愛情表現



~side U~



あれからは信じらんねぇくらいにぐっすり眠れた


善逸の存在一つで苦しみから解放された


いい年こいてそりゃないだろって感じだが、コイツに触れてると気持が落ち着く


無理な相談だろうが毎晩一緒に寝てくんねぇかな…なんて思ってたら不意に頭に温かい感覚を覚える


優しく撫でられてるような…口付けられてるような…コイツは一体何をやってんだ?


何となく気持ち良かったから寝た振りをして付き合ってやる事にした



「……大好きです…宇髄さん…」


急に求められるように名を呼ばれて耳に口付けられた…ダメだこれは抑えらんねぇわ


何処でこんなの覚えてくるんだよ


俺が普段からどんだけ我慢してるか分かってない。だから倍にして返してやる事にした


先ずは頬。そして次は鼻


これには慈しむ気持ちが含まれている


傍に置いて大切にして可愛がりたいという感情を持つ奴にしかしない


常にギャーギャー騒いで泣いているおっちょこちょいな奴だけど、守ってやりたいという気持ちを抱かせるコイツ限定で



「善逸…俺の事だけに集中してろ」

「ッ…ん、宇髄さん…」


滑るように滑らかな肌に唇を這わせて行き着いたのは喉


これは支配欲。喉は急所や弱みでもある場所だから特に優しく念入りに


己の支配欲を満たして我が物とする快感を得る。獲物を仕留める獣のように深く俺を刻む


ただただ自分だけのモノにしたい強い欲求や感情を示している。逃がしたくない、離したくないという激しい欲求が生む強い好意


一通り唇で伝えていくと次ぎに捕らえたのは鎖骨


ここには性的な欲求を意味する。コイツを抱く時には必ず噛んだり、口付けたりする箇所だ


寝巻きから微かにチラリと見える鎖骨に色気を感じる一種の興奮材料でもある


今は喰うには少し早いから自重して次に向かった先は首元


ココは俺の好きな所。象徴するのは執着心


善逸のことを派手に深く求めているという素直な気持ち


すっかり強くなった独占欲と鎖骨や耳への口付け同様に性的な意味をも持ち合わせ、感情をぶつけるには最高の部位


喉と同様に何度も繰り返すのはそれだけ激しい感情を抱いているから


これも俺の深い愛情として受け止めてくれてるのかは分かんねぇけど、健気に応えようとしてくれているコイツが堪らなく可愛くて仕方がない



「…ん…もう宇髄さんそこはダメ!俺から始めたんだから俺の場所」

「あっ、ちょっ…お前…」

「ココは渡さない」


俺からのお返しを甘受けしていた善逸が可愛らしく音をたてて反撃してきたのは胸


ココはコイツの好きな所。相手を所有したいとか独占したいとかいう心理を表している部位


それを知ってか知らずか、胸元に顔を埋めて頬擦りして張り付いている


「俺にこんな事すんのはお前くらいのモンだぞ」

「甘露寺さんのとは違って大分硬いけど宇髄さんは美人なんで今はコレでいいです」

「バーカ…俺以外の塵の事なんか知らなくていいんだよ」

「確かにアンタしか知らないけど特にココは他の人には触らせたくないな…何より俺は宇髄さんの心音が好きなんで」


年頃だから女体に憧れを持っているのか、俺の事をそれなりに好いてくれてるのか、コイツは胸にしたがる傾向が多々ある


今の言い分だと心臓に近い部分という意味で好んでしてくるのか


最初の頃は怖がってこの音を聴きたがらなかったのに…いつの間にか受け入れてくれている


そもそも関係を持ったのも俺が外堀から埋めて押しに押しまくって始まった


ただ流されて付き合ってくれてんのかと心配してたが、コイツなりにちゃんと俺を想ってくれてるらしい


俺もお前の音が何よりも一番好きだよ



「後はこの大きな手も逞しい腕も嫌いじゃないです」


俺の手を取ると腕に唇を寄せて、失くした方にも慈しむように優しく口付けてくる


これには恋慕の気持ちが込められている。俺に対してそう言った強い感情を持ってくれているということ


その証拠に今度は手首に唇が移動してきた


ココに対する行為は強い好意を直に示している…地味なようだが実は大胆な愛情表現


唇や頬、首筋等に比べると機会は少ない箇所だが、これには相手への強い気持ちが籠ってるらしいからかなり本気の意味での意思表示


純粋に好いてくれているだけじゃなく適当な気持ちで出来るものじゃない


言葉にしなくてもそんな風に求められたら俺はもうお手上げだ


好き、だなんて言葉じゃ足りないくらいにお前が愛しいよ
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