FF編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜病院〜
「黒也」
「あれ、豪炎寺じゃねぇか。練習は?」
ヒビの入った骨、肉離れを起こしてしまった足を治すため病院で療養を取っていた黒也の元へ豪炎寺が訪れた。
「……念の為休めって円堂に言われてな…
これ、見舞いの花」
「わざわざありがとな。
…そっか、庇いきれなかったか…」
首が上手く動かせず上半身ごと豪炎寺の方を見れば、足に巻かれた包帯が見えた。
「これでもいい方なんだ。
試合までには治る予定だから…」
豪炎寺はそう言うと、気まずそうに俯き〝すまない…〟と小さく呟いた。
「あ?」
「俺のせいで黒也に酷い怪我を…」
「別に気にしてねぇよ。
俺が勝手にやったことだからな」
〝いつまでもうじうじしてんなよ〟と笑えば、困ったように笑われた。
「まぁ、そんなことより
準決勝の相手どうなった?」
「まだ決まってないと思うぞ」
「あれ、まだやってなかったのか」
「あぁ、どことやるか聞いてるか?」
「尾刈斗中と秋葉名戸学園だったはず」
尾刈斗とは練習試合とは言え一度戦っている相手だからか印象強く、2人して険しい顔になる。
「秋葉名戸がどんな学校か知らねぇけど勝ってくれ…尾刈斗との試合に俺いないとか嫌すぎる…秋葉名戸勝て…秋葉名戸勝て…秋葉名戸勝て…」
「お前、随分と毛嫌いしてたもんな…」
練習試合前、相手の監督に啖呵切っていた黒也を思い出し思わず苦笑を漏らす。
「色々と気に食わねぇからな…
……しっかし、秋葉名戸か…」
「黒也でも知らないのか?」
「そこまで情報が出回ってなかったし…サッカーも力入れてないって所だったから興味もなかったな…雷門みたいに伝説があるわけでもねぇし」
「なら難しいような気がするな…
あれから尾刈斗中も力を付けてるはずだ」
「…勘弁してくれ…」
準決勝の相手を思い浮かべ大きな溜め息を吐くと、扉がノックされた。
「はーい」
「黒也くん、お見舞いに来たわよ…ってあら、豪炎寺くん、こんにちは」
「こんにちは」
「知美さん、店は大丈夫なのかよ」
「少しだけなら大丈夫よ」
知美は笑って、持ってきたリンゴをその場でするすると剥いていく。
綺麗に剥かれたリンゴを皿に乗せて2人に渡した。
「豪炎寺くんもよかったら」
「すみません、ありがとうございます」
「ありがと、知美さん」
「体は大丈夫?」
「問題ねぇよ。医者が大袈裟過ぎるんだ」
「黒也くんが無理に動かそうとするからでしょ?ちょうどいいじゃない」
「はーーーー……
わんぱくなサッカー少年にはきちーぜ」
「自分で言うのか」
「ふふ、確かに
あ、兄弟には連絡入れた?」
「入れたとしてもうぜぇ鬼電と嘲笑う声しか想像できねぇからしてない」
しゃくり…とリンゴを齧り、兄弟の顔を思い浮かべるも、すごく心配してますと言うような顔と自分を見下して鼻で笑う兄弟を想像し 反射でそれを打ち消す。
「嘲笑う…」
「もし兄弟に会うことがあったら気を付けろよ、自業自得でケガしたら最後、通りすがりに鼻で笑ってくるヤツだからな」
「どんな兄弟だ」
「この前電話した兄弟」
黒也の説明に思わずジト目になるが、ぶっきらぼうだけれどアドバイスを送ってくれた兄弟だと気付くと〝ああ…〟と顎に手を当てた。
「嘲笑うのか…」
「あら、あの子は優しい子じゃない」
「普通にしてればな…
