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喫煙者たけみっち



「なぁ、タケみっち。お前、煙草吸ってんの?」

「えっ……マイキーくん突然どうしたんですか?」

「お前が煙草吸ってる所見たってやつがいたんだよ……で?吸ってんの??」


集会終わりもそこそこに、マイキーから突然喫煙しているのかどうかを問われた。解散して間もなくの為まだ残ってほかのメンバーと話している者も多い中、総長であるマイキーに捕まっている武道の方をチラリと見てはいつもの事かとまたお喋りに戻り出す。今度は一体なにをやらかしたのかは気になる為、聞き耳だけたてる者も少なくなかった。


「えーと……」

「「俺らもいるから素直に吐いた方が身のためだぜ、タケみっち♡」」

「ヒェ……」


実は思い切り喫煙している武道はなんと言って誤魔化そうかとしている矢先に、マイキーだけではなく双龍の2人にも挟まれ逃げ場なんてものはなくなってしまった。チラリと周囲にいる東京卍會
メンバーを見るも目を逸らされてしまう。味方なんていない。


「相棒……嘘だよな??煙草なんて吸ってないよな??」

「吸ってたとしても身体に悪ぃらしいからやめとけよタケミチィ」

「なんだ場地でも知ってたのか「あ゛ぁ!?舐めてんのか三ツ谷ァ!!」おっと、聞こえてた。でもまぁ、悪いことは言わないから煙草なんて辞めとけよ?タケみっちの身体に害しか与えないしな?」

「三ツ谷、親みてーなこと言ってンな「俺がタケみっちを産んだからな……」目を覚ませよ。タケみっちはお前の腹から出て来てねーから」

「煙草吸うタケみっちなんて解釈違いだから。公式なんだからちゃんと解釈守って」

「ちょっと待ってください、みんな一気に言わないで??俺聖徳太子じゃないんでそんな一気に言われても追いつかないんで!!!!」


一斉にまくし立てられる為一旦皆に落ち着いて貰おうと声をかけるが、一対多数の構図の為全く落ち着いてくれない。


「ショートクタイシって誰だよ強ぇのか?」

「強いッスよばじさん!!」


唯一癒し枠と化している場地は1人だけ違うことに疑問を持ち始めているし、場地さんリスペクトを豪語している千冬は場地さん肯定botと化していた。
とりあえず回避すべきは解釈違いを起こしているマイキーと「タケみっちを産んだのは俺」と言い張る三ツ谷、そんな三ツ谷にツッコミを入れるもキリがなくイラつき始め、「タケみっちは俺が育てたが!???」と言い放っているドラケンくらいだ……いや、回避できなくない??
どうしようかと呆然としていると、無視されたと思い込んだマイキーは武道の肩をゆさぶった。


「煙草なんて、吸ってねぇよなァ!??煙草吸うタケみっちは俺にとって解釈違いなの!!!!」

「マイキーくん、俺とお兄さんの真一郎君が似てるって言うじゃないですか……真一郎君だって煙草吸ってますし……」

「真一郎はいいけどタケみっちは駄目!!!!真一郎の肺が汚れようとどうでもいいけどタケみっちの肺が汚れて早死でもしようもんなら先にお前を殺して俺も死ぬから!!!!!」

「愛が重くないですか!??」

「そうだぞマイキー、重すぎる愛はタケみっちには毒だ。お父さんは許しません。」

「お母さんも許しません。タケみっち、独占欲強め野郎とはさっさと縁を切りなさい。」

「お父さん、お母さんタケみっち下さい!!」

「「やんねーって言ってんだろ」」

「お父さん、お母さんが気がついたら増えてる!!!!」


収拾はつかないものの何処か冷静になってきた頭でこのまま話が流れていってくれないか……と思ってはいるものの、マイキー達は「まだどうなのか聞けてませんが??」といった顔で目線だけはこちらを見つめてくる。……逃げられないか。


「あ〜……その、結論から言うと吸ってます。煙草。でも、吸うことが目的じゃなくて、煙草の匂いが好きなんですよ。……勿体ないから吸っちゃってますけど。」


武道のその発言にマイキーは解釈違い起こして絶望した顔をしているし、双龍の2人は「未成年だろ!」と言いかけようとする。だが、ふと武道が何かを憂いているような顔つきで目を伏せると思わず何も言えなくなった。


「煙草の匂い、安心するんです。」

「俺にとって、この匂いは大切な人との思い出だから」


大人びた表情でその”大切な人”とやらを想っているのだろうか。儚げに笑った武道を見て、すっかり暗くなった神社は阿鼻叫喚の渦に包まれた。






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