完結後SS
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マシュマロのレイニーデイズ
ぴちぴち、ちゃぷちゃぷ。ぱたぱた、ざあざあ。おひさまは見えなくてくらーいけど、お外がにぎやかな季節がやってきました。
「うう……今日も雨。よく降るなあ。ねえ、マシュマロ」
「キャン!」
つつじのお花のみごろがおわって、おさんぽコースには青やむらさきいろのあじさいがお目見え。そして。
「柊生、俺今日出かけるから」
「え?どこに」
「美容院」
「ああ……お前は大変だねえ……」
聖臣のくるくるくせっけが、ぱーてぃ!って感じでもふもふになっています。聖臣もこの季節はいつもこまりがお。リビングのそとから流れる空気は、むしむし、じめじめ。
そう。季節はすっかり、梅雨ですっ!
「髪も面倒だけど、洗濯物乾かねえし」
「乾燥機様々だけど、おひさまの下で干したくもなるよね。マシュのベッドやぬいぐるみとかさ」
風でゆらゆらするカーテンも、おひさまでぽかぽかになるカーペットも、今はどんよりしています。おうちのなかにあるものぜーんぶ、おひさまの匂いが消えてしまいました。
ふたりもなんだか、ゆううつそう。ぼく、なでなでしますー?
「あはは、マシュマロが心配してくれた。よーしよし、いっぱいなでなでさせてもらうよ」
「まあ髪以外は問題ないから安心して。お前が一番大変じゃん」
柊生と聖臣がかわるがわるぼくをわしゃわしゃなでまわして、おやつをくれました!煮干し、うまうまですっ。でも、何が大変なんでしょう?
「これだけ降ってると散歩は行けない……」
「天気予報でも一日中土砂降りだ。庭も水たまりだらけだし、今日はおうちでゆっくり出来るかな?」
あっ。そうです、そうでした。雨だとおそとにいける確率がぐぐーんと下がります。キャンディお姉ちゃんはつらいだろうなあ。まあ、ぼくはのんびり屋ですのでこういうことがあっても、文句はいいません。おやつをくれるなら、更にいいですよっ。
「……なるほど、おやつで交換条件」
「うんうん、賢いぬだねえ。ボーロをあげよう」
「何、賢いぬって……」
「ネットミームになるのかなあ、そのまま賢い犬の略だよ。マーシュマシュ、マシュマロくん、今日も賢いーぬ♫」
柊生がごきげんに歌って、ボーロをくれました!そう、ぼくは賢いーぬ。おやつをいっぱい頂いて、のんびりおるすばん、がんばりますよっ。
「うーん、ちょっと太ったね。ダイエットしましょう」
雨の音を聞きながら食べて寝て、食べて寝て。毎日だらだらのんびりしていたら、ほんのちょっぴり、お太りになったぼく。
聖臣が柊生をじろりとにらみます。
「柊生おやつあげすぎ」
「いやちゃんと調整してたよ!?……運動が少なすぎるんだ。思ってる以上に寝てたもの。ほら、ペットカメラ見て」
「…………食っちゃ寝しかしてねえな。マシュ。しばらくダイエットな」
ええー。おさんぽ行けないのは確かにさみしいですがー、おうちも広いしー、美味しいものいっぱい食べられるのが楽しいって思ったところなのにー。
「そうとなれば、俺達も覚悟がいるね。よし、マシュ!今から行くよ、お散歩!聖臣、カッパ出して」
「合羽?あった?」
「あるある。マシュマロも着ようね、カエルさんのお洋服!さあ、お散歩行くよー」
雨降ってるのにー。おうちがいいのにー。ハーネスを持ち運ぶ気になりませんー……とか言ったところで、しょせんぼくは籠の鳥ならぬカエルさんのおようふくを着た犬。ご主人たちと一緒に、突然のお外です。
「犬用のカッパとか、母さんいいもの送ってくれたな」
「前にも桜のスタイ貰ったけど、ほんと可愛いものいいタイミングで送ってくれるよねえ。写真撮って送ろうよ」
なんだかつるつるしたカエルさんのお洋服は、聖臣ママからのおくりもの。ありがたいですが、もう帰りたいです。雨がざんざん、ぼくのお顔まわりのもふもふをぺたんこにしちゃいます。テンションだだ下がりです。もう、お散歩の気分じゃないですよう。
「あああマシュがもう座り込んで……家出たばかりだよ、まだ。マーシュ、歩こう。聖臣が傘さしてくれるよ、ねっ」
「柊生、車も来るから一列な、一列」
「勿論。聖臣が先頭で、出発進行!」
うん?いつもと違って、聖臣が前で、柊生がしんがりをつとめるかたち。これは……こないだ、佐藤さんのおうちで見ました!お散歩じゃありません、これは、だいみょうぎょうれつ、ですっ!
