過去♡御礼SS置き場
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
高3の春高にて
「……ねえ、ちょっといい?そっちのキャプテン、どこにいるか知らない?」
高3、最後の春高。試合と試合の合間、恋人にラインしても既読がつかない。あいつは主将だから忙しいのは当たり前。……そして、去年のようなことが二度とあってはならない。俺の自由時間だって限られている。
「へ?主将?」
ちょうどよく通りかかったのは、銀花大附属白兎高校のエース、南昴生。俺に声をかけられるとは思わなかったみたいで、目を丸くしていた。
「あー、ライン既読付かないの?あいつ今荷物置き場で寝てるから。案内しようか?」
「うん」
親切に荷物置き場まで案内してくれることになり、案内してくれるついでにひとつ質問した。
「あいつ、女子に怖がられてるの?」
「え?何して?」
「何か、前にラインが来た。女子にチャラそうだとか怖そうだとか言われるって」
「……あいつ、自覚ないから困るよな……」
南は肩をすくめた。なんとなく、予想はついていたことだった。
「長髪ピアスで一見チャラそうに見えっけど、中身はお坊ちゃんだし品がいいだろ?かっこいいけど近寄りがたい、の裏返しだよ。本人全然疎いけど」
「……厄介だね」
「ははは、そーね。ま、俺が言うまでもないだろうけど仲良くしてやって。すげーいいヤツだからさ」
南の話はよく聞いていた。同じクラスだから一緒にいることが多いということ。派手な面ばかり取り上げられがちだけど、すごくいいヤツだってこと。ピンク色に染め上げた髪に、赤い瞳。モデルなだけあって、一緒に歩いているだけで恐ろしいほど人目を引いた。
「うん。でもちょっと離れて、視線ウザい」
「は!?しょうがねえべや、有名税だよ!いや、イケメン税か?」
イケメン税より美貌税って方がかっこいいか?顎に手を当てて馬鹿なことを並べ立てる顔はちょっと馬鹿っぽいけど、どうやらあいつの言ったとおりのいいヤツらしい。南がパチン、と指を鳴らした。
「あ、そういえばアイツ後で佐久早に会いに行くって言ってたわ。多分今会わなくても連絡は来ると思うけど」
「後で会ってもいいけど……去年のことがあったから、ちょっと心配で」
「……そっか、お前は知ってるんだったな」
南が数歩先に階段を降りながら静かに頷いた。事情を知っているのは、部員以外では俺と古森だけらしい。事情を俺たちに話したセッターの姫宮はこってり絞られたらしい。怖かったんだぜ、と南は思い出し笑い。
「いくら俺の友人だからって勝手に話していいことじゃないことくらいわかるよね?わきまえなさい、副主将!……って、超コエー圧のある笑顔でデコピンしてさ。姫は3日くらいデコにガーゼ貼ってたわ。いや2日だっけ?盛りすぎかな」
周囲が笑って話せるようになるくらい、気を使ったんだろうと思う。そういうやつだから大事にしたいと思う。階段を降り、男子バレー部荷物置き場と書かれたホールに入れば恋人が寝転んでいた。
「お、やっぱ寝てるわ。起こすべ」
「……南、くん」
同い年だけど初対面、どう呼んでいいかわかんないから、一応君付けしておいた。正直、離れてるとどうにもならないことはあるんだ。
「その……あいつ、不器用なとこあるから。……頼む」
「わや、頼まれちまった。……わかってるよ。マジでお前結構いいやつだな。聞いたとおりだわ」
「え」
俺の話してたのかよ、お前。南はくすくす笑いながら勿体ぶって彼氏のモノマネをしてきた。
「聖臣はかっこいいしすごく優しいんだ、ってさ。時々お前の話、してるよ。月バリもめっちゃ読み込んでたな」
面映ゆいって言葉の意味を今ここで知るとは思わなかった。マスクしてて良かった。離れてても、俺のこと思ってるのなんて知ってる。知ってるけど、思わぬところで知るのは心臓に悪い。
当の本人は人気の少ない荷物置き場で平和に寝続けている。寝息を立てる頬はほんのり赤くて、元気いっぱいといった感じ。傷のない顔に心底ほっとした。
「ねえ、寝てるとこ悪いんだけど」
「んー……おこして……」
両腕を伸ばして甘えてきた。声が完全にデートの時、いや、ベッドの上と同じだ。お前、ここどこだと思ってんの。やっぱり厄介なやつ。
「馬鹿、自分で起きろ」
