ファイル島編
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「なんてことだ…
ここは本当に、島だったんだ…」
ファイル島と言われ、
何となく察しはついていたものの
絶海の孤島だったと知ると肩を落とさずにはいられなかった。
後からヤマトたちも合流するも、
〝どうすればいいんだ〟と丈の叫び声が虚しく響いた…
ーーーーーーーーーー
「選ばれし子どもたちがやって来た」
「子どもたちだと…!? まさか…!!」
所変わりムゲンマウンテンの山道。
そこには正義の心を持つレオモンと
犬猿の仲であるオーガモン そしてデビモンがいた。
「些か、倒すのに時間がかかりそうなのでな」
怪しく嗤うデビモンにレオモンは怒りを顕にし拳を構える。
「ならば!
倒すべき相手は貴様だ、デビモン!
あの方の覚悟を無駄にするわけにはいかない!
獣王拳!!」
レオモンが放った技はデジモンをすり抜け
奥にある岩を砕く。
驚いているレオモンを嘲笑うデビモンは
影から手を伸ばした。
「甘いな…
そんな事で私が倒せると思ったか…
デスクロウ!!」
「ぐあああ!!」
「悪の洗礼を受けるが良い…
あの忌々しい子どもの覚悟など、
誰にも受け継がせはしない」
『レオモン…!!』
ーーーーーーーーーー
「太一ー? 何してるー?」
「地図を作ってるんだ。
これから何かの役に立つかもしれないからな」
ボーッとしている律と、
律の髪を撫でてるルーチェモンの横で太一が単眼鏡を覗きながら地図を書いている。
光子郎は〝それはいい考えですね〟と太一の描いた地図を見るが、どう見ても分かりづらいものであり固まった。
「とても役に立つとは思えん」
「太一って図工苦手だったよね」
「描いた本人がわかってるからいいんだよ!」
「地図なんか描いても無駄だよ…
もう、どうしようもないんだ…」
「どうして、こんな事になっちゃったのかしら…」
「ミミ……」
「………音……」
「?律ー?」
不意に律の耳がピクリと動き顔を上げる。
すると律の向いている方から爆発音が聞こえた。
そこに行ってみると、通り道であった場所が崩れていて、反対側にはレオモンがいた。
「あ!レオモンだ!」
「レオモンって?」
「レオモンは良いデジモン!」
「とっても強い、正義のデジモン!」
デジモンたちは笑顔で説明するも、
レオモンはグルル…とみんなを威嚇していた。
『今のレオモンは正気じゃない!!
みんな逃げてくれ!!』
「………逃げて……」
「「「え?」」」
「子どもたち…倒す!」
律がそう呟くと、レオモンは腰に下げている剣を取り、みんなに襲いかかって来た。
「逃げろ!!」
太一の言葉でみんなは逃げる。
途中、太一が地図を落とし
レオモンの足止めの為に放たれたベビーフレイムによって燃えたが、〝しょーがない!〟と振り切り先を急ぐ。
すると目の前にオーガモンが立ちふさがった。
「いらっしゃーい!!」
「「「!?」」」
「待ってたぜー!覚悟しな!!」
「オーガモンだ!」
「あれも本当は良いデジモンなの!?」
「正真正銘の悪い奴だよ!!」
「選ばれし子どもたち…倒す!」
前からはオーガモン、後ろからレオモンが迫ってきて、挟まれてしまう。
「最初から僕たちをここに追い込む作戦だったんですよ!」
「そんなぁ!
レオモンとオーガモンは敵同士なのに!」
迫ってくるオーガモンとレオモン。
デジモンたちは子どもたちを守ろうと飛び出した。
「アグモン進化…グレイモン!!」
「ガブモン進化…ガルルモン!!」
「パルモン進化…トゲモン!!」
「ピヨモン進化…バードラモン!!」
「テントモン進化…カブテリモン!!」
「ゴマモン進化…イッカクモン!!」
グレイモン、ガルルモン、 トゲモンはレオモンと対峙し バードラモン、カブテリモン、 イッカクモンはオーガモンと対峙する。
「進化したか…… ん?………ほう……」
空からその様子を見ていたデビモンは
律を見て口角を上げる。
『やめろっ!!』
すると律は
突然目を瞑りその場に倒れる。
「律!?」
「!律!!
