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柴家編



次の日、前日のあまりの出来事に結局頭が追いつかず、かといって、何だか武道に直接問いただすのもはばかれて、最近では必ずと言っていいほど付き従うようにそばに居るイヌピーとココに事情をはなし、理由を知っているのか問いただした。
…………が、


「は?????総長が?????大寿と?????何を言っているんだ??????」

「それマジか〜?見間違えたんじゃねーの?」

「相棒の!!!俺が!!!見間違えるわけねーだろ!!!」


2人にとっても予想外の出来事だったらしく見間違いを疑われた。大変遺憾の意だ。


「ホントなんだって……仲良さげに並んで歩いてたし、少し聞こえた会話からするとあの後柴家に行ってそうだし……」

「それがホントだったらいつの間に元ボスと今ボス仲良くなってんだよ……なぁ?イヌピー」

「???、????そうちょうとたいじゅ……?????なに……???なに……????」

「あーあ、イヌピーがバグっちまったじゃねーか」


ココも頭を悩ませ、イヌピーに至ってはバグってしまった始末。この2人でも知らない……となるともう話を聞く人は限られていた。


「ちゃんとお話、してくれるよな???八戒♡」

「うわぁ……」


千冬は黒龍2人を伴って武道と大寿の会話にも出ていた柴家の末っ子、八戒に突撃をかました。ニッコリした笑顔で問いただす千冬に対して八戒は絶対めんどくさい事になると口元を引くつかせていた。


「なに……別に千冬に話すことなんてなくね……?」

「ん????????」

「うわ……こわ……なに……??あっ、もしかしてたけみっちのこt「「「それだよそれェ!!!!」」」うわっっ」


それまで千冬の後ろで黙って立っていた黒龍2人組も武道の名前が出た途端口を挟んだ。


「いつの間にたけみっちと仲良くなってんだよ!!!!」

「ほらほら、しっかりと白状しろよ???」

「場合によっては処す」

「怖いんだけど!!???別に仲良くなるのは勝手だろ!!??ッそれに、そもそも兄貴がいつの間にかたけみっちを家に連れてくるようになったから、そのまま帰すのはって柚葉が言って一緒に夕飯食うようになったんだよ!!!」

「「「は?????」」」

「昨日もたけみっち、そのまま泊まったから夜通しゲームしたしUNOもしたよ!……今まで兄貴が怖くてこんなこと出来なかったからすっげー楽しかった」


大寿の愛という名の暴力に脅えていた頃には想像もつかないほど楽しくて、あっという間に過ぎ去ってしまうそんな夜だった。まさか、脅えの元凶でもある大寿も混じえてゲームやらをやる未来等きっと過去では到底想像もつかなかった。
だけど、きっとこれもたけみっちのおかげ。なんて思いながら1人穏やかな表情で考え込む八戒を見て3人も納得する………………訳なかった。
八戒の家族仲が良好になったのは良かったがそれはそれ、これはこれである。それで自分たちの相棒/総長/ボスを取られては敵わない。


「いや、そもそもなんで柴大寿と!!!相棒が!!!!仲良くなってんだよ!!??」


聖夜戦争では互いに殴りあっているし、武道に至っては本当にボロボロだった。自分をそんなにボロボロになるまで殴ってきた男とスパッと割り切って仲良くなるなんて土台無理な話。にも、関わらず武道と大寿は仲睦まじそうだったからこそ余計に脳がバグるのだ。
捲し立てた千冬に八戒は考え込みながら「なんでも、たけみっちが黒龍を継ぐことになったから挨拶も兼ねて逢いに来たらしいよ」と教えた 。


「黒龍を継ぐことはやっぱり不安もあるけど、でも折角推してくれたんだからできることはしたいって言ってたらしいよ。そんで、一応先代の総長である兄貴に挨拶をして、色々聞きたいこと聞きに来たんだって」

「……つまり……総長は俺たちの為に……?」

「水くせぇなボス……1人で元ボスの所乗り込むなんてよォ……」


表情には余りでないがイヌピーはホワホワと嬉しそうな雰囲気を出すし、ココは若干照れたように頬をかいた。話を聞く限り武道は自分たちが武道を総長に推したからこそ悩んでいたが、その責任を果たそうと、自分を推した2人の為にできることはないかと自ら学びに大寿の元に向かった。クリスマスにボロボロになるまで殴ってきた男のところなんてきっと行きたくなんてなかっただろうに……背負う覚悟を決めて向かったのだろうか。


「いや、結局なんでたけみっちと大寿君が仲良くなってんのか分からずじまいじゃね!??仲良くなる要素早々ないだろ!!!」

「あ〜〜……俺もたけみっちにどうやって兄貴を懐柔したのか聞いたんだけど、「俺と大寿君の秘密」っつって口割らなくてさ……俺も大分駄々こねたけど、兄貴にキレられそうになったから結局聞けずじまいだったんだわ」

「「「は?????」」」


黒龍2人組には折角、武道のお陰で穏やかな空気を纏い始めたというのに今度は武道のせいでまたもや威圧されてしまうような空気感になってしまった。

秘密????誰と誰の?????たけみっち/総長/ボスと大寿(君)の???????2人だけの秘密?????は????????

自分の相棒/総長/ボスであるにも関わらず余所者と秘密を共有している?????全くもって遺憾だが???????

3人の考えが分かったのか、これ以上関わると益々めんどくさい事になると判断した八戒はそろりそろりと隠れるようにその場を後にした。
この後あの3人が何を考えて、誰に八つ当たりしに行くのかなんておおよその考えはつくけど考えたくなんてない。なんなら巻き込まれたくない。末っ子は難しいことなんて考えたくないし、そういうことは兄や姉に任せてしまおう。そうしたら、もう自分がすべきことはたった一つ。
3人の姿が見えなくなるまで離れた後、さっきまでのやり取りは見ないふりすることにした。


「さーって、たけみっちに甘やかしてもらお!!」


多分、またもや兄貴が家に連れ込んでるであろうたけみっちに癒して、甘やかして貰うことを決めた八戒は先程までの様子が嘘のようにご機嫌な足取りで家族、と大切な人が待ってる我が家へ駆け出した。


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