FF編
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水泳部の初心者用踏み台、
公園の滑り台、ジャングルジム…
色々と試してみたがどれもダメ…
「いらねぇ一斗缶貰ったから重ねてみるぞ、
それに乗ってみろ」
黒也が持ってきた缶を積み重ね
壁山を乗せてみる。足は震えているが、バランスは崩れることなくクリアした。
「80cm、クリアだね」
「もう1段行くぞ、1mだ」
「よし!壁山!努力と根性と気合だ!
それがあればなんだって克服できる!」
「それならキャプテンの成績は学年トップのはずッス…」
「……」
「その理論ならここにいる全員学年トップだっつーの…野生中との試合にはイナズマ落としが必要になるはずだ。一緒にがんばろうぜ」
「黒也さん…」
「壁山だけに辛い思いはさせないって!」
「キャプテン…」
「敵が強いなら俺たちはもーっと強くなればいい!」
「あぁ!俺たちも特訓して 一人一人がレベルアップするんだ!」
「「「おー!!」」」
「おれ、もう少しがんばってみるッス!」
壁山がそう言うと、重さに耐えきれなくなったのか一斗缶は潰れてしまい、崩れ落ちた。
「「「…」」」
「…はぁ…」
すると黒也の携帯が震え、 画面を見下ろす。
「……兄弟だ」
「「「!」」」
「もしもし、まだ部活中」
『ヤツの様子はどうだ』
「なんだよ、心配してんのか?
…大丈夫だ、壁山も意気込み十分。
一応、80cmはクリアしたぜ」
『……そうか、ならいい。
それより私の用件を聞いてくれ』
「おいおいさっき言っただろ?
今部活中だから聞けねぇって…」
『影山零治…という男は知っているか』
「……わりぃ、みんな 先練習行っててくれ!」
「あ、おい!黒也!」
「「「?」」」
さっきまで朗らかだった表情から一変、一気に真剣な表情になって部室から飛び出す。
周りに誰もいないことを確認し、 また携帯に耳を傾ける。
「わりぃ…」
『…その様子だと知っているんだな』
「あぁ……何があった…いや、何もコンタクトは取ってないか」
『今の所は。
だがお前の強さを知ってから周りを嗅ぎ回っているらしい。探ってみるか?』
「いや、やめておけ。
その報復でお前の身に何か遭っても困る。
お前だけじゃねぇ、周りのヤツも巻き込まれる可能性がある…」
『……わかった、変な詮索はしない。』
「それでいい。
とりあえず源さん…日本の警察にも協力得てるからお前は大人しくしてろ」
『……』
「お前の大人嫌いもわかってる。
でも俺たちはまだ14だ、まだ子どもなんだ」
『その大人は…信用できるのか』
「できる」
『……はぁ…わかった…だが気をつけろよ』
「わかってる、お前もな。
それじゃ、そろそろ戻る。
ちゃんと飯食って、風呂入って、早く寝ろよ」
『余計なお世話だ、じゃあな』
ピッと電話が切れ、黒也はふと力が抜けたように壁に背中を預ける。
「……まさか、あいつから影山の名が出てくるとはな…」
〝これはやべぇことになりそうだ〟と メール画面にして鬼瓦に向けてメールを打つ。
「(せめて、兄弟には手を出させねぇようにしねぇと……、絶対に守ってやる…)」
送信ボタンを押してメールが送信されたことを確認すると静かに携帯を閉じ、立ち上がる。
「(あいつらも…FFを勝ち進むと… いや、考えるのはやめよう… まずはイナズマ落としだな)」
壁山の高所恐怖症克服にみんなのレベルアップ…やるべきことは目白押しだ。
河川敷、既に練習をしていたメンバーを見つけ上からその様子を伺う。壁山と豪炎寺がイナズマ落としに挑戦しているが、やはり上手く行かない。
「無理ッスー!」
「おいコラ壁山ー!
