FF編

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『ついに日本にこの季節がやって来ましたー!!
暑い夏より尚熱い!!全国中学サッカーチーム日本一を決めるフットボールフロンティアの季節だー!!

全国の頂点に立つのはどこのチームなのか!!しかし!その前には通らねばならない関門がある!!

そう!予選を勝ち抜かなければならない!!
そして予選を通過した14校と推薦枠2校こそが真の意味での王座を狙えるのだ!!

さぁ、その映えある予選第一回戦の組み合わせは!?』


ーーーーーーーーーー


尾刈斗中に勝ったことでフットボールフロンティア通称FFへの出場が決まった雷門中。
そんな中、転校生が来ると知らせを受けた黒也は校長室で転校生を待っていた。


「(豪炎寺といい今回といい、転校生来すぎだろ…)」


「失礼しまーす!転校生の土門飛鳥です!」


「来たようだね、ようこそ雷門中学校へ。
私は校長の火来です、そして彼は…」


「生徒会副会長をしている彪狼黒也だ。よろしくな」


「よろしく!」


土門と名乗った背の高い男は笑顔で黒也と握手を交わす。率直に軽いなと思うが、ピクリと動いた鼻に違和感を持つ。


「?」


「?どうしたんだ?」


「……いや、なんでもねぇ。
お前、前までアメリカにいたんだったな、日本での生活は大丈夫か?」


「あぁ!問題ないよ!
そうだ!ここにサッカー部はあるのか?」


「ああ。俺がサッカー部の副キャプテンだ。」


「マジ!?なら話早いや!」


「サッカー部入部希望か」


「あぁ!DF希望!」


「なら後で入部届渡すから担任と顧問の冬海先生の印鑑貰って円堂…は知らねぇか……俺でいいや、俺に渡してくれ。

昼休み以外は隣のクラスにいるから
休み時間来てもらえればいいよ」


「OK!」


〝んじゃ、教室まで案内するから来い〟と土門を連れて校長室を後にした。


ーーーーーーーーーー


「円堂ーいるかー」


昼休み、弁当と土門の入部届を持った黒也は円堂の元へと向かった。


「お!黒也!こっちこっち!」


教室では円堂と豪炎寺そして半田と染岡、風丸が既に弁当を広げておりその中に黒也も加わる。


「お前が遅れるなんて珍しいな」


「わりぃな、板書写すの苦労しちまってさ」


「授業何だったんだ?」


「数学」


「「「お疲れ」」」


3人に宥められグッと親指を立てる。
その目は虚ろであり、本当に勉強嫌いなのかと豪炎寺は改めて認識した。


「ほんと頭パンクしそうだ…いただきます…」


綺麗に握られたおにぎりと
副菜と主菜が綺麗に入った弁当を広げて口へと運ぶ。


「相変わらず美味そうな弁当だよなー!」


「円堂のおふくろさんには負けるぞ…
当に母親の味って感じだよな。」


〝優しい味で美味い〟と続ければ
豪炎寺から〝自分で作ってるのか〟と質問が飛んできた。


「俺の居候先が喫茶店でな。
下準備と一緒に作ってんだ。」


「居候?」


「あー豪炎寺にはまだ話してなかったか。
俺には両親がいなくて、知り合いの家に預けられてんだ。だから生活費肩代わりして貰ってる分、店の手伝いしてる」


〝だから部活も時々休ませてもらってんだ〟と各々の前にサンドイッチを置く。


「お!黒也特製か!?」


「おー明日手伝いで行けねぇからな、その詫び」


〝それと円堂にはこれ〟と土門から受け取った入部届を渡す。


「入部届?」


「今日来た転校生が入部希望だと。
放課後顔見せると思うぜ」


「本当か!?」


「そういえば転校生来たって騒いでたな」


「そいつだな。
名前は土門飛鳥、DF希望だと」


「やったな!新しい仲間だ!」


FFへの出場が決まり、朝から上機嫌な円堂は新たな仲間に胸を高鳴らせた。


「みんなー!!わかってるなー!!」


放課後、部活の時間になり活気溢れる声が部室内に響いた。


「「「おおー!!」」」


「とうとう、FFが始まるんだ!!」


「「「おおー!!」」」


ジーンと感極まっている円堂に、
風丸が相手はどこなのか聞く。


「相手は…!!」


「「「……」」」


「知らない!!」


「「「……」」」


「だと思った…」


張り詰めた空気から一変、円堂の一言で一気に気が抜ける。すると部室の扉が開き冬海が入ってきた。


「野生中ですよ」


「?」


「野生中かー…また厄介な所と当たったな」


黒也くん、知ってるの?」


「強豪だ。昨年の決勝で帝国と戦ってたはずだぜ?今年はスゴイ一年がいるって噂もある」


木野の質問にスラスラ答えれば 円堂からすげー!と声が上がる。


「そんな強いチームと戦えるのか!」


「初戦大差で敗退なんてことは勘弁してほしいですね…あぁ、それから…」


冬海の後ろから土門が現れ軽く挨拶してきた。


「ちーっす!俺、土門飛鳥!一応DF希望ね!」


「来たか…」


「君も物好きですね。
こんな弱小クラブにわざわざ入部したいなんて」


そう言って部室を後にする冬海を不満気に指差す土門だが、黒也がニッコリと笑い親指を下に向けた。


「気にすんな、ただの無能だ」


「えぇ…辛辣…って、あれ」


