完結後SS
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嵐の後はスイートファイヤーフラワー
こんにちは、マシュマロです。まいにちまいにち雨がざあざあと思ったら、とってもあつーい日がつづいていますね。あつーい日はおさんぽになかなか行けないんですよねー。
おうちでごろごろしていると、聖臣がなんだかながーい緑の枝を持っているのが見えました。
「柊生。笹の葉って普通に飾っていいの?長くねえ?」
「たしかに長いね。下の方ちょっと切って、長めの花瓶に入れよっか」
いっぱい葉っぱもついていますね。かっこいいなあ……ずるーい!ぼくもかっこいい枝がほしいですーっ。探しに行きましょうよーっ。
「何だよマシュ、遊びたいの?」
「いや、笹を枝だと思ってる説を推すよ、俺は」
「あり得る。枝じゃないぞ、これ。今日は七夕だから、願い事書いて吊るしたりするんだよ……そろそろ練習行こ」
「行ってくるねー、マシュ。いいこで待っててね」
今日もおいそがしいごしゅじんたちとちゅーをして、いってらっしゃーい。ノーズワークやおもちゃであそんではゴロゴロしておふたりのおかえりを待ちます。あつーい日はゴロゴロするしかなくなりますねえ。
「……キューン?」
おもちゃとゴロゴロ、おやつとゴロゴロ。お気に入りのひんやりベッドの上でくつろいでいると、何だかお外からもゴロゴロ、ゴロゴロという音が聞こえてきましたよ。誰かが一緒にゴロゴロしてくれてるのかな?カーテンをくぐって窓の外を見ると、何だかお外が真っ暗です。それに、なんだかピカッとまぶしいような……。
─────……ドゴォオオオオオン!!!!!!
「キャワーーーーーーーッ!!!!!!!!」
なっ、なんですかこれっ!!おうちが今っ、揺れました!おみみが割れそうですっ!!このおうちに敵がやってきたのかもしれませんっ!!
えっと、えっと、可愛く生きる♡犬の知恵で、時に戦うのも大事だって言ってましたがっ!こわいですーっ!!!
ピシャーーーン!ゴロゴロゴロ……バリバリバリバリッ!!!!
おへやをぐるぐる走り回ってみても、お外はまだまだバリバリ、ピカピカがおさまりません。怖いです、怖いですよっ。クレートにぬいぐるみをいっぱいつめこんでもぐりこみますっ。
ドゴーーン!バリバリッ!!ピシャァアアン!!!
もういやーーーっ!!お姉ちゃーん!佐藤さーん!桜美おじちゃーん!聖臣パパーっ!!柊生っ、柊生ーっ!聖臣ーっ!!うわーん!
「……シュ、マシューっ!」
「うわ、停電……柊生、俺ブレーカー見てくる」
「わかった!マシュは任せて!マシュマロー!帰ったよーっ!」
おふたりのお名前を呼びながら震えることどれくらいだったでしょう。玄関がガチャリと開いて、ずぶ濡れになった柊生がリビングに転がり込んできました。
「キャワ…………クーン…………」
まだ、お耳がキンキンしています。ゴロゴロ、ちょっと遠ざかったけど、怖いです。柊生の腕、びしょ濡れだけどあったかーい。
「あああ、怖かったね、怖かったよね。ひとりでえらかったね、よく頑張ったね」
「電気ついた、クーラー入れ直そ……マシュ、放心してんな。大丈夫、大丈夫」
聖臣のお手々もぼくのあたまをぽんぽん撫でてくれます。いいこいいこっていっぱい言われて、何だかほっとしましたが……お部屋が、そのですね。おもちゃが散らばり、おトイレの失敗がバレバレです。怖くて怖くていっぱい走り回った時に、出ちゃってました。ごめんなさい……。
「ああ……怖かったから仕方ない、怒ったりしないよ。頑張ったねえ、マシュ」
しょぼくれたぼくを柊生がよしよしと撫で回してくれました。聖臣が抱っこ紐を持ってきて、こっちにおいでと優しく抱きしめてくれます。
「うん、今日は仕方ない。って……クレートにぬいぐるみギチギチになってる……もしかして耳や目を塞いだりしてた……?」
「えっ……偉すぎじゃない?教えてないのに……すご……賢いぬ極まってるね、マシュマロ!」
おふたりの声が太陽みたいにピカピカしています。おトイレ失敗しちゃったけど、お留守番頑張ったねってぼくをいっぱいほめてくれます。うふふ、おふたりがそう言うなら、失敗しちゃってもぼくはいいこですとも。
「しかしゲリラ豪雨は厄介だねえ、キャンディたち大丈夫かな」
「互助会メンバーで乗り切ってると思うけど……佐藤さんに合鍵も渡してはいるし、できることはしてるつもりだけど。非常用電源装置買う」
「そうしよう。マシュが怖がるのも辛いけど、エアコン止まるのが一番最悪だからね。今日はちょうど上がれたからよかったけど……」
「もし遠く離れたところにいたら?もし道路が冠水して帰れなくなってたら?」
「……考えるとちょっとぞっとする。色々やってみよう」
おふたりはぼくをなでなでしながら、ゴロゴロ対策を考えてくれています。うふふ、本当に優しいなあ。柊生と聖臣のこと、もっと大好きになっちゃいます。ねえ、ぼくもう大丈夫だよー。
「立ち直りが早いなあ、マシュは本当に偉いぬ!」
「また変なネットミームを使う」
「マシュは偉いぬ賢いぬー♪って、ああ、そうだ!今夜はまたドンドン鳴るけど、怖くないからね?」
ええっ、今夜もまたあのゴロゴロ来るんですかぁっ。嫌だなあ、怖いよう。でも、おふたりは笑顔で何やら笹を見つめています。今夜は一体何があるのでしょう?