コミュニケーション能力に難あり…まくりだな…どうにかならねぇのか…」
はぁ…と溜め息を吐いた黒也だが、
その顔や声から兄弟思いなことが目に見えてクスッと笑みが溢れた。
「そういえば、さっきお父さんから連絡来ててね、FF準々決勝の結果が出たらしいわ」
「「!」」
「源さん、なんだって?」
「尾刈斗中と秋葉名戸学園の試合、勝ったのは秋葉名戸よ」
「!?」
「しゃあ!よくやった秋葉名戸!」
鬼瓦から届いたメールには写真付きで結果が書かれており、願ったことが現実になった黒也は拳を握る。
「にしても…尾刈斗破るって相当だな」
「あぁ…あの呪いを突破したのか…」
「……なぁ、知美さん」
「ん?」
「試合当日さ、俺見に行けないか?」
「そういうと思ってさっき許可取って来たわよ。車椅子になるけど大丈夫?」
「おう、ありがとな知美さん」
「大事な息子だもの、当然よ。
…あ、もうこんな時間、そろそろ戻らないと…」
「忙しいのにありがとう。気を付けて」
「えぇ、豪炎寺くんもお大事にね」
「はい、リンゴご馳走様でした」
最後に手を振って去って行った知美を見送って、豪炎寺は黒也を見る。
「…秋葉名戸…強敵になりそうだな」
「それでも勝ってやるさ。
黒也が守ってくれたこの足で」
「…あぁ、俺もすぐ治して復帰してやるさ」
「無理すんなよ。
1週間や2週間で治るものじゃないんだから」
「いーや、治してやるね。
俺、これでも丈夫だからさ、すぐ治すさ」
ニッと笑うも、 豪炎寺は困ったように笑うだけ。それに気付くと黒也は一瞬目を閉じて、また豪炎寺を見る。
「黒也?」
「……なんでもねぇよ。
とりあえずすぐ治してやっから
次の試合、絶対勝てよな!」
「あぁ、任せろ」
黒也の思いにしっかり答え、
自分もそろそろ…と静かに立ち上がる。
「来てくれてありがとな」
「あぁ。
……黒也」
「?」
「今度、妹を紹介させてくれ」
「!(豪炎寺の妹って…確か…)
……わかった、楽しみにしてる。」
「あぁ」
そう言い残し去って行った豪炎寺。
彼を見送ったあと、黒也は窓の外を見つめた。
「……こんなケガ…
俺にとって大したことねぇのにな…」
窓に映る自分。
首と足に当てられたギプスがケガの重大さを物語っているが、黒也にとってはどうでもいいことに近かった。
「痛覚なんざ、
とっくの昔に捨ててきたのに…」
ポロッと出てしまった言葉は誰にも聞かれることなく、病室内に虚しく響く。
「…………はぁ…」
「黒也ー!!」
「っ!!声でかっ」
1人感傷に浸っていると扉が思いっきり開いて円堂が現れる。
「おいコラ円堂。
一応病院なんだから静かに行動しろ」
「あ、わりぃわりぃ…
それよりちょっといいか」
「あぁ。
あ、次の相手決まったらしいな、その件か?」
「うん…秋葉名戸なんだけど……」
尾刈斗を破ったことで衝撃を受けたのか、目金に連れられて偵察に行ったらしく、円堂から聞かされたことは驚くべき内容だった。
「ま、漫画家と小説家がサッカー部…?!
マジで言ってんのか!?」
「あぁ…目金がファンだって」
「なんだそりゃ… なんか気ぃ抜けるな…」
「みんなもそんな感じなんだよぉ…
参加校の中で一番弱いって話だからさ…」
「……まぁ、どんな相手でも油断はせず…だ。
がんばれよ」
「おう!」
「俺も試合は見に行けるから、応援させてもらうぜ」
「ほんとか!?ありがとう!