ルーチェモン!律をこっちに!!」
突然倒れた律を抱き抱え、 ルーチェモンは岩場に隠れる。
レオモンとオーガモンももう少しで倒せる…そう思った所で、突如、上の岩場が崩れ、巨石が降ってきた。
「フォックスファイヤー!!」
「メテオウィング!!」
「メガブラスター!!」
「メガフレイム!!」
その巨石はデジモンたちによって崩され、
子どもたちに被害はなかったものの
デジモンたちは力尽きその場で進化が解けてしまった。
「あ!アグモン!!」
「大丈夫…ちょっと疲れただけ……」
「今日2回目の進化だからな…」
オーガモンとレオモンもいつの間にか消えていて、難が去ったと喜ぶ子どもたち。
だが太一はルーチェモンに抱えられている律を心配しながら、何やら考え込んでいた。
「どうした太一? 律が心配?」
「心配なのは当然だけど…
なんで急に崖が崩れたのかと思ってさ」
「向こう側の道が崩された時に
ヒビでも入っていたのかもしれませんよ」
「そっか… とりあえず先に進んで
律を休ませる場所を探さないとな」
ーーーーーーーーーー
「どう考えても変ですよ。
1日に2回の進化なんて」
「いーじゃねぇか!
おかげで助かったんだから!」
既に辺りは赤く染まっており
日が落ちてきた頃、安全な場所を求め山を降りる。
「ねぇ、デジモンたちがパワーアップしているとは考えられないかしら」
「そうか!その可能性もありますね!」
「だがそうだとしても、
流石にハードすぎたな…」
デジモンたちも疲れていて、
どこか休める場所をと辺りを見渡すと
家らしき建物を見つけた。
「やった!普通の建物だ!」
それは洋館らしき建物で 丈は〝今度こそ人間が住んでるに違いない!〟と顔を輝かせる。
「ぅ……」
「!律?大丈夫?」
「…………」
「…まだ、目が覚めないか……
にしても……」
「?どうしたのよ太一」
「こんな建物、上から見た時にあったかな…?」
「地図に何か描いてないの?」
「さっきアグモンが燃やしちゃったじゃない」
「あ…そっか…」
中には誰もおらず、
子どもたちの声だけが響く。
特に問題はなさそうだがそれが返って
不気味だと、みんなは警戒する。
「君たち、まさか引き返そうなんて思わないだろうね?こんな立派な建物があるっていうのに!」
「わー!綺麗な絵!」
タケルの目線の先には天使の絵と
赤いマントを羽織った小さな少女と
同じマントを羽織った小さな竜のようなものが描かれた絵が飾られていた。
「ほんとにキレイ!
天使の絵?こっちは女の子と…デジモンかしら?かわいい!」
「タケル、天使って何?
ルーチェモンみたいだね!」
「こんなキレイな天使の絵が飾ってある所に 悪いデジモンがいるはずないじゃないか!」
丈の後押しもあり、
みんなはそこに泊まる事にした。
「私、律を寝かせる場所探してくる」
「俺も行こうか?」
「ううん、私1人で大丈夫よ。
それじゃ」
ルーチェモンは律を抱き直して
ふよふよと扉を開けて中を確認する。
「!なーんだ!ベッドがあるじゃない!」
ふかふかと柔らかいベッドに律を寝かせ、優しく布団をかける。
「………………」
「律……
ふわぁ……んん……わたしも、ねむくなってきちゃった…」
しばらく律の様子を見ていたルーチェモンだが、やがて眠気が襲ってきて律の横で眠りについた。
ーーーーーーーーーー
「…………」
ザー…ザー…と風の音が響く。
目が覚めると、そこは薄暗い森の中だった。
色もなく、ただただ不気味な森の中。
「…………」
『こっち』
「………」
『早く、こっちにおいで、ここは危ない』
クイッと手を引かれる。
この色の無い森の中で赤いマントと赤茶の髪が揺れている。マントと同じ赤い瞳が真剣味を帯びて 律を射抜いている。
「……………」
『……忘れないで。
君たちはどんな困難をも乗り越える力がある。
君も……心が戻って来る事を祈っている。
じゃないと彼女が……しおんが可哀想だよ』
しおん、その言葉を聞き
律の肩が震える。
少女は赤い瞳を細めて、律の手を取る。
「…………詩音……」
『あの子とは友達になったんだ。
この傷が治ったらおとさんを紹介したい、と言っていたんだよ』