────ドーン!!!パラパラパラパラ……。
「キャン!キャンキャン!!」
「はは、見えた見えた!たーまやー」
「雨降ったからかな。いつもよりよく見えるじゃん」
ドン、ドドン。ぴかぴか、きらきら。小さなお花が真っ暗なお空にいっぱい咲いています。柊生が抱っこしてくれているので怖くないですし、とっても綺麗ですっ!
もしかして、お昼のゴロゴロはこの準備だったんでしょうか。そして今はドンドンという音以外に、シャリシャリ、ガリガリという音もしています。
「はい、マシュマロ。フルーツかき氷」
聖臣が小さなカップにかき氷を作ってくれました!なんと、スイカもメロンも乗ってますっ。なんてハッピーなひんやりスイーツ!いただきまーす!
「わ、いいな!聖臣、俺のも作ってー」
「梅酒?それとも梅シロップがいい?」
「ふふ、贅沢!梅酒でお願いします!……今日はね、マシュマロ。七夕っていう日なんだよ。織姫様と彦星様が年に一度だけ会える日なんだ」
「色々端折ってるな。割と自業自得な話だぞ」
「しっ、聖臣」
年に一度だけ。それは……聖臣パパや桜美おじちゃん、いえ、柊生のおじいちゃんより会えないってことですね?さみしいお話です。
聖臣が氷を削りながらニヤリと笑いました。
「織姫も彦星も真面目に働いていれば引き離されることもなかった、って話だと俺は解釈してる」
「聖臣らしい。……俺達はずっとずっと一緒だからねえ、マーシュ」
「キャン!」
柊生がぼくのほっぺをスリスリ。もちろんですとも!氷をいっぱい削った聖臣もぼくと柊生の頭を優しく撫でてくれました。
「柊生、短冊書いてたのかよ、わざわざ」
「うん、一家揃って元気でいられますように、って。お前も同じだべ?」
「……多分マシュも同じだよ。なあ?」
もちろんですとも!ぼくたちみーんないっしょで、ずーっと仲良しです!だからいつでも、元気いっぱいなんですっ!
「キャンッ!」
「よーしよし、いいこいいこ。あ、大きな花火だ」
「そろそろフィナーレだろ。暑いしちょうどよかった」
聖臣の髪の毛がじっとりしていて、柊生がタオルを顔に押し当てました。
「聖臣、汗すごいじゃない!かき氷とか色々準備させちゃったからだな、ごめ……いや……水風呂で気持ちいいことしたいがための、一汗かいたやつ?」
「うるせえ。梅酒で酔うなよ」
「んー」
照れくさそうに聖臣が柊生にちゅー。今夜もおふたりはあつあつの予感。ぼくもずーっと抱っこでちょっぴり暑いですっ。おろしてくーださーい。
「んん……マシュ?降りるの?まだ庭は水はけが悪いんだけどって……あっ、何々もう、短冊にアタックして。破れちゃうよ?」
「はは、肉球スタンプになってるじゃん。マシュも短冊書きたかったんじゃない?」
「……っあー可愛すぎる!もう!聖臣、マシュと短冊のそばに並んで!写真撮るから!」
あつーい夏の風の中、大きな音がドン、ドドン。真っ暗なお空がぴかぴか、キラキラ。大きなお花に照らされて、おふたりが優しく笑います。うふふ、ぼくもニコニコしちゃいますっ。ゴロゴロのあとはこんな素敵なことが待ってるなんてしらなかったなあ!
