4番目同士の遠距離恋愛


「4番目でいいよ」

　銀花大学に内部進学することを告げた時、聖臣はそう言った。

「バレー、ギター、勉強、俺はその次でいい」

　聖臣は東京の大学に進学が決まり、遠距離恋愛はその距離に1ミリの変更もなく続行となった。俺も同じ言葉を返すしかない。

「……バレー、掃除、大学生活。うん、俺も4番目でいい」

　聖臣の根幹と新生活とを並べ立てた時、やっぱり俺の立ち位置も4番目になるんだよな。電話口には、少しばかりの沈黙の後。

「ふ、」
「あはは」

　思わずふたりして笑ってしまった。2番目か3番目でいいよ、とかたまにドラマとかでも聞くセリフ。お互いにとってお互いが4番目ってのはなかなかないケースだね。

「4番目同士、これからもどうぞよろしくね」
「うん。……4番目の中の1番は譲る気、ないから」

　ちょっとややこしい言い回しになってきた。当たり前だ、俺だってそうだよ。離れていて、周知もされていない恋。お互いそこそこ名前も知れてしまって、下心込みの声をかけられることもある。
　声をかけられたりするたびに思うのは、どうしようもなく聖臣が好き。ただのカンだけど、きっと4年後もお前のことが大好きなんだと思うよ。

　……4年後に、奇跡的にジャッカル同時入団の寮生活を送ることになるなんて夢にも思っていなかった頃の話。