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マブ達との邂逅



土地勘があまりない2人を送ってくるから、と千冬や八戒と別れた後3人並んで歩き出す。
結局武道そしてデュースは千冬と八戒と出会ったのはたまたまだと思っているみたいだが、エースはきっと武道のことをつけていたのだろうとアタリをつけていた。タケミチったらまた癖のある奴に好かれてんな、なんて自分のことは棚に上げながら。


「あ、そう言えばリドル寮長から伝言があったんだ」

「伝言?」

「『今度の"なんでもない日のパーティ"には必ず出るように』との事だ」

「えっ、それ益々千冬達と遊べなくなる奴じゃ…」

「いいじゃん先輩たちもタケミチに会いたがってたしさ。それに、寮長の言うことは〜?」

「ぜったーい……って俺ハーツラビュル寮じゃないんだけど??」

「いやもうお前はハーツにいるようなもんじゃん?」

「俺たちのマブだからいてもおかしくないしな!」


ニコニコとしたデュースの笑顔に言葉がつまる。それをいいことにこのまま押し切れるとエースは畳み掛けた。


「それに、トレイ先輩のスイーツ食べ放題だぜ〜?」

「ウッ」

「この前食べたフルーツタルトもめちゃくちゃ美味かった……アレは食べないと損するぞ」

「ウグゥ…」

「あっ、そーいえば、お前が気に入ってたあのケーキをつい作っては『…もう、いないのにな…』って悲しそうな顔してたしな〜???」

「行きます!!!!!」


ただでさえもう気持ちはグラグラと揺れていたが、個人的に似すぎていると思うほどの声真似をされてはどんな様子だったかの脳内再生が余裕で出来てしまう。そうしたらもう"行く"以外の選択肢なんてない。


「こういう時くらいしかないもんな……お前の声真似が地味に上手くて助かるのは」

「何??デュース喧嘩売ってる???」

「今ならセール中だ」

「セール品を押し付けんな」


言葉の応酬をする2人を見て改めて懐かしさが込み上げる。ここに、"彼"もいたらきっともっと賑やかになるんだろうななんて少ししんみりとしてしまう。
そんな武道の心情を感じ取ったようでエースは肩を組んでくるし、デュースは武道の頭にぽんと手を置いた。


「アイツもさお前がいなくなってからずーっと寂しそうだったけど最近は結構頑張ってんだぜ?」

「『大魔法士になるんだ!』って前だったら珍しいくらいに机に向かっているのをよく見かけるしな」

「タケミチにも会いたがってたけどさ、『子分にもっとすげぇ魔法を見せてやるんだ!』なーんて言っちゃって。まだ会えねぇなんて決めつけてる節はあるけどな」

「気持ちは分からなくもないけどな。誰だってかっこいい所見せたいだろ?それに、"まだ"会えないだけで必ずいつか会えるさ」


寂しいのは武道だけじゃないこと、武道との"約束"を守ろうとしてくれていること。どれも武道を安心させるには充分過ぎるほどで。
それならば、俺もしっかりと"約束"を果たそう。親分に堂々と胸を張って会える未来を願って。
とりあえずは千冬たちから聞いていた、拗ねているであろうマイキーたちの御機嫌を伺わないとなぁ、なんて思って前を向いて歩き出した。





【人物紹介】

監督生強火担の末っ子(エース・トラッポラ)
タケミチのマブ。デュースじゃなく自分のところに
電話をかけてきて嬉しかったしちゃっかり会う約束を取り付けていた。それで思い切りデュースにマウントとってたら寮長に首はねられたけどまあ、最早いつもの事。
タケミチのダチのことは「ふーんいいんじゃね別に」みたいな態度を取っていたくせにいざそっちにばかり構うのは何だが楽しくないし、会う約束は取り付けられたからここぞとばかりに予定を埋めつくしている張本人。なおやめる気はさらさらない。


自称優等生の元ヤン(デュース・スペード)
タケミチのマブ。いつの間にかエースがタケミチと会うことになってたのも驚いたし、エースのところにタケミチから電話がかかってきてたのを知ってウギってた。僕が…僕が健康優良児なばかりに…!
でも、そんな所を見透かしてエースに電話かけてきた武道はやっぱりマブだな!と再認識した。
タケミチのマブは譲る気ないけど、タケミチのダチには寛容(あくまでエースと比べて)何となく通ずるものを感じるけど見ないふり。だって、僕から喧嘩仕掛けないしな!!倍にして返すだけだから!!!

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