【新・世界樹の迷宮2】
【ミカエルとベルトラン】
「……しかし、またおまえと行動するとはな。ベル。2年ぶりだっけ?」
「おいおい……そりゃ、こっちのセリフだぞ、ミカエル。つーか、おまえこそまだフラフラしてんのかよ」
ギルド『空の誓い 』に入った翌日。
男女に分かれて樹海に入る準備をしている俺たちは、おっさんとミカエルの会話に首を傾げていた。
「ベルトランとミカエルさん、知り合いなのか?」
「知らん。俺はつい最近入ったからな。おまえらこそ、あの男から何か聞いてないのか?」
「いや、俺らもおっさんと会ったのはつい最近だし……」
「あらー。じゃあわかんねーですね。僕もファティアちゃんの勧誘で入ったばっかりだし」
剣を磨くジェダイト、銃の調整をしてる青玉、弓の調子を確かめる俺、そして道具の確認をしている翡翠がそれぞれつぶやく。
パラディンの癖に無気力かつ無責任で、やる気があまり見られないベルトラン。
自称放浪してるだけの旅の王子と言う割にはしっかりもので、自分のことは自分でやる王子らしくないミカエルさん。
……正直、共通点が見当たらない。
「……というか。そもそもミカエルさんは、どうして放浪してるんだ?」
ジェダイトがぽつりとつぶやく。
それは俺も思ってた。ミカエルさんは俺らみたいに年相応の表情をするが、肝心の場面では気品のある振る舞いや礼儀を見せている。
おっさんの様子もあり、王子というのは嘘じゃないんだろう。
「あー、それは僕も気になるですねー。ぶっちゃけ」
「じゃあ聞く?」
「にゅやっ!?」
翡翠の真横から、話を聞いていたミカエルさんが顔を出した。
ついでにベルトランも呆れ顔で俺たちを見ている。
「部屋は広くねーからおまえらの声も拾いやすいんだよ。せめてもう少し小声で話せよな」
「「うっ」」
「「……すまない」」
二人の言葉に、言葉を詰まらせる俺と翡翠、素直に謝るジェダイトと青玉。
「まあいいや。で、聞くのか? 聞かないのか?」
「い、いいんですか? 言っちゃって」
あっさりした様子のミカエルさんに、思わず聞き返す俺。
そんな俺に「うん。もう黒歴史だし!」と笑顔で言うミカエルさん。
……笑顔で言うことですか? それ。
「気にすんなよ。こいつは王子は王子だが、もう王子らしくねぇからよ。聞きたいんならバッサリ聞けって」
「「じゃあ、遠慮なく」」
「「うぉおおおいっ!!!」」
「「だって大丈夫って言ってるし」」
「「…………」」
ベルトランの言葉に、これまたあっさり頷いたジェダイトと青玉。それに盛大にツッコミを入れる俺と翡翠。
まあ俺と翡翠さんの叫びと視線は無視され、二人はいそいそと椅子に座り直すミカエルさんに注目している。
……なんなんだろう、この空間。
「えっとさ。俺は確かに王子だけど、16人兄弟の末弟……末っ子ってやつなんだ。王子っつーのは名ばかりで、めっちゃくちゃ地位が低いんだよ」
「16人――親御さん、とても元気な人なんですね」
語りだすミカエルさんに、相槌を打つジェダイト。
けどさ、ジェダイト。どこにツッコミを入れてんだよ。いや、俺も確かに思ったけど。
「王子として生活はともかく……低い地位だから肩身が狭くて窮屈だし、政略の道具に使われる決められた未来だし……正直うんざりだった」
「道具……それは、やだな」
「ああ。そんなことに使われるなら、クーデターを起こして金と権力と国を根こそぎ奪い取るな。俺なら」
「青玉君!? 何サラッと物騒な事言ってるの!」
再び言葉を挟んだ青玉の物騒な言葉に、翡翠が盛大にツッコミを入れた。
うん、俺も激しく同意見だ。
「大丈夫だよ、翡翠。俺も時々思ってたから」
「「思ってたんだ!?」」
「うん。あんな上辺だけの奴らに媚びへつらうくらいなら、いっそ謀反起こして国を乗っ取ろうかなって思ってた」
「そんな、『ちょっと仕返しのイタズラしようかな』的なニュアンスで言われても……」
「フラヴィオ。ツッコミたい気持ちもわかるが、それは無駄だ。ミカエルはそういう奴だから」
呆れたような表情のおっさんに、俺も翡翠も何も言えなかった。
……この人、ホントに王子? 王子の欠片も感じられん。
「続きいいか? ……で、そんな計画を練り始めたある日、国の祭典の為に多くの業者が荷物を運んでいてな。冒険者の人もいて、いろんな所の話を聞いたんだ。世界ってスゲーなって、ただ単純に思ってた」
「冒険者たちの話、か。確かに、実際世界樹へ登る俺も思っているからな」
「終わったら、街や他の国へ帰る奴らもいた。世界樹や洞窟へ探検に行く奴らもいた。……その時決めたんだ」
ミカエルさんの、サラッと物騒な謀反計画を聞き流してその先を聞く。
「荷物に紛れて馬車や船に潜り込んで国を家出――いや、城出を。んじゃなくて! 脱走しようって!!」
「「脱走!!?」」
「ちなみに、こいつはもうかれこれ五年も帰ってないぞ」
「「しかも五年も!!?」」
サラッととんでもないカミングアウト・パート2。しかもベルトランの付け足しにも目が見開く。
脱走した上に五年も帰ってないって何!? どんだけアクティブに生きてんの! この人!
