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たけみっちを愛でる若狭くん



意気揚々と「マイキーを殴る!」宣言をし、いつの間にか梵に入ることになった武道は梵の総長である千咒に呼ばれ、アジトに来ていた。
武道用の特攻服が完成した為、試着しろと押し付けられ、更衣室代わりになっている部屋に押し込まれた。
「この横暴さ既視感あるな……」と思いながらも渡された特攻服に袖を通す。外にいる千咒が「花垣!!着たか!!??」と入室して早々に言ってくる為「まだです!!」と返しながらも少し急ぎ気味で着用した特攻服を整えた。まさか東卍以外の特攻服を身につけることになるなんて思っていなかった為少し恥ずかしそうな様子で更衣室から出てくる。


「!!!似合ってるぞ!!!花垣!!」

「おう、中々じゃねぇか」


すぐさま千咒と近くにいたベンケイがその姿を見て感想を述べた。特に千咒はキラキラとした瞳で武道の特攻服姿を見て満足そうに笑う。


「まだ、俺としては違和感しかないんですけどね……どうしても服に着られてる感が否めないというか……」

「これからも着ていくことになるんだから、直ぐに慣れるよ!気慣れてない感も可愛いから大丈夫!!」

「いや、可愛いよりかっこいいがいいんだけど……」

「可愛い!!」

「ええ…………ベンケイくん……」

「こうなった千咒は聞かねーよ、諦めて可愛がられとけ」


特攻服を着た武道は可愛いと言って譲らない千咒を見て思わずベンケイにフォローしてくれと言うかのように声を掛けるも、寧ろ観念して諦めろとまで言われてしまう。大変解せない……と思っていると別行動をしていた若狭が戻ってくる姿が見え駆け寄った。


「おかえりなさい!ワカ君!」

「ただいま……武道、その服……」

「あはは……着てみました。どうですかね?」


ダボッとした梵の特攻服を身に付けた武道はくるりと全体を見せるように回転する。長めの裾がふわりと揺れた。


「うん、可愛い」

「あはは、ありがとうございますワカ君」

「「……?……!????」」


ニコリと微笑みながら感想を言う若狭とそれを当たり前のように享受する武道を見て、千咒とベンケイは信じられないものを見たような顔をする。


「でも、俺としては可愛いよりかっこいいの方が嬉しいんですよ?」

「かっこいいより可愛いが勝ってるから無理。よく似合ってる……可愛いな武道」

「もう〜!!!!褒めてくれるのは嬉しいですけど!!嬉しいですけど〜〜!!!!」


千咒だけでなく若狭にまでもかっこいいではなく可愛いと言われてしまった為、思わずムスッとした表情を浮かべ、怒ってますと伝わるようにぷいっと顔を背けた。その様子を見て若狭の瞳は愛おしいものを見るようにとろりと溶け、若狭を知っている者にしか伝わらない程度に破顔する。
2人のやり取りを見て思わず宇宙猫状態になりかけた千咒とベンケイはハッと意識を取り戻し、武道を問い詰めた。


「ちょ、ちょっと待て!!ワカ、お前、花垣にはいつもそんなんなのか!!??」

「可愛いって言い過ぎだろ……しかも、いつの間にかしれっと名前呼びにしてやがるしな……」

「え??ワカ君すぐ可愛いって言いますよね?……出会って早々に可愛いって言ってるのをよく聞くので女子高生がなんでも「かわいい!」って言うノリだと思ってました」

「いやいやいや、アイツがンなこと言う訳ねーだろ!!そもそもいい歳した野郎を女子高生に例えるのもどうなんだ……」

「ワカに「これ可愛いよね」って同意求めても「ふーん」とか「どこが?」とか返ってくるのが普通だぞ……アイツ可愛いなんて思える感情あったのか……」
「お前ら失礼すぎでしょ」


気がついたら先程の破顔した表情ではなくいつも通りの真顔に戻っていた若狭が好きなように言いまくる2人に苦言を零し、やれやれといった様子で武道の近くに移動し、ふわふわとした武道の髪を撫でる。擽ったそうに目を閉じる武道の髪に慈しむように口付けた。
驚きに目を見開く千咒とベンケイを見てニヤリとした悪い顔を浮かべる。


「武道は俺の初めて(可愛いと思う感情)を奪った奴だから仕方ないでしょ」



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