この夏でぼくはひとつ物知りになって、ちょっぴりおとなになりました。これからは雷もこわくありませんっ!……多分っ。
こんにちは、マシュマロです。まいにちまいにち雨がざあざあと思ったら、とってもあつーい日がつづいていますね。あつーい日はおさんぽになかなか行けないんですよねー。
おうちでごろごろしていると、聖臣がなんだかながーい緑の枝を持っているのが見えました。
「柊生。笹の葉って普通に飾っていいの?長くねえ?」
「たしかに長いね。下の方ちょっと切って、長めの花瓶に入れよっか」
いっぱい葉っぱもついていますね。かっこいいなあ……ずるーい!ぼくもかっこいい枝がほしいですーっ。探しに行きましょうよーっ。
「何だよマシュ、遊びたいの?」
「いや、笹を枝だと思ってる説を推すよ、俺は」
「あり得る。枝じゃないぞ、これ。今日は七夕だから、願い事書いて吊るしたりするんだよ……そろそろ練習行こ」
「行ってくるねー、マシュ。いいこで待っててね」
今日もおいそがしいごしゅじんたちとちゅーをして、いってらっしゃーい。ノーズワークやおもちゃであそんではゴロゴロしておふたりのおかえりを待ちます。あつーい日はゴロゴロするしかなくなりますねえ。
「……キューン?」
おもちゃとゴロゴロ、おやつとゴロゴロ。お気に入りのひんやりベッドの上でくつろいでいると、何だかお外からもゴロゴロ、ゴロゴロという音が聞こえてきましたよ。誰かが一緒にゴロゴロしてくれてるのかな?カーテンをくぐって窓の外を見ると、何だかお外が真っ暗です。それに、なんだかピカッとまぶしいような……。
─────……ドゴォオオオオオン!!!!!!
「キャワーーーーーーーッ!!!!!!!!」
なっ、なんですかこれっ!!おうちが今っ、揺れました!おみみが割れそうですっ!!このおうちに敵がやってきたのかもしれませんっ!!
えっと、えっと、可愛く生きる♡犬の知恵で、時に戦うのも大事だって言ってましたがっ!こわいですーっ!!!
ピシャーーーン!ゴロゴロゴロ……バリバリバリバリッ!!!!
おへやをぐるぐる走り回ってみても、お外はまだまだバリバリ、ピカピカがおさまりません。怖いです、怖いですよっ。クレートにぬいぐるみをいっぱいつめこんでもぐりこみますっ。
ドゴーーン!バリバリッ!!ピシャァアアン!!!
もういやーーーっ!!お姉ちゃーん!佐藤さーん!桜美おじちゃーん!聖臣パパーっ!!柊生っ、柊生ーっ!聖臣ーっ!!うわーん!
「……シュ、マシューっ!」
「うわ、停電……柊生、俺ブレーカー見てくる」
「わかった!マシュは任せて!マシュマロー!帰ったよーっ!」
おふたりのお名前を呼びながら震えることどれくらいだったでしょう。玄関がガチャリと開いて、ずぶ濡れになった柊生がリビングに転がり込んできました。
「キャワ…………クーン…………」
まだ、お耳がキンキンしています。ゴロゴロ、ちょっと遠ざかったけど、怖いです。柊生の腕、びしょ濡れだけどあったかーい。
「あああ、怖かったね、怖かったよね。ひとりでえらかったね、よく頑張ったね」
「電気ついた、クーラー入れ直そ……マシュ、放心してんな。大丈夫、大丈夫」
聖臣のお手々もぼくのあたまをぽんぽん撫でてくれます。いいこいいこっていっぱい言われて、何だかほっとしましたが……お部屋が、そのですね。おもちゃが散らばり、おトイレの失敗がバレバレです。怖くて怖くていっぱい走り回った時に、出ちゃってました。ごめんなさい……。
「ああ……怖かったから仕方ない、怒ったりしないよ。頑張ったねえ、マシュ」
しょぼくれたぼくを柊生がよしよしと撫で回してくれました。聖臣が抱っこ紐を持ってきて、こっちにおいでと優しく抱きしめてくれます。
「うん、今日は仕方ない。って……クレートにぬいぐるみギチギチになってる……もしかして耳や目を塞いだりしてた……?」
「えっ……偉すぎじゃない?教えてないのに……すご……賢いぬ極まってるね、マシュマロ!」
おふたりの声が太陽みたいにピカピカしています。おトイレ失敗しちゃったけど、お留守番頑張ったねってぼくをいっぱいほめてくれます。うふふ、おふたりがそう言うなら、失敗しちゃってもぼくはいいこですとも。
「しかしゲリラ豪雨は厄介だねえ、キャンディたち大丈夫かな」
「互助会メンバーで乗り切ってると思うけど……佐藤さんに合鍵も渡してはいるし、できることはしてるつもりだけど。非常用電源装置買う」
「そうしよう。マシュが怖がるのも辛いけど、エアコン止まるのが一番最悪だからね。今日はちょうど上がれたからよかったけど……」
「もし遠く離れたところにいたら?もし道路が冠水して帰れなくなってたら?」
「……考えるとちょっとぞっとする。色々やってみよう」
おふたりはぼくをなでなでしながら、ゴロゴロ対策を考えてくれています。うふふ、本当に優しいなあ。柊生と聖臣のこと、もっと大好きになっちゃいます。ねえ、ぼくもう大丈夫だよー。
「立ち直りが早いなあ、マシュは本当に偉いぬ!」
「また変なネットミームを使う」
「マシュは偉いぬ賢いぬー♪って、ああ、そうだ!今夜はまたドンドン鳴るけど、怖くないからね?」
ええっ、今夜もまたあのゴロゴロ来るんですかぁっ。嫌だなあ、怖いよう。でも、おふたりは笑顔で何やら笹を見つめています。今夜は一体何があるのでしょう?