「……詩音……の、ともだち……」
少女は背中を向けていて、
どんな顔をしているかわからない。
すると、真っ暗だった森の中に一筋の光が差し込む。
『さっ、出口だよ。
……気を付けて、デビモンの脅威はすぐそこだ』
「………デビ、モン……」
『今の私では、何もする事はできない…
けれど……私は信じている。
君たちが、闇を打ち払い、このデジタルワールドを守ってくれる事を』
〝祈っている〟 そう言って少女は笑った。
「夢はもう失われた」
不気味な声で律は目を覚ます。
横にはルーチェモンがいて
険しい顔で律を抱きしめていた。
「律!しっかり掴まってて!」
「……ルーチェモン……」
下を見ると太一とアグモンが
悪魔のようなデジモン…デビモンと対峙しているのが見えた。
「なぜ俺たちをこんな目に遭わせる!?」
「お前たちが、選ばれし子どもたちだからだ。
私にとって邪魔な存在なのだ。
黒い歯車でこの世界を覆い尽くそうとしている、私にとってはな!!」
デビモンの言葉と共にファイル島が崩れ
黒い歯車によってバラバラになってしまう。
「ファイル島は 既に黒い歯車で覆い尽くした。
次は海の向こうの全てだ!
お前たちが見る事はない。
ここがお前たちの墓場となるのだからな」
レオモンに捕らえられた太一だが、
ベッドから落ちたあの機械がレオモンに触れると、眩い光が満ち、レオモンから黒い影が消える。
「邪悪消滅!!
君たちが選ばれし子どもたちだったのか。
あの方の…覚悟を受け継ぐ者たち!」
「あの方…?」
「デビモン!よくも私をあのような卑劣なマネを!許せん!!」
レオモンが子どもたちを逃がそうと
デビモンとオーガモンと対峙し奮闘する。
そして……
「君たちはこの世界にもたらされた
唯一の希望なのだ!生き延びてくれ!
それがあの方の願いでもあるのだ!」
『生きてくれ』
ここは本当に、島だったんだ…」
ファイル島と言われ、
何となく察しはついていたものの
絶海の孤島だったと知ると肩を落とさずにはいられなかった。
後からヤマトたちも合流するも、
〝どうすればいいんだ〟と丈の叫び声が虚しく響いた…
ーーーーーーーーーー
「選ばれし子どもたちがやって来た」
「子どもたちだと…!? まさか…!!」
所変わりムゲンマウンテンの山道。
そこには正義の心を持つレオモンと
犬猿の仲であるオーガモン そしてデビモンがいた。
「些か、倒すのに時間がかかりそうなのでな」
怪しく嗤うデビモンにレオモンは怒りを顕にし拳を構える。
「ならば!
倒すべき相手は貴様だ、デビモン!
あの方の覚悟を無駄にするわけにはいかない!
獣王拳!!」
レオモンが放った技はデジモンをすり抜け
奥にある岩を砕く。
驚いているレオモンを嘲笑うデビモンは
影から手を伸ばした。
「甘いな…
そんな事で私が倒せると思ったか…
デスクロウ!!」
「ぐあああ!!」
「悪の洗礼を受けるが良い…
あの忌々しい子どもの覚悟など、
誰にも受け継がせはしない」
『レオモン…!!』
ーーーーーーーーーー
「太一ー? 何してるー?」
「地図を作ってるんだ。
これから何かの役に立つかもしれないからな」
ボーッとしている律と、
律の髪を撫でてるルーチェモンの横で太一が単眼鏡を覗きながら地図を書いている。
光子郎は〝それはいい考えですね〟と太一の描いた地図を見るが、どう見ても分かりづらいものであり固まった。
「とても役に立つとは思えん」
「太一って図工苦手だったよね」
「描いた本人がわかってるからいいんだよ!」
「地図なんか描いても無駄だよ…
もう、どうしようもないんだ…」
「どうして、こんな事になっちゃったのかしら…」
「ミミ……」
「………音……」
「?律ー?」
不意に律の耳がピクリと動き顔を上げる。
すると律の向いている方から爆発音が聞こえた。
そこに行ってみると、通り道であった場所が崩れていて、反対側にはレオモンがいた。
「あ!レオモンだ!」
「レオモンって?」
「レオモンは良いデジモン!」
「とっても強い、正義のデジモン!」
デジモンたちは笑顔で説明するも、
レオモンはグルル…とみんなを威嚇していた。
『今のレオモンは正気じゃない!!
