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同担拒否の春千夜くん



「あ゛???テメェらごときがタケミチを語るなよクソドブがァ!!!!」


2人だけの特務隊として活動しているオレは無性に苛立っていた。それも、先日のとある一件でタケミチが真の特務隊であることが黒龍共にバレてしまったのだ。単にバレてしまっただけならやりようはある。タケミチに害を成すならバレねぇように排除すればいい。ところが、コイツらは元々タケミチを黒龍総長に据えおこうとし、タケミチに断られていたにも関わらず益々タケミチを黒龍総長の座に立たせようとしてくる。

あぁ、全く……

解釈違いだ!!!!!!!!!!


「タケミチはなぁ!マイキーという王に仕える騎士なんだよ!!!兵隊の一部なんだよ!!!!マイキーという絶対的な王がいるからこそ、タケミチの有用性、素晴らしさが際立つんだ!!!」

「アイツを王なんていう偶像的存在にしやがるなクソが!!!」

「「いや、お前が言うな」」

「お前もマイキーを偶像崇拝してるようなもんだろ」

「人のこと言えないな」

「うるせぇ〜〜〜!!!!俺はいいンだよ!!!!テメェらは許さねぇけどな!!!!!!」

「「自己中クソ野郎じゃねぇか」」


あ〜〜〜〜!!!!!ムカつく〜〜〜!!!!!にわか共がタケミチを語るんじゃねぇクソがぁ〜!!!!


全くもって聞き入れない黒龍共に思わず青筋を立てる。いっその事今のうちにコイツらを消すしかねぇと思い、いざ行動しようとしたオレの耳に馴染む声が飛び込んできた。


「春千夜?何してるの?」

「(ビクゥ!!!)」


まずい


「!花垣!また会ったな、今日こそ黒龍総長になってくれ」

「もう、イヌピー君たら、ならないって言ってるでしょ?」

「そんなツレねぇこと言うなよ、潔く俺らのボスになろうぜ?」

「そんな潔さ要らないでしょ……で?春千夜は何してたのかな???」


黒龍共に対して馴れ馴れしく話すんじゃねぇと思う気力も無くなる程にオレは焦っていた。
タケミチに悪い子だと思われたくねぇ!!!!


「……トクニナニモ……」

「聞いてくれよ、ボス。オレたちコイツに虐められたんだよ、なぁ?イヌピー」

「そうだな、主な内容としては花垣のことでマウントを取られた」

「こっ(この)、くっ(クソ野郎)……お、オレは本当のことを言ったまでなので……」


必死で荒くなりそうな口調を留めてタケミチの前で紳士に振舞おうとする。
紳士に振る舞う?いや、オレはタケミチに対しては紳士なんだよ!!!!!!!コイツら(黒龍)が!!!!余計なこと言わなきゃな!!!!!!


「……また、悪いお口が出ちゃったの?砕けた口調で話すのはいい事だけど悪い言葉は相手を傷つけてしまうかもしれないからなるべく使わないように言ったはずだよね?」

「使ってません」

「いや、お前さっき俺らに思いっきりクソドブ発言しただろ」

「使ってません」

「クソも思いっきり言ってたな」

「使ってません」

「いや、いい加減認めろよ……証人がこちとら2人いるんだぞ」

「使ってません」

「ココ、コイツ使ってませんbotになったぞ」


お前らが余計なこと言うからだろうが、クソ……!
思わず、態度にも出てしまうほどにイラついていたオレにタケミチは声をかけた。


「ねぇ、春千夜?君は何を不安に思っているの?俺が黒龍に行ってしまうんじゃないかっていう不安?それとも、俺がマイキー君、ううん、春千夜の元から離れていってしまうんじゃないかっていう不安?」


額と額を優しく合わせて、まるで言い聞かせるかのような優しげな口調。タケミチはいつも口調が荒くなってしまうオレを怒るのではなく、不安にさせまいと、オレが寂しさを感じないようにと語りかけてくれる。


「言ったでしょ?俺の、俺達の王はマイキー君なの。それは何があっても絶対に揺るがない事実。そして、俺が東卍の一員であり、君と2人だけの特務隊なのもまた事実。君は何も不安に思う必要なんてないんだよ。ね?」

「……うっす」

「ん。いい子だね」


タケミチはよしよしと、まるで癇癪を起こした幼子を慰めるようにオレの頭を撫でる。年齢で言えばオレより歳下であるにも関わらず、タケミチはまるでオレの方が歳下、それもまるで小さな子どものように扱ってくる時がある。初めはそれにも反発していたが、次第にタケミチの態度が、言葉が心地よくなってきていつしかそれを素直に受け入れるようになった。
こんな風にタケミチが構うのは恐らくオレだけ。マイキー達隊長格には敬語を使ってその立場を示しているし、例えば、(気に食わないが)”自称”相棒こと松野千冬とは砕けた口調で話すけれど、あくまで友達に対しての接し方といった感じだ。

だから、”コレ”はオレだけの特別なんだ。

すっかり、気分が落ち着いたオレを見てそれまで間抜けな表情で見ていた黒龍共は頬を紅潮させ、瞳を輝かせた……嫌な予感がする。
こんな時の嫌な予感は当たるもので咄嗟にタケミチを後ろに隠そうとするも間に合わなかった。


「「花垣!!!黒龍総長になって、オレを褒めてくれ!!!!」」

「えっ」

「ざっけんなよッッッ!!!!クソがァッッッ!!!!」


ここ最近で1番デカい声量がオレの口から飛び出た。




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