お前の実力はその程度かー!」
「!黒也!戻って来たのか!」
「わりぃな」
「もういいのか」
「あぁ…壁山、ここで諦める気か? あいつの言う〝情けない奴〟で終わらせる気か?」
「だって…だってぇ…」
「諦めるな!できないって悩むより、どうしたらできるようになるかを考えるんだ!」
その場に蹲る壁山を励ますも 下に対する恐怖心を煽ぐだけで 〝どうしたってできるわけないッス!!〟とさらに頭を抱えてしまう。
「「……」」
「…はぁ…
…あ!土門!!テメェ何サボってやがる!!しごいてやるから来い!!」
「やべ!!バレた!」
「あ、はは…黒也くん…
そういう所厳しいから早く行ってあげて…」
「黒也先輩怒ると超怖いですからね…」
「い、今行くから!!勘弁してくれ!」
「あ!?つべこべ言わずさっさと来る!」 「はい!!」
結局、壁山の高所恐怖症は悪化してしまい、
イナズマ落としはできなかった。
「黒也さん…」
「…どうした」
帰り際、壁山に引き止められ足を止めれば、暗い表情をして俯いていた。
「おれ…おれにイナズマ落としは…」
「…今回ばかりは俺に任せろ…とは言えない。
この前も言ったが、俺は野生中に警戒される可能性がある。
そうなるとイナズマ落としは必須になってくる……なるべく俺も打ちに行くようにするが…」
「…」
黒也の言葉にどんどん表情を暗くしていくも、それを見逃すはずはなく、ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でた。
「うわっ!」
「んな顔すんなって。
お前にはお前のできることはあるはずだ。」
「おれに…できること…」
「先輩に頼るのは構わねぇ。
俺もできる限りのサポートはするし 一緒に考える。
でも、自分で考えて行動してみてもいいんじゃねぇか?ヒントはたくさん出たしよ。」
「…黒也さんならどうするんスか?」
「相手と相談するぜ?
お前の場合、豪炎寺とだな。
あいつ、居残って練習するらしいから見てくればいい。鉄塔広場な」
「……」
「それじゃあ気を付けて帰れよ。」
じゃあなと後ろ向きで手を振り帰路に着く。
FF予選開始は明日、絶対に勝つと意気込み歩く。
そして、翌日 FF地区予選第一試合
雷門中VS野生中 当日
「……ここが…野生中?」
冬海の運転でやって来たのは
自然いっぱいの野生中。
そのジャングルのような所にバスと夏未が乗って来た車は不釣り合いだった。
「…まさか、また来ることになるとは…」
「何か言ったかしら?黒也」
「なんでもねぇよ…てか夏未譲が来るとはな…明日は槍か」
「しっ、失礼ね!」
〝私はただ…!〟と言葉を続けようとするも、それはガタガタという音にかき消された。
「「「?」」」
「これがクルマコケ?初めて見たコケ!」
「タイヤが4つもついてるチータ!」
「すげー!中は機械でいっぱいゴリー!」
夏未が乗って来た車にはユニフォームを着た生徒たちが好き勝手触っており、みんなは驚き固まる。
「な、なんなの?」
「あ!あの人たちですよ!
野生中のサッカー部!!」
「……って、こんなのに負けられるかよ…」
「はぁ…相変わらずかよ…」
「!!オオカミだ!オオカミがいる!!」
「げっ」
不意に1人の選手が黒也に気付くとビシッ!と指差し、それに合わせて他の選手たちも黒也に気付いて、一気に彼を囲んだ。
「「「オオカミー!!」」」
「うっせぇ、騒ぐんじゃねぇよ!」
〝離れろ暑苦しい!!〟と選手たちから離れ、雷門の所に逃げる。
「オオカミ!!なんで野生中に来なかったんだチータ!おれとの勝負は終わってないチータ!」
「チータチータうるせぇよ!
今日勝負するんだからいいだろうが!」
「黒也、知り合い…?」
「勝負って?」
「…野生中は俺が通う予定だった学校だ」
「「「ええ!?」」」
「オオカミとおれはライバルだチータ!」
「「「ライバル!?」」」
「誰と誰がライバルだ。
…学校説明会の時に競っただけの仲だ」
「おれは足に自身があるチータ!
だから足の速いオオカミにドリブル勝負を挑んで…おれが負けたチータ!それ以来、おれはコイツをライバルと見ているんだチータ!!」
「見なくていい、 あとチータチータうるせぇ」
「黒也のライバル…」
「だから先輩、野生中のこと知ってたんですね」
「不本意ながら…
ほら、移動しようぜ」
黒也に促され、校内に案内される。 中には野生中の生徒が応援に駆けつけており、雷門にとってアウェーな空間になっていた。
「野生中の応援は凄まじいな…」
「なんか黒也を呼ぶ声が聞こえるのは気のせいか…?」
「は?」
きゃー!彪狼くーん!!