よーし!黒也に勝利をプレゼントだ!」
グッと拳を握った円堂に微笑んで、エールを送る。
秋葉名戸との試合は目前に迫っていた。
「黒也」
「あれ、豪炎寺じゃねぇか。練習は?」
ヒビの入った骨、肉離れを起こしてしまった足を治すため病院で療養を取っていた黒也の元へ豪炎寺が訪れた。
「……念の為休めって円堂に言われてな…
これ、見舞いの花」
「わざわざありがとな。
…そっか、庇いきれなかったか…」
首が上手く動かせず上半身ごと豪炎寺の方を見れば、足に巻かれた包帯が見えた。
「これでもいい方なんだ。
試合までには治る予定だから…」
豪炎寺はそう言うと、気まずそうに俯き〝すまない…〟と小さく呟いた。
「あ?」
「俺のせいで黒也に酷い怪我を…」
「別に気にしてねぇよ。
俺が勝手にやったことだからな」
〝いつまでもうじうじしてんなよ〟と笑えば、困ったように笑われた。
「まぁ、そんなことより
準決勝の相手どうなった?」
「まだ決まってないと思うぞ」
「あれ、まだやってなかったのか」
「あぁ、どことやるか聞いてるか?」
「尾刈斗中と秋葉名戸学園だったはず」
尾刈斗とは練習試合とは言え一度戦っている相手だからか印象強く、2人して険しい顔になる。
「秋葉名戸がどんな学校か知らねぇけど勝ってくれ…尾刈斗との試合に俺いないとか嫌すぎる…秋葉名戸勝て…秋葉名戸勝て…秋葉名戸勝て…」
「お前、随分と毛嫌いしてたもんな…」
練習試合前、相手の監督に啖呵切っていた黒也を思い出し思わず苦笑を漏らす。
「色々と気に食わねぇからな…
……しっかし、秋葉名戸か…」
「黒也でも知らないのか?」
「そこまで情報が出回ってなかったし…サッカーも力入れてないって所だったから興味もなかったな…雷門みたいに伝説があるわけでもねぇし」
「なら難しいような気がするな…
あれから尾刈斗中も力を付けてるはずだ」
「…勘弁してくれ…」
準決勝の相手を思い浮かべ大きな溜め息を吐くと、扉がノックされた。
「はーい」
「黒也くん、お見舞いに来たわよ…ってあら、豪炎寺くん、こんにちは」
「こんにちは」
「知美さん、店は大丈夫なのかよ」
「少しだけなら大丈夫よ」
知美は笑って、持ってきたリンゴをその場でするすると剥いていく。
綺麗に剥かれたリンゴを皿に乗せて2人に渡した。
「豪炎寺くんもよかったら」
「すみません、ありがとうございます」
「ありがと、知美さん」
「体は大丈夫?」
「問題ねぇよ。医者が大袈裟過ぎるんだ」
「黒也くんが無理に動かそうとするからでしょ?ちょうどいいじゃない」
「はーーーー……
わんぱくなサッカー少年にはきちーぜ」
「自分で言うのか」
「ふふ、確かに
あ、兄弟には連絡入れた?」
「入れたとしてもうぜぇ鬼電と嘲笑う声しか想像できねぇからしてない」
しゃくり…とリンゴを齧り、兄弟の顔を思い浮かべるも、すごく心配してますと言うような顔と自分を見下して鼻で笑う兄弟を想像し 反射でそれを打ち消す。
「嘲笑う…」
「もし兄弟に会うことがあったら気を付けろよ、自業自得でケガしたら最後、通りすがりに鼻で笑ってくるヤツだからな」
「どんな兄弟だ」
「この前電話した兄弟」
黒也の説明に思わずジト目になるが、ぶっきらぼうだけれどアドバイスを送ってくれた兄弟だと気付くと〝ああ…〟と顎に手を当てた。
「嘲笑うのか…」
「あら、あの子は優しい子じゃない」
「普通にしてればな…
コミュニケーション能力に難あり…まくりだな…どうにかならねぇのか…」
