世界一バカな男のW・D






《あってもなくてもいいオマケの話》


…その日の夜。

俺は何となくふわふわした心地のまま、ベッドに入った。

まあ、色々あったホワイトデーだったけれど、結果として井上と晴れて「カレシ・カノジョ」の仲になれた訳で…。

「ああ、何か眠れそうにねぇなあ…。」

ベッドの中でごろごろと寝返りを何度もうちながら、そう言う口元の緩みを抑えることができない俺。

ベッドの中で幸せを噛み締めるかの様に、夢見心地で今日の出来事をぼんやり反芻していた俺だったが。

「…!や、やべぇっ!」

ふっと脳裏に浮かんだ一瞬の光景に、俺はがばりと思わず起き上がった。

それは言わずとしれた、井上が転んだときの、あの刺激的な眺め。

実際には本当に瞬く間の出来事だったんだろうけど、井上の白い太股と小花柄の下着が俺の網膜に焼き付いて離れない。

「いやっ!違う、違うから!あれは事故だから!」

俺は一人で勝手に言い訳を叫び、何もない頭の上でパタパタと両手を扇いで煩悩を消し去ろうとした。
けれど、そんなことであの光景が消えてくれるはずもない。

「…いや、でも待てよ…。」
あの事故があったから俺は自分の勘違いに気付けた訳だし、前向きに考えればあれはあれでよかったのか…?

いや、もしあのとき井上が転ばなかったら…どうなってたんだ?

ぴたりと両腕の動きを止め、そこまで思考を巡らせた俺は、改めて今日の出来事を回想し始めた。

…そうして、転ぶ直前、俺に「下着を(いや、俺はハンカチのつもりでだ、くどいようだが)見せてくれ」と迫られたときの井上の言葉を思い出す。

『それはっ!そ、そのっ…せ、せめてここじゃなくて、私の部屋とかでっ…!』


……
………。

井上の部屋?

あのとき、もし井上が転ばずにいたら…俺が自分の過ちに気付かないまま迫り続けていたら…。
井上は何も知らない俺の要求に、自分の部屋で応えるつもりだったのか?


(『黒崎くん…約束通りちゃんと使ってるから…ね。ちょっとだけ、だよ…?』ぴらっ←スカートを捲る音)


「…いや、やべぇっ!ヤバいだろ、それは!し、しかも紐だし…!」


…紐…。


(『…恥ずかしいけど…黒崎くんなら、ちょっとだけほどいてもいいよ…?』ぴらっ←スカートを捲る音再び)


「だあぁっ!違う、井上に限ってそんなことは…!」

…そう叫びながらも、正直すぎる俺の身体はあちこち反応してしまい。

「あああっ!もう寝る、俺は寝るぞ!」

そう自分に言い聞かせながら布団をがばりと被ってはみたものの、止まるどころかむしろオーバーヒートしていく俺の妄想。

「…ね、眠れねぇ…。」

…かくして俺は、3月16日から17日にかけて、長い長い夜を過ごしたのだった。
いや、自業自得って言えばその通りなんだけどさ…。









《あとがき》

…ね?

あってもなくてもいいオマケ話だったでしょ?

オマケ話、読んで後悔した方、すみませんでした…m(_ _)m

ともあれ、3月中にこのお話を無事終わらせることができてよかったです。
おバカ一護とプリチーで織姫+ちょっとお色気モードを目指してみました。
普段の織姫はなかなかにガードが固いので(まぁそこがまた彼女らしいのですが)、たまには彼女の魅力をオープンにしてはどうかな、と(笑)。

気が向いたらこの後に織姫Sideをちょこっとだけつけるかも…です。

例によってわたわたしてるだけになりそうですが(笑)

それではここまで読んでいただきありがとうございました!




(2013.03.30)
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