みんな逃げてくれ!!』
「………逃げて……」
「「「え?」」」
「子どもたち…倒す!」
律がそう呟くと、レオモンは腰に下げている剣を取り、みんなに襲いかかって来た。
「逃げろ!!」
太一の言葉でみんなは逃げる。
途中、太一が地図を落とし
レオモンの足止めの為に放たれたベビーフレイムによって燃えたが、〝しょーがない!〟と振り切り先を急ぐ。
すると目の前にオーガモンが立ちふさがった。
「いらっしゃーい!!」
「「「!?」」」
「待ってたぜー!覚悟しな!!」
「オーガモンだ!」
「あれも本当は良いデジモンなの!?」
「正真正銘の悪い奴だよ!!」
「選ばれし子どもたち…倒す!」
前からはオーガモン、後ろからレオモンが迫ってきて、挟まれてしまう。
「最初から僕たちをここに追い込む作戦だったんですよ!」
「そんなぁ!
レオモンとオーガモンは敵同士なのに!」
迫ってくるオーガモンとレオモン。
デジモンたちは子どもたちを守ろうと飛び出した。
「アグモン進化…グレイモン!!」
「ガブモン進化…ガルルモン!!」
「パルモン進化…トゲモン!!」
「ピヨモン進化…バードラモン!!」
「テントモン進化…カブテリモン!!」
「ゴマモン進化…イッカクモン!!」
グレイモン、ガルルモン、 トゲモンはレオモンと対峙し バードラモン、カブテリモン、 イッカクモンはオーガモンと対峙する。
「進化したか…… ん?………ほう……」
空からその様子を見ていたデビモンは
律を見て口角を上げる。
『やめろっ!!』
すると律は
突然目を瞑りその場に倒れる。
「律!?」
「!律!!
ルーチェモン!律をこっちに!!」
突然倒れた律を抱き抱え、 ルーチェモンは岩場に隠れる。
レオモンとオーガモンももう少しで倒せる…そう思った所で、突如、上の岩場が崩れ、巨石が降ってきた。
「フォックスファイヤー!!」
「メテオウィング!!」
「メガブラスター!!」
「メガフレイム!!」
その巨石はデジモンたちによって崩され、
子どもたちに被害はなかったものの
デジモンたちは力尽きその場で進化が解けてしまった。
「あ!アグモン!!」
「大丈夫…ちょっと疲れただけ……」
「今日2回目の進化だからな…」
オーガモンとレオモンもいつの間にか消えていて、難が去ったと喜ぶ子どもたち。
だが太一はルーチェモンに抱えられている律を心配しながら、何やら考え込んでいた。
「どうした太一? 律が心配?」
「心配なのは当然だけど…
なんで急に崖が崩れたのかと思ってさ」
「向こう側の道が崩された時に
ヒビでも入っていたのかもしれませんよ」
「そっか… とりあえず先に進んで
律を休ませる場所を探さないとな」
ーーーーーーーーーー
「どう考えても変ですよ。
1日に2回の進化なんて」
「いーじゃねぇか!
おかげで助かったんだから!」
既に辺りは赤く染まっており
日が落ちてきた頃、安全な場所を求め山を降りる。
「ねぇ、デジモンたちがパワーアップしているとは考えられないかしら」
「そうか!その可能性もありますね!」
「だがそうだとしても、
流石にハードすぎたな…」
デジモンたちも疲れていて、
どこか休める場所をと辺りを見渡すと
家らしき建物を見つけた。
「やった!普通の建物だ!」
それは洋館らしき建物で 丈は〝今度こそ人間が住んでるに違いない!〟と顔を輝かせる。
「ぅ……」
「!律?大丈夫?」
「…………」
「…まだ、目が覚めないか……
にしても……」
「?どうしたのよ太一」
「こんな建物、上から見た時にあったかな…?」
「地図に何か描いてないの?」
「さっきアグモンが燃やしちゃったじゃない」
「あ…そっか…」
中には誰もおらず、
子どもたちの声だけが響く。
特に問題はなさそうだがそれが返って
不気味だと、みんなは警戒する。
「君たち、まさか引き返そうなんて思わないだろうね?こんな立派な建物があるっていうのに!」
「わー!綺麗な絵!」
タケルの目線の先には天使の絵と
赤いマントを羽織った小さな少女と
同じマントを羽織った小さな竜のようなものが描かれた絵が飾られていた。
「ほんとにキレイ!
