主は今日も、俺（の形代）にご執心だ。


なんで、その、ぬいぐるみとかいう布切れに、
きみはずっと構っているんだ、
きみの俺ならずっと前から、誰よりも近くで君を見守っているのに。

きみはずっとそいつにかわいいかわいいと言って、
赤子のように抱きしめたり、
口付けをしたりする時だってある。


そんな奴を好きになるんじゃない
きみはもっとまともな男と付き合って、結婚して、
幸せな家庭を作って、充実した人生を送るべきだ。
たとえば、そんな布切れとは程遠い、
そう、俺みたいな。


いいか、ぬいぐるみなんて奴は
自分が誰かに可愛がってもらう事を至極当然のように受け入れて、
そのくせ愛嬌だけで何も返したりなんかしない、
最低なやつだぞ


いやでもまあ、

ぬいぐるみと言えど、
俺の形代としての役割もある訳だから、
そう考えるとこいつも俺の一部であることは事実


となると、きみが俺の形代に口付けをして、
抱き締めているということは、
俺が彼女に抱きしめられて、口付けをされているのと同等という事では、ないのだろうか





、、いやあ、主殿もお目が高い
少し気に食わない部分もあるが、
まあ、それなりに、いい選択なんじゃないのか。
何処の馬の骨かも分からない適当な男を連れてくるよりも、
俺の形代を選ぶ方が何万倍もいいってもんさ。



否、君のその無償の愛情は、この俺が
まず、真っ先に、受けるべきだろうとは思うけどな


俺だってその感触をこの身で味わいたい

むしろ、君に俺が抱きしめられるんじゃなくて、
俺がきみを抱きしめたい



あーーーーもう 俺も抱きしめられたい こんなに触れ合って可愛がって貰えるような事ないんだぞ、
こっちは！ましてや口付けなんて！ずるいな、
ぬいぐるみ風情が。




ダメだ、
もう今日の視察はやめよう、、、（見ている）