はぁ…と溜め息を吐いた黒也だが、
その顔や声から兄弟思いなことが目に見えてクスッと笑みが溢れた。
「そういえば、さっきお父さんから連絡来ててね、FF準々決勝の結果が出たらしいわ」
「「!」」
「源さん、なんだって?」
「尾刈斗中と秋葉名戸学園の試合、勝ったのは秋葉名戸よ」
「!?」
「しゃあ!よくやった秋葉名戸!」
鬼瓦から届いたメールには写真付きで結果が書かれており、願ったことが現実になった黒也は拳を握る。
「にしても…尾刈斗破るって相当だな」
「あぁ…あの呪いを突破したのか…」
「……なぁ、知美さん」
「ん?」
「試合当日さ、俺見に行けないか?」
「そういうと思ってさっき許可取って来たわよ。車椅子になるけど大丈夫?」
「おう、ありがとな知美さん」
「大事な息子だもの、当然よ。
…あ、もうこんな時間、そろそろ戻らないと…」
「忙しいのにありがとう。気を付けて」
「えぇ、豪炎寺くんもお大事にね」
「はい、リンゴご馳走様でした」
最後に手を振って去って行った知美を見送って、豪炎寺は黒也を見る。
「…秋葉名戸…強敵になりそうだな」
「それでも勝ってやるさ。
黒也が守ってくれたこの足で」
「…あぁ、俺もすぐ治して復帰してやるさ」
「無理すんなよ。
1週間や2週間で治るものじゃないんだから」
「いーや、治してやるね。
俺、これでも丈夫だからさ、すぐ治すさ」
ニッと笑うも、 豪炎寺は困ったように笑うだけ。それに気付くと黒也は一瞬目を閉じて、また豪炎寺を見る。
「黒也?」
「……なんでもねぇよ。
とりあえずすぐ治してやっから
次の試合、絶対勝てよな!」
「あぁ、任せろ」
黒也の思いにしっかり答え、
自分もそろそろ…と静かに立ち上がる。
「来てくれてありがとな」
「あぁ。
……黒也」
「?」
「今度、妹を紹介させてくれ」
「!(豪炎寺の妹って…確か…)
……わかった、楽しみにしてる。」
「あぁ」
そう言い残し去って行った豪炎寺。
彼を見送ったあと、黒也は窓の外を見つめた。
「……こんなケガ…
俺にとって大したことねぇのにな…」
窓に映る自分。
首と足に当てられたギプスがケガの重大さを物語っているが、黒也にとってはどうでもいいことに近かった。
「痛覚なんざ、
とっくの昔に捨ててきたのに…」
ポロッと出てしまった言葉は誰にも聞かれることなく、病室内に虚しく響く。
「…………はぁ…」
「黒也ー!!」
「っ!!声でかっ」
1人感傷に浸っていると扉が思いっきり開いて円堂が現れる。
「おいコラ円堂。
一応病院なんだから静かに行動しろ」
「あ、わりぃわりぃ…
それよりちょっといいか」
「あぁ。
あ、次の相手決まったらしいな、その件か?」
「うん…秋葉名戸なんだけど……」
尾刈斗を破ったことで衝撃を受けたのか、目金に連れられて偵察に行ったらしく、円堂から聞かされたことは驚くべき内容だった。
「ま、漫画家と小説家がサッカー部…?!
マジで言ってんのか!?」
「あぁ…目金がファンだって」
「なんだそりゃ… なんか気ぃ抜けるな…」
「みんなもそんな感じなんだよぉ…
参加校の中で一番弱いって話だからさ…」
「……まぁ、どんな相手でも油断はせず…だ。
がんばれよ」
「おう!」
「俺も試合は見に行けるから、応援させてもらうぜ」
「ほんとか!?ありがとう!
よーし!黒也に勝利をプレゼントだ!」
グッと拳を握った円堂に微笑んで、エールを送る。
秋葉名戸との試合は目前に迫っていた。