がんばってー!!
えーなんで黒也くん野生中にいないのー!!
「お前、野生中にも人気なのかよ」
「いや、知らねぇ…て、あいつら確か…」
「知ってんのか」
「説明会の時に先輩に絡まれてた女子たちだ。
良かった、ちゃんと楽しそうにやってるんだな」
「「「(出た、天然たらし)」」」
おーい!と手を振れば、きゃー!!と黄色い悲鳴が上がり、思わず手を引っ込める。
「うわ…」
「黒也先輩、他校の女子からも人気なんですね!」
「黒也くんカッコイイもんね」
「まったく…そうやって女の子たちをたらしこんでいるのね…」
「聞こえてんぞお嬢」
雷門の応援は黒也にのみついていたと思ったが、雷門のベンチ傍には壁山の弟であるサクとその友達2人が応援に駆けつけてくれた。
「かわいらしい弟じゃねぇか」
「っ!黒也さん…!!」
「カッコイイ所、見せないとな」
青褪めた顔をする壁山の背中を叩き
ポジションにつく。
「どうか…イナズマ落としをやらなくて済みますように…」
ピピー!
雷門のボールで試合が始まる。
風丸から染岡へ、染岡から豪炎寺へとパスが繋がって行くが、野生中も負けてはおらずボールを奪いに来る。
「黒也!」
「おう!」
黒也の傍にはニワトリがおり、
2人同時にジャンプする。
「テメェじゃ俺には勝てねぇよ!」
「コケッ!?」
ジャンプ力は黒也が勝ち、
シュート体勢に入る。
だがチーターがニワトリを踏み台にして黒也と対峙した為、シュートが打てない。
「は!?」
「黒也!」
「クソッ!豪炎寺!」
「やらせない!チータ!」
ならばと豪炎寺にパスを出そうとするが、チーターに奪われてしまう。
「チッ!やるじゃねぇか!」
「お前のジャンプ力はよく知ってる!チータ!」
野生中のカウンターが入り、
ボールはFWに渡ってしまう。
「コンドルダイブ!!」
「止める!」
「ターザンキック!!」
「何!?させるか!熱血パンチ!!」
円堂も負けず、野生中のシュートチェインをブロックした。
公園の滑り台、ジャングルジム…
色々と試してみたがどれもダメ…
「いらねぇ一斗缶貰ったから重ねてみるぞ、
それに乗ってみろ」
黒也が持ってきた缶を積み重ね
壁山を乗せてみる。足は震えているが、バランスは崩れることなくクリアした。
「80cm、クリアだね」
「もう1段行くぞ、1mだ」
「よし!壁山!努力と根性と気合だ!
それがあればなんだって克服できる!」
「それならキャプテンの成績は学年トップのはずッス…」
「……」
「その理論ならここにいる全員学年トップだっつーの…野生中との試合にはイナズマ落としが必要になるはずだ。一緒にがんばろうぜ」
「黒也さん…」
「壁山だけに辛い思いはさせないって!」
「キャプテン…」
「敵が強いなら俺たちはもーっと強くなればいい!」
「あぁ!俺たちも特訓して 一人一人がレベルアップするんだ!」
「「「おー!!」」」
「おれ、もう少しがんばってみるッス!」
壁山がそう言うと、重さに耐えきれなくなったのか一斗缶は潰れてしまい、崩れ落ちた。
「「「…」」」
「…はぁ…」
すると黒也の携帯が震え、 画面を見下ろす。
「……兄弟だ」
「「「!」」」
「もしもし、まだ部活中」
『ヤツの様子はどうだ』
「なんだよ、心配してんのか?
…大丈夫だ、壁山も意気込み十分。
一応、80cmはクリアしたぜ」
『……そうか、ならいい。
それより私の用件を聞いてくれ』
「おいおいさっき言っただろ?