「だって~、見るもの聞くものが全部新鮮なんだもん。あんな国に戻るくらいなら、王子の権力なんていらないよ。元々もってないけど」
「いや、だからってさ……つーか、連れ戻そうとかされなかったのか?」
「あ、大丈夫。15人いるから、一人くらいどうでもいいかってことで、捜査は打ち切られた。三日で」
「「国も国で超無責任!!!」」
「「蛙の子は蛙、というわけか……」」
ツッコミしかない話に俺と翡翠は叫ぶしかなかった。
反対にジェダイトと青玉はドライにボソッとつぶやく。
「……で、フラフラ放浪し始めたところで俺と出会ったってわけさ」
「まあ俺としちゃ助かったけどね~。なんせベルのおかげで楽しい毎日が過ごせるし」
「俺は大変だったがな」
「あっはっはっはっはー♪」
「「なるほど。納得した」」
「「…………」」
呆れた顔のベルトランとにこやかに笑うミカエルさん。
話を聞き、事情がわかったと頷くジェダイトと青玉。
言葉が無くなり、絶句する俺と翡翠。
輝かしい日差しのはずなのに、非常にカオスな朝となった。
ミカエルとベルトラン
――――
(……つーかさ、ジェダイト君に青玉君。君たちは脱走しまくったミカエル君に何もツッコミなし?)
(ミカエルさんはミカエルさんだろう?)
(ミカエルの決めた事に口を出す気はない。……というか)
((ミカエル(さん)の黒歴史なんて激しくどうでもいい))
((…………))
――――
ミカエルの放浪のきっかけとベルトランの出会いの話。
ジェダイトと青玉はペルソナ3&4みたいな性格(ジェダイトが4、青玉が3)。
それらにツッコミを入れるフラヴィオと翡翠は完全に花村と順平です。
「……しかし、またおまえと行動するとはな。ベル。2年ぶりだっけ?」
「おいおい……そりゃ、こっちのセリフだぞ、ミカエル。つーか、おまえこそまだフラフラしてんのかよ」
ギルド『
男女に分かれて樹海に入る準備をしている俺たちは、おっさんとミカエルの会話に首を傾げていた。
「ベルトランとミカエルさん、知り合いなのか?」
「知らん。俺はつい最近入ったからな。おまえらこそ、あの男から何か聞いてないのか?」
「いや、俺らもおっさんと会ったのはつい最近だし……」
「あらー。じゃあわかんねーですね。僕もファティアちゃんの勧誘で入ったばっかりだし」
剣を磨くジェダイト、銃の調整をしてる青玉、弓の調子を確かめる俺、そして道具の確認をしている翡翠がそれぞれつぶやく。
パラディンの癖に無気力かつ無責任で、やる気があまり見られないベルトラン。
自称放浪してるだけの旅の王子と言う割にはしっかりもので、自分のことは自分でやる王子らしくないミカエルさん。
……正直、共通点が見当たらない。
「……というか。そもそもミカエルさんは、どうして放浪してるんだ?」
ジェダイトがぽつりとつぶやく。
それは俺も思ってた。ミカエルさんは俺らみたいに年相応の表情をするが、肝心の場面では気品のある振る舞いや礼儀を見せている。
おっさんの様子もあり、王子というのは嘘じゃないんだろう。
「あー、それは僕も気になるですねー。ぶっちゃけ」
「じゃあ聞く?」
「にゅやっ!?」
翡翠の真横から、話を聞いていたミカエルさんが顔を出した。
ついでにベルトランも呆れ顔で俺たちを見ている。
「部屋は広くねーからおまえらの声も拾いやすいんだよ。せめてもう少し小声で話せよな」
「「うっ」」
「「……すまない」」
二人の言葉に、言葉を詰まらせる俺と翡翠、素直に謝るジェダイトと青玉。
「まあいいや。で、聞くのか? 聞かないのか?」
「い、いいんですか? 言っちゃって」
あっさりした様子のミカエルさんに、思わず聞き返す俺。
そんな俺に「うん。もう黒歴史だし!」と笑顔で言うミカエルさん。
……笑顔で言うことですか? それ。
「気にすんなよ。こいつは王子は王子だが、もう王子らしくねぇからよ。聞きたいんならバッサリ聞けって」
「「じゃあ、遠慮なく」」
「「うぉおおおいっ!!!」」
「「だって大丈夫って言ってるし」」
「「…………」」
ベルトランの言葉に、これまたあっさり頷いたジェダイトと青玉。それに盛大にツッコミを入れる俺と翡翠。