「土門くん!」


「あれ?秋じゃない!
お前雷門中だったの!?」


知り合いだったのか、木野も土門も顔を明るくさせる。円堂も歓迎するぜと手を握ってブンブン振り回した。


「FFに向けて一緒に頑張ろう!!」


「相手野生中だろ?大丈夫かな?」


「なんだよ、新入りが偉そうに」


「俺、前の中学で戦ったことあるからね、
瞬発力、機動力とも大会屈指だ。」


土門の説明に黒也もそれに付け加えるように説明する。


「その中でも高さ勝負は圧倒的だ。
さっき言ったスゴイ一年ってのは高さ勝負ならお任せみたいなヤツだな」


「なんで黒也も知ってるんだ?」


「…まぁ、ちょっとな…」


珍しく言葉を詰まらせる黒也に円堂は〝高さなら大丈夫だ!〟と笑顔で言う。


「俺たちには、ファイアトルネード、ドラゴンクラッシュ、ドラゴントルネード、それにブラックブラストがあるんだぜ!」


「…それでも難しいと思うぞ」


「珍しく弱気じゃねぇか、黒也


〝いつもの余裕はどうしたよ〟と染岡から鋭い視線を受け、黒也は溜息を吐いて重々しく口を開いた。


「空中戦ならあの帝国をも超える。
脚力には自信はあるけど通用するかは…
……豪炎寺、お前はどう見る」


「…俺も奴らと戦ったことはあるが…黒也のジャンプ力なら凌げるんじゃないか…と思う」


「なら黒也さんにボールを集めれば…」


「別にそれでも構わねぇが、相手は強豪。
何して来るかわからねぇぞ」


〝多分…俺、警戒されてるだろうし…〟と若干遠い目をしながら呟く黒也にみんなして首を傾げる。
そんな中、〝新必殺技だ!!〟と円堂の声が響いた。


「新しい必殺技を作るんだよ! 空を制するんだ!」


〝空を制する〟ということで、
円堂が梯子車のハシゴを登り上からボールを構える。


「行っくぞー!!」


「おう!!」


上からボールを投げ、下から蹴る。
高さに慣れてない人たちからすれば至難の技であったが、滅気ずに特訓を続ける。


「よお!精が出るな!」


「古株さん!」


「こんにちは」


「こんにちは、
こないだの尾刈斗中との試合見せてもらったよ!良かったなぁ…まるでイナズマイレブンの再来だなぁ!」


「イナズマイレブン?」


「おいおい!円堂大介の孫が知らないのか!?イナズマイレブンのこと!」


「……イナズマイレブン…」


?を浮かべたみんなは用務員の古株からイナズマイレブンの事を聞くことになった。


「イナズマイレブンっていうのは40年前に、
雷門中学にあった伝説のサッカーチームだ!
FF優勝目前だったのにあんなことがあって…」


「!」


「「「?」」」


「あ、あぁ、いや、なんでもない。
とにかくスゴいチームだった!
あいつらなら世界を相手にしたって、戦えるはずだ!」


「くぅー!!カッコイイ!!」


「うるさい、少しは落ち着けよ、円堂」


「だってよ、カッコイイじゃんか!」


「そうさ!お前さんは伝説のチームの血を受け継いでるんだ!」


「え、じいちゃんの?」


「……40年前といや、円堂大介は雷門中サッカー部の監督だったな」


「そう!当にサッカーそのもののような男だったよ!」


「よぉし!俺、絶対イナズマイレブンみたいになってやる!!じいちゃんみたいに!」


古株の話を聞いた円堂は立ち上がってそう言う。
するとみんなも〝1人でなる気かよ〟とやる気を見せた。そんな中、黒也は一瞬だけ目を見開いて困ったように微笑む。
その様子を見ていた古株はハッと彼に向かって口を開いた。


「彪狼くん、どこかで見たことあると思ったらイナズマイレブンが連れてた狼にそっくりだ!」


「え…」


「「「狼ぃ!?」」」


笑顔から一変、驚いた表情に変わるサッカー部。黒也もまたポカンとした表情で古株を見た。


「正確には円堂大介が連れていた狼なんだが、彪狼くんそっくりだ!鋭い金色の目にキレイな黒い毛並み、幼いとはいえ、あんな凛々しい立ち姿は今でも忘れない!」


「……狼…円堂大介が連れてたのか」


「おうともよ!まだ小さな狼でなぁ、
イナズマイレブンの練習に混ざってたって話だ!」


〝彪狼くんはその狼の生き写しだなぁ!〟と笑う古株。みんなが古株の話を真剣に聞いているが、黒也は静かに俯いていた


「(まさか、ここで狼の話を聞くとはな…)」


黒也?どうかしたのか?」


「…いや、なんでもねぇ。
ただ、狼が人に懐くんだなって思ってさ」


「あぁ、何せ産まれて間もない弱っていた狼を円堂大介が拾って育てたらしいからな。その子はきっと親だと思ってたんだろうさ!」


〝イナズマイレブンもその狼を可愛がっていたからな!〟と締め括られ、みんなは改めて黒也を見る。


黒也さん似の狼…」


「すげー!黒也はその狼の血を受け継いでるのか!!」


「いや、似てるってだけで血は繋がってねぇだろ…そしたら俺、狼になるだろうが」


ジトッと円堂を見れば〝それもそっか〟とあっけからんと返され、思わず溜息を吐く。


「(俺に似た、狼…ねぇ…)」


イナズマイレブンみたいになると意気込んでいる円堂たちを横目に流れる雲を眺めた。
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