「あ、歩き出した」
「濡れるの嫌だったのかな。よかったねマシュ、聖臣の傘でお散歩嬉しいねー」
これならマシュマロボディも濡れません!よきかな、よきかな。ごきげんで走れば、ばしゃーんと飛び散る、水しぶき。
「キャワ!?」
「あああ、水たまりに思い切りいった……わ、紫陽花がいっぱい。綺麗だね。ねえ聖臣これ、ピンクと青が混ざってる!」
「ほんとだ。あ、柊生、マシュ。そこにかたつむりいる」
「えっ、どこ?」
まえあしはびしょ濡れですが、おようふくのおかげで、じまんのフカフカお胸はぬれませんでした。柊生がふとぼくの頭の上を見上げて、にっこり。聖臣が大きな葉っぱをつんつん指さして、ここだよと言います。まるーいぐるぐるに、にょきにょきおめめ。
「おお、カタツムリ久々に見た気がするな。ふふふ、カエルのマシュマロで梅雨の風物詩が勢揃い!」
「写真撮る」
「うん、撮って撮って!」
傘を柊生にバトンタッチして、聖臣がカメラをパシャパシャ。かたつむりさんと、紫陽花さんと、ぼく。だいみょうぎょうれつのいい記念になりますねっ。柊生がにこにこしています!
「ふふ」
「何?」
「なんか、季節を丁寧に感じることができるのもマシュマロのおかげだなーって思ったの。大人になってからこんなに雨の日長く外にいることって、そうそうないべ?ちょっと楽しいしさ」
「……確かに。ありがとな、マシュ」
「おやつをカットする分、ありがとうはいっぱい言うからね!ふふ、おうちに帰りましょうか」
くるりとUターンして、いつもよりちょっぴり遠回りでおうちに帰ります。ぴちぴち、パシャパシャ。ぼくらの足元でおみずが元気にはねる音。しとしと、雨に濡れたお花がつやつやしていてとっても綺麗。柊生がかがんで、近くのお家をゆびさしましたよ。
「あっ、ねえ聖臣、マシュ。見て見てあのおうち、てるてる坊主がいっぱい!」
「今も作るもんなんだな……」
「ふふ、俺達も帰ったら作ってみる?ティッシュでいいんだっけ?」
どこかのおうちの窓で、ゆらゆら揺れる白いおにんぎょう。てるてる坊主っていうものをかざると、晴れるらしいです。
「ティッシュ丸めて被せて、首のところ結ぶだけ。昔、姉ちゃんと作った気がする」
「へえ!姉兄いるとやっぱりいいね」
「晴れたかどうかは忘れたけど。……次に晴れたら思いっきり芝生の上転がっていいよ、マシュ」
聖臣が何だか懐かしそうな顔をして、ぼくのおようふくについた水をはらってくれました。……ぼくもね、思うんですよ。
「キャン!」
どんな雨でも、さむーい冬でも、あつーい夏でも、毎日毎日ハッピーなのは、ニコニコのおふたりがいるからなんです。
だからぼくも、元気いっぱいのお礼をいいますね!ありがとう、ですっ!
「キャンキャン!キャンっ!」
「うん、帰ったらカロリーカットのおやつをあげるから」
「甘やかしたがりなのは聖臣もだから、そりゃ太るよね……帰ってからも運動いっぱいしようねー♡」
ち、ちがいますーっ。おやつは嬉しいですがっ、運動はもう、もう大丈夫ですからぁ。ねえ、聖臣っ、柊生っ。抱っこでお昼寝しましょうよー。
「もってこい遊びとか久々にやってみよう……したっけ聖臣も運動する?」
「今日はしねえ、って、何、その顔」
「今夜は俺に好きな衣装やおもちゃもってこーいって言ってみない?って話♡」
「変な遊びばかり思いつくな、ドスケベ……」
仲良しなのはいいことですが、おはなし聞いてくださーい。聞こえないふりはいやですーっ。ねえってばー!抱っこー!おやつー!
