇ、律〜」
「……ルーチェモン……」
「おんがく、また触らせて欲しいな〜
「……ハープ…」
「はーぷ?」
律はそう言ってハープを指差す。
それに?を浮かべたルーチェモンは
ハープに手を伸ばして音を奏でる。
「……ハープ、この楽器…」
「おんがくじゃないの?」
「音楽はその総称ってやつだ。
律の持ってるハープで
音楽を奏でるんだよ」
「太一…」
ポンッと頭に手が置かれ、
律の隣に立っていた太一が説明する。
学校では見ない光景に
ヤマトたちは信じられないものを見る目で太一を見ていた。
「太一ってば律ちゃんに対して過保護よね」
「仕方がありません、
今律さんを引っ張れるのは太一さんしかいませんから」
「それにしてもじゃないか?
あの太一が誰かに説明するなんて…
まさかこのデジタルワールドに来たのも太一のせいか!?」
「丈ー!聞こえてるからなー!!」
「「「あはは!!」」」
丈の言葉に憤慨した太一の声が響き
子供たちもデジモンたちも笑いが出る。
律は相変わらず無表情で
ルーチェモンはまた?を浮かべた。
「律…?」
「……そういやアグモン!」
「なぁに、太一?」
「お前、なんでまたグレイモンからアグモンに戻っちゃったんだよ?」
「それは…」
「それは?」
「ボクにもよくわかんないや!」
「ええ!?」
アグモンにもわからない進化の謎に
困惑していると何やら鳴き声が聞こえ
近くにあった岩が壊れる。
そこから黒い恐竜のようなデジモンが現れた。
「なんだ、あれは!?」
「モノクロモンや、
でも大人しいデジモンやさかい
心配せんでもええやろ」
テントモンはそう言うが
モノクロモンはこちらに向かって歩いて来る。
「そんな事言ったってこっちに向かって来るぞ!?」
「やだー!!」
モノクロモンが吠えると、
背後からまた違うモノクロモンが現れた。
「っまずい!挟み撃ちにされた!」
「みんな逃げろ!!」
慌てて逃げると、モノクロモン同士で争い始め、立派なツノ同士がぶつかり合う。
「あいつら仲間同士で戦ってる!」
「なぜだ!?」
「縄張り争いでっしゃろな」
「今の内に行きましょ!」
「待ってよパルモン!
自分だけ先に逃げないでよー!」
「律もー!」
「……」
ルーチェモンと太一に手を引かれ走るが
律の視線はずっとモノクロモンたちの方だった。
すると走っていたタケルが転けてしまい、パタモンとヤマトが足を止める。
「タケル!」
「大丈夫か!?」
「平気だよな!タケル!」
「うん!」
だが太一の言葉ですぐ立ち上がり
ヤマトの方を見向きもせず走る。
ずっと律の耳に残っていたモノクロモンの鳴き声と争う音が下へ落ちていく音に変わり、律はそっと顔を前に向けた。
何時間歩いたのか、
空は赤くなっていき夕方のようになっていた。
「もう疲れた…」
「律、疲れてないか?」
「……平気…」
「無理しちゃダメよ?
そうだ!私が抱き上げてあげる!」
「律の事落としそうだからダメ」
「そんな事しないわよ!!」
「……」
「律〜一緒に行こ〜」
「……アグモン…」
ギリギリと睨み合っている太一とルーチェモンを他所にアグモンに手を引かれる律。
「「アグモン!!」」
だがすぐにバレて律の手は
太一とルーチェモンに奪われてしまった。
「ボクも律と手繋ぐー!」
「ルーチェモン、アグモンと交代しろよ」
「なんでよ!?
律のパートナーはこの私よ!?」
「俺は律の兄貴分だし?
律は俺と一緒がいいよなー?」
しばらく2人を見ていた律だが
横でしょぼくれているアグモンに目を向け、手を出した。
「……アグモン、一緒…」
「!!うん!一緒に行こ〜!」
「「……」」
見事にフラレた2人は顔を見合わせると
律の横を巡る争いに切り替える。
するとテントモンの〝匂う!〟という叫び声が響き、動きを止めた。
「匂いまっせ!!真水の匂いや!!
あー!!飲み水確保や!
