愛情表現
生まれた頃から親の愛情にも満足に恵まれなかった孤独な少年
誰よりも愛に飢えていた奴だから放っておけなくて、愛される悦びってやつを教えてあげたかった
派手っ派手に愛でてやるつもりだったのに、一緒に過ごしていると逆に俺は恋と言うものを教わった
男は女の最初の恋人になりたがる生き物で、女は男の最後の恋人になりたがる生き物だ…アイツの場合はどっちなんだろうな
俺はその両方で、最初で最後の相手になりたい──
「遅いじゃないか。今まで何処で何をしていたんだ」
「何って胡蝶の診察と薬を貰いに…」
「ふぅん、そうか、ふぅん、そうやってグズグズしている間に状況が悪化していくばかりだ…どうしてくれるんだ?この役立たずめ」
「他にも重症な奴が居たんだから仕方ねぇだろ」
「仕方ない?そんな言葉では済まされない。お前の罪は死に値する程重いぞ。どう責任を取るつもりなのか逆に聞きたいくらいだ」
相変わらずネチネチと地味に腹の立つ野郎だなコイツ
胡蝶の所で定期診察を終えて善逸を迎えに来たら伊黒に捕まった
コイツが殺気のオーラを纏わせてイラついている理由はただ一つ
「──ってな訳だから善逸くん、頑張ってね」
「あっはい!でも、巧くいくかな…」
「善逸くんなら大丈夫よ。きっと宇髄さんも喜んでくれると思うわ」
「そう、ですかね?有り難うございます」
「えぇぇ…こんな可愛い子を悶々とさせてる宇髄さんって罪だわ…善逸くんっ私がついてるから安心してぇっ!!」
「ぐぇっ…甘露寺さん力強っ!苦しい…あ
、胸が…色んな意味で死んじゃいそう…」
仲良く何やらヒソヒソ話をしている善逸と甘露寺
すると急に甘露寺のテンションが上がって善逸を抱き締め…いや、締め上げてんのか?かなりの密着状態に
伊黒も伊黒で甘露寺が楽しそうにしているから邪魔が出来ずに、後からやって来た俺に八つ当たりをしてきた訳だ
「お前のとこのアホガキを俺が絞め殺す前に一刻も早く連れて帰ってくれないか…甘露寺のお気に入りだから大目に見ていたが…全くあんな子供の躾もろくに出来んとは嘆かわしい」
最後までネチっこくてしつこい伊黒にイラッときながらも二人を引き離して善逸を連れて帰る
「いや~何だか得しちゃったな。それに甘露寺さんは今日も可愛かったなぁ…しのぶさんに次ぐ天使ですよ」
「良かったな。けどあんまり甘露寺と接触してるといつかアイツに殺されるぞ」
「あの二人って良い仲なんですか?」
「さあな…どうであれ俺等には敵わねェだろうよ」
「……え?」
「えって…俺の事好きならそこははい、だろ」
「いや、そうじゃなくて宇髄さん、」
「なに?」
「もしかしてだけど引退してからまともに眠れてないんじゃないですか?」
「あ?」
「何だか微かに疲弊しきった苦しそうな音がする…よく見たらうっすらクマもあるしさ、不眠症なんじゃない?男前が台無しですよ」
やっぱコイツには聞こえてるか…
腕を失くしてからは幻肢痛ってやつに悩まされている
ついこの前まであった腕が存在していた空間に温冷感や痺れ感などの感覚が消えねぇ
胡蝶の所に通って薬や治療を色々試してはいるがずっと気持ち悪い違和感が続いている
「なら今から俺が添い寝してあげるから一緒に寝ませんか?こうしてゆっくり逢うのも久し振りだし」
「添い寝?お前が?」
「そう、一人より二人の方が眠れるかもしれませんよ?」
そう言うものか?まぁ、悪くはない話だ
暫く逢えてなかったから俺もコイツが足りてなかったし
物は試しだな…痛みに効くかは別として癒しにはなるだろうよ
「……と、思った俺が馬鹿だった」
「ガアァァア…ゴオォォオ…」
いざ一緒に寝てみると、誘ってきた善逸は俺を差し置いて即寝落ち
毎度の事だがコイツのド派手で凄絶な鼾がクソ煩ぇ…久し振り過ぎてうっかりしてた
この見た目でそれはないだろ
初めて閨を共にした時は衝撃だった
これだと眠れる気がしねぇが腕の中で幸せそうに眠る善逸の寝顔は可愛いから今となっては余裕で許せる
右腕は腕枕、添える程度にある左腕は撫でてやる事も出来ない
また地味に疼いてきやがった…
「…んー…っずいさん、…うなぎ…団子ぉ……」
「…ッ…夢の中でもお強請りか……!」
暢気な寝言に呆れていると、冷えてきたのか更に俺の方に寄ってきて密着してきた
子供体温ってやつか?温い温い
善逸の心地よい心音と体温を直に感じて落ち着く
くっついていると気が休まるだけじゃなくて腕の疼きも自然と治まってきた気もする
あれだけ苦しんでいた感覚が不思議なくらいにピタリと止んでいく
凄ェ奴だよお前は…俺にとっては安定剤のような無くてはならない存在だ