今部活中だから聞けねぇって…」
『影山零治…という男は知っているか』
「……わりぃ、みんな 先練習行っててくれ!」
「あ、おい!黒也!」
「「「?」」」
さっきまで朗らかだった表情から一変、一気に真剣な表情になって部室から飛び出す。
周りに誰もいないことを確認し、 また携帯に耳を傾ける。
「わりぃ…」
『…その様子だと知っているんだな』
「あぁ……何があった…いや、何もコンタクトは取ってないか」
『今の所は。
だがお前の強さを知ってから周りを嗅ぎ回っているらしい。探ってみるか?』
「いや、やめておけ。
その報復でお前の身に何か遭っても困る。
お前だけじゃねぇ、周りのヤツも巻き込まれる可能性がある…」
『……わかった、変な詮索はしない。』
「それでいい。
とりあえず源さん…日本の警察にも協力得てるからお前は大人しくしてろ」
『……』
「お前の大人嫌いもわかってる。
でも俺たちはまだ14だ、まだ子どもなんだ」
『その大人は…信用できるのか』
「できる」
『……はぁ…わかった…だが気をつけろよ』
「わかってる、お前もな。
それじゃ、そろそろ戻る。
ちゃんと飯食って、風呂入って、早く寝ろよ」
『余計なお世話だ、じゃあな』
ピッと電話が切れ、黒也はふと力が抜けたように壁に背中を預ける。
「……まさか、あいつから影山の名が出てくるとはな…」
〝これはやべぇことになりそうだ〟と メール画面にして鬼瓦に向けてメールを打つ。
「(せめて、兄弟には手を出させねぇようにしねぇと……、絶対に守ってやる…)」
送信ボタンを押してメールが送信されたことを確認すると静かに携帯を閉じ、立ち上がる。
「(あいつらも…FFを勝ち進むと… いや、考えるのはやめよう… まずはイナズマ落としだな)」
壁山の高所恐怖症克服にみんなのレベルアップ…やるべきことは目白押しだ。
河川敷、既に練習をしていたメンバーを見つけ上からその様子を伺う。壁山と豪炎寺がイナズマ落としに挑戦しているが、やはり上手く行かない。
「無理ッスー!」
「おいコラ壁山ー!
お前の実力はその程度かー!」
「!黒也!戻って来たのか!」
「わりぃな」
「もういいのか」
「あぁ…壁山、ここで諦める気か? あいつの言う〝情けない奴〟で終わらせる気か?」
「だって…だってぇ…」
「諦めるな!できないって悩むより、どうしたらできるようになるかを考えるんだ!」
その場に蹲る壁山を励ますも 下に対する恐怖心を煽ぐだけで 〝どうしたってできるわけないッス!!〟とさらに頭を抱えてしまう。
「「……」」
「…はぁ…
…あ!土門!!テメェ何サボってやがる!!しごいてやるから来い!!」
「やべ!!バレた!」
「あ、はは…黒也くん…
そういう所厳しいから早く行ってあげて…」
「黒也先輩怒ると超怖いですからね…」
「い、今行くから!!勘弁してくれ!」
「あ!?つべこべ言わずさっさと来る!」 「はい!!」
結局、壁山の高所恐怖症は悪化してしまい、
イナズマ落としはできなかった。
「黒也さん…」
「…どうした」
帰り際、壁山に引き止められ足を止めれば、暗い表情をして俯いていた。
「おれ…おれにイナズマ落としは…」
「…今回ばかりは俺に任せろ…とは言えない。
この前も言ったが、俺は野生中に警戒される可能性がある。
そうなるとイナズマ落としは必須になってくる……なるべく俺も打ちに行くようにするが…」
「…」
黒也の言葉にどんどん表情を暗くしていくも、それを見逃すはずはなく、ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でた。
「うわっ!」
「んな顔すんなって。
お前にはお前のできることはあるはずだ。」
「おれに…できること…」
「先輩に頼るのは構わねぇ。
俺もできる限りのサポートはするし 一緒に考える。
でも、自分で考えて行動してみてもいいんじゃねぇか?ヒントはたくさん出たしよ。」
「…黒也さんならどうするんスか?」
「相手と相談するぜ?
お前の場合、豪炎寺とだな。
あいつ、居残って練習するらしいから見てくればいい。鉄塔広場な」
「……」
「それじゃあ気を付けて帰れよ。」
じゃあなと後ろ向きで手を振り帰路に着く。
FF予選開始は明日、絶対に勝つと意気込み歩く。
そして、翌日 FF地区予選第一試合
雷門中VS野生中 当日
「……ここが…野生中?」
冬海の運転でやって来たのは
自然いっぱいの野生中。
そのジャングルのような所にバスと夏未が乗って来た車は不釣り合いだった。
「…まさか、また来ることになるとは…」
「何か言ったかしら?黒也」
「なんでもねぇよ…てか夏未譲が来るとはな…明日は槍か」
「しっ、失礼ね!」
〝私はただ…!〟と言葉を続けようとするも、それはガタガタという音にかき消された。
「「「?」」」
「これがクルマコケ?初めて見たコケ!」
「タイヤが4つもついてるチータ!」
「すげー!中は機械でいっぱいゴリー!」
夏未が乗って来た車にはユニフォームを着た生徒たちが好き勝手触っており、みんなは驚き固まる。
「な、なんなの?」
「あ!あの人たちですよ!