湖!湖でっせ!!あそこでキャンプしまへんか!?」
「あたし賛成〜もうこれ以上歩けない〜」
「……俺も今日はここまでにした方がいいと思う」
「みんな疲れて、腹も減って来たしな」
「よし!今夜はあそこでキャンプだ!」
少し歩くと、大きな湖のある場所に出て、
みんなの顔が輝く。
「ねぇ、キャンプってつまり野宿ってこと?」
「まっ、そうなるな!」
「うそー…」
すると、〝ブゥゥゥン…〟と不思議な音を立てて離小島にある路面電車のライトが点く。
「路面電車だー!」
「どうしてこんな所に…」
「ねぇ!誰か中にいるんじゃないの!?」
路面電車は湖に浮かぶ小さな島にあり
子供たちは急いでそこに向かう。
太一を先頭に中に入るが、中には誰もいなかった。
「誰もいない!」
「本当!」
「まだ新しいですね…」
「ちゃんとクッション利いてる!」
「しかしわかんねぇなー
この間の海辺の電話といいどうなってんだー?」
「……動く…?」
「そんな訳ないだろ?
線路なんてないんだから」
「この中なら眠れそうね」
「その前にそろそろ飯にしまへんか?」
テントモンの言葉により
それぞれ分担してご飯を取りに行く。
デジモンたちに見てもらい 食べられるもの、食べられないものを見極めながら食材を集めていった。
「……こう…やってた…」
「お!よく覚えてるな律!」
「律ちゃんもキャンプしたことあるの?」
「俺んちでやってたんだよ!
父さんに教えて貰ってたもんな!」
「……火…わからない…」
石を集め、集めた木と落ち葉を中に入れるが、肝心の火の点け方がわからず心なしか顔を俯かせている。
だがそこへ〝ボクに任せて!〟と
アグモンがやって来てベビーフレイムで火が灯した。
「お!役に立つじゃんアグモン!」
「えへへ、律ーボクすごいでしょー?」
「……すごい……
……ありがとう…」
「えへへ、どういたしまして!」
光子郎やタケルが取ってきてくれた魚を早速焼こうとするが、そのまま火につけようとした太一にヤマトが止めに入る。
「そんな事したら身が崩れるだけだろ?
それに魚は遠火で焼くもんだ」
「やけに詳しいなヤマト」
準備が終わると辺りは完全に暗くなり
月が登っていた。
みんなは採れたての魚や果物を食べ 一日で溜まった疲労を癒やしていく。
「……」
「美味いか?」
「……うまい……」
「…そっか、 骨あるからゆっくり食べろよ」
「……うん……」
そう言いつつ、頭から食べていく太一と律。2人を見ていたタケルも、それに倣って頭から食べ始める。
「お、タケルも大胆だな!」
「太一さんたちのマネ!
美味しそうだった!」
「そうだろ?美味いだろ!」
「……」
無心で食べていると、横から綺麗に切られた果物が差し出され 律はそれと差し出しているルーチェモンを交互に見る。
「これも美味しいわよ!一緒に食べましょ!」
「……うん…」
みんなで食を楽しみ、腹も満たされた所で律の元にタケルがやってきた。
「律ちゃん!」
「……タケルくん……」
「おしゃべりしよ!」
「……おしゃべり……」
「うん!律ちゃんは太一さんの妹なの?」
「……妹…ヒカリちゃん」
「ヒカリちゃん?」
「……太一の妹はヒカリちゃん…
僕は…ちがいます…」
「僕?律は男の子なの?」
「……わかりません…」
「え?」
「…よく、わかりません…
…太一は…弟と妹…両方言います…」
「…そっかー…
あ!なら律くんの方がいいのかな?」
「……どちらでも…構いません…」
「むー…じゃあ律ちゃん!」
「……はい…」
「うん!律ちゃん!」
ニコニコと笑顔で話しかけてくるタケルに律は珍しく口を開く。
「……タケルくん…」
「ん?なぁに?」
「……あなたとヤマトさん、似てます…」
「!どこ!?どこが似てる!?」
「……音……」
「?今、何て言ったの?」
「……髪の色と目の色…似てます…」
ポツ…ポツ…と呟くような声音で話す律の言葉を聞き逃さないよう耳を傾ける。
何も話さない子だと思っていたが、案外そうでもないかもしれない。
そう思ったタケルは頬を緩めて律に話しかける。
「僕とお兄ちゃんは兄弟なんだよ!」
「……兄弟……名字、違います……」
「……うん、
お父さんとお母さん、ケンカしちゃったの」
「……ケンカ……」
「それで僕とお母さんとお父さんとお兄ちゃんは離れ離れになっちゃった。
……なんで、ケンカするんだろうね」
「……太一とヒカリちゃんも、よく、やってます…」
「え?」
「……2人がご飯、取り合って…
それで最後は…おばさんに叱られて仲直りしてました…
……ケンカをしたら、仲直り……
おじさんはそう言ってました…」
「ケンカをしたら…仲直り…
……お父さんとお母さんもそうなのかな?」
「……」
律はそれ以上は言わず
ただ湖を眺めていた。
タケルも何も言わず、パタモンたちが来るまで律と共に湖を眺めていた。
目の前に広がる海を見つめていた。
「ねぇ、律〜」
「……ルーチェモン……」
「おんがく、また触らせて欲しいな〜
「……ハープ…」
「はーぷ?」
律はそう言ってハープを指差す。
それに?を浮かべたルーチェモンは
ハープに手を伸ばして音を奏でる。
「……ハープ、この楽器…」
「おんがくじゃないの?」
「音楽はその総称ってやつだ。
律の持ってるハープで
音楽を奏でるんだよ」
「太一…」
ポンッと頭に手が置かれ、
律の隣に立っていた太一が説明する。
学校では見ない光景に
ヤマトたちは信じられないものを見る目で太一を見ていた。
「太一ってば律ちゃんに対して過保護よね」
「仕方がありません、
今律さんを引っ張れるのは太一さんしかいませんから」
「それにしてもじゃないか?