今夜は久し振りによく眠れそうだ─……
誰よりも愛に飢えていた奴だから放っておけなくて、愛される悦びってやつを教えてあげたかった
派手っ派手に愛でてやるつもりだったのに、一緒に過ごしていると逆に俺は恋と言うものを教わった
男は女の最初の恋人になりたがる生き物で、女は男の最後の恋人になりたがる生き物だ…アイツの場合はどっちなんだろうな
俺はその両方で、最初で最後の相手になりたい──
「遅いじゃないか。今まで何処で何をしていたんだ」
「何って胡蝶の診察と薬を貰いに…」
「ふぅん、そうか、ふぅん、そうやってグズグズしている間に状況が悪化していくばかりだ…どうしてくれるんだ?この役立たずめ」
「他にも重症な奴が居たんだから仕方ねぇだろ」
「仕方ない?そんな言葉では済まされない。お前の罪は死に値する程重いぞ。どう責任を取るつもりなのか逆に聞きたいくらいだ」
相変わらずネチネチと地味に腹の立つ野郎だなコイツ
胡蝶の所で定期診察を終えて善逸を迎えに来たら伊黒に捕まった
コイツが殺気のオーラを纏わせてイラついている理由はただ一つ
「──ってな訳だから善逸くん、頑張ってね」
「あっはい!でも、巧くいくかな…」
「善逸くんなら大丈夫よ。きっと宇髄さんも喜んでくれると思うわ」
「そう、ですかね?有り難うございます」
「えぇぇ…こんな可愛い子を悶々とさせてる宇髄さんって罪だわ…善逸くんっ私がついてるから安心してぇっ!!」
「ぐぇっ…甘露寺さん力強っ!苦しい…あ
、胸が…色んな意味で死んじゃいそう…」
仲良く何やらヒソヒソ話をしている善逸と甘露寺
すると急に甘露寺のテンションが上がって善逸を抱き締め…いや、締め上げてんのか?かなりの密着状態に
伊黒も伊黒で甘露寺が楽しそうにしているから邪魔が出来ずに、後からやって来た俺に八つ当たりをしてきた訳だ
「お前のとこのアホガキを俺が絞め殺す前に一刻も早く連れて帰ってくれないか…甘露寺のお気に入りだから大目に見ていたが…全くあんな子供の躾もろくに出来んとは嘆かわしい」
最後までネチっこくてしつこい伊黒にイラッときながらも二人を引き離して善逸を連れて帰る
「いや~何だか得しちゃったな。それに甘露寺さんは今日も可愛かったなぁ…しのぶさんに次ぐ天使ですよ」
「良かったな。けどあんまり甘露寺と接触してるといつかアイツに殺されるぞ」
「あの二人って良い仲なんですか?」
「さあな…どうであれ俺等には敵わねェだろうよ」
「……え?」
「えって…俺の事好きならそこははい、だろ」
「いや、そうじゃなくて宇髄さん、」
「なに?」
「もしかしてだけど引退してからまともに眠れてないんじゃないですか?」
「あ?」
「何だか微かに疲弊しきった苦しそうな音がする…よく見たらうっすらクマもあるしさ、不眠症なんじゃない?男前が台無しですよ」
やっぱコイツには聞こえてるか…
腕を失くしてからは幻肢痛ってやつに悩まされている
ついこの前まであった腕が存在していた空間に温冷感や痺れ感などの感覚が消えねぇ
胡蝶の所に通って薬や治療を色々試してはいるがずっと気持ち悪い違和感が続いている
「なら今から俺が添い寝してあげるから一緒に寝ませんか?こうしてゆっくり逢うのも久し振りだし」
「添い寝?お前が?」
「そう、一人より二人の方が眠れるかもしれませんよ?」
そう言うものか?まぁ、悪くはない話だ
暫く逢えてなかったから俺もコイツが足りてなかったし
物は試しだな…痛みに効くかは別として癒しにはなるだろうよ
「……と、思った俺が馬鹿だった」
「ガアァァア…ゴオォォオ…」
いざ一緒に寝てみると、誘ってきた善逸は俺を差し置いて即寝落ち
毎度の事だがコイツのド派手で凄絶な鼾がクソ煩ぇ…久し振り過ぎてうっかりしてた
この見た目でそれはないだろ
初めて閨を共にした時は衝撃だった
これだと眠れる気がしねぇが腕の中で幸せそうに眠る善逸の寝顔は可愛いから今となっては余裕で許せる
右腕は腕枕、添える程度にある左腕は撫でてやる事も出来ない
また地味に疼いてきやがった…
「…んー…っずいさん、…うなぎ…団子ぉ……」
「…ッ…夢の中でもお強請りか……!」
暢気な寝言に呆れていると、冷えてきたのか更に俺の方に寄ってきて密着してきた
子供体温ってやつか?温い温い
善逸の心地よい心音と体温を直に感じて落ち着く
くっついていると気が休まるだけじゃなくて腕の疼きも自然と治まってきた気もする
あれだけ苦しんでいた感覚が不思議なくらいにピタリと止んでいく
凄ェ奴だよお前は…俺にとっては安定剤のような無くてはならない存在だ
今夜は久し振りによく眠れそうだ─……
1/4ページ