本当は抱きしめてキスをして起こしてやりたかったってこと、いつかお前に教えてやるからな。
「……ねえ、ちょっといい?そっちのキャプテン、どこにいるか知らない?」
高3、最後の春高。試合と試合の合間、恋人にラインしても既読がつかない。あいつは主将だから忙しいのは当たり前。……そして、去年のようなことが二度とあってはならない。俺の自由時間だって限られている。
「へ?主将?」
ちょうどよく通りかかったのは、銀花大附属白兎高校のエース、南昴生。俺に声をかけられるとは思わなかったみたいで、目を丸くしていた。
「あー、ライン既読付かないの?あいつ今荷物置き場で寝てるから。案内しようか?」
「うん」
親切に荷物置き場まで案内してくれることになり、案内してくれるついでにひとつ質問した。
「あいつ、女子に怖がられてるの?」
「え?何して?」
「何か、前にラインが来た。女子にチャラそうだとか怖そうだとか言われるって」
「……あいつ、自覚ないから困るよな……」
南は肩をすくめた。なんとなく、予想はついていたことだった。
「長髪ピアスで一見チャラそうに見えっけど、中身はお坊ちゃんだし品がいいだろ?かっこいいけど近寄りがたい、の裏返しだよ。本人全然疎いけど」
「……厄介だね」
「ははは、そーね。ま、俺が言うまでもないだろうけど仲良くしてやって。すげーいいヤツだからさ」
南の話はよく聞いていた。同じクラスだから一緒にいることが多いということ。派手な面ばかり取り上げられがちだけど、すごくいいヤツだってこと。ピンク色に染め上げた髪に、赤い瞳。モデルなだけあって、一緒に歩いているだけで恐ろしいほど人目を引いた。
「うん。でもちょっと離れて、視線ウザい」
「は!?しょうがねえべや、有名税だよ!いや、イケメン税か?」
イケメン税より美貌税って方がかっこいいか?顎に手を当てて馬鹿なことを並べ立てる顔はちょっと馬鹿っぽいけど、どうやらあいつの言ったとおりのいいヤツらしい。南がパチン、と指を鳴らした。
「あ、そういえばアイツ後で佐久早に会いに行くって言ってたわ。多分今会わなくても連絡は来ると思うけど」
「後で会ってもいいけど……去年のことがあったから、ちょっと心配で」
「……そっか、お前は知ってるんだったな」
南が数歩先に階段を降りながら静かに頷いた。事情を知っているのは、部員以外では俺と古森だけらしい。事情を俺たちに話したセッターの姫宮はこってり絞られたらしい。怖かったんだぜ、と南は思い出し笑い。
「いくら俺の友人だからって勝手に話していいことじゃないことくらいわかるよね?わきまえなさい、副主将!……って、超コエー圧のある笑顔でデコピンしてさ。姫は3日くらいデコにガーゼ貼ってたわ。いや2日だっけ?盛りすぎかな」
周囲が笑って話せるようになるくらい、気を使ったんだろうと思う。そういうやつだから大事にしたいと思う。階段を降り、男子バレー部荷物置き場と書かれたホールに入れば恋人が寝転んでいた。
「お、やっぱ寝てるわ。起こすべ」
「……南、くん」
同い年だけど初対面、どう呼んでいいかわかんないから、一応君付けしておいた。正直、離れてるとどうにもならないことはあるんだ。
「その……あいつ、不器用なとこあるから。……頼む」
「わや、頼まれちまった。……わかってるよ。マジでお前結構いいやつだな。聞いたとおりだわ」
「え」
俺の話してたのかよ、お前。南はくすくす笑いながら勿体ぶって彼氏のモノマネをしてきた。
「聖臣はかっこいいしすごく優しいんだ、ってさ。時々お前の話、してるよ。月バリもめっちゃ読み込んでたな」
面映ゆいって言葉の意味を今ここで知るとは思わなかった。マスクしてて良かった。離れてても、俺のこと思ってるのなんて知ってる。知ってるけど、思わぬところで知るのは心臓に悪い。
当の本人は人気の少ない荷物置き場で平和に寝続けている。寝息を立てる頬はほんのり赤くて、元気いっぱいといった感じ。傷のない顔に心底ほっとした。
「ねえ、寝てるとこ悪いんだけど」
「んー……おこして……」
両腕を伸ばして甘えてきた。声が完全にデートの時、いや、ベッドの上と同じだ。お前、ここどこだと思ってんの。やっぱり厄介なやつ。
「馬鹿、自分で起きろ」
本当は抱きしめてキスをして起こしてやりたかったってこと、いつかお前に教えてやるからな。