野生中のサッカー部!!」
「……って、こんなのに負けられるかよ…」
「はぁ…相変わらずかよ…」
「!!オオカミだ!オオカミがいる!!」
「げっ」
不意に1人の選手が黒也に気付くとビシッ!と指差し、それに合わせて他の選手たちも黒也に気付いて、一気に彼を囲んだ。
「「「オオカミー!!」」」
「うっせぇ、騒ぐんじゃねぇよ!」
〝離れろ暑苦しい!!〟と選手たちから離れ、雷門の所に逃げる。
「オオカミ!!なんで野生中に来なかったんだチータ!おれとの勝負は終わってないチータ!」
「チータチータうるせぇよ!
今日勝負するんだからいいだろうが!」
「黒也、知り合い…?」
「勝負って?」
「…野生中は俺が通う予定だった学校だ」
「「「ええ!?」」」
「オオカミとおれはライバルだチータ!」
「「「ライバル!?」」」
「誰と誰がライバルだ。
…学校説明会の時に競っただけの仲だ」
「おれは足に自身があるチータ!
だから足の速いオオカミにドリブル勝負を挑んで…おれが負けたチータ!それ以来、おれはコイツをライバルと見ているんだチータ!!」
「見なくていい、 あとチータチータうるせぇ」
「黒也のライバル…」
「だから先輩、野生中のこと知ってたんですね」
「不本意ながら…
ほら、移動しようぜ」
黒也に促され、校内に案内される。 中には野生中の生徒が応援に駆けつけており、雷門にとってアウェーな空間になっていた。
「野生中の応援は凄まじいな…」
「なんか黒也を呼ぶ声が聞こえるのは気のせいか…?」
「は?」
きゃー!彪狼くーん!!
がんばってー!!
えーなんで黒也くん野生中にいないのー!!
「お前、野生中にも人気なのかよ」
「いや、知らねぇ…て、あいつら確か…」
「知ってんのか」
「説明会の時に先輩に絡まれてた女子たちだ。
良かった、ちゃんと楽しそうにやってるんだな」
「「「(出た、天然たらし)」」」
おーい!と手を振れば、きゃー!!と黄色い悲鳴が上がり、思わず手を引っ込める。
「うわ…」
「黒也先輩、他校の女子からも人気なんですね!」
「黒也くんカッコイイもんね」
「まったく…そうやって女の子たちをたらしこんでいるのね…」
「聞こえてんぞお嬢」
雷門の応援は黒也にのみついていたと思ったが、雷門のベンチ傍には壁山の弟であるサクとその友達2人が応援に駆けつけてくれた。
「かわいらしい弟じゃねぇか」
「っ!黒也さん…!!」
「カッコイイ所、見せないとな」
青褪めた顔をする壁山の背中を叩き
ポジションにつく。
「どうか…イナズマ落としをやらなくて済みますように…」
ピピー!
雷門のボールで試合が始まる。
風丸から染岡へ、染岡から豪炎寺へとパスが繋がって行くが、野生中も負けてはおらずボールを奪いに来る。
「黒也!」
「おう!」
黒也の傍にはニワトリがおり、
2人同時にジャンプする。
「テメェじゃ俺には勝てねぇよ!」
「コケッ!?」
ジャンプ力は黒也が勝ち、
シュート体勢に入る。
だがチーターがニワトリを踏み台にして黒也と対峙した為、シュートが打てない。
「は!?」
「黒也!」
「クソッ!豪炎寺!」
「やらせない!チータ!」
ならばと豪炎寺にパスを出そうとするが、チーターに奪われてしまう。
「チッ!やるじゃねぇか!」
「お前のジャンプ力はよく知ってる!チータ!」
野生中のカウンターが入り、
ボールはFWに渡ってしまう。
「コンドルダイブ!!」
「止める!」
「ターザンキック!!」
「何!?させるか!熱血パンチ!!」
円堂も負けず、野生中のシュートチェインをブロックした。