無情にも、ぼくのおねがいは雨に吸い込まれていきました。
ぴちぴち、ちゃぷちゃぷ。ぱたぱた、ざあざあ。おひさまは見えなくてくらーいけど、お外がにぎやかな季節がやってきました。
「うう……今日も雨。よく降るなあ。ねえ、マシュマロ」
「キャン!」
つつじのお花のみごろがおわって、おさんぽコースには青やむらさきいろのあじさいがお目見え。そして。
「柊生、俺今日出かけるから」
「え?どこに」
「美容院」
「ああ……お前は大変だねえ……」
聖臣のくるくるくせっけが、ぱーてぃ!って感じでもふもふになっています。聖臣もこの季節はいつもこまりがお。リビングのそとから流れる空気は、むしむし、じめじめ。
そう。季節はすっかり、梅雨ですっ!
「髪も面倒だけど、洗濯物乾かねえし」
「乾燥機様々だけど、おひさまの下で干したくもなるよね。マシュのベッドやぬいぐるみとかさ」
風でゆらゆらするカーテンも、おひさまでぽかぽかになるカーペットも、今はどんよりしています。おうちのなかにあるものぜーんぶ、おひさまの匂いが消えてしまいました。
ふたりもなんだか、ゆううつそう。ぼく、なでなでしますー?
「あはは、マシュマロが心配してくれた。よーしよし、いっぱいなでなでさせてもらうよ」
「まあ髪以外は問題ないから安心して。お前が一番大変じゃん」
柊生と聖臣がかわるがわるぼくをわしゃわしゃなでまわして、おやつをくれました!煮干し、うまうまですっ。でも、何が大変なんでしょう?
「これだけ降ってると散歩は行けない……」
「天気予報でも一日中土砂降りだ。庭も水たまりだらけだし、今日はおうちでゆっくり出来るかな?」
あっ。そうです、そうでした。雨だとおそとにいける確率がぐぐーんと下がります。キャンディお姉ちゃんはつらいだろうなあ。まあ、ぼくはのんびり屋ですのでこういうことがあっても、文句はいいません。おやつをくれるなら、更にいいですよっ。
「……なるほど、おやつで交換条件」
「うんうん、賢いぬだねえ。ボーロをあげよう」
「何、賢いぬって……」
「ネットミームになるのかなあ、そのまま賢い犬の略だよ。マーシュマシュ、マシュマロくん、今日も賢いーぬ♫」
柊生がごきげんに歌って、ボーロをくれました!そう、ぼくは賢いーぬ。おやつをいっぱい頂いて、のんびりおるすばん、がんばりますよっ。
「うーん、ちょっと太ったね。ダイエットしましょう」
雨の音を聞きながら食べて寝て、食べて寝て。毎日だらだらのんびりしていたら、ほんのちょっぴり、お太りになったぼく。
聖臣が柊生をじろりとにらみます。
「柊生おやつあげすぎ」
「いやちゃんと調整してたよ!?……運動が少なすぎるんだ。思ってる以上に寝てたもの。ほら、ペットカメラ見て」
「…………食っちゃ寝しかしてねえな。マシュ。しばらくダイエットな」
ええー。おさんぽ行けないのは確かにさみしいですがー、おうちも広いしー、美味しいものいっぱい食べられるのが楽しいって思ったところなのにー。
「そうとなれば、俺達も覚悟がいるね。よし、マシュ!今から行くよ、お散歩!聖臣、カッパ出して」
「合羽?あった?」
「あるある。マシュマロも着ようね、カエルさんのお洋服!さあ、お散歩行くよー」
雨降ってるのにー。おうちがいいのにー。ハーネスを持ち運ぶ気になりませんー……とか言ったところで、しょせんぼくは籠の鳥ならぬカエルさんのおようふくを着た犬。ご主人たちと一緒に、突然のお外です。
「犬用のカッパとか、母さんいいもの送ってくれたな」
「前にも桜のスタイ貰ったけど、ほんと可愛いものいいタイミングで送ってくれるよねえ。写真撮って送ろうよ」
なんだかつるつるしたカエルさんのお洋服は、聖臣ママからのおくりもの。ありがたいですが、もう帰りたいです。雨がざんざん、ぼくのお顔まわりのもふもふをぺたんこにしちゃいます。テンションだだ下がりです。もう、お散歩の気分じゃないですよう。
「あああマシュがもう座り込んで……家出たばかりだよ、まだ。マーシュ、歩こう。聖臣が傘さしてくれるよ、ねっ」
「柊生、車も来るから一列な、一列」
「勿論。聖臣が先頭で、出発進行!」
うん?いつもと違って、聖臣が前で、柊生がしんがりをつとめるかたち。これは……こないだ、佐藤さんのおうちで見ました!お散歩じゃありません、これは、だいみょうぎょうれつ、ですっ!