あの太一が誰かに説明するなんて…
まさかこのデジタルワールドに来たのも太一のせいか!?」
「丈ー!聞こえてるからなー!!」
「「「あはは!!」」」
丈の言葉に憤慨した太一の声が響き
子供たちもデジモンたちも笑いが出る。
律は相変わらず無表情で
ルーチェモンはまた?を浮かべた。
「律…?」
「……そういやアグモン!」
「なぁに、太一?」
「お前、なんでまたグレイモンからアグモンに戻っちゃったんだよ?」
「それは…」
「それは?」
「ボクにもよくわかんないや!」
「ええ!?」
アグモンにもわからない進化の謎に
困惑していると何やら鳴き声が聞こえ
近くにあった岩が壊れる。
そこから黒い恐竜のようなデジモンが現れた。
「なんだ、あれは!?」
「モノクロモンや、
でも大人しいデジモンやさかい
心配せんでもええやろ」
テントモンはそう言うが
モノクロモンはこちらに向かって歩いて来る。
「そんな事言ったってこっちに向かって来るぞ!?」
「やだー!!」
モノクロモンが吠えると、
背後からまた違うモノクロモンが現れた。
「っまずい!挟み撃ちにされた!」
「みんな逃げろ!!」
慌てて逃げると、モノクロモン同士で争い始め、立派なツノ同士がぶつかり合う。
「あいつら仲間同士で戦ってる!」
「なぜだ!?」
「縄張り争いでっしゃろな」
「今の内に行きましょ!」
「待ってよパルモン!
自分だけ先に逃げないでよー!」
「律もー!」
「……」
ルーチェモンと太一に手を引かれ走るが
律の視線はずっとモノクロモンたちの方だった。
すると走っていたタケルが転けてしまい、パタモンとヤマトが足を止める。
「タケル!」
「大丈夫か!?」
「平気だよな!タケル!」
「うん!」
だが太一の言葉ですぐ立ち上がり
ヤマトの方を見向きもせず走る。
ずっと律の耳に残っていたモノクロモンの鳴き声と争う音が下へ落ちていく音に変わり、律はそっと顔を前に向けた。
何時間歩いたのか、
空は赤くなっていき夕方のようになっていた。
「もう疲れた…」
「律、疲れてないか?」
「……平気…」
「無理しちゃダメよ?
そうだ!私が抱き上げてあげる!」
「律の事落としそうだからダメ」
「そんな事しないわよ!!」
「……」
「律〜一緒に行こ〜」
「……アグモン…」
ギリギリと睨み合っている太一とルーチェモンを他所にアグモンに手を引かれる律。
「「アグモン!!」」
だがすぐにバレて律の手は
太一とルーチェモンに奪われてしまった。
「ボクも律と手繋ぐー!」
「ルーチェモン、アグモンと交代しろよ」
「なんでよ!?
律のパートナーはこの私よ!?」
「俺は律の兄貴分だし?
律は俺と一緒がいいよなー?」
しばらく2人を見ていた律だが
横でしょぼくれているアグモンに目を向け、手を出した。
「……アグモン、一緒…」
「!!うん!一緒に行こ〜!」
「「……」」
見事にフラレた2人は顔を見合わせると
律の横を巡る争いに切り替える。
するとテントモンの〝匂う!〟という叫び声が響き、動きを止めた。
「匂いまっせ!!真水の匂いや!!
あー!!飲み水確保や!