天使の絵?こっちは女の子と…デジモンかしら?かわいい!」
「タケル、天使って何?
ルーチェモンみたいだね!」
「こんなキレイな天使の絵が飾ってある所に 悪いデジモンがいるはずないじゃないか!」
丈の後押しもあり、
みんなはそこに泊まる事にした。
「私、律を寝かせる場所探してくる」
「俺も行こうか?」
「ううん、私1人で大丈夫よ。
それじゃ」
ルーチェモンは律を抱き直して
ふよふよと扉を開けて中を確認する。
「!なーんだ!ベッドがあるじゃない!」
ふかふかと柔らかいベッドに律を寝かせ、優しく布団をかける。
「………………」
「律……
ふわぁ……んん……わたしも、ねむくなってきちゃった…」
しばらく律の様子を見ていたルーチェモンだが、やがて眠気が襲ってきて律の横で眠りについた。
ーーーーーーーーーー
「…………」
ザー…ザー…と風の音が響く。
目が覚めると、そこは薄暗い森の中だった。
色もなく、ただただ不気味な森の中。
「…………」
『こっち』
「………」
『早く、こっちにおいで、ここは危ない』
クイッと手を引かれる。
この色の無い森の中で赤いマントと赤茶の髪が揺れている。マントと同じ赤い瞳が真剣味を帯びて 律を射抜いている。
「……………」
『……忘れないで。
君たちはどんな困難をも乗り越える力がある。
君も……心が戻って来る事を祈っている。
じゃないと彼女が……しおんが可哀想だよ』
しおん、その言葉を聞き
律の肩が震える。
少女は赤い瞳を細めて、律の手を取る。
「…………詩音……」
『あの子とは友達になったんだ。
この傷が治ったらおとさんを紹介したい、と言っていたんだよ』
「……詩音……の、ともだち……」
少女は背中を向けていて、
どんな顔をしているかわからない。
すると、真っ暗だった森の中に一筋の光が差し込む。
『さっ、出口だよ。
……気を付けて、デビモンの脅威はすぐそこだ』
「………デビ、モン……」
『今の私では、何もする事はできない…
けれど……私は信じている。
君たちが、闇を打ち払い、このデジタルワールドを守ってくれる事を』
〝祈っている〟 そう言って少女は笑った。
「夢はもう失われた」
不気味な声で律は目を覚ます。
横にはルーチェモンがいて
険しい顔で律を抱きしめていた。
「律!しっかり掴まってて!」
「……ルーチェモン……」
下を見ると太一とアグモンが
悪魔のようなデジモン…デビモンと対峙しているのが見えた。
「なぜ俺たちをこんな目に遭わせる!?」
「お前たちが、選ばれし子どもたちだからだ。
私にとって邪魔な存在なのだ。
黒い歯車でこの世界を覆い尽くそうとしている、私にとってはな!!」
デビモンの言葉と共にファイル島が崩れ
黒い歯車によってバラバラになってしまう。
「ファイル島は 既に黒い歯車で覆い尽くした。
次は海の向こうの全てだ!
お前たちが見る事はない。
ここがお前たちの墓場となるのだからな」
レオモンに捕らえられた太一だが、
ベッドから落ちたあの機械がレオモンに触れると、眩い光が満ち、レオモンから黒い影が消える。
「邪悪消滅!!
君たちが選ばれし子どもたちだったのか。
あの方の…覚悟を受け継ぐ者たち!」
「あの方…?」
「デビモン!よくも私をあのような卑劣なマネを!許せん!!」
レオモンが子どもたちを逃がそうと
デビモンとオーガモンと対峙し奮闘する。
そして……
「君たちはこの世界にもたらされた
唯一の希望なのだ!生き延びてくれ!
それがあの方の願いでもあるのだ!」
『生きてくれ』
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