まあ俺と翡翠さんの叫びと視線は無視され、二人はいそいそと椅子に座り直すミカエルさんに注目している。
……なんなんだろう、この空間。
「えっとさ。俺は確かに王子だけど、16人兄弟の末弟……末っ子ってやつなんだ。王子っつーのは名ばかりで、めっちゃくちゃ地位が低いんだよ」
「16人――親御さん、とても元気な人なんですね」
語りだすミカエルさんに、相槌を打つジェダイト。
けどさ、ジェダイト。どこにツッコミを入れてんだよ。いや、俺も確かに思ったけど。
「王子として生活はともかく……低い地位だから肩身が狭くて窮屈だし、政略の道具に使われる決められた未来だし……正直うんざりだった」
「道具……それは、やだな」
「ああ。そんなことに使われるなら、クーデターを起こして金と権力と国を根こそぎ奪い取るな。俺なら」
「青玉君!? 何サラッと物騒な事言ってるの!」
再び言葉を挟んだ青玉の物騒な言葉に、翡翠が盛大にツッコミを入れた。
うん、俺も激しく同意見だ。
「大丈夫だよ、翡翠。俺も時々思ってたから」
「「思ってたんだ!?」」
「うん。あんな上辺だけの奴らに媚びへつらうくらいなら、いっそ謀反起こして国を乗っ取ろうかなって思ってた」
「そんな、『ちょっと仕返しのイタズラしようかな』的なニュアンスで言われても……」
「フラヴィオ。ツッコミたい気持ちもわかるが、それは無駄だ。ミカエルはそういう奴だから」
呆れたような表情のおっさんに、俺も翡翠も何も言えなかった。
……この人、ホントに王子? 王子の欠片も感じられん。
「続きいいか? ……で、そんな計画を練り始めたある日、国の祭典の為に多くの業者が荷物を運んでいてな。冒険者の人もいて、いろんな所の話を聞いたんだ。世界ってスゲーなって、ただ単純に思ってた」
「冒険者たちの話、か。確かに、実際世界樹へ登る俺も思っているからな」
「終わったら、街や他の国へ帰る奴らもいた。世界樹や洞窟へ探検に行く奴らもいた。……その時決めたんだ」
ミカエルさんの、サラッと物騒な謀反計画を聞き流してその先を聞く。
「荷物に紛れて馬車や船に潜り込んで国を家出――いや、城出を。んじゃなくて! 脱走しようって!!」
「「脱走!!?」」
「ちなみに、こいつはもうかれこれ五年も帰ってないぞ」
「「しかも五年も!!?」」
サラッととんでもないカミングアウト・パート2。しかもベルトランの付け足しにも目が見開く。
脱走した上に五年も帰ってないって何!? どんだけアクティブに生きてんの! この人!
「だって~、見るもの聞くものが全部新鮮なんだもん。あんな国に戻るくらいなら、王子の権力なんていらないよ。元々もってないけど」
「いや、だからってさ……つーか、連れ戻そうとかされなかったのか?」
「あ、大丈夫。15人いるから、一人くらいどうでもいいかってことで、捜査は打ち切られた。三日で」
「「国も国で超無責任!!!」」
「「蛙の子は蛙、というわけか……」」
ツッコミしかない話に俺と翡翠は叫ぶしかなかった。
反対にジェダイトと青玉はドライにボソッとつぶやく。
「……で、フラフラ放浪し始めたところで俺と出会ったってわけさ」
「まあ俺としちゃ助かったけどね~。なんせベルのおかげで楽しい毎日が過ごせるし」
「俺は大変だったがな」
「あっはっはっはっはー♪」
「「なるほど。納得した」」
「「…………」」
呆れた顔のベルトランとにこやかに笑うミカエルさん。
話を聞き、事情がわかったと頷くジェダイトと青玉。
言葉が無くなり、絶句する俺と翡翠。
輝かしい日差しのはずなのに、非常にカオスな朝となった。
ミカエルとベルトラン
――――
(……つーかさ、ジェダイト君に青玉君。君たちは脱走しまくったミカエル君に何もツッコミなし?)
(ミカエルさんはミカエルさんだろう?)
(ミカエルの決めた事に口を出す気はない。……というか)
((ミカエル(さん)の黒歴史なんて激しくどうでもいい))
((…………))
――――
ミカエルの放浪のきっかけとベルトランの出会いの話。
ジェダイトと青玉はペルソナ3&4みたいな性格(ジェダイトが4、青玉が3)。
それらにツッコミを入れるフラヴィオと翡翠は完全に花村と順平です。