────ドーン!!!パラパラパラパラ……。
「キャン!キャンキャン!!」
「はは、見えた見えた!たーまやー」
「雨降ったからかな。いつもよりよく見えるじゃん」
ドン、ドドン。ぴかぴか、きらきら。小さなお花が真っ暗なお空にいっぱい咲いています。柊生が抱っこしてくれているので怖くないですし、とっても綺麗ですっ!
もしかして、お昼のゴロゴロはこの準備だったんでしょうか。そして今はドンドンという音以外に、シャリシャリ、ガリガリという音もしています。
「はい、マシュマロ。フルーツかき氷」
聖臣が小さなカップにかき氷を作ってくれました!なんと、スイカもメロンも乗ってますっ。なんてハッピーなひんやりスイーツ!いただきまーす!
「わ、いいな!聖臣、俺のも作ってー」
「梅酒?それとも梅シロップがいい?」
「ふふ、贅沢!梅酒でお願いします!……今日はね、マシュマロ。七夕っていう日なんだよ。織姫様と彦星様が年に一度だけ会える日なんだ」
「色々端折ってるな。割と自業自得な話だぞ」
「しっ、聖臣」
年に一度だけ。それは……聖臣パパや桜美おじちゃん、いえ、柊生のおじいちゃんより会えないってことですね?さみしいお話です。
聖臣が氷を削りながらニヤリと笑いました。
「織姫も彦星も真面目に働いていれば引き離されることもなかった、って話だと俺は解釈してる」
「聖臣らしい。……俺達はずっとずっと一緒だからねえ、マーシュ」
「キャン!」
柊生がぼくのほっぺをスリスリ。もちろんですとも!氷をいっぱい削った聖臣もぼくと柊生の頭を優しく撫でてくれました。
「柊生、短冊書いてたのかよ、わざわざ」
「うん、一家揃って元気でいられますように、って。お前も同じだべ?」
「……多分マシュも同じだよ。なあ?」
もちろんですとも!ぼくたちみーんないっしょで、ずーっと仲良しです!だからいつでも、元気いっぱいなんですっ!
「キャンッ!」
「よーしよし、いいこいいこ。あ、大きな花火だ」
「そろそろフィナーレだろ。暑いしちょうどよかった」
聖臣の髪の毛がじっとりしていて、柊生がタオルを顔に押し当てました。
「聖臣、汗すごいじゃない!かき氷とか色々準備させちゃったからだな、ごめ……いや……水風呂で気持ちいいことしたいがための、一汗かいたやつ?」
「うるせえ。梅酒で酔うなよ」
「んー」
照れくさそうに聖臣が柊生にちゅー。今夜もおふたりはあつあつの予感。ぼくもずーっと抱っこでちょっぴり暑いですっ。おろしてくーださーい。
「んん……マシュ?降りるの?まだ庭は水はけが悪いんだけどって……あっ、何々もう、短冊にアタックして。破れちゃうよ?」
「はは、肉球スタンプになってるじゃん。マシュも短冊書きたかったんじゃない?」
「……っあー可愛すぎる!もう!聖臣、マシュと短冊のそばに並んで!写真撮るから!」
あつーい夏の風の中、大きな音がドン、ドドン。真っ暗なお空がぴかぴか、キラキラ。大きなお花に照らされて、おふたりが優しく笑います。うふふ、ぼくもニコニコしちゃいますっ。ゴロゴロのあとはこんな素敵なことが待ってるなんてしらなかったなあ!
この夏でぼくはひとつ物知りになって、ちょっぴりおとなになりました。これからは雷もこわくありませんっ!……多分っ。