湖!湖でっせ!!あそこでキャンプしまへんか!?」
「あたし賛成〜もうこれ以上歩けない〜」
「……俺も今日はここまでにした方がいいと思う」
「みんな疲れて、腹も減って来たしな」
「よし!今夜はあそこでキャンプだ!」
少し歩くと、大きな湖のある場所に出て、
みんなの顔が輝く。
「ねぇ、キャンプってつまり野宿ってこと?」
「まっ、そうなるな!」
「うそー…」
すると、〝ブゥゥゥン…〟と不思議な音を立てて離小島にある路面電車のライトが点く。
「路面電車だー!」
「どうしてこんな所に…」
「ねぇ!誰か中にいるんじゃないの!?」
路面電車は湖に浮かぶ小さな島にあり
子供たちは急いでそこに向かう。
太一を先頭に中に入るが、中には誰もいなかった。
「誰もいない!」
「本当!」
「まだ新しいですね…」
「ちゃんとクッション利いてる!」
「しかしわかんねぇなー
この間の海辺の電話といいどうなってんだー?」
「……動く…?」
「そんな訳ないだろ?
線路なんてないんだから」
「この中なら眠れそうね」
「その前にそろそろ飯にしまへんか?」
テントモンの言葉により
それぞれ分担してご飯を取りに行く。
デジモンたちに見てもらい 食べられるもの、食べられないものを見極めながら食材を集めていった。
「……こう…やってた…」
「お!よく覚えてるな律!」
「律ちゃんもキャンプしたことあるの?」
「俺んちでやってたんだよ!
父さんに教えて貰ってたもんな!」
「……火…わからない…」
石を集め、集めた木と落ち葉を中に入れるが、肝心の火の点け方がわからず心なしか顔を俯かせている。
だがそこへ〝ボクに任せて!〟と
アグモンがやって来てベビーフレイムで火が灯した。
「お!役に立つじゃんアグモン!」
「えへへ、律ーボクすごいでしょー?」
「……すごい……
……ありがとう…」
「えへへ、どういたしまして!」
光子郎やタケルが取ってきてくれた魚を早速焼こうとするが、そのまま火につけようとした太一にヤマトが止めに入る。
「そんな事したら身が崩れるだけだろ?
それに魚は遠火で焼くもんだ」
「やけに詳しいなヤマト」
準備が終わると辺りは完全に暗くなり
月が登っていた。
みんなは採れたての魚や果物を食べ 一日で溜まった疲労を癒やしていく。
「……」
「美味いか?」
「……うまい……」
「…そっか、 骨あるからゆっくり食べろよ」
「……うん……」
そう言いつつ、頭から食べていく太一と律。2人を見ていたタケルも、それに倣って頭から食べ始める。
「お、タケルも大胆だな!」
「太一さんたちのマネ!
美味しそうだった!」
「そうだろ?美味いだろ!」
「……」
無心で食べていると、横から綺麗に切られた果物が差し出され 律はそれと差し出しているルーチェモンを交互に見る。
「これも美味しいわよ!一緒に食べましょ!」
「……うん…」
みんなで食を楽しみ、腹も満たされた所で律の元にタケルがやってきた。
「律ちゃん!」
「……タケルくん……」
「おしゃべりしよ!」
「……おしゃべり……」
「うん!律ちゃんは太一さんの妹なの?」
「……妹…ヒカリちゃん」
「ヒカリちゃん?」
「……太一の妹はヒカリちゃん…
僕は…ちがいます…」
「僕?律は男の子なの?」
「……わかりません…」
「え?」
「…よく、わかりません…
…太一は…弟と妹…両方言います…」
「…そっかー…
あ!なら律くんの方がいいのかな?」
「……どちらでも…構いません…」
「むー…じゃあ律ちゃん!」
「……はい…」
「うん!律ちゃん!」
ニコニコと笑顔で話しかけてくるタケルに律は珍しく口を開く。
「……タケルくん…」
「ん?なぁに?」
「……あなたとヤマトさん、似てます…」
「!どこ!?どこが似てる!?」
「……音……」
「?今、何て言ったの?」
「……髪の色と目の色…似てます…」
ポツ…ポツ…と呟くような声音で話す律の言葉を聞き逃さないよう耳を傾ける。
何も話さない子だと思っていたが、案外そうでもないかもしれない。
そう思ったタケルは頬を緩めて律に話しかける。
「僕とお兄ちゃんは兄弟なんだよ!」
「……兄弟……名字、違います……」
「……うん、
お父さんとお母さん、ケンカしちゃったの」
「……ケンカ……」
「それで僕とお母さんとお父さんとお兄ちゃんは離れ離れになっちゃった。
……なんで、ケンカするんだろうね」
「……太一とヒカリちゃんも、よく、やってます…」
「え?」
「……2人がご飯、取り合って…
それで最後は…おばさんに叱られて仲直りしてました…
……ケンカをしたら、仲直り……
おじさんはそう言ってました…」
「ケンカをしたら…仲直り…
……お父さんとお母さんもそうなのかな?」
「……」
律はそれ以上は言わず
ただ湖を眺めていた。
タケルも何も言わず、パタモンたちが来るまで律と共に湖を眺めていた。