【新・世界樹の迷宮2】

【思い募った一秒間】

※フラヴィオ夢

 ギンヌンガ遺跡で出会ったベルトランとクロエを連れて、俺たちはギルドへ向かっていた。
 理由はギルドとして活動する事になったんだが、その際最近有能なギルドがもう五人ほど人数を募集してるから、そこにいれてもらうからだ。
 そのギルドは実力の高さから公国も目にかけていて、公国が直々に出した料理店の経営にも関われる程のものらしい。

「エスバットでもベオウルフでもないのに公国お墨付きのギルド、ねぇ。堅苦しくなきゃいいんだが」

「そういうなよ、おっさん。アリアンナの儀式が関わる以上、信頼の高いギルドが一番だろ?」

 アリアンナの儀式の成功がカレドニア公国からの依頼だ。生半可なギルドには頼れないし、信頼のあるところが好ましい。
 ……ジェダイトの異変の件もあるし。

「へいへい。えーっと……待ち合わせの公国料理店はアレか?」

 おっさんが指差す先。
 そこは間違いなく待ち合わせ場所でもある公国料理店――スカイ・レイジだ。

「そうだな。改修工事があった場所だ」

「今の目玉、鹿肉のステーキ。……じゅるり」

「鹿肉のステーキ……美味しそうです」

「お嬢さん方ー? 目的忘れんなよー」

 店前のボードに書かれた鹿肉のステーキに、クロエとアリアンナは今にもよだれが垂れそうだ。
 まあ、エクレアちゃんが「美味しかったです! お父さんも喜びました!」と絶賛するくらいだから、かなり美味しいんだろうけど。

「とにかく入ろうか。すみませーん、大公宮からギルドの加入について……」

 これからお世話になるからな。失礼のないようにしないと……。特におっさんはアレだし。
 そう思いながら、料理店にみんなと入った瞬間。

「こんにちは。お待ちしてま――あら」

「あ――あああああああああッ!!!!?」

 あの時助けてくれたあの子――ル・ルシェことルシェが目の前にいた。

 ――――

「なるほど。あなたがアリアンナさんだったか。あの時はろくに挨拶ができず、申し訳ない」

「いえ、いいんです! 名乗らなかった私も悪いんですから」

 あの後、硬直した俺は半ばジェダイトに引き摺られるように店内に入った。
 アリアンナは代表としてルシェと対面、ジェダイトとおっさんはアリアンナの両サイドに立ち、俺はアリアンナの後ろ(ややジェダイト寄り)にいる。
 クロエは……一人鹿肉のステーキを食べ続けていた。相変わらずの胃袋だな。

「へぇ……フラヴィオがルシェっつーあの子に一目惚れ、な。まあ確かにカワイイ子だよな?」

「おっさん、うるさいって!」

 にやにやしながら小声で言うおっさんに、同じく小声で返す。
 ひ、ひひ……っ、一目惚れだなんて、そんな……。

「諦めろ、フラヴィオ。今のおまえじゃ、ベルトランに勝てない」

「じ、ジェダイト……」

 なんでおまえは(たまにだけど)どん底に突き落とす一言を言うだよ……。
 ジェダイトにも落とされ、ガックリと肩を落とす。

「……ああ、そうだ。ボクの仲間……ギルドの皆さんを紹介しますね。……おーい、みんなー!」

 肩を落とすと同時に、ルシェが店の奥へと声を張り上げた。
 数秒後、店の奥から四人現れる。

「どしたの、ルシェちゃん。店の奥まで聞こえたよー?」

「ほら。前に大公宮から話があった人たちだよ。カレドニア公国のお姫様と調査隊の人たち」

「……ああ。ギンヌンガという遺跡を調べている奴らか。……約一名、胡散臭いのもいるが」

「青玉。失礼なことを言わないの。思ってても心の中に留めなさい」

「こら、ファティア。……コホン。はじめまして、アリアンナ姫。ギルド『空の誓いスカイ・レイジ』へようこそ」

 メディックっぽい奴とガンナー、ドクトルマグスが後方でルシェに近寄る中、アリアンナに負けないくらいキラキラオーラ全開の奴が一礼した。
 ……って、『空の誓いスカイ・レイジ』?

「まあ。お店と同じ名前ですね」

「正確にはギルドの名を店にした、だがな」

「空の誓いはボクらハイランダーの言葉で、スカイ・レイジって言うんだ」

「なるほど。嬢ちゃんが発案したのか」

 にこっと笑顔で名前の意味を語るルシェ。
 ……可愛さのあまり、後半聞いてませんでした。ごめんなさい←

「順番に名乗りましょう。俺はミカエル。樹海攻略中の旅の王子です」

「ファティア。ミカエル様専属のドクトルマグスよ。よろしく」

「……青玉。ガンナーだ」

「僕は翡翠。メディックやってたけど、今はカースメーカーだよん。よろしくー」

「で、ボクがハイランダーのル・ルシェ。ルシェでいいよ」

 ある意味こちらと負けず劣らずと言った面々の自己紹介。
 まあ俺はルシェしか見てなかったけれど。

「じゃあ改めて、よろしく。アリアンナ」

「はいっ。よろしくお願いいたします!」

 ペコリと頭を下げる王子と姫。
 他の面々も各自話しかけている。

「フラヴィオ」

「え、あ! はい!」

「これからよろしくな」

「お、……おおっ! よ、よろしくな…………ルシェ」

 にこりと微笑んで俺に話しかけてくれるルシェ。
 今の今まで思い募ってきた分、嬉しさが一秒で溢れてきた。


 思い募った一秒間

 ――――

(フラヴィオも何か食べるか? ここの料理は本当に美味しいよ?)

(あ、ああ、うん(これからもルシェと一緒……あは、あははははっ))

 ――――

(……ありゃ、完全に浮かれているな)

(おー、ベルトラン! 久しいなー)

(よぉ、ミカエル。相変わらずフラフラしてんなあ)

(え? 知り合い?)
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