「あ、歩き出した」
「濡れるの嫌だったのかな。よかったねマシュ、聖臣の傘でお散歩嬉しいねー」
これならマシュマロボディも濡れません!よきかな、よきかな。ごきげんで走れば、ばしゃーんと飛び散る、水しぶき。
「キャワ!?」
「あああ、水たまりに思い切りいった……わ、紫陽花がいっぱい。綺麗だね。ねえ聖臣これ、ピンクと青が混ざってる!」
「ほんとだ。あ、柊生、マシュ。そこにかたつむりいる」
「えっ、どこ?」
まえあしはびしょ濡れですが、おようふくのおかげで、じまんのフカフカお胸はぬれませんでした。柊生がふとぼくの頭の上を見上げて、にっこり。聖臣が大きな葉っぱをつんつん指さして、ここだよと言います。まるーいぐるぐるに、にょきにょきおめめ。
「おお、カタツムリ久々に見た気がするな。ふふふ、カエルのマシュマロで梅雨の風物詩が勢揃い!」
「写真撮る」
「うん、撮って撮って!」
傘を柊生にバトンタッチして、聖臣がカメラをパシャパシャ。かたつむりさんと、紫陽花さんと、ぼく。だいみょうぎょうれつのいい記念になりますねっ。柊生がにこにこしています!
「ふふ」
「何?」
「なんか、季節を丁寧に感じることができるのもマシュマロのおかげだなーって思ったの。大人になってからこんなに雨の日長く外にいることって、そうそうないべ?ちょっと楽しいしさ」
「……確かに。ありがとな、マシュ」
「おやつをカットする分、ありがとうはいっぱい言うからね!ふふ、おうちに帰りましょうか」
くるりとUターンして、いつもよりちょっぴり遠回りでおうちに帰ります。ぴちぴち、パシャパシャ。ぼくらの足元でおみずが元気にはねる音。しとしと、雨に濡れたお花がつやつやしていてとっても綺麗。柊生がかがんで、近くのお家をゆびさしましたよ。
「あっ、ねえ聖臣、マシュ。見て見てあのおうち、てるてる坊主がいっぱい!」
「今も作るもんなんだな……」
「ふふ、俺達も帰ったら作ってみる?ティッシュでいいんだっけ?」
どこかのおうちの窓で、ゆらゆら揺れる白いおにんぎょう。てるてる坊主っていうものをかざると、晴れるらしいです。
「ティッシュ丸めて被せて、首のところ結ぶだけ。昔、姉ちゃんと作った気がする」
「へえ!姉兄いるとやっぱりいいね」
「晴れたかどうかは忘れたけど。……次に晴れたら思いっきり芝生の上転がっていいよ、マシュ」
聖臣が何だか懐かしそうな顔をして、ぼくのおようふくについた水をはらってくれました。……ぼくもね、思うんですよ。
「キャン!」
どんな雨でも、さむーい冬でも、あつーい夏でも、毎日毎日ハッピーなのは、ニコニコのおふたりがいるからなんです。
だからぼくも、元気いっぱいのお礼をいいますね!ありがとう、ですっ!
「キャンキャン!キャンっ!」
「うん、帰ったらカロリーカットのおやつをあげるから」
「甘やかしたがりなのは聖臣もだから、そりゃ太るよね……帰ってからも運動いっぱいしようねー♡」
ち、ちがいますーっ。おやつは嬉しいですがっ、運動はもう、もう大丈夫ですからぁ。ねえ、聖臣っ、柊生っ。抱っこでお昼寝しましょうよー。
「もってこい遊びとか久々にやってみよう……したっけ聖臣も運動する?」
「今日はしねえ、って、何、その顔」
「今夜は俺に好きな衣装やおもちゃもってこーいって言ってみない?って話♡」
「変な遊びばかり思いつくな、ドスケベ……」
仲良しなのはいいことですが、おはなし聞いてくださーい。聞こえないふりはいやですーっ。ねえってばー!抱っこー!おやつー!
無情にも、ぼくのおねがいは